教育を考える 2018.8.26

子どもに集中力がない原因まとめ。集中力を高めるゲーム・おもちゃ・習い事とは?

[PR] 編集部
子どもに集中力がない原因まとめ。集中力を高めるゲーム・おもちゃ・習い事とは?

「うちの子供には集中力がない」「勉強はするけれど、長い時間続かない」と悩んではいませんか? 大人だって、肉体面や精神面のさまざまな事情により、常に集中力を発揮するというわけにはいかないもの。お子さんにとってはなおのこと難しいかもしれません。

そこで今回は、子どもの集中力が続かない原因をご説明したあと、さまざまな解決方法をご提案します。集中力アップが期待できるトレーニングやゲーム、習い事をはじめ、集中が高まりやすい環境の作り方など、子どもの集中力に関する最新情報を網羅的にご紹介していきますね。【最終更新日:2020年2月25日】

子どもの集中力が続く時間は?

「子どもの集中力が続かないなあ」と感じるのは、「子どもでも、○○分くらいは集中して勉強できるはずだろう」と考えているからですよね。そもそも、人間はどれくらい長いあいだ集中できるものなのでしょう? 英オープン大学で心理学を教える認知心理学者のジェマ・ブリッグズ博士によれば、「平均的な集中時間」という考えには意味がないそう。どれだけ集中力を発揮できるかは、その人の状態や取り組む課題によって大きく異なるためです。

そうはいっても、子どもが集中力を発揮できる時間について、ある程度の目安を知りたいと思う人もいるはず。英語の読み書き教育をサポートする米国の学生団体「SCALE」は、「情報源は不明」と前置きしつつも、子供の集中力の持続について以下の考え方を提示しています。

学習に対する集中時間=年齢+1

(引用元:The University of North Carolina at Chapel Hill|Attention span for learning = chronological age + 1)

つまり、3歳の子どもなら、勉強への集中力を発揮できるのはわずか4分というわけです。「子どもの集中力」なるものは、そもそも長くはないのだと考えておきましょう。

子どもが勉強に集中できる時間は、わずか年齢プラス1分!?

子どもに集中力がない原因

うちの子どもは「年齢+1」分すら集中力が続かない、という場合もあるかもしれません。極端に集中力がない子供がいるとすれば、その原因は何なのでしょう? 子どもの集中力が低くなってしまう原因はさまざまですが、特に気をつけるべき原因を2つご紹介します。

テレビ・ゲームの時間が長い

子どもの集中力が続かない原因は、テレビの見すぎ・ゲームのやりすぎかもしれません。子どもの健康・教育を研究する高橋ひとみ教授(桃山学院大学)が2004年、大阪府の小学生1,069名を対象に調査を行なったところ、保護者から「集中力がないほう」と判断された子どもは「集中力があるほう」と比べ、以下の傾向があるとわかりました。

  • テレビゲームで遊ぶ時間が長い。
  • 携帯ゲームで遊ぶ時間が長い。
  • テレビを見る時間が長い。
  • 読書時間が短い。

 
子どもの集中力に関する調査の結果を、高橋教授は以下のように解釈しています。

長時間の「テレビゲーム」「携帯ゲーム」「テレビ視聴」の結果、前頭前野が疲労し、注意力、記憶力、集中力が減少する。そのため、精神の統合と集中力を必要とする「読書」が持続できなくなる。

(引用元:桃山学院大学学術機関リポジトリ|子どもの就寝時刻に関する一考察(III) : 「テレビゲーム・携帯ゲーム・テレビ視聴」時間と「集中力」「根気」「性格」との関連 太字による強調は編集部が施した)

上記の研究における「読書」を、勉強に置き換えてもよいでしょう。つまり、ゲームで遊んだりテレビを見たりする時間が長すぎると、子どもの脳は疲れ、勉強に必要な集中力が散漫になってしまうのです。完全に禁止する、とまではいかなくても、子どもの集中力を守るため、ゲームやテレビの時間は少し短くしたほうがよさそうですね。

