子どもの性格・気質 2026.11.4

内向的な子と外向的な子、伸ばし方は正反対。「積極的に」と言わない10の関わり方

内向的な子と外向的な子、伸ばし方は正反対。「積極的に」と言わない10の関わり方

「もっと積極的になれないの?」「先生に『おとなしいですね』って言われた」。反対に、「うちは落ち着きがなくて、人の話を聞いていない」とため息をつく日もあるかもしれません。

「積極的に」「落ち着いて」という言葉は、どちらのタイプの子にも届きにくいところがあります。「子どもに明朗快活に育ってほしいと願っている人も多いが、そもそも明朗快活になれない人もいることを理解するべき」と指摘しています。(東海大学文学部教授・学校心理学、芳川玲子氏)*1 にぎやかな場所が好きな子と静かな場所を好む子とでは、同じ声かけでも受け取り方が変わります。

伸ばし方は、むしろ正反対といってもいいかもしれません。

内向的な子は「直す対象」ではなく、外向的な子は「抑える対象」でもありません

内気で恥ずかしがり屋な性格は、あくまでも正常な範囲内の性格や気質のひとつで、精神的な障害ではないとのこと。(精神科医、髙木希奈氏)*2 内気な子どもほど内的なエネルギーに満ちていて、「『内気なことは良くないこと』という先入観は今すぐに捨てるべき」と親に呼びかけます。(脳科学者、西剛志氏)*3

内向型の長所は、「独自の世界観がある」「人の気持ちがわかる」「思いやりがある」ところだといいます。(臨床心理士・『声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力』著者、吉田美智子氏) 無理に外向きに変えようとすると、こうした長所まで見えにくくなってしまうかもしれません。

こどもまなびラボの「我が子はどのタイプ? 個性がわかる「9つの気質」の組み合わせから、子どもを伸ばす方法が見えてくる!」で紹介しているのが、100人を超える子どもを乳児期から青年期まで追跡した研究です。この研究によって、「活動の活発さ」「新しい刺激への接近・回避」「反応の強さ」など9つの気質が、幼少期の段階ですでに備わっていることが明らかになりました。(アメリカの精神科医、トーマス博士ら) 気質そのものを変えるのは難しく、親が変えられるのは「対応や接し方」だとされています。

壁際で2人のこどもが背伸びをして両手を上げている様子

5つの場面で、内向的な子と外向的な子の伸ばし方は正反対です

どちらの列も、「積極的に」「落ち着いて」の代わりに置ける関わりです。

場面 内向的な子には 外向的な子には
発表 食卓で1〜2分、家族全員で「今日あったこと」を話す 話したあとに「聞いていた人はどんな顔だった?」と聞く
初対面 まず眺めるだけでよしとして、本人のタイミングを待つ 「入れてって言ったら、返事を待とうね」と合図をひとつ渡す
習い事 本人が「やりたい」と言ったものを少人数で 仲間と夢中になり、挑戦し、失敗もできる場を選ぶ
遊び ひとり遊びの時間を守り、あとで「何をつくっていたの?」と聞く 体を動かす時間を先にとり、遊んだあとに気持ちを言葉にする
休み方 帰宅直後はひとりの時間を先にして、話は寝る前に聞く 話を聞く時間を決め、「あとでね」と言ったら必ず聞く

場面1「発表」:内向的な子には練習の場を、外向的な子には聞く人への意識を

1. 内向的な子には、食卓で1〜2分の「今日あったこと」を家族全員で話す

伝える力は、内向的・外向的にかかわらず「訓練で上達する」といいます。(ライフコーチ、ボーク重子氏) 夕食のときに家族全員が1〜2分ずつ、「いつ、誰が、どこで、なにを、なぜ、どのように」を入れて今日の出来事を話すのがおすすめです。親も一緒に話すので、試される場ではなく家族の習慣として続けやすいでしょう。

2. 外向的な子には、話したあとに「聞いていた人はどんな顔だった?」と聞く

こどもまなびラボの「「コミュ力の高い子」=「おしゃべり上手な子」ではない。これから絶対必須の能力の身につけ方」でも紹介されているように、コミュニケーション能力の要素は「聴く力」「伝える力」「人の気持ち(心理)を汲み取る力」の3つに集約できるそうです。(日本コミュニケーション能力認定協会)*4 発表や家族の会話のあとに、聞いていた人の表情をたずねてみると、自分の話を相手の側から振り返るきっかけになります。

