あたまを使う/国語 2019.1.23

「書き出し上手」は「作文上手」! 作文を魅力的にする“書き出しのパターン”12選

山口 拓朗
「書き出し上手」は「作文上手」! 作文を魅力的にする“書き出しのパターン”12選

子どもに「書き出しを工夫したい!」と思わせよう

この世に「書き出し」が重要でない作文はひとつもありません。書き出しで読む人の興味を引くことができれば、読む人は「これはおもしろそうだ!」と、前のめりになって、その続きをしっかり読んでくれるかもしれません。

一方で、書き出しで興味をひくことができなければ、「これはつまらなそうだ」「どれも似たような作文だ」と、読む人は続きを読み流してしまうかもしれません。書き出しの差は“微差”ではなく“大差”なのです

【平凡な書き出しの例】

お題:遠足
平凡な書き出し:きのうは○○にえんそくに行きました。

お題:お母さん
平凡な書き出し:わたしのお母さんは、とてもやさしいです。

お題:好きな食べ物
平凡な書き出し:わたしの好きなたべものは、カレーライスです。

お題:学校
平凡な書き出し:ぼくの学校は○○小学校といいます。

お題:読書感想文
平凡な書き出し:わたしは『〇〇』という本を読みました。

おそらく、子どもに向かって「書き出しは平凡にならないようにね」と“書き出しの重要性”を説いたところで、ピンとこない子がほとんどでしょう。それどころか、「難しい」「よくわからない」「面倒くさい」と、書き出しを工夫することを、嫌がる子もいるかもしれません。

では、どうすれば、子どもに「書き出しの重要性」を実感してもらうことができるでしょうか? いちばんいいのは、個性的な書き出しにたくさん触れさせることです。童話、小説、エッセイ、他の子どもの作文……どんな種類の文章でも構いません。親が「個性的だな」「おもしろいな」「続きを読みたくなった」という書き出しを見つけたら、「この文章の書き出し、おもしろいよ!」と子どもに見せてあげてください

子ども自身が「おもしろい」「いいね」「楽しそう」と思えば、その子は、似たような「書き出し」を書いてみたいと思うでしょう。大事なことは、子どもに強いるのではなく、子ども自身が自然と「書き出しに工夫をしてみたい」と思えるよう、親がさり気なくナビゲートしてあげることです。

もちろん、これから紹介する12個の「書き出しパターン」を子どもに見せてあげるのも効果的。子どもが、「書き出しにもいろいろあるんだね」「楽しい書き出しだね」「こんなふうに書いてもいいんだ!」と思ってくれたら最高です。子どもの意識が「書き出しを工夫しないといけない」から「書き出しを工夫したい」へと変わるはずです。

作文の「書き出し」に使えるパターン12選

では、さっそく「書き出し」のパターンを紹介していきます。

【1】「自分の声」から入る

「やばい!」
先生がガラっとドアをあけたしゅんかん、ぼくたちはさけんでいた。

「うっ、これは、うまい!」
こんなにおいしいラーメンをたべたのは、うまれて初めてです。

【2】「他人の声」から入る

「こら、ユウタ! はやくおきなさい!」
いつものようにママが大声をあげている。

「よくがんばったね」
コーチのその言葉で、ぼくはうれしくなりました。

【3】音から入る

ピュー、ピュー。あまりの風のつよさに、ぼくは泣きそうになりました。

ガッチャーン! 花びんがわれたしゅんかん、ぼくのからだからヘンな汗がふきだした。

【4】「自分の意見」から入る

友だちの悪口だけは、ぜったいに言わない。わたしはそう決めています。

ぼくは勉強がきらいだ。でも、それでいいと思っています。

【5】「疑問」から入る

「たすうけつ」で決めたことって、本当に正しいのだろうか? 前から思っていたぎもんです。

子どもはどうしてお酒をのんではいけないのかな? ぼくはふしぎに思った。

【6】「たとえ」から入る

赤オニが来た! と思ったら、おこって顔をまっ赤にしたママでした。

まるで、雪をかぶった富士山のようでした。ぼくのお茶わんにつがれた大もりごはんのことです。

【7】「くり返し」から入る

食べた、食べた、食べまくった。きのうは、ひさしぶりにやき肉を食べました。

いたい、いたい、いたい。キズ口にしょうどくやくをぬられるときが、イヤでイヤでたまりません。

【8】「気づき&発見」から入る

ついに、朝ねぼうしない方法をはっけんしました!

逆あがりのコツがわかったぞ!

【9】「物語」っぽく入る

それは、ねつがさがった日の夜のことでした。

としょかんで、むちゅうになって本をよんでいたときのことでした。

【10】「告白」から入る

じつは、いままでママとパパにかくしていたことがあります。

きょうは、ぼくの本当の気もちを書きたいと思います。

【11】「悩み」から入る

ぼくはあまり足がはやくありません。

わたしは、かん字をおぼえるのが、ものすごく苦手です。

【12】「会話」から入る

「バナナっておいしいよね?」
「えー、ぼくはきらいだ」
「じゃあ、なんのくだものが好き?」
「うーん、トマト!」
そこで、みんなが大わらいした。

文章の「書き出し」には、さまざまなパターンがあります。親子でそれぞれ気に入ったパターンを発表したり、平凡な「書き出し」と何が違うのか、一緒に話し合ったりしてもいいでしょう。あるいは、紹介したパターン以外に、どういう「書き出し」がおもしろそうか、出し合ってみるのもいいですね。

もちろん、はじめはマネから入ってOKです。好きなパターンを利用して、子どもに「書き出し」を書かせてみましょう。くれぐれも「マネしないで、自分で考えなさい!」などと野暮なことは言わないように。作文に限りませんが、マネから入ることは技術習得のセオリーです。大いにマネさせましょう。

「書き出し」を制する者は「作文」を制す?

「書き出し」は読む人の興味を引くだけでなく、書き手自身にも大きな影響を及ぼすものです。「きのう、えんそくに行きました」よりも「ジャッポーン! 気がついたときには、わたしは池におちていました」でスタートする文章のほうが、作文を書く子ども自身も楽しいはずです。頭に映像が浮かぶため、続きのエピソードが書きやすくなります。

説明的な文章からスタートすると、そのあとも説明的な文章になりがちです。一方で、イメージが浮かぶ場面からスタートすると、そのあとの文章もドラマチックになりやすくなります。気がつけば、オンリー・ワンな作文に仕上がっていることも珍しくありません。

先ほどご紹介した12個のパターンも、読んだ瞬間にイメージが浮かびやすいものを優先して選びました。10歳未満の子どもにとって大切なのは、「説明力」よりも「体験の描写力」です。自身の体験を引き合いに、自分の感性や考えを自由に表現することができるようになると、その子の作文能力は、どんどん伸びていくでしょう。

「書き出し」は単に「作文の冒頭」ではありません。作文全体のトーンやその後の展開を左右する重要なパーツです。古今東西、名のある作家たちも、そのほとんどが「書き出し」の名手です。『書き出し上手』は『作文上手』といっても過言ではないのです。