教育を考える 2019.7.18

「コミュ力の高い子」=「おしゃべり上手な子」ではない。これから絶対必須の能力の身につけ方

「コミュ力の高い子」=「おしゃべり上手な子」ではない。これから絶対必須の能力の身につけ方

「うちの子はおしゃべりが苦手だし、コミュニケーション能力が低いのかも……」と悩む親は少なくありません。しかし、コミュニケーション能力の高さは、おしゃべりがうまいかどうかだけでは判断できません。今回は、これからの社会で必要とされる本当のコミュニケーション能力について紹介しましょう。

コミュニケーション能力はこれからの社会でより必要とされる

学校や職場、買い物や通院、役所での手続きなど、人は毎日の生活の中でさまざまな人とコミュニケーションを取りながら生きています。それは、子どもたちにもいえること。保育園や学校では、先生や友だちとのやりとりが欠かせません。

昨今では、教育現場においても、コミュニケーション能力がより重視されるようになってきています。幼稚園教育要領や小・中学校の学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」に重点が置かれていることは、ご存じの方も多いでしょう。

また、2020年度から大学入試センター試験が大学入学共通テストへ変わり、マークシート方式のみだった試験に記述式問題を導入して、コミュニケーション能力とも深い関わりのある「思考力・判断力・表現力」をより適切に評価する方針に変わります。加えて、英語は、読む・聞く・話す・書くの4つの評価を通して、実践的なコミュニケーション能力が求められるようになるのも知られているところ。

このように、学習面ではもちろんのこと、今後、社会全体のグローバル化や人々の生き方の多様化が進むにつれ、よりいっそうコミュニケーション能力が求められるようになっていくでしょう。

子どものコミュニケーション能力02

2020年における「賢い子」の特徴とは?
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そもそもコミュニケーション能力って?

日本コミュニケーション能力認定協会は、社会や企業が求める「コミュニケーション能力の高い人」の特徴を次のように述べています。

  • わかりやすく伝えることができる
  • 人のやる気(モチベーション)を高めることができる
  • 聞き上手で、相手がどんどん自分のことを話したくなってしまう
  • 相手の気持ちを察することができる
  • もっと聞きたい!と思わせる魅力的な話ができる
  • 相手に共感することができる
  • 的確な質問ができる
  • 話をまとめることができる
  • 人に好感を与えることができる
  • 人を動かすことができる

(引用元:日本コミュニケーション能力認定協会|コミュニケーション能力とは?

同協会は、コミュニケーション能力の要素を、「聴く力」「伝える力」 「人の気持ち(心理)を汲み取る力」の3つに集約できると述べています。

「コミュニケーション能力が高い」と聞くと、「おしゃべりが上手な人」をイメージすることが多いかもしれません。でもじつは、相手の話を聞く力引き出す力共感する力コミュニケーション能力のひとつとされています。つまり、おしゃべりが苦手な子どもでも、じつは友だちの話を聞くのが上手というケースもあるということ。

子どものコミュニケーション能力が気になったときは、話す力だけではなく、聞く力や、相手の気持ちを理解する力にも注目することが大切です。

子どものコミュニケーション能力03

社会を生き抜くためのコミュニケーション能力を育てるには

さまざまな種類があるコミュニケーション能力ですが、それらを伸ばすためには以下のポイントに注意しましょう。

・人と関わる力→「人や地域に関する経験」で伸びる

東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所が2015年7~8月に実施した「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」によると、「リーダーとしてグループをひっぱる」「グループがまとまるように協力する」「いろいろな人と仲良くする」といった人と関わることが得意な子どもは、夏祭りなどの地域の行事に参加する・お年寄りの世話をする(手伝いや介護など)・ボランティア活動に参加する・親から仕事の楽しさや大変さを聞くなどの「人や地域に関する経験」が多いことがわかりました。

核家族化が進み、地域との交流が少なくなっている現代では、意識的に地域と関わることが、コミュニケーション能力を伸ばすうえで重要だといえるでしょう。

・話したり聞いたりする力→「母親が子どもの話を聞こうと意識すること」で伸びる

創価大学教育学部教授で臨床心理士の園田雅代氏は、母親が子どもの話を聞こうとすることには、「子どもがお母さんへの信頼感を持ちやすくなる」「子どものコミュニケーション能力が育ちやすい」という2つのメリットがあると言います。

もちろん、母親だけでなく父親や祖父母も、子どもの話をしっかり聞く姿勢を保つことが大切です。ただ、子どもとの関わりがより密であり、影響力が大きいと考えられる母親が、子どもの話をしっかり聞こうとすることで、コミュニケーション能力がより伸びやすくなるのではと園田氏は述べています。

忙しくて相手をできないときにも、「あとで聞かせて」と言った場合は、忘れずに「さっきの話、詳しく教えて」とたずねるようにするなど、子どもの話をきちんと聞こうとしている姿勢を見せることが大切です。

・感情をコントロールしながら表現する力→「子どもの感情を代弁してあげること」で伸びる

自分の感情をしっかりと認めつつも、「相手に伝えるかどうか」「その場で話してもいいかどうか」「相手を不快にさせる表現ではないかどうか」などを考えてコントロールする力は、他者と関わるうえで非常に大切です。

そうした力を伸ばすために必要なことについて、法政大学文学部教授で発達心理学・発達臨床心理学・学校心理学が専門の渡辺弥生氏は次のように述べています。

子どもが初めての感情に向き合っている時、「切ないんだね」「感激しているのね」など保護者が一歩先に立って気持ちに当てはまるボキャブラリーや表現で代弁してあげると、子どもも感情と言葉をリンクさせて習得していくことができます。自分の表現に自信がない保護者のかたは、感情表現が豊かな絵本を子どもと一緒に読むなどして、親自身が感情表現をともに学んでいくことも有効です。

(引用元:ベネッセ教育サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法

子どものどんな感情も否定せずに、寄り添いながら気持ちを代弁してあげることで、子ども自身が感情をコントロールできるようになっていくのです。

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子どものコミュニケーション能力を伸ばすと、自分の感情表現をうまくできるようになることはもちろん、他者への思いやりを持つことにつながります。子どもとの普段の関わりの中で、コミュニケーション能力を育む工夫をしてみましょう。

文/田口 るい

(参考)
こどもまなび☆ラボ|コミュニケーション能力を育てよう! 会話をグレードアップさせる3つのヒント。
PHPファミリー|「聴く」ことは信頼感につながる ~子どもの心を整えるお母さんの「聴き方」
PHPファミリー|自己主張ができず口下手。いじめが心配~子育て相談室
ベネッセ教育サイト|家庭内の会話から子どもの思考力、表現力を育む[やる気を引き出すコーチング]
ベネッセ教育サイト|ふだんの経験でコミュニケーション力に大きな差が出る?
ベネッセ教育サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法
日本コミュニケーション能力認定協会|コミュニケーション能力とは?