教育を考える 2021.3.24

“10歳までに” 思いきり遊んでない人間は将来伸びない! 活躍できる子の遊び方

編集部
“10歳までに” 思いきり遊んでない人間は将来伸びない! 活躍できる子の遊び方

「遊んでばかりいないで少しは勉強しなさい!」「いま勉強しておかないと、将来困ることになるわよ」、そんな声かけをしていませんか。

でもこれからの時代は、「いま遊んでおかないと、将来困ることになる」かもしれませんよ?

今回は、幼少期に遊ぶことの必要性について考えてみましょう。

「10歳までに思いきり遊べた子ども」は強い!

「子どもの頃に遊べていない人間は将来的に伸びない」「“10歳までに思いきり遊ぶ” という経験は過剰な受験勉強よりも大切」――こう言いきるのは、東京都で義務教育初の民間校長として注目を集めた教育改革実践家・藤原和博氏。いままでは「正解に速くたどり着ける力(基礎学力)」があれば社会で活躍できました。しかしこれからの時代、「基礎学力」だけでは社会の変化に太刀打ちできないようです。

では、どんな力が必要となってくるのでしょう。藤原氏は、「直面する問題に対して自分や他者がもつ知識、経験、技術を組み合わせて多くの仮説を立てる力(情報編集力)」を鍛えるべきだとしています。なぜならば、今後さらに多様化していく社会の問題に「決まった正解はない」からです。2021年1月に行なわれた大学入学共通テストでも、思考力・判断力・表現力など「実社会で通用する力」が重視されました。

そこで今回は、子どもたちの「情報編集力」や「実社会で通用する力」を確実に伸ばす方法をお伝えします。その方法とは「子どもの頃に思いきり遊ぶこと」。それだけ!? そう感じた親御さんも多いかもしれません。しかし、幼少期の「遊び」は子どもの人生を左右するほどに重要なのです。

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子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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問題解決を得意としない、エリートの若者たち

なぜ、子どもの頃に遊ぶと社会に出てから活躍できるのか――NASA・ジェット推進研究所の採用基準にヒントがありそうです。

以前は、国で最高の学校を最高の成績で卒業したいわゆるエリートを採用することに重点が置かれていたが、近年、そういう若者の多くが必ずしも問題解決を得意としていないことがわかってきた。(中略)そこでこれらの機関は、採用の過程で、小児期と思春期に手を使ってユニークな遊びや作業をした経歴を持つ卒業生の獲得を優先し始めた。子どものときにものを作り、遊んだ経歴に特徴のある人が、問題解決をいちばん得意とする人たちだった。

(引用元:東洋経済オンライン|「遊びの時間が足りない子」の結構残念な行く末

これは驚くべきことではないでしょうか。「最高の学校を最高の成績で卒業したエリート」よりも、「子どもの頃に手を使ってユニークな遊びをしていた若者」のほうが評価される時代になってきたのです。

UCLA医科大学教授のダニエル・J・シーゲル氏と、児童青年心理療法士のティナ・ペイン・ブライソン氏の共著『「自己肯定感」を高める子育て』によると、「遊び」には数えきれないほどの利点があるとのこと。

遊びは子どもの「仕事」だ。遊びは認知のスキルを育て、言語能力と問題解決能力、さらには計画づくりや予測、結果の予期、予想外の出来事への順応など、高度な実行機能を高める。

(引用元:東洋経済オンライン|「遊ぶ子」と「忙しい子」自己肯定感に出る大差

なるほど、「遊び」は学力などの認知スキル(IQ)も上げてくれるのですね。また、「予想外の出来事への順応」も親としては嬉しい限り。たしかに、「外で遊んでいたら急に雨が降ってきた」「ブランコの順番を守らない友だちがいる」など、遊んでいれば大なり小なりトラブルはあるものです。予想外の出来事に対処することで、生きるためのさまざまな力がつくのでしょう。

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「遊び」によって鍛えられる力

では、どんな「遊び」がどんな力を育むのか。いくつかの遊びを掘り下げて見てみましょう。

【外遊び】→問題解決力・判断力・思考力など

NASA・ジェット推進研究所の採用方針にもあるように、これからの時代、問題解決力は必須です。この問題解決力が「外遊び」で身につくと主張するのは、『すこしの努力で「できる子」をつくる』著者で生物学者の池田清彦氏。特に虫採りや魚釣り、山登りやキャンプといった、自然のなかでの遊びをすすめています。遊んでいて困難に直面したときこそがチャンス。「危機や困難を回避する方法」を探す経験が問題解決力を押し上げます。また、外遊びの定番とも言える鬼ごっこでは、「どうやったら捕まらずに逃げきれる?」と頭をひねることにより、思考力や判断力が鍛えられます。

