教育を考える 2019.4.11

5人に1人は「人一倍敏感」である。“すぐに傷つく心のメカニズム”と声かけのコツ

編集部
5人に1人は「人一倍敏感」である。“すぐに傷つく心のメカニズム”と声かけのコツ

ちょっとしたことですぐに泣いてしまう、お友だちの何気ない言葉に傷ついて長い間立ち直れない、自分に自信がないようだ……。このように、内気と呼ぶには繊細すぎるお子さんに対して、「なんでこんなに敏感なのだろう」「もっと強く、たくましく育ってほしいのに」とお悩みではありませんか?

傷つきやすく繊細な子に対する接し方には「あるコツ」があるのです。そのコツさえつかめば、お子さんが “繊細すぎる自分” とうまく付き合っていく手助けができますよ。

「人一倍敏感」なのは生まれつきの “気質”

環境が大きく変わるタイミングに限らず、日常のちょっとしたことでも心が不安定になってしまうお子さんは意外と多いようです。そのようなお子さんは、乳幼児期から次のような特徴が見られることがあります。

人見知りや場所見知りが激しい
内気すぎる
すぐに泣いてしまう
不安な気持ちが人一倍強い
初めての体験や変化に適応するのが苦手

このような傾向がある子どもたちを、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士はHSC(Highly Sensitive Child)」=「人一倍敏感な子と名付けました。HSCは性格というよりもむしろ生まれついた「気質」であり、脳の神経システムに違いがあることがわかっています。しかもその割合は5人に1人と非常に多く、繊細すぎるがゆえに生きづらさを感じたまま大人になる人もたくさんいるのです。

心理学者のジャローム・ケーガン氏によると、生後数ヶ月の時点で、周りからの刺激に敏感に反応する「高反応児」と、比較的鈍感に反応する「低反応児」が見られるといいます。そして「高反応児」は成長するにつれ、「内気」「シャイ」「引きこもりがち」となり、「低反応児」は「社交的」「大胆」になる傾向があることがわかっています。

もちろん必ずしもその通りに成長するわけではありません。周囲の人たちの接し方や置かれた環境、親の声かけなどによって、「高反応児」が社交的で積極的なタイプへと変わっていくことも充分可能だといいます。

ですから、今もしお子さんが繊細すぎて傷つきやすいことを心配されているのなら、お子さんへの接し方や声のかけ方を工夫してみましょう。そのコツを詳しくご説明するので、参考にしてみてください。

「すぐに傷つく」心のメカニズム

「『繊細さん』の本」(飛鳥新社)の著者であり、自身も幼少期から繊細すぎるがゆえの悩みを抱えていたカウンセラーの武田友紀さんは、次のように語っています。

台所から響く「トントン」という包丁の音の大きさから、「母はイライラしているのかな?」と気になり、不安になることがありました。

(引用元:msnニュース|敏感すぎるあなたは「繊細さん」かも……HSPの生きづらさを軽くする方法「『とりあえず』で楽になる」

普通の人にとってはまったく気にならない日常の出来事に対して、人一倍敏感に反応してしまう子は、人よりも多くの情報を受け取ってしまう強い感受性の持ち主です。自分の意思で「気づく・気づかない」をコントロールできないからこそ、いくら「気にしすぎだよ」と慰められてもどうにもできないのです。

だからせめて、その気持ちを理解してあげるように心がけましょう。もし親御さんが細かいことを気にしない大らかなタイプだったら、お子さんの些細な悩みに対して「気にしすぎじゃない?」「気のせいだよ」と言ってしまいがちです。すると、「気にしすぎる自分が悪いのかな?」「自分が変なだけなのかな?」とますます落ち込んでしまい、根本的な解決にはなりません。

まずは「そうか、そんな風に感じたんだね」と受け止めてあげてください。そのうえで、「じゃあどうしたらいいかな?」「お母さんにできることはある?」と解決に向けた提案ができる環境を作ってあげましょう。

