2021.6.4

共通テスト(英語)に必要なリーディング対策と効果的な練習法

編集部
共通テスト(英語)に必要なリーディング対策と効果的な練習法

(この記事はアフィリエイトを含みます)

言語教育情報学修士でTOEIC990点・TESOL(英語教育の国際資格)をもつ田畑翔子さんに、大学入学共通テストに向けての対策や効果的な練習法についてお話を伺うシリーズの第2回めをお届けします。

第1回では、共通テスト(英語)の変更点と、今後受験生に求められるテスト対策についてお話しいただきました。第2回は、大学入学共通テストに向けた正しい英語リーディング対策と練習法を探ります。

2021年度大学入学共通テスト(英語リーディング)の概要

2021年度大学入学共通テスト(英語リーディング)の試験時間は、前年度までと変わらず80分。平均点は58.80点と、前年度(58.15点、100点満点換算)と比べ微増しました。

2021年度の問題形式と配点は次のとおりです。

  • 第1問A ショートメッセージの読み取り:各2点×2問=4点
  • 第1問B ウェブサイトの読み取り:各2点×3問=6点
  • 第2問A 点数表とコメントの読み取り:各2点×5問=10点
  • 第2問B Eメールの読み取り:各2点×5問=10点
  • 第3問A ウェブサイトの読み取り:各3点×2問=6点
  • 第3問B ニュースレターの読み取り:各3点×3問=9点
  • 第4問  複数のEメールと時刻表、棒グラフの読み取り:各2点×2問+各3点×4問=16点
  • 第5問  プレゼンテーションのスライドの穴埋め:各3点×5問=15点
  • 第6問  説明文2題の読み取り:各3点×8問=24点

 

2021年度大学入学共通テスト(英語リーディング)の問題はこちらから、答えはこちらからアクセスしてください。

2021年度共通テスト(英語リーディング)の難易度と、特に注目すべき問題は何か、田畑さんに解説いただきました。

大学入学共通テストに効果的な英語リーディング対策03

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共通テスト(英語リーディング)の難易度と特に注目すべき問題

ーー共通テストでは、すべてが長文読解問題になりましたね。語数が大幅に増えて、全体の難易度が上がっている印象を受けましたが、田畑さんは全体の難易度に関して、どのようにお考えでしょうか。

田畑さん:
英文自体を見れば、使用されている語彙や、文の複雑さなどについて、センター試験と比べて特段難易度が上がっているということはなさそうです。

大手予備校の分析などを見ても、センターよりむしろ英文自体の難易度は下がっているのでは、というような意見もあります。

扱われているトピックも、ごく日常的な内容や、学校生活などに関することが多く、これまでのセンター試験の内容から大きく変わったという印象は受けませんでした。何か特別な背景知識などがなくても、高校生なら容易に状況が想像できるようなものばかりです。

問題については、発音・アクセント問題、文法問題、語句整序問題がなくなり、直接的に文法や語法の細かい知識が問われなくなったという点が大きな変更です。それをふまえても、問題全体の難易度が上がったということはないと思います。

ただ、語数が1,000語以上増えたにもかかわらず、解答時間はこれまでと同じ80分であるということが、受験生にとってはかなりの影響があると思います。読むのが遅くて、時間配分に苦戦するということも多くなりそうです。

ーー2021年度共通テスト(英語リーディング)で特に注目すべき問題はなんでしょうか。

田畑さん:
まずは、「意見」と「事実」を見極めて選ぶ問題です。共通テスト前の試行調査でも出題されましたね。こうした問題の場合、主観を表す助動詞の使い方などを、正しく理解しておく必要があります。ただ、基本的な文法が身についていて、正確な読みができていれば、さほど難しい問題ではないでしょう。

次は、複数の情報源から内容を読み取って、正確に理解する必要がある問題ですね。ふたつのメールを読んで理解するとか、表やグラフ、メモを参照しながら必要な情報を探すといった問題が、全体を通して増えた印象があります。こちらはやはり、大量の英文をすばやく読み取るスキルが重要です。リーディングスピードが遅く、読むのに大変な負担がかかっている状態だと、その場では正確に読み取れても、複数の情報にあたっているあいだに、前に読んだ情報を忘れていってしまったり、うまく全体像がつかめなかったりする、ということが起こりやすくなります。

以上が、2021年度共通テスト(英語リーディング)で特に注目すべき問題です。

大学入学共通テストに効果的な英語リーディング対策04

共通テスト(英語リーディング)に必要な対策とは

ーー共通テスト(英語リーディング)はセンター試験と問題形式が大きく異なるため、必要な対策も変わっていきそうですね。具体的にどのような対策が今後必要になっていくのでしょうか。