睡眠時間が短い

睡眠が不十分であることは、子どもの集中力が低下する重大な要因です。子ども学を専門とする松村京子教授(兵庫教育大学)が1990年、小学6年生111名を対象に調査を行なったところ、睡眠時間が7時間未満の子どもは7時間以上の子どもに比べ、「いらいらする」「間違いが多くなる」など、集中力の低下を訴える割合が多いことがわかりました。また、夜型の子どもの3分の1は朝食を食べず、朝食を食べない子どもは食べる子どもより、集中力の低下を訴える傾向があることも判明。

つまり、睡眠時間が短いと脳の疲れが充分に取れず、注意が散漫になってしまいます。また、睡眠時間が短く起床時刻が遅い夜型の子どもは、食欲が弱かったり食べる時間がなかったりするためか、朝食を抜いてしまい、結果として集中力が弱まってしまうのです。当たり前のようですが、睡眠と食事を万全に確保することが、子どもの集中力を養う基本なのですね。

なお、上で挙げた理由のほか、病気・障害が原因で、子どもが集中力を発揮できない場合もあります。たとえば、現在ではよく知られるようになった「注意欠陥多動性障害(ADHD)」。物事に集中力を向けづらい、忘れ物が多いなどの症状が現れる障害で、割合としては1クラスに1人か2人、該当する子どもがいるそう。また、不安障害など心の病気の影響で、子どもが目の前のことに集中力を発揮できなくなっている可能性もあります。子どもの集中力に関して気になる兆候があれば、家庭内のみで対処できることではないので、病院に相談するのがよいでしょう。

子供の集中力アップには、7時間睡眠が必要。

子どもの集中力を養う食事

子どもの集中力を高める方法として親にできることとしては、集中力アップに役立つ食事を用意してあげる、ということも挙げられます。「子どもの集中力を養う」という観点だと、特に以下の点に注意したいところです。

  • 食事を抜かない。
  • 「炭水化物だけ」はNG。

 
まず、子どもの集中力を高く保つため、食事は抜かないことが大前提。食べて栄養を補給しなければ、勉強や運動に必要なエネルギーが不足してしまいます。

子どもの集中力を上げるため、朝食は特に大事です。昼食・夕食を抜く子どもはほとんどいないでしょうが、朝ご飯を食べない子はたまにみられます。独立行政法人・日本スポーツ振興センターが2011年に実施した調査によると、朝食をとらない子ほど、だるさ・疲れやすさを感じる傾向が強いとのことです。

子どもの集中力を育てるため、朝食はもちろん、3食しっかり食べさせるようにしましょう。もしも、親御さんに朝食を食べない習慣が身についているのなら、子どもの集中力のためだと思い、家族で朝食をとることから始めてください。

そして、ただ食べればよいというわけではありません。「子どもに集中力をつける」という点を重視するなら、白米やパンといった炭水化物のほかに、野菜や果物、ヨーグルトといった副菜も必要です。

なぜなら、主食を食べると血糖値が上昇するから。血糖値が上がると、インスリンが分泌されて血糖値が下がるのですが、血糖値の上昇具合が急激だと、以下のような問題が生じてしまいます。

  1. 血糖値が急激に上昇。
  2. インスリンが大量に分泌。
  3. 血糖値が急激に下がる。
  4. 脳に必要なエネルギーが不足。
  5. イライラしたり、眠気に襲われたり……。

 
皆さんも、食後に強い眠気を感じたことがないでしょうか。あの眠気は、血糖値の乱高下が原因なのです。子どもの集中力を鍛えるには、このような血糖値の乱高下を避ける必要があります。

子どもの集中力を守るため、主食を食べても血糖値が急に上がらないようにするには、主食の前に副菜を胃に入れておくのが有効です。炭水化物を単品で食べるのは避け、野菜やヨーグルトを先に口に入れるのが、子どもの集中力を高めるコツです。

