あたまを使う/教育を考える/知育 2018.8.12

親子でいざ真剣勝負!? 「記憶力」「先読み力」「集中力」がアップするボードゲームの魅力

長野真弓
親子でいざ真剣勝負!?  「記憶力」「先読み力」「集中力」がアップするボードゲームの魅力

藤井聡太7段(*)の活躍でブームになった将棋をはじめ、誰もが遊んだことがあるボードゲーム。オセロやすごろくなど、幼い頃から私たちの身近にありました。

これまで深く考えず楽しんでいましたが、ボードゲームには成長に及ぼす素晴らしい効果があると、最近改めて注目されているのです

今回は遊んで学べる最強ツールとしてのボードゲームについて深掘りしてみます。

ボードゲームの起源

世界で最も古いとされているのが「セネト」というゲーム。紀元前3500年頃のエジプトの遺跡から発見されています。その後東ローマ帝国や中国で大人気になったゲームが7世紀頃日本にも伝わり、「盤双六」という名で広まりましたが、人々のあまりの熱中ぶりに禁止令が出されるほど流行ったようです。

これが現在も世界中の人々に親しまれている「バックギャモン」に発展しました。紀元前から人は、今と変わらずボードゲームを楽しんでいたのですね。

ボードゲームの効果

大人も子どもも大好きなボードゲームですが、どんな効果があるのでしょうか。『実戦版 GRITやり抜く力を手に入れる』の著者キャロライン・アダムス・ミラー氏は、次の能力を身につけるためにチェスなどのボードゲームを勧めています。

〇高い集中力
〇ひとつの動きが未来に及ぼす影響を想像する力
〇結果を急がず慎重に手を打つ忍耐力
〇細部に気を配る注意力
〇目標を達成するための緻密な計画性

これらを見て気づくことがあります。それは、この全ての能力が人生において必要なものであること。小さなボードは、人生の縮図、もしくは人生の疑似体験をする場とも言えるのかもしれません。もちろん、難しいことを意識しなくても、遊びながら大切な能力が知らず知らずのうちに身につくのなら、こんないいことはありませんよね。

また、ボードゲームにはいくつか種類があるのですが、サイコロの目でゴールを競う “競争ゲーム” 系よりも、囲碁など敵駒を囲う “包囲ゲーム” 系か、チェスや将棋など敵駒をとる “戦争ゲーム” 系のほうが、そういった能力向上には効果が高そうです。

オススメのボードゲーム2選

数あるボードゲーム。お子さんの年齢や好みによって好きなものを選んでかまいませんが、今回は、日本発祥の2つのゲームをご紹介します。

【1】大定番「オセロ」は、やはり最強ボードゲーム
オセロは日本(茨城県水戸市)生まれ。その名はシェークスピア劇「オセロ」からつけられました。白黒の駒は登場人物、グリーンの盤は緑の平原をイメージしているそう。内容はご存知の通りで、囲碁よりシンプルなルールのため子どもでもすぐに楽しむことができるのがメリットです。しかし、ルールは簡単ですが戦略が必要な頭を使うゲームなので、脳が刺激され、さまざまな力が磨かれます。

指を細かく動かす大脳を刺激思考力、記憶力アップ!
ボードを俯瞰して考える右脳を刺激先読み力、直感力、集中力アップ!

このように、論理的思考が身につくことで、特に理系科目(数学、科学、物理など)に効果が期待できるそうです。就学前の小さな子ならば、駒やマスを数えるだけでも数字の訓練になりますよ。

~オセロ小学生グランプリ~
誕生以降またたく間に世界中に広まったオセロはいまだに人気で、日本では毎年「オセロ小学生グランプリ」が開催されています。数カ月にわたる地方ブロック予選を勝ち抜いた各ブロック2~10名が夏の決勝に進めます。参加資格は、一人でプレイができる小学生。ブロックによっては予選参加者100人を超える盛況ぶりで、毎年恒例の大イベントとなっています。

遊びで楽しむだけでももちろんいいのですが、真剣に取り組んで上を目指す機会があるボードゲームは、目標を作りやすいもの。スポーツと同じく、チャレンジ精神を育むにも良さそうですね。

【2】本家フィンランドも認めた、日本発教育ゲーム「森の社長さん
世界トップの学力ながらも、宿題やテストなしの自由でのびのびした教育が注目を集めるフィンランド。その教育法を日本でも実践しようと立ち上げられた「フィンランドエデュケーション協会」が、活動の一環として、遊びながら小学生の学習意欲向上を促すゲームを作りました。それが起業体験ボードゲーム「森の社長さん」です。

なんと、このゲーム、ご本家フィンランドのお墨付きを得て、2017年10月からヘルシンキ郊外にあるヴェイッコラ基礎学校の小学5年生の授業の教材として採用されました。それほどよくできたゲームとはどんなものなのでしょう。

このゲームで起業体験をすることによって、次のようなことを学びます。

・社会の仕組みを知る(なぜ働くのか・お金の社会における役割・税金についてなど)
・コミュニケーション力を身につける
・自主性を伸ばす
・自己肯定感を育む

舞台はフィンランドの森の中。ゲームの参加者はサンタクロースを手伝う小人で、森を豊かにするためにお店を始める設定です。お金はどんぐり。お金儲けのためだけではなく、社会貢献(税金を払う、植林する、学校を建てる、など)をすることでお金を循環させるなどして、実際の社会の仕組みを学びます

学びは、ゲームが終了したらそれで終わりではありません。ファシリテーター(先生)が中心になってゲームの感想を話し合います。質問が税金に関してだと計算の勉強にもなりますし、話し合うことで語彙力や自主性、対話力も育まれます。まさに「アクティブラーニング」(ディスカッションなどを取り入れた子ども参加型教育)

これは、起業家精神育成に積極的なフィンランドの教育を取り入れたものであり、さらに、日本で2020年に予定されている学習指導要領改訂を見越したものにもなっています。子どもの頃にきちんと社会の仕組みに触れ理解を深める機会を持つことは、思っている以上に、子どもたちの成長に影響を与えるはずですよ。

***
何気なく楽しんでいたボードゲームですが、深掘りしてみるととても奥の深いものでした。何より、ネットゲームなどと違ってリアルに誰かと一緒にプレイするものなので、家族間コミュニケーションにも最適です。

最後に、ボードゲームを選ぶときのアドバイスをひとつ。ボードゲーム専門店「すごろくや」(東京・高円寺)オーナー丸田康司氏によると、記載の対象年齢には注意が必要とのことです。例えば「8歳以上」とは「8歳なら遊べる子もいます」くらいの意味で、大半の8歳の子には難しいことが多いのだとか。対象年齢の1.5~2倍の年齢を基準に選ぶと間違いないようです。例えば、“8歳以上と記載されていれば12歳くらいなら誰でもOK” ということです。あえて難しいものを選ぶこともあると思いますが、覚えておくと役立つポイントですね。

*…2018年8月現在

(参考)
ウィキペディア|ボードゲーム
フィンランドエデュケーション協会|フィンランド式ゲーム「森の社長さん」体験講座
日本オセロ連盟
ならいごとキッズ|未就学児にもおすすめ!『オセロ』の知育効果と遊び方のポイント
日経DUAL|コツは「ママ」を基準にすること。「対象年齢」にも要注意
キャロライン・アダムス・ミラー著 宇野カオリ監修 藤原弘美翻訳(2018), 『実践版 GRIT やり抜く力を手に入れる』,すばる舎.