場面2「初対面」:内向的な子には見守る時間を、外向的な子には「待つ合図」をひとつ

1. 内向的な子には、まず眺めるだけでよしとして、本人のタイミングを待つ

公園で輪に入れずにいるわが子を見ると、親が代わりに「うちの子も入れてあげて」と声をかけたくなるものです。ただ、親の過干渉が続くと、子どもの「自分で立ち直る力(レジリエンス)」が育ちにくくなると危惧しています。(発達脳科学者、成田奈緒子氏)

最初の一歩は、ほかの子が遊ぶ様子を眺めるだけでもかまわないといいます。(聖心女子大学名誉教授・発達心理学、高橋惠子氏) 慣れてきたら、親と一緒に遊び、次に同じことが好きな友だちを1人見つけ、そこから2〜3人へと広げていく順番がおすすめだそうです。(公認心理師、佐藤めぐみ氏)

また、「うちの子は、恥ずかしがり屋なので困ります」と子どもの前で言わないように、と注意を促しています。(保育士、市川由美子氏)

2. 外向的な子には、「入れてって言ったら、返事を待とうね」と合図をひとつ渡す

生後数か月の時点で、周りからの刺激に比較的鈍く反応する「低反応児」は、成長するにつれ「社交的」「大胆」になる傾向があると報告されています。(心理学者、ジェローム・ケーガン氏)*5

自分から近づける子には、「落ち着きなさい」と動きを止めるのではなく、止まる場所をひとつだけ教えてあげてください。

場面3「習い事」:内向的な子は「やりたい」から、外向的な子は「仲間と夢中になれる場」から選びます

1. 内向的な子には、本人が「やりたい」と言ったものを少人数で

本当はバスケットボールが好きなのに親の希望で苦手なピアノを続けていると、続けるほど劣等感を抱くようになると説明し、「得意分野をつくる」ことをすすめます。(精神科医、中嶋泰憲氏)*6

恥ずかしがり屋の子は人数が多いほど緊張しやすく、はじめは少人数のグループで得意なことをする経験を積むとよいとのことです。(公認心理師、佐藤めぐみ氏)

2. 外向的な子には、仲間と夢中になり、挑戦し、失敗もできる場を選ぶ

就学後の非認知能力は、クラブ活動などで仲間とコミュニケーションをとりながら、一緒に没頭したり挑戦したり、成功や失敗を重ねたりする体験によって伸ばせるといいます。(産業医、武神健之氏)*7

試合に負けた日こそ、結果ではなく取り組んでいた姿に目を向けて、ほめる日に数えてみてください。

青空の下のこどもたち

場面4「遊び」:内向的な子の「ひとり時間」を守り、外向的な子の「動く時間」を先にとります

1. 内向的な子には、ひとり遊びの時間を守り、あとで「何をつくっていたの?」と聞く

内向型の長所のひとつは「独自の世界観がある」ことだそうです。(臨床心理士、吉田美智子氏) ひとりで静かに過ごす時間は、深い集中力や創造的な思考が育つ時間でもあるようです。

遊びの途中で声をかけるより、終わったあとに「何をつくっていたの?」とたずねてみてください。

2. 外向的な子には、体を動かす時間を先にとり、遊んだあとに気持ちを言葉にする

室内で「静かに遊びなさい」とくり返す前に、晴れた日は先に公園で思いきり体を動かす時間をとってみましょう。

子どもが初めての感情に向き合っているとき、保護者が一歩先に立って、気持ちに当てはまる言葉で言い表してあげると、子どもは感情と言葉を結びつけて覚えていくと述べています。(法政大学文学部教授・発達心理学、渡辺弥生氏) 「泣かないの」の代わりに「悔しかったんだね」と言葉を渡してみてください。