集中力を高める食事について、詳しくは「子ども向け朝ごはんメニュー、シンプルな2パターン。」をご覧ください。

子供の集中力を高めるには、朝食・昼食・夕食をきちんと食べさせるだけでなく、炭水化物にヨーグルトや野菜を添えることが必要。

子どもの集中力を高めるトレーニング・訓練

勉強に対する子どもの集中力を高める方法は、ほかにもあります。とはいえ、子どもに「こうしなさい」とやり方を示すだけでは意欲は起きないので、親が集中力のトレーニングに付き合うようにしてくださいね。

奈良県立教育研究所では、ある小学4年生の男の子を対象にした、集中力に関する事例検証が行なわれました。その男の子は、趣味のプラモデル作成には集中力を発するものの、学校の授業では注意が散漫で、集中時間が短かったそう。そこで、以下のような訓練が設定されました。

  • 単純な計算を毎日繰り返す。足し算、引き算、かけ算100問、割り算100問
  • 短い文章を繰り返し音読する。A4版3ページ程度の文章14種類
  • 短い時間で終了できる課題で、かかった時間を計り、集中できる時間を意識する。
  • 終了後カレンダーにシールを貼り、次回の目標タイムを設定する。

(引用元:奈良県立教育研究所|「集中力」を高める学習環境の設定について 太字による強調は編集部が施した)

はじめのうち、男の子は以下のような状態だったそう。

  • 「何度も途中でため息をつき、姿勢が崩れる」
  • 「畳で寝転がったり、机にひじを付いては休憩したがった」

 
しかし、4日目を過ぎると、次のような変化が見られたとのこと。

  • 「見通しがたったのか、一気に済ませようという感じが出てきた」
  • 「机と椅子で学習をしたがった」
  • 「きょろきょろしなくなった」

 
この男の子には「周囲から褒められるとがんばろうとするが、怒られると全くやる気が出ない」「そわそわして落ち着きがなくなったり、終了までの問題の数を何度も数えたりする」という特徴がありましたが、「時間を計ったり点数を付けたりする、目標や賞賛を与えたりする」ことでやる気が出て、「時間の予想が立てられると我慢ができるようになった」とのこと。

上記の事例検証では、以下のような考察がなされました。

集中するには、時間の長さや課題の量(どのくらいやるのか)や終了(いつまでやるのか)が予測できる環境の設定が必要である。

課題をこなすことで成就感や達成感が得られることはもちろんだが、周囲の期待に「応えたい」という気持ちが大切である。がんばったことに対して褒めたり、褒められたりすることで大人も子どもも満足する。この行為の積み重ねや、そこに至る振り返りがあってこそ効果が得られたと考える。

(引用元:同上)

つまり、子どもの集中力アップのためには、家で勉強する際、親が次のことに気をつけてあげればよさそうです。

  • その日に取り組む課題のページ数と時間を明確に設定する。
  • 子どもが努力して課題を達成し、集中できていたことを毎回褒める

 
仕事や家事で忙しい人は多いと思いますが、「集中しなさい」「ちゃんとやって」といったあいまいな声かけで済ませず、「30分でこのプリントを3枚やろうか」など具体的な提案をし、「集中できてえらい!」「頑張って書いたね」と子どもを褒めてあげてくださいね。上記の2点を地道に繰り返すことにより、子どもの集中力が鍛えられます。

子供の集中力をアップさせるには、親が助言しつつ100マス計算などの課題を設定させ、時間を計りつつ取り組ませることが必要。課題遂行にどれくらいの時間がかかるかわかれば、そのあいだは集中して取り組めるようになる。決まった時間に集中できたらよく褒めること。

子どもの集中力とゲームの関係

ゲームで遊んでいるときの集中力を、子どもが勉強にも発揮してくれればいいのに……と思う人もいるかもしれません。実は、ゲームで遊ぶことと勉強における子どもの集中力には関係があったのです。