田畑さん:
すべてが読解問題になったうえに、全体の語数が1,000語以上も増えたので、大量の英文をいかにすばやく正確に理解し、必要な情報をつかみとるか、ということが重要になります。

英文を正確に読むために、文法や語彙の知識をしっかり身につけていくということは引き続き重要ですが、すばやく運用できる「スキル」にその知識を変えていくことがより重要になってきます。

つまり、リーディングスピードを上げるトレーニングが必要だということです。

ーーどうしたらリーディングスピードを上げられるのでしょうか。

田畑さん:
リーディングスピードを上げる前提として、そもそも英語を正確に読めるようにするためには、基礎的な語彙、文法知識が欠かせません。正確に英文が読めないと感じている場合には、初めに中学、高校基礎レベルの語彙や文法知識を身につけましょう。

基本的な英文をある程度読めるようになったら、それを土台として、今度はすばやく読めるようになることを目指していくとよいですね。

じつは、リーディングスピードを上げるための正しい学習法があります。これから説明するやり方に沿って学習していくと、共通テストに活用できる英語のリーディングスピードが身につきますよ。

大学入学共通テストに効果的な英語リーディング対策05

共通テスト(英語リーディング)対策になる語彙力の正しい鍛え方

ここでは、共通テスト(英語リーディング)対策に有効な語彙力の正しい鍛え方について、お話を伺いました。

語彙を効率的に覚えるコツ

ーー語彙がなかなか覚えられないという受験生は多いと思いますが、語彙を効率的に覚えるコツはありますか。

田畑さん:
大学受験向けの英単語帳を使って覚えていく
のがおすすめです。語彙は、文章のなかで文脈とあわせて理解したほうが記憶に定着しやすい、とも言われますが、それだとかなりの分量の英文を読まないといけませんし、時間もかかってしまいます。ですので、英文になるべく多く触れるということをしながらも、やはり単語帳を使った学習を並行するほうが効率的です。

脳の記憶のメカニズムを意識した方法で語彙を覚えると、ふたつの効果があります。

ひとつは、「テスト効果」。これは、記憶は「テストをすることによって定着する」という効果を指します。テストをすることそれ自体に学習効果があるという研究結果が出ているんですね。

単語を覚える際に、ただ英単語と日本語訳を目で追っているだけでは、なかなか定着しません。日本語訳のほうを隠して、英単語を見たときに「どんな意味だったかな?」と思い出そうとする。このように、記憶から引き出そうとすることによって、記憶はより強固なものになっていきます。

もうひとつは「遅延効果」。これは、覚えたい情報に再び出会うまでの期間を空けることで、その後覚えておける期間を伸ばすことができる、という効果です。

たとえば、毎日単語を一定数覚えていこうとするとき、「1日10語」などで設定すると、遅延効果が働きにくくなってしまいます。

一度に覚える数を50語くらいに設定して、50語から成るリストを、最初から最後まで繰り返すようにする。そうすると、1番目の単語を初めて目にしたあと、それを再び目にするまでに、50語を覚えるぶんの時間が空きます。このインターバルのあいだに、記憶が薄れていき、その状態で再度記憶から取り出すことで、より長期間覚えていられるようになるわけです。その日は、これを5回程度繰り返してください。

そして翌日、新しい単語に取り組む前に、前日に覚えたリストを1周だけ復習する。今度は3日後に復習する、次は1週間後といった感じで、徐々に復習までの間隔を伸ばしていくとよいでしょう。

あとは、正しい発音も覚えて発音できるようにしないと、リスニングやスピーキングに支障が出てしまいます。ですから、必ず音声を聞きながら、自分でも発音して覚えるようにしましょう。

英単語学習におすすめの参考書・問題集

ーー英単語の学習におすすめの参考書や問題集は何かありますか。

田畑さん:
受験用のメジャーな単語帳であれば、だいたいどれも扱っている語彙は似通っているので、自分の現状のレベルに合ったものを選べばどれでも問題ないと思います。できれば音声にアクセスしやすいものを選ぶほうがいいです。

単語帳に関しては何を選ぶかというより、どう使うかのほうが、学習の効率を高めるのには重要ですね。おそらく高校生なら、学校で指定されて使っている単語帳がすでにある人が多いと思いますので、それを使って、先ほど話したような効率的な方法で覚えていくことが重要です。

ただ、中学校レベルの単語から不安な人は、そのレベルから再度始めたほうがいいですね。『夢をかなえる英単語 新ユメタン0 中学修了~高校基礎レベル』(アルク)なんかは、中学レベルの単語から、高校基礎レベルくらいまでの単語が含まれているので、よいかと思います。スマートフォン用のアプリケーションもあるので、気軽に学習できます。