場面5「休み方」:内向的な子にはひとりの時間を、外向的な子には話を聞く時間を

1. 内向的な子には、帰宅直後の「今日どうだった?」を少しあとにして、ひとりの時間を先に

ひといちばい敏感な子(HSC)は5人に1人ほどいるとされ、そのうち70%は内向的といわれます。*8 敏感な子にとって睡眠は心身を休めるダウンタイムで、それが足りないと気分が落ち込みやすくなるそうです。

帰宅したら、まずはひとりで過ごせる時間をつくってあげてください。今日の話を聞くのは、寝る前のゆったりした時間でも間に合います。

2. 外向的な子には、話を聞く時間を決め、「あとでね」と言ったら必ず聞く

母親が子どもの話を聞こうとすると、子どもが母親への信頼感を持ちやすくなり、コミュニケーション能力も育ちやすくなると話しています。(創価大学教育学部教授・臨床心理士、園田雅代氏) 手が離せないときは「あとで聞かせてね」と伝え、時間ができたら「さっきの話、詳しく教えて」と親から声をかけてみてください。

なお、ひといちばい敏感な子のなかには外向的なタイプも30%ほどいるとされ、にぎやかな場所が好きなのに、楽しむ前にぐったりしてしまう子もいます。外向的だから疲れにくい、とは限らないようです。

ランドセルを背負った男の子が下を見ている様子

どちらの子かは、3つの観察点で見分けられます

9つの気質のうち、次の3つがひとつの目安になります。

  • ✓ 観察点1|新しい場所で まず自分から近づくか、少し離れて様子を見るか(新しい刺激への接近・回避)
  • ✓ 観察点2|自由な時間に 外で大勢と鬼ごっこをしたがるか、積み木や工作など静かな遊びを選ぶか(活動の活発さ)
  • ✓ 観察点3|転んだときに 大泣きや怒りで気持ちをはっきり出すか、しくしく泣く、黙るなど表に出さないか(反応の強さ)

3つとも同じ側に寄る子ばかりではありません。「活発だけれど、新しい人間関係を築くのはあまり得意ではない」という組み合わせの子もいます。そんなときは、初対面は内向的な子の列、遊びは外向的な子の列というように、場面ごとに選び分けてみてください。

気持ちをあまり表に出さない子ほど、親がよく様子を見ておくことが大切です。

***

内向的な子も外向的な子も、どちらも直すものではなく、伸ばし方が違うだけです。

今日、「積極的に」や「落ち着いて」が口から出そうになったら、いったん飲み込んで、表の左右どちらかの列からひとつだけ選んでみてください。

FAQ(よくある質問)

Q. 内向的な子は、このままで友だちができるのでしょうか?

A. 最初は親と一緒に遊び、次に同じことが好きな友だちを1人見つけ、そこから2〜3人へと広げていくとよいそうです。(公認心理師、佐藤めぐみ氏) 大勢の輪に入ることより、「同じことが好きな1人」に出会うことを目標にしてみてください。

Q. 内向的なのは、私が過保護にしたせいでしょうか?

A. 内気で恥ずかしがり屋な性格は、正常な範囲内の性格や気質のひとつといわれています。(精神科医、髙木希奈氏) 気質は親のせいではありませんし、関わり方はいまからでも変えていけます。

(参考)
*1 こどもまなびラボ|我が子はどのタイプ? 個性がわかる「9つの気質」の組み合わせから、子どもを伸ばす方法が見えてくる!
*2 こどもまなびラボ|“内気な性格” は直せます! 子どもの「恥ずかしがり屋」を克服する5つの方法
*3 こどもまなびラボ|人見知りは才能の証? 科学が明かす内向的な子どもの可能性
*4 こどもまなびラボ|「コミュ力の高い子」=「おしゃべり上手な子」ではない。これから絶対必須の能力の身につけ方
*5 こどもまなびラボ|5人に1人は「人一倍敏感」である。“すぐに傷つく心のメカニズム”と声かけのコツ
*6 こどもまなびラボ|「メンタルが弱い子」と「メンタルが強い子」8つの違い。“折れない心” はどう育てる?
*7 こどもまなびラボ|ストレスに強い人と弱い人。幼少期の「非認知能力」の育み方に違いあり
*8 こどもまなびラボ|5人に1人が「HSC」。繊細で共感性の高い「ひといちばい敏感な子ども」の特徴とは?