2017年、全国の「朝日小学生新聞」読者の小学生457人およびその保護者を対象に行なわれた調査では、「家庭でゲームを楽しむ子どもはゲームを禁止されている子どもに比べて、勉強の集中力が高く、宿題も計画的かつ自主的に取り組む傾向が高い」という結果が現れました。対象者のうち、ゲーム機を持っていた子どもは370人。そのなかで「ゲームの前に宿題を終わらせなくてはいけない」「ゲームをしてもよい時間が決められている」などのルールがあると答えたのは91.9%。ゲームで遊ぶ子どものうち、1週間でゲームをする日数として最も多かった答えは「週に1~2日」(29.7%)で、1日の平均ゲーム時間は50.6分でした。

「勉強への集中力」に関して保護者が答えたアンケートでは、「子どもが集中できている」との回答割合は以下のとおりでした。

  • ゲームを許可している家庭:74.8%
  • ゲームを禁止している家庭:60.0%

また、子どもについて「宿題を計画的にできる」と答えた割合は以下のとおり。

  • ゲームを許可している家庭:62.6%
  • ゲームを禁止している家庭:40.0%

さらに、「宿題を自分で進める」と答えた保護者の割合は以下のとおりです。

  • ゲームを許可している家庭:71.4%
  • ゲームを禁止している家庭:66.7%

つまり、子どもはゲームで遊びたいがために勉強への集中力を発揮し、自ら宿題に取り組むのだと解釈することができます。もちろん、「ゲーム時間を自分でコントロールできる子だからこそ、親がゲームを許可している」可能性も考えられるのですが……。

いずれにせよ、ゲームを完全に禁止するよりは、ルールを作って適度に遊ばせてみてはいかがでしょうか。完全に禁止すると、ストレスがたまり、子どもの集中力の妨げとなるかもしれません。

ゲームは必ずしも子どもの集中力に悪影響を及ぼすものではない。朝日小学生新聞の調査によれば、ゲームを禁止している家庭より、ゲームを許可している家庭のほうが、「勉強に集中できる」「宿題を計画的にできる」「宿題を自分で進められる」子どもの割合が多かった。

子どもが集中力を発揮できる環境

子どもが集中力を発揮して勉強するために親ができることは、ほかにもあります。それは、家を勉強しやすい環境に整えること。机周り、温度・湿度、音という3つの観点から、子どもの集中力が高まる環境の条件をご説明します。

机周り

子どもの勉強机を部屋のどこに置くかは、集中力にとって重要です。中島龍興照明デザイン研究所の代表取締役・中島龍興氏によると、自然光がよく入る部屋なら、以下のような配置が望ましいそう。

  • 窓の近く
  • 窓に対して並行もしくは垂直
  • 手元に影が落ちない位置

 
手元に影が落ちない、というのは、右利きなら窓が左に、左利きなら窓が右に来る位置に机を置くということ。逆にすると、鉛筆を持っている手の影がノートやプリントに落ちるため、手元が見えづらくなり、子どもの集中力の妨げになってしまいます。

子どもの学習机の正面についている棚の使い方も、集中力にとって重要です。カラフルな雑貨や人形が飾られていませんか? 勉強に関係ないものが子どもの視界に入ってくると、どうしても集中力が乱れてしまいます。

整理収納アドバイザーの鈴木紀子氏は、「学習机・学習棚は学用品だけを置くスペース」であると子どもに意識させるべきだとして、漫画やオモチャは別のスペースに並べることを推奨。片付けコンサルタントの喜々立子氏も、以下のように強調しています。

好きなものを見えるところにおくことでモチベーションが上がるようにも思えますが、子どもにとっては気が散る要因。学習に集中するためには、勉強に必要のないものは、なるべく近くに置かないことが大事です。

