あたまを使う/英語 2018.10.19

英語のリズムが身につき、リスニング力もアップする!「チャンキング音読法」で自信を持って話す力を育もう

田中茂範
英語のリズムが身につき、リスニング力もアップする!「チャンキング音読法」で自信を持って話す力を育もう

今まで単語力文法力、そして慣用表現力についてお話ししてきました。

ただひたすらに英単語を覚えても、必要なところで単語が使えなければ、「単語力」があるとはいえません。これまでの英語教育では、単語学習に関心が向けられた一方で、単語力を育てるという側面が弱かったように思います。同じことが、文法や慣用表現についてもいえます。

単語力・文法力・慣用表現力は、英語学習の3本の柱です。これらは使うためのものであり、英語の「言語リソース」です。

単語力・文法力・慣用表現力を使って表現するための「音声化力」

しかし、この「言語リソース」を使うとなると、表現するための媒体(メディア)が必要となってきます。ふだん「声」か「文字」を通して表現が行われますね。ここで注目したいのは「声のメディア」です。

皆さんは、自分の英語の発音やスピーキング力に、自信がありますか? 今回は「音声化力」を鍛えるためにどうすればいいのか、お話ししましょう。

「ブロークン英語」でもいい?

英語は世界中で使われており、今ではたくさんのいわゆる「お国訛り」を聞くことができます。ロシア人の英語とアラブ人の英語では、聞こえ方がだいぶ異なります。イギリス英語とアメリカ英語でも、音調として聞き比べると、相当の違いがあります。

韓国人の英語、フィリピン人の英語といった具合に、英語の使用者が世界に広がれば、その分、音の特徴も多様化します。その中に、日本人の英語も含まれます。

このように世界中の人たちが、それぞれの個性ある英語を話しているという状況を鑑みて、「英語は国際語だからブロークンでいいよ」という論調を耳にすることがあります。

「ブロークン英語」の一体どこが壊れているのか

ここで「ブロークン」という表現に少しこだわってみたいと思います。この「ブロークン」は標準英語の基準からみて「こわれている」ということですが、どこがブロークンかを明らかにしようとすると、一筋縄ではいきません

日本語訛りでしゃべる英語は、音韻的にブロークンとみなされます。文法的にでたらめな英語もブロークンです。微妙なところでいえば、表現の選択が基準から外れているため、ブロークンとみなされることもあるかもしれません。

日本人英語学習者もアメリカ人の幼児も、英語は「発達途上」

しかし、このブロークン(broken)という形容詞は、幼児の英語には決して使われません。なぜかというと、幼児の英語は、発達過程にあると考えられているからです。発達段階でみれば、幼児の英語は、それで十全なものなのです。

「発達過程」は「学習過程」と同義です。だとすると、たどたどしい英語を話す米国の幼児も、訛りのある英語を話す日本人学習者も、どちらも成長の途中にいることになります。

成人になると「適切な英語を話すものだ」という先入観が強くなり、つい “broken English” というラベルを貼ってしまいがちですが、僕はこの「ブロークン」というラベルは不適切だと考えています。国際的に通じるかどうかが問題なのです。

「これがネイティブの発音」というものは存在しない?

通じる英語にするためには、ネイティブの真似を徹底的にすればよいという考え方もあります。この考え方はたしかに一理あります(「真似っこ」の効用については次回ふれます)。

しかし、「ネイティブ」という概念には、おびただしい多様性が含まれています。「これがネイティブの発音」というものは、原理的にはありません

地域、性差、年齢、職業などを変数に、多様性は生まれます。また、同じ一人の母語話者でも、誰とどういう状況で話しているかによって、英語のしゃべり方は異なってきます

例えば、働くお母さんが、仕事の商談における話し方と、家で幼い子どもに語りかけるときの話し方は、大きく違うことでしょう。

実際に、われわれが直面する「ネイティブ」の英語は、その多様な発音の中の1つでしかないのです。

英語の音の「コモンコア」を身につけることの重要性

しかし、同時に、英語の母語話者であるということは、「英語を最も自然な形で話すことができる人である」という意味でもあります。

つまり、複数のネイティブスピーカーの話す声にふれることで、「自然な英語の音」の近似値をつかむことができるのです。

一人のアメリカ人の英語は多様な発音の中の1つにすぎませんが、10人、あるいは100人のアメリカ人の英語にふれると、多様性の中に共通性のようなものが見えてくるはずです。これが「自然な英語の音」の近似値です。

この近似値は、英語の一般的な、核となる音「コモンコア(common core)」となります。たとえ日本人的な訛りがあったとしても、このコモンコアをしっかり押さえていれば、国際的に通じる英語の音を身につけることができるでしょう。

これは、音声化力を鍛えるための大前提となります。

自信を持って大きな声で話すと、通じやすくなる?

