教育を考える 2020.10.26

友だちに依存しやすい子は、親が過干渉。お子さんは「ひとりでいる力」をもっていますか?

編集部
友だちに依存しやすい子は、親が過干渉。お子さんは「ひとりでいる力」をもっていますか?

学生時代から現在に至るまで、人間関係でいっさい悩んだことがないという人はいないでしょう。ほとんどの人は、いくつかの失敗や後悔を繰り返しながら、良好な人間関係の築き方を学んできたはずです。

一方、幼稚園児や小学校低学年くらいの幼い子どもの場合、友だちとの付き合い方をきちんと理解して実践するのは難しいですよね。親としては、わが子が友達関係で悩まないように手を差し伸べてあげたくなるでしょう。

今回は、小さな子どもの「友だち力」の伸ばし方について考えていきます。

「友だち力」があれば学校生活は問題ない!?

幼稚園入園、小学校入学、そして毎年のクラス替えと、小さな子どもは新しい環境に飛び込む機会が多いもの。自分を取り巻く環境やそれまでの人間関係ががらりと変わるとき、仲がいい友だちと離れ離れになることを不安がって落ち込む子もいれば、新しい出会いを楽しみに胸を躍らせる子もいます。

親としては、「いいお友だちができるかな」「まわりの子たちとうまくやっていけるかな」「トラブルを起こしたり、トラブルに巻き込まれたりせず、楽しく過ごせるかな」など、友だち関係の心配は尽きませんよね。

教育評論家の親野智可等さんは、友だちとの関係をうまく調節する力」を「友だち力」と呼んでいます。クラスの中心にいるようなリーダータイプというよりも、どんな子ともうまく付き合っていけて、友だち関係のトラブルを起こすようなことがない子をイメージするといいでしょう。

ただしそれは、決して “まわりに合わせるだけのおとなしい子” というわけではありません。自分の素直な気持ちを友だちに伝えることができ、友だちの意見もしっかりと聞くことができる、人間関係のバランス感覚が優れた子こそが、友だち力のある子なのです。

友達力の伸ばし方02

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友だち力のある子は「ひとりでも平気」

みなさんは、自分の子どもを見て「友だち力がある」と思いますか?
「仲がいい友だちとはうまくやっているけど、自分から声をかけるのが苦手」
「自分の話ばかりして、共感力が足りないみたい」
「いつもお友だちのいいなりになってしまう」
ほとんどの子が、大なり小なり友だちとの付き合い方について問題を抱えており、「なんの心配もない!」と言いきれるほうが珍しいのではないでしょうか。

しかしなかには、日々起こる小さなトラブルを未然に防ぐなど、子どもどうしのいざこざを解決する能力が高い子どももいます。そんな「友だち力」が高い子どもには、ある共通点があるそう。

それは、“友だちと仲よくできる力” と “ひとりでいる力” 、両方のバランスがうまくとれること。親野さんは「ひとりでいる力がなければ、いつも友だちに頼ってばかりになってしまう」と指摘し、「自分の好きなことや熱中できることがある子は、友だちに頼りすぎることはなく、バランスのよい関係性を築いていける」と述べています。

反対に、熱中できることがなく、ひとりでいることに強い不安を感じてしまう子は、友だち関係のトラブルに巻き込まれやすくなります。たとえば、クラスで特定の子をからかったりいじめたりするような雰囲気になったとき、流されてその輪に加わってしまうのは「ひとりでいる力」が弱い子だといえるでしょう。

自分の意思よりも、「友だちと一緒にいるほうが安心」と群れることを選んでしまう子は、一見すると友だちとうまく付き合っているように見えるかもしれません。しかしそれは、ただひとりでいるのが怖い」「ひとりぼっちに見られるのがいやという理由から、本意ではない行動をとっている可能性もあるのです。

友達力の伸ばし方03

親子の信頼関係があれば友だち力はぐんぐん伸びる!

子どもが最初に築く人間関係は「親子関係」です。親から強い言葉で叱られることが多い子は、友だちに対して威圧的な態度をとることが多いなど、親子関係がそのまま友だち関係に反映される傾向があります。まわりの親子関係をよく観察してみると、子どもがどのように友だちと接しているかがなんとなく伝わってくるでしょう。

友だち力の高い子をもつ親は、「子どもとの距離感」を大切にする傾向があります。親子といえども他人どうし。年齢を重ねるごとに少しずつ子どもの手を離し、近すぎず遠すぎない距離で黙って見守ってあげることができれば、子どもの友だち力は育まれます。

一方で、友だち力が低い子、友だちに依存しやすい子は、親が過保護だったり過干渉だったりする傾向があるでしょう。親が自分の子どもを「ひとりの人間」として認めてあげられないので、子どもの自己肯定感が低下し、友だちに依存せざるを得なくなってしまうのです。

親がわが子を心配し、近い距離感であれこれ世話を焼いてしまうと、子どもは「自分は信頼されていない」とみるみるうちに自信を失ってしまいます。わが子の友だち力を伸ばすためにも、まずは子どもを信じることから始めましょう。

友達力の伸ばし方04

わが子の友だち力は親の○○力によって育つ

最後に、親野さんのアドバイスをもとに「わが子の友だち力を育てるためにできること」をご紹介します。

先ほども述べたように、友だち力は親子の信頼関係をベースにして育まれます。親野さんによると、そのためには子どもへの共感的な気持ちが必要不可欠なのだそう。

どのような関係でも、相手を信頼できなければ心を開くことは難しいですよね。しかし、人に対する信頼が土台にあれば、心を開いて接することができ、良好な関係を築くことができます。

もしみなさんが、お子さんに対して次のような対応をしていたら、共感的な気持ちが欠けているので注意が必要です。

  • 子どもの要求をわがままと決めつける
  • 子どもが失敗したとき、「あなたの頑張りが足りないからだ」と責める
  • 友だちとけんかした子どもに、「あなたにもよくないところがあったんじゃない?」と言う

 
このように、親が子どもの気持ちに寄り添わずにいることで、子どもが「どうせ親に話してもわかってくれない」「一方的に責められるだけで味方してくれない」と感じてしまうのも無理はないでしょう。

親子関係において信頼感が欠けてしまうと、今度は友だち関係にも悪影響を及ぼします。相手に不信感がある状態だと、友達がひそひそ話をしていると「自分の悪口を言っているんじゃないか」と被害妄想を抱いたり、少しでも仲よくなった相手に過度に執着したりと、相手との距離感を間違えてしまいがちに。

甘やかさずに厳しく接することが正しいと思う親御さんも多いかもしれません。しかし、まずは親子の信頼関係をしっかりと築くことが大切です。そのためにも、子どもの話に共感し、受け入れてあげることを心がけましょう。

***
小学校入学のタイミングで、親が何よりも心配するのは「子どもの友だち関係」なのではないでしょうか。わが子の友だち力を鍛えるには、まずは親子の信頼関係を築くこと。お子さんの話に耳を傾け、しっかりと共感してあげることから始めましょう。

(参考)
日経DUAL|“友達力”をつけるためには「一人でいる力」も必要
親力講座|友達力をつけるために、やってはいけないこと、やるべきこと
東洋経済オンライン|友だちが作れない子には「秘密特訓」が有効だ
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