(引用元:かもめの本棚 online|第3回 「気が散るもの」は机に置かない 太字による強調は編集部が施した)

喜々氏は、大好きなミニカーを机の上に飾っていた子どもに対し、「机の上でなくてもいいよね」とアドバイスしたことがあるそう。ミニカーは、机に向かったとき背中側にある本棚に置かせ、代わりに本棚の辞書類を机に置かせたとのことです。

卓上に飾ってあるお気に入りのものを、子どもの集中力が乱れるからといって捨てる必要はありません。机から離れたところに飾り、子どもの勉強中は目に入らないようにすれば、集中力の妨げになりませんよ。

温度・湿度

肉体に苦痛をもたらす環境で集中力を保つのが難しいことは、生物として当然です。エアコンや加湿器を使って温度・湿度を調節し、子どもが集中力を発揮できるようにしてあげましょう。

生産性を研究するオッリ・セッパネン教授(フィンランド・アールト大学)らの論文「オフィス環境でのタスク遂行における室温の影響」(2006年)によれば、21~25度の範囲だと室温はパフォーマンスに影響しなかったものの、25~32度の範囲だと、室温が1度上がるごとにパフォーマンスが2%ずつ下がっていったのだそう。室温は21~25度の範囲に調整するのがよさそうですね。

とはいえ、快適だと感じる室温は人によって違いますし、空調の設定温度と体感温度も異なります。大阪市立大学大学院の疲労医学講座で特任教授を務める梶本修身氏によると、汗をかいたり鳥肌が立ったりするのは「自律神経が疲れている状態」。心身ともに快適に感じられる室温こそが、子どもが勉強に集中力を発揮できる温度なのです。

子どもの集中力のためには、温度だけでなく、湿度も気にしたほうがよいでしょう。空気が乾燥しすぎていると目が乾燥してしまう一方、空気中の水分が多すぎると疲れを感じやすくなるため、子どもが勉強に集中力を発揮しづらくなるからです。

建築環境学を研究する工学博士・堤仁美氏らの論文「湿度環境とホルムアルデヒドが熱的快適性・知的生産性に与える影響に関する被験者実験」(2003年)によると、湿度が30%・50%・70%の各条件下で被験者たちに計算とタイピングをさせる実験が行なわれました。計算課題では有意な差はみられなかったものの、タイピングだと以下の傾向があったそうです。

  • 夏:湿度の上昇にともないスピードが低下。
  • 冬:湿度の上昇にともないスピードが向上。

 
どうやら、夏は湿度を低めに、冬は高めに設定するのがよさそうです。
子どもが勉強に集中力を発揮できるよう、家電を使って良質な環境を整えてあげたいものですね。

トラックが走ったり犬がほえたりといった騒音が、子どもの集中力を妨げることは、容易に想像がつくと思います。なかでも気をつけたいのが、周囲でのおしゃべりやテレビの音

屋内環境を研究するJungsoo Kim博士(シドニー大学)らが2013年に発表した論文によると、オフィスの種類別に労働者の満足度を15の要素で調査したところ、「騒音レベル」について「不満」だと答えた人の割合は以下のとおりでした。

  • 仕切りのないオープンオフィス:25%前後
  • 高い仕切りで区切られたオフィス:30%前後
  • 低い仕切りで区切られたオフィス:30%前後
  • 数人で使用するオフィス:10%強
  • 1人で使用するオフィス:10%前後

つまり、大勢でひとつのオフィスを使用している人は、1人または数人で使用している人に比べ、「騒がしいな……」と不満を抱きやすいのです。

子どもが自宅で勉強するときの環境は、上記5種類のオフィスのうち、上の3つに近いのではないでしょうか。特に、リビングやリビングに近い場所で勉強させている場合、テレビの音やおしゃべりの声がよく聞こえるはずです。

