あたまを使う/教育を考える 2020.2.27

「勉強机の上」どうなってる? 集中力も意欲もアップする環境の整え方

[PR] 編集部
「勉強机の上」どうなってる? 集中力も意欲もアップする環境の整え方

お子さんが勉強するときの「机の上」の環境はどうなっていますか? もしも「うちの子どもは勉強の集中力が続かない……」なんて感じているのならば、それは机の上の環境が勉強仕様になっていないのが原因かも

そこで今回は、子どもに集中して勉強してもらうための机の上の環境の整え方をご紹介します。なお当記事では、一般的に販売されている「子ども用学習机」で勉強するというケースを想定して話を進めますが、それ以外のケース(たとえば「リビングテーブルでの勉強」など)に当てはまる内容も。ぜひ参考にしてください!

<勉強のときに「机の上」どうする?>【1】勉強に関係ないものは置かない

机の上がまったく整理整頓されていない状態で勉強している――みなさんのお子さんがそうであるならば、まず第一に机の上を整理整頓させてください。机の上が散らかっていると、それだけで子どもの集中は妨げられてしまうからです。

プリンストン大学の研究によれば、“整理整頓された環境” と “散らかった環境” とでパフォーマンスを比較したところ、みなさんが想像するとおり、後者のほうがパフォーマンスが悪かったとのこと。周囲が散らかっているとそれだけで脳に負荷がかかり、集中力低下やストレスまで引き起こしてしまうのです。

また、机の上にマンガやゲーム機を置いていたり、正面の棚にフィギュアや写真を飾っていたりする子どももいるかもしれませんが……視界に入る場所に勉強に関係ないものを置くことも、やめさせたほうが賢明です。なぜならば、それもまた勉強中に気が散る原因になるから。勉強中に視界に入る心配のない場所に移すか、引き出しの中にしまうなどの対策をとりましょう。

勉強するときの机の上の整え方02

同時に、最近の子どもが特に気をつけなければならないのがスマートフォンです。テキサス大学オースティン校の実験により、スマートフォンが机の上に置いてあったりポケットの中に入っていたりするだけで認知能力が低下することが判明。つまり、「スマートフォンがすぐ近くにある」だけで、パフォーマンスに悪影響が及んでしまうのです。スマートフォン利用の低年齢化が進んでいると指摘される昨今なので、子どもにスマートフォンを持たせているご家庭は注意しましょう。

ちなみに上記の実験では、スマートフォンを「別の部屋に」置いておけば認知能力へ影響しないことがわかっています。勉強中は別の部屋に置くか、スマートフォンの存在をもっと遠ざけたい場合は下のような「タイムロッキングコンテナ」を使うのも手でしょう。

 

使用を制限したい物をこのタイムロッキングコンテナの中に入れてタイマーを設定すれば、その時間中はフタがロックされて取り出せなくなります。タイマーは1分~10日間(!)まで設定できるので、たとえば「これから3時間はスマートフォンを使わない」と決めてタイムロッキングコンテナの中に入れれば、スマートフォンの存在を気にせずに勉強に取り組めるようになるはずです。スマートフォン依存に悩む親御さんも一緒に使えそうですね!

<勉強のときに「机の上」どうする?>【2】頻繁に使うものはすぐ取り出せる位置に

子どもの学びへの意欲を高めたければ、勉強道具の位置が大切になる」――こう述べるのは、30校以上の教育現場で教えた経験を持つ小学校教師の須貝誠氏です。

須貝氏は「必要なものが必要なときにいかにすぐ手に取れるか」が重要だとしています。たしかに、「勉強しようと思ったのに鉛筆や消しゴムが見当たらない……」「鉛筆を削りたいのに鉛筆削りが見当たらない……」なんて状態だと、せっかく湧いた勉強に対する意欲も一瞬でしぼんでしまいますよね。

須貝氏は、「この場所にこれを置く」というようなルールを子どもに決めさせることをすすめています。たとえば文房具類だったら、このようなトレーにまとめて整理し、机の端など手に届きやすい場所に置いておくといいでしょう。

 

あるいは、引き出しの中にしまえるような、こういったタイプのトレーを使うのもありですね。

 

机まわりの整理整頓もかねて、勉強道具の定位置も決めてしまいましょう!