コモンコアのひとつは、「大きな声で話す」というものです。英語のネイティブスピーカー同士の会話を聞いていると、たとえ電車の中でも、声が響くように聞こえてきます。

日本人が英語を話すと、声が前に出ず、モゴモゴと口の中で音を作っているような印象があります。まず、英語をしゃべる声に力がなければ、自信を持って話しているようには見えません。これは「声の大きさの壁」です。

おそらく、声の大きさと自信の度合いには、高い相関関係があるのだろうと思います。英語が上手下手ということではなく、大きな声で話している人は、自信を持ってしゃべっているように見えるのです

南米の人たちと英語で話すとき思うのですが、彼らの声は大きく、英語を話すことに戸惑いがありません。その実、英語の表現や文法など、かなり適当なところがあります。それでも、自信を持って言いたいことを大きな声で話していると、不思議と通じやすくもなるものです

「声の大きさの壁」を乗り越えるために効果的な「音読」

声の大きさの壁を乗り越えるには、どうすればいいでしょうか。いきなり「大きな声で話せ」といわれても、なかなか簡単にはいきません。

そこで、有効なのが音読です。題材は、自分の気に入った絵本、小説や時事ニュースなど、何でもかまいません。しっかり声に出して読むことが大切です。

最初は紙を両手に持って、立った姿勢で朗読します。立っていないと、声はしっかり出ません。

何回か読むうちに慣れてくれば、片手で紙を持ち、もう一方の手でジェスチャーをしながら音読しましょう。この時点で、単なる音読からパフォーマンス(表現活動)になっているのです。

このとき、大袈裟なぐらい大きな声を出すことが肝心です。誇張した声出し訓練をしていると、普通に会話をする際には、ちょうどいいぐらいの大きさの声で話せるようになるはずです。

「チャンキング音読法」で間の取り方、リズムの取り方を学ぶ

しかし、ただ大きな声で読めばいいわけではありません。間の取り方、リズムの取り方も大切です。そのための音読法が「チャンキング」です。

意味のかたまりを「チャンク」といいます。そして、チャンキングとは、意味のかたまりごとに区切り、息継ぎをしながら読む方法です。

例えば、以下はイソップ物語の「アリとキリギリス」の冒頭部分です。

In a field one summer’s day a Grasshopper was hopping about, chirping and singing to its heart’s content. An Ant passed by, bearing along with great toil an ear of corn he was taking to the nest. “Why not come and chat with me,” said the Grasshopper, “instead of toiling and moiling in that way?”

(訳)ある夏の日、野原で、キリギリスが飛び跳ね、心ゆくまで鳴いたり、歌ったりしていました。そこに、通りすがりのアリが、巣まで持って帰るトウモロコシの実を、苦労しながら運んでいました。「そんなにあくせく働かないで、こっちに来ておしゃべりでもしないかい」と、キリギリスはアリに言いました。

これをチャンクに分けると、以下のようになります。

In a field one summer’s day /
ある夏の日、野原で

a Grasshopper was hopping about, /
キリギリスが飛び跳ねていました

chirping and singing to its heart’s content.//
心ゆくまで鳴いたり歌ったりしながら

An Ant passed by, /
アリが通りかかりました

bearing along with great toil/
苦労しながら運んでいたのです

an ear of corn he was taking to the nest.//
巣まで持って帰るトウモロコシの実を

“Why not come and chat with me,” /
「こっちに来ておしゃべりでもしないかい」

said the Grasshopper, /
キリギリスは言いました

“instead of toiling and moiling in that way?”//
「そんなにあくせく働かないで」

意味のかたまりごとに、息継ぎの箇所で切っています。このような形でチャンクに分けた文章を、徹底的に音読するのです。

チャンクがあることで、慌てることなく、しっかりと読むことができるようになります。

また、息継ぎの箇所で英語を区切って読む練習になるので、自然な間の取り方が身に付きます。チャンクを一つの単位として正確に音読できるようになると、相手にも聞き取りやすく、わかりやすい音読になるはずです。

さらに、チャンキング音読法に慣れてくれば、英語の聞き取りも楽になります相手の息継ぎがわかるようになると、リスニング力もぐっとアップしますよ

さまざまな効果が得られる「チャンキング音読法」、ぜひお子さんと実践してみてくださいね。