騒音は、集中力を発揮したいと思っている子どもの妨げになります。集中力を低下させないよう、勉強している子どもの近くでしゃべったりテレビを見たりすることは避けたいものですね。どうしてもテレビを見るのであれば、子どもの集中力を低下させないよう、ヘッドホンを装着しましょう。

子供が勉強の際に集中力を発揮できるようにするには、室温を21~25度に設定する。

子どもの集中力を高めるおもちゃ・遊び

遊んでいるうちに、自然と子どもの集中力が養われたら素晴らしいですよね。子どもの集中力を高めてくれるおもちゃ・遊びをご紹介します。

ジグソーパズル

『子ども向けパズル』は教育効果バツグン!? 選び方とおすすめパズル教えます」でもお伝えしたように、ジグソーパズルは脳を活性化させ、子どもの集中力・記憶力を高める効果を持つと考えられています。脳科学者の篠原菊紀教授(公立諏訪東京理科大学)によると、子どものうちからジグソーパズルに親しむことで、集中力の向上が期待できるのだそう。

指先で小さなピースをつまみ、脳をフル回転させる必要があるジグソーパズルで遊んでいるうち、目の前のことに集中する感覚が身につきそうですね。小学生なら、100ピース程度で子どもの好きな絵柄のものにチャレンジしてみてはどうでしょうか。

ボードゲーム

米ハーバード大学を卒業し、心理学に関する著書や講演で知られるキャロライン・アダムス・ミラー氏によれば、ボードゲームには集中力や計画性を養う効果があるそう。ボードゲームで相手に勝とうとするなら、盤面をよく見て次の手を考える必要がありますからね。

子どもが遊ぶなら、ルールがシンプルな「オセロ」がおすすめです。詳しくは「親子でいざ真剣勝負!? 『記憶力』『先読み力』『集中力』がアップするボードゲームの魅力」をご覧ください。

折り紙

折り紙をていねいに折って作品を完成させるには、指先を正確に動かす必要があります。また、お手本をよく見ながら、その通りに紙を折ったり開いたりする行為は、集中力がなければできないことです。前述の篠原教授も、教本に書いてある折り方を読み、そのとおりに紙を折っていくという作業により、集中力がつくと語っています。

子どもと買い物に出かけ、気に入った教本と綺麗な紙を選んでみてはいかがでしょう。祖父母とコミュニケーションをとるきっかけにもなりそうです。

 
子どもの集中力を育む遊びを紹介しました。どれも身近で、簡単にできるものばかりですね。子どもの集中力を育むため、ぜひ取り入れてみてください。

子どもに集中力がつく習い事・スポーツ

スポーツや芸術などの習い事によっても、子どもの集中力を育むことができます。子どもの集中力を養うのに特におすすめの習い事を3つ紹介しましょう。

楽器

精神医学を専門とするジェームズ・ハジアク教授(米バーモント大学)らの研究によれば、楽器を練習した子どもほど、集中力などに関する脳の部位が発達したそう。楽器の演奏には、指を正確に動かしたり、音を聞き取ったり、楽譜を読んだりなどの作業が要求されることが影響していそうです。詳しくは「楽器演奏により脳が発達することが研究で明らかに。おすすめは『7歳までに』始めること。」をお読みください。

演劇

近年、子どもの教育に有用だとして注目されている「演劇」。ミュージカルの指導を行うNPO法人「JOY Kids’ Theater」代表の夏海清加氏によると、レッスンを受けながら本番まで努力を重ねていく過程で、集中力やコミュニケーション能力などが養われるそう。セリフを暗記したり、大勢の人が見ているなかで感情を表現したりといった経験は、ほかの習い事にはない特徴です。演劇教育についてもっと知りたい方は、「コミュニケーション能力を高める『演劇教育』、“自分は替えのきかない存在である” という自信が子どもを成長させる」もお読みください。