<勉強のときに「机の上」どうする?>【3】姿勢が気になる場合は “傾斜つき” のボードを置こう

子どもの体は日々成長していくもの。机や椅子の高さを変えられるのならば、お子さんの身長に合わせて調整すべきですが、それでも姿勢が猫背ぎみになっている子は要注意。なぜならば、勉強するときの姿勢は集中力に大きな影響を及ぼすからです。

一般社団法人日本姿勢教育協会の理事を務める碓田拓磨氏によれば、猫背だと「肺が広がらないため深い呼吸ができず、脳への酸素供給量が減ってぼーっとしやすくなる」とのこと。脳の栄養分とも言える酸素がきちんと行き届かないため頭が働かなくなり、結果として集中力が落ちてしまうのです(当然、重い頭を無理な角度で支えるため、肩こりや腰痛が引き起こされるという身体的なデメリットも生じます)。

逆に、姿勢を正せば、脳への酸素供給量を増やせますから、勉強に集中できそうですよね。猫背にならないように子どもにつど意識させるのもいいですが、それでも猫背に戻ってしまうような場合は、10度の傾斜がついた「イージーライティングボード」を机の上に置くのはいかがでしょうか。

 

岐阜県生活技術研究所が発表した「子どもに適した家庭用家具(学習机・椅子)の設計指針に関する研究 天板の傾斜が計算作業に与える影響」によれば、天板に傾斜をつけることによって計算作業の回答数が有意に上昇したとのこと。天板に傾斜があると、頭が前のめりになるのを自然と防げるため姿勢がよくなり、脳に酸素が行き渡りやすくなるのでしょう。ちなみに、書きやすさや見やすさといった項目では、「0度(※フラットな状態)」「10度」「20度」の中では10度が最も高い評価を得たそうです。

一度姿勢が悪くなると改善は難しいもの。すでに姿勢がちょっと気になる……そんな場合はぜひイージーライティングボードを勉強のお供にしてください。

<勉強のときに「机の上」どうする?>【4】デスクマットには覚えたいものを挟む!

学習机を購入すると必ずついてくる、ビニール製のデスクマット。デスクを汚れや傷から守るために机の上に敷くものですが、友だちとの写真や、友だちからもらったお手紙などを挟んでいる、なんて子はいないでしょうか。しかし1で述べたとおり、勉強に関係ないものが視界に入りやすい環境はあまりおすすめできません。

前出の須貝氏がすすめるのが、「九九の表、漢字ポスター、地図」などを挟むこと。知りたいときにいつでも知れる、見たいときにいつでも見られる、覚えたいときにいつでも参照できる、そういった環境を整えることで、勉強はもっと捗っていきます

学校から配られた重要なプリント類があればデスクマットに挟んでもいいでしょうし、たとえばこんなデスクマットも売られています。

 

「日本地図」と「世界地図」が印刷された中紙がセットになっています。各都道府県の場所や山脈・河川の名前、あるいは世界の国々の位置関係や国旗などに身近に触れることができるでしょう。地理好きな子には特におすすめですね。

 

宇宙に関するものも。たとえば、こちらは「星座」と「太陽系の惑星」です。88ある星座の名称や形がわかったり、美しい写真を通して太陽系について学べます。理科に興味がある子におすすめです。

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勉強するとき、机の上の環境が子どもの集中力や意欲に関わってきます。改善すべきところがあったら改善し、机の上を勉強仕様に整えてあげましょう!

(参考)
unclutterer|Best Desk Organisation Techniques
ナショナル ジオグラフィック|スマホがあると退屈で集中力低下、海外の研究事例
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|国語辞典、30cm定規、鉛筆削り、九九の表……子どもの勉強道具はどこに置くのが正解か?
プレジデントオンライン|正しい座り方は、「背筋ピン」ではなく「お尻をグイッ」
CiNii Articles|子どもに適した家庭用家具(学習机・椅子)の設計指針に関する研究 天板の傾斜が計算作業に与える影響