大学入学共通テストに効果的な英語リーディング対策06

共通テスト(英語リーディング)対策になる文法知識の正しい身につけ方

共通テスト(英語リーディング)対策として必要になるのが、基礎的な文法知識。文法の学習と聞くと、数多くのルールや文法用語を丸暗記するイメージがあるかもしれませんが、もっと効率的な身につけ方があります。それは、「認知文法」→「パターンプラクティス」というステップ。どういうことなのか、詳しくお話を伺いました。

認知文法

ーー「認知文法」とはなんでしょうか。

田畑さん:
「認知文法」とは、認知言語学という学問をベースした、文法のとらえ方のことです。「ネイティブが世界をどういうふうに認知し、切り取り、どのように言語に反映させているか」というアプローチで英文法をとらえるので、訳に頼らず英語のままのイメージで、英文法を理解できるようになります。日本語に訳す手間を減らせば、リーディングスピードも上がりやすくなりますよね。

たとえば「be + to 動詞の原形」という構文について考えてみましょう。The president is to visit New York tomorrow.(大統領は明日ニューヨークを訪れる予定だ)のような文ですね。

従来の英文法だと、これは「be to 構文」などと呼ばれ、「確定した予定」「運命」「可能」「意志」「義務・命令」の5種類の用法があり、それぞれ日本語訳とセットで暗記するという覚え方が一般的なようです。

一方、認知文法では、形が同じものは、核となる共通の意味が存在するととらえます。認知文法だと、「to 動詞の原形」のコアイメージ(核となる意味)は、「〜するということに向かっている状態」、つまり未完了で、いまからその行為に向かっていくというイメージがあります。このイメージを理解することで、5種類の意味をバラバラに理解・暗記するのと比べて、よりスムーズに英文法を理解しやすくなるのです。

パターンプラクティス

ーーたしかにイメージで理解することで、英文法が理解しやすくなりますね。

田畑さん:
そうですね。文法表現をイメージで理解できたら、次に行なうのが「パターンプラクティス」というトレーニングです。

パターンプラクティスでは、身につけたい文法を使用した例文を部分的に変化させて瞬時に組み立てていきます。現在進行形の場合だと、“I am playing soccer now.” → “He is playing soccer now.” となるように、主語や時制などを変化させて、瞬時に英文が口から出てくるように練習します。そうすると、英文を見て瞬時に意味をつかむリーディングの土台づくりが可能です。

英文法学習におすすめの参考書・問題集

ーー英文法の学習におすすめの参考書や問題集は何かありますか。

田畑さん:
認知文法的な文法のとらえ方を学習するなら、一億人の英文法(ナガセ)などがよいでしょうか。

パターンプラクティスを自習で行なうなら、ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス(ベレ出版)がおすすめです。

大学入学共通テストに効果的な英語リーディング対策07

共通テスト(英語リーディング)対策になる長文読解の正しい学習の仕方

共通テスト対策(英語リーディング)に必要なのは、英文を読むスピードを上げること。そのためには、以下の3つのトレーニングが有効です。

  1. チャンクリーディング
  2. サイトトランスレーション
  3. 音読

 

それぞれのトレーニングの概要や効果について、田畑さんにお話を伺いました。

チャンクリーディング

ーー「チャンクリーディング」とはどのようなトレーニングですか。

田畑さん:
英文を意味のかたまり(チャンク)ごとに改行したものを読んでいくトレーニング
を指します。基礎的な文法、語彙がわかっていても、読むのが遅くなる一番の原因は、英文に最後まで目を通してから訳し上げていく「返り読み」です。チャンクリーディングをすることで、複雑な文でも返り読みせず、頭から瞬時に理解できるようになっていきます。

サイトトランスレーション

ーー「サイトトランスレーション」とはどのようなトレーニングですか。

田畑さん:
プロの通訳者も実践している、チャンクごとに瞬時に日本語で訳を言っていくトレーニングです。一文全体の訳ではなく、意味の切れ目であるチャンクごとに訳を言っていくということがポイントですね。

みなさんは、きれいな訳をすることを目的にする必要はありません。あくまでも頭から理解する癖をつけるためのトレーニングですので、チャンクごとに意味がきちんととらえられていればOKです。

これは次の「音読」につなげるためのトレーニングでもあります。知らない単語や、理解が不足している文法がないか、チャンクごとにチェックしていきましょう。

音読

ーー音読にはどのような効果がありますか。

田畑さん:
最も効果を発揮するのは、リーディングスピード向上です。チャンクごとに意味をイメージしながら繰り返し音読していくことで、英文を頭から瞬時に理解できるようになります。