【折り紙遊び】→思考力・空間認識力・集中力など

先の読めない時代、思考力は強力な武器となるでしょう。折り紙は、思考力を鍛える遊びです。たとえば、折り紙の上手な折り方を考えるのは「論理的思考力」。その折り紙に顔を描いたり、部屋をつくってあげたりするのは「創造的思考力」。寂しそうだからと “友だち” をたくさん折るのは、「ケア的思考力(他者への気遣いや共感など)」です。また、折る向きや折る間隔を考えながら作業すると空間認識力が鍛えられるということも、脳科学の観点から認められています。脳医学者の瀧靖之氏は、集中力も強化されると話していますよ。

【ごっこ遊び】→創造力・想像力など

東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授によると、「ごっこ遊び」は、場面やストーリーを自分のなかでつくり出す必要があるため、創造力が育まれるのだそう。四角い積み木を電話に見立てたり、砂場の砂を「小麦粉」だと言ってみたり、子どもの創造力・想像力に驚いた経験はありませんか? 教育学者で東京大学名誉教授の汐見稔幸氏も、「なにもない場所から遊びをつくり出す経験は、AI技術が発達していくこれからの時代に特に必要である」と話しています。これからは、ゼロからイチをつくることのできる人材が求められるはず。ごっこ遊びで創造力をぐんぐん伸ばしてあげましょう!

【友だちとの遊び】→レジリエンス・コミュニケーション能力など

「一緒に遊ぼうと誘ったら断られた」「遊びのルールについて友だちとケンカになった」など子ども同士でのトラブルに悩む親御さんも多いかもしれません。ですが、子どもはそのトラブルから多くを学び、レジリエンス(回復力・復元力)やコミュニケーション能力を育みます。レジリエンスがあれば、「〇〇ちゃんは積み木遊びが好きじゃなかったのかな? ほかの遊びに誘ってみよう」と、必要以上に落ち込むことなく、次の行動を考えることができますし、コミュニケーション能力があれば、自分の考えをうまく相手に伝えることが可能です。ケンカになりそうな場面でも、必要以上に親が介入することはやめましょう。

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「習い事」と「遊ぶ時間」、どちらが大切?

上記で挙げた4つは、子どもの遊びのほんの一例です。子どもたちは、もっとたくさんの遊びをつくり出すことができるでしょう。しかし残念なことに、いまの子どもたちは習い事や勉強に割く時間が増え、自由に遊ぶ時間が減ってしまっています。NPO法人 子育て学協会会長の山本直美氏によると、「毎日習い事」「土日は習い事のかけもち」といった子どもも少なくないのだとか。

そこで、前出のダニエル・J・シーゲル氏とティナ・ペイン・ブライソン氏は、スケジュールを詰め込みすぎていないかどうかを定期的にチェックすべきと提案しています。以下1~5は子どもの様子、6~7は親の行動です。イエス・ノーで答えてみてください。

  1. 疲れていたり不機嫌だったりと、ストレスがたまっている様子だ。
  2. 忙しすぎて自由な時間がないようだ。
  3. 十分な睡眠がとれていない。
  4. 友だちやきょうだいと気ままに過ごす時間がないようだ。
  5. 家族みんなが忙しすぎて、決まった時間に一緒に夕食がとれない。
  6. (※親の行動)子どもに「急いで!」とよく言う。
  7. (※親の行動)忙しくてストレスがたまっているので子どもに対してもイライラしがち。

 
いかがでしたか。もし1つでもイエスがあったならば、子どものスケジュールについて少し考えたほうがよさそうです。2つ以上のイエスがあった方は、スケジュールの見直しを真剣に考えてみてください。そして、子どもが自由に遊ぶ時間をつくってあげましょう。

前出の藤原氏は、「人生100年時代」と言われているいま、大学入学や有名企業への就職を目標とするのは危険だと警鐘を鳴らしています。どんな社会になったとしても、何歳になったときでも、自分の生きる道を自身で切り開いていけるのは、「10歳までに思いきり遊んだ、発想力の豊かな人」なのです。

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幼児期は、親子での遊びも重要です。「こうしたほうがいいんじゃない?」「それはやったらダメよ」なんて言わず、ただ子どもと一緒に目一杯楽しんでください。遊び込んだ子どもの未来は明るいですよ!

(参考)
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|10年後に必要となる力――正解がない問題に多くの仮説を立てる「情報編集力」
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|過剰な受験勉強よりも大切な、「10歳までに思い切り遊ぶ」という経験
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|やりたいことを目いっぱいやって失敗した。その経験が「折れない心」を育てる
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「外遊び」は有能感や自己肯定感を伸ばす――でも、効果のほどは「親次第」
アスコム監修(2011),『10歳までの子育ての教科書』, アスコム.
汐見稔幸(2008),『子どもの身体力の基本は遊びです』, 旬報社.
東洋経済オンライン|「遊びの時間が足りない子」の結構残念な行く末
東洋経済オンライン|「遊ぶ子」と「忙しい子」自己肯定感に出る大差
日経デュアル|幼児期の「遊び込む」経験が、思考力ある子を育てる
ベネッセ教育情報サイト|乳幼児期から育む、折れない心【前編】困難に負けない、レジリエンスとは
るるぶ Kids|おりがみ遊びがすごい!脳科学者に聞く子どもへの効果 [ハシビロコウの折り方付き]
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