水泳

東京大学の学生が経験した習い事のうち、最も割合が多かったというのが「水泳」。空間認知能力が鍛えられ、脳の発達に効果があるそうです。また、スイミングスクール「ケーニーズ」によれば、プールでは何もしないとおぼれてしまうため、「目標地点にたどり着くために一所懸命集中して泳ぐ」ことにより、子どもの集中力が鍛えられるそう。ほかにも、水泳には多くのメリットがあります。水泳と子どもの集中力について、詳しくは「東大生の幼少期の習い事の第1位は『スイミング』! そのメリットとは?」をご覧ください。

水泳には、子どもの集中力を向上させる可能性がある。

子どもの集中力を高める本

最後に、子どもの集中力を高めるのに役立つ本をご紹介します。株式会社マクロウタセ代表取締役で、心身の健康に配慮した食事法「マクロビオティック」の料理教室で教えている上原まり子氏の『子どもの「集中力」は食事で引き出せる』(青春出版社、2018年)です。

上原氏は、「子どもの集中力が続かない原因は食べもの」であるとし、食事には「気をゆるめる食事」と「気を引き締める食事」の2種類があると述べています。後者の「気を引き締める食事」を親が用意してあげれば、子どもの集中力が高まりやすくなる、というわけです。

食べものから摂取する栄養分は、肉体の構成に関わるのはもちろん、脳の働きにも大きな影響を及ぼします。集中しやすくなる食事について詳しく知りたい方は、『子どもの「集中力」は食事で引き出せる』を手にとってみてはいかがでしょうか。

***
このように、子どもの集中力を高めるにはさまざまなアプローチがあります。親がしてあげられることはたくさんありますので、「集中力がない」と子どもを責める前に試してみてください。

(参考)
BBC News|Busting the attention span myth
The University of North Carolina at Chapel Hill|Attention span for learning = chronological age + 1
桃山学院大学学術機関リポジトリ|子どもの就寝時刻に関する一考察(III) : 「テレビゲーム・携帯ゲーム・テレビ視聴」時間と「集中力」「根気」「性格」との関連
J-STAGE|児童の生活リズムに関する研究(第4報) : 朝型・夜型と学習状況
東京医科大学病院|集中力や落ち着きを欠く「注意欠陥多動性障害」
奈良県立教育研究所|「集中力」を高める学習環境の設定について
StudyHacker|生産性を上げたければ「温度」と「湿度」に気を配れ!? 最適な作業環境を徹底的に考察してみた。
Semantic Scholar|Effects of unattended speech on performance and subjective distraction : The role of acoustic design in open-plan offices
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「子ども向けパズル」は教育効果バツグン!? 選び方とおすすめパズル教えます
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|親子でいざ真剣勝負!? 「記憶力」「先読み力」「集中力」がアップするボードゲームの魅力
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|楽器演奏により脳が発達することが研究で明らかに。おすすめは「7歳までに」始めること。
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StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子ども向け朝ごはんメニュー、シンプルな2パターン。
ジュニア スイミング スクール ケーニーズ|水泳から得られる効果とは
上原まり子(2018),『子どもの「集中力」は食事で引き出せる』, 青春出版社.
中島龍興(2000),『照明[あかり]の設計 住空間のLighting Design』, 建築資料研究社.
かもめの本棚 online|第3回 「気が散るもの」は机に置かない
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ダイヤモンド・オンライン|室温28度のオフィスで仕事の生産性は15%落ちる
eScholarship|Effect of Temperature on Task Performance in Office Environment
J-STAGE|湿度環境とホルムアルデヒドが熱的快適性・知的生産性に与える影響に関する被験者実験
Kim, Jungsoo and Richard de Dear (2013), “Workspace satisfaction: The privacy-communication trade-off in open-plan offices,” Journal of Environmental Psychology, Vol. 36, pp. 18-26.
ジグソークラブ|ジグソーパズルで脳トレ!
篠原菊紀(2008),『集中力と知力を育てる生活脳トレ』, 主婦の友社.