また、「誰とでも仲良くしなければいけない」という道徳心に縛られることで負担を抱えてしまう子も多いといいます。そのため、苦手な相手にも距離を置くことができず自分から近づいてしまう傾向も。そして結局、相手の言動に傷ついてしまうのです。

もしお子さんがお友だち関係で悩んでいたら、「一緒に遊んでいて楽しいな、好きだな、と思える子と遊べば、きっと相手も同じように楽しいと思うよ」とアドバイスしてあげましょう。

誰とでも仲良くするのは決して悪いことではありません。しかし繊細すぎる人は、不機嫌な人がいると「自分のせいかな?」と思い込んでしまい、必要以上に不安や心配を抱えてしまいます。心の安定を図るためにも、ときにはトラブルの元を避ける要領の良さも必要です。

親の声かけで繊細すぎる子どもが変わる

繊細な子が困難に負けずに強く、しなやかに生きていくためにはレジリエンスという力を高めるといいでしょう。

『レジリエンス』とは、どんな困難な状況にあってもめげることなく前を向いていける力これからの時代を生き抜くのに必要不可欠なこの力は、子育てや教育、家庭やビジネスシーンまで、さまざまな場面において非常に大きな注目を集めています。レジリエンスは決して特別な能力ではなく、誰もが本来持っている力で、心がけ次第で高めることができます。

レジリエンスを高めるためには、次の7つの考え方や行動を意識しましょう。

1. 気持ちや感情をコントロールする力
2. 変化する状況に順応できる柔軟性
3. 自分は大切だという感覚
4. 必要な時に助けを求められる力
5. 自分を犠牲にしない
6. 楽観的であること
7. 嫌なことを割り切る力

以上をふまえたうえで、臨床心理学者で東京学芸大学名誉教授の深谷和子先生は、親が心がけるべき5つのことを提案しています。

1. 自己肯定感(自尊感情)を育てる
2. 愛し愛されることができる子どもに育てる
3. 友だちとのかかわりをもてる子に育てる
4. 多様な体験をもつ子に育てる
5. 目標(志)をもつ子に育てる

具体的にはどのような行動を示すべきでしょうか。

結果よりプロセスを褒める
「100点取れてえらい!」「かけっこで一番になってすごいじゃない!」よりも、途中の頑張りや子ども自身の成長のプロセスに着目して褒めるようにしましょう。

前よりも字をきれいに書けるようになったね」「(試合には負けたけど)大きな声で仲間を応援していたね。その気持ちを大切にしようね!といった声かけが効果的です。

「いつでも味方」で安心感を与える
日常のどんなときでも「いつも見守っているよ」「いつでもあなたの味方だよ」というメッセージを伝え続けましょう。不安を感じたとき、いつもお母さんやお父さんがそばで見守ってくれているという安心感が、心を落ち着かせてくれます。

敏感さの “良い面” を評価する
繊細であることは共感力が高いということ。敏感な子の豊かな内面世界を積極的に評価してあげることで、自己肯定感が高まります。

「そんな小さなこと気にしないの!」ではなく、みんなが気づかないようなことまで気づいてくれてありがとうお友だちの悲しい気持ちが伝わって涙が出ちゃうんだよね。○○くんは優しいねといった声かけをしてあげましょう。

***
繊細すぎるお子さんに対して、「大人になってもこんな調子で大丈夫かな?」「すぐに挫折してしまうのでは?」と将来を案じて心配することもあるでしょう。しかし、繊細すぎることは決して「弱い」わけではありません。周りの空気や人の感情を敏感に感じ取ってしまい、高い共感力ゆえに心を痛めたり落ち込んだりしてしまうのです。まずはありのままのお子さんを認め、理解してあげることから始めましょう。

(参考)
All About 暮らし|「ひといちばい敏感な子」の親が知るべき5つの事
msnニュース|敏感すぎるあなたは「繊細さん」かも……HSPの生きづらさを軽くする方法「『とりあえず』で楽になる」
Study Hacker こどもまなび☆ラボ|“折れない心”の育て方ーーストレスをコントロールして何度でも立ち上がれる子に!
さぽナビ|<特集>折れない心を育てる(1)