黙読するとき、私たちは脳内で音読していると言われています。目で見た文字を脳内で音声情報にいったん置き換え、音声化された情報を脳内の「辞書」と照合して意味を引き出しているのです。文字を実際に音に変換する音読を行なうことで、音声情報の置き換えに必要な脳内資源が減り、余った脳内資源を文章の「理解」に使えるため、書かれた英文の内容をスムーズに理解できるようになります。よって、正しく音読することで、リーディングスピードを効率よく上げられるのです。

リーディングにおすすめの参考書・問題集

ーーリーディングの学習におすすめの参考書や問題集は何かありますか。

田畑さん:
あらかじめチャンクごとに英文が改行までされているような教材はあまり多くないのですが、英文にスラッシュが入れられている教材は、かなりあります。そういったものを用いるとよいでしょう。かつ、音声がついているものを選んでください。

あとは、自分のレベルにあったものを選ぶことですね。初見で概要もつかめないようなレベルのものは避けましょう。8〜9割は内容がわかり、少しだけ知らない表現などが含まれている、という程度が適切です。

キクタン リーディング』(アルク)のシリーズは、英文にスラッシュが入っており、レベルごとにいくつかテキストがあるので、おすすめです。

大学入学共通テストに効果的な英語リーディング対策08

共通テスト(英語リーディング)の必須スキルを効率よく鍛えるには

これまで見てきたとおり、共通テスト(英語リーディング)はセンター試験と求められる能力が異なります。やみくもに単語や文法を丸暗記したり、問題演習したりするだけでは非効率的なのです。

共通テストで必要なのは、勉強というよりはむしろ、リーディングスピードを鍛える「トレーニング」。今回ご紹介したトレーニングは、リーディングスピードを鍛えるのに効果的ですが、正しく継続して実践しないと期待通りの効果は得られません。

そこで、共通テストに必要なリーディングのトレーニングを提供してくれる場が、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」から生まれたENGLISH COMPANY大学受験部! 「ENGLISH COMPANY大学受験部」では正しいトレーニングを通して、共通テストに必要な受験生の「リーディングスピード」を効率よく伸ばすことができます。

「ENGLISH COMPANY大学受験部」は、ただリーディングスピードを伸ばすだけではありません。英語教育の専門家が、受験生に合ったリーディングの課題を発見する「課題発見」を、毎回のトレーニングで実施します。

お子さんが抱えるリーディングの課題を直接的に解決するトレーニングを続けさせることで、共通テストに必要なリーディングスピードを身につけさせることが可能です。

田畑さんは、「ENGLISH COMPANY大学受験部」でリーディング対策を行なうメリットを以下のように述べました。

田畑さん:
「リーディングがうまくできない」という現象も、その原因は人によって異なります。

ENGLISH COMPANYのパーソナルトレーナーは言語習得のプロです。マンツーマンでみなさんの弱点を細かく分析し、あなたのいまの英語力において、どこが優先的に解決すべき部分なのかを特定し、それを解決するための効率的なトレーニングメニューを提案することができます。

つまり、無駄の少ない学習を提案できるので、みなさんが同じ自習時間をかけても、その効果が何倍にも上がるということです。

受験生のみなさんは他の教科の勉強にも時間を割く必要がありますよね。ですから、英語については極力短時間でスキルアップさせられるよう、みなさんの努力を最大限の効果に結びつけるお手伝いができると思います。

ENGLISH COMPANY大学受験部」で、受験生に必要な共通テスト(英語)の「リーディングスピード」を最短距離で伸ばしませんか。

***
共通テスト(英語リーディング)に必要なリーディングスピードは、受験生の課題に合った正しいトレーニングを継続することで、効率よく向上させられます。最終回である第3回は、共通テスト対策に向けた英語リスニングの正しい練習法をご紹介します。

■ 大学入学共通テスト(英語)対策について インタビュー一覧
第1回:大学入学共通テスト(英語)で新たに必要な対策とは
第2回:共通テスト(英語)に必要なリーディング対策と効果的な練習法
第3回:共通テスト(英語)に必要なリスニング対策と効果的な練習法

【プロフィール】
田畑翔子(たばた・しょうこ)
京都府出身。米国留学を経て、立命館大学言語教育情報研究科にて英語教育を専門に研究。言語教育情報学修士・TESOL(英語教育の国際資格)を保持。株式会社スタディーハッカー常務取締役、コンテンツ戦略企画部 部長

(参考)
独立行政法人大学入試センター|令和3年度大学入学共通テスト実施結果の概要