教育を考える/子どもの性格・気質/学校・園生活 2025.9.30

クラスの雰囲気を和らげる! ムードメーカーな子どもに共通する「5つの特徴」

木野未来
クラスの雰囲気を和らげる! ムードメーカーな子どもに共通する「5つの特徴」

笑い声の絶えないクラスには、必ずといっていいほど「その場の雰囲気を和らげる」 “ムードメーカー” の子がいますよね。元気に盛り上げるタイプもいれば、さりげない一言で空気を和らげるタイプも。もちろん、クラスのまとまりはひとりの子だけでつくられるものではありません。先生のクラス運営や、子ども同士の信頼関係といった土台があってこそ、その子の存在が活きてくるもの。

ただその前提を踏まえたうえでも、やはりムードメーカーの子どもたちがいると教室の空気は大きく変わります。緊張がほどけて安心感が広がったり、友だち同士のやりとりがスムーズになったり。ときには先生の言葉よりも、子ども同士の一言がクラス全体を柔らかくしてくれることもあります。

今回は、元小学校教員としての経験から「クラスの楽しい雰囲気をつくるムードメーカーの子どもの特徴」を5つご紹介します。ご家庭のお子さんにも「こういった一面があるかも?」と考えるきっかけにしていただければ幸いです。

ライタープロフィール

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木野未来

元小学校教員

小学校教員・英語専科教員として12年間勤務、これまでに2,000人以上の子どもたちを指導。現在は、教育分野での執筆活動をはじめ、クリエイターやファミリーサポート・里親支援など多方面で活動中。2児の母。
イギリスやアメリカへの留学経験を通じて学んだペアレンティングの視点を軸に、日本の家庭でも実践できるヒントをお届けします。

ムードメーカーとは?

ムードメーカーとは、その場の雰囲気を明るくし、周囲を和ませる存在のことです。クラスでいえば、緊張をほぐしたり、気まずい空気を軽くしたり、みんなが安心して過ごせる雰囲気をつくる子どもたちを指します。

ふざけてばかりで心配」「わが子は落ち着きなくて困っている」と保護者から相談を受けるような子のなかにも、じつはクラスのムードメーカーだったという子どももいます。またさりげない一言や小さな行動で空気を変える子も、立派なムードメーカーです。

そこで今回、そんな子どもの特徴を以下の5つにまとめてみました。

  1.  挨拶や「ありがとう」が自然に言える子
  2.  間違いを受け入れられる子
  3. 困っている子にさりげなく声をかけられる子
  4. 「一緒にやろうよ」と輪に引き入れられる子
  5. ちょっとしたユーモアで笑いを届けられる子

1つずつ解説していきます。

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① 挨拶や「ありがとう」が自然に言える子

朝の「おはよう」、友だちに消しゴムを貸してもらったときの「ありがとう」、給食の「いただきます」、帰りの「またね」。当たり前のことですが、そんな小さな場面で躊躇なく、気持ちよく言葉を届けられる子は、やはりクラスのみんなの気持ちを温かくします。

特に、笑顔とともに挨拶や感謝を伝えられる子は、周りの雰囲気を一気に和らげます。笑顔は言葉以上に安心感を与え、「この子と一緒にいると楽しい」という印象を自然と広げていくのです。

クラスにはたくさんの子がいますが、全員と自然に会話できる子はそう多くありません。そんななかで、誰に対しても分け隔てなく挨拶ができたり、お礼を言えたりする子は、それだけで雰囲気をやわらげる存在になります。特別に派手なパフォーマンスをするわけではなくても、そうした自然な言葉がけがクラスを心地よい場にしてくれるのです。

ランドセルをもつ小学生

② 間違いを受け入れられる子

友達が給食のパンを落としてしまったときに「ありゃ、逃げちゃった!」と笑いに変えてあげられる子。漢字のテストで間違えて「へんてこな字になっちゃった〜」と自分で笑える子。授業で意見が分かれたときに「〇〇さんの考え方もいいよね」「そういう見方もあるね」と受け止められる子。そんなふうに間違いや失敗、違う意見を軽やかに受け入れられる子がいると、まわりもつられて「大丈夫、大丈夫」と和やかになります。

クラスには「失敗=恥ずかしい」「間違えたらどうしよう」と感じて緊張してしまう子も多いもの。「間違えてもいいんだ」という寛容な空気が生まれることで、周りの子も安心して発言したり、チャレンジしたりできるようになります。

黒板に書く子供達

③ 困っている子にさりげなく声をかけられる子

プリントを落として気づかない友だちに「落ちてるよ」とサッと声をかけたり、縄跳びの順番に入れなくて戸惑っている子に「一緒にやろうよ」と自然に誘えたり。そんなさりげないひとことがあると、教室の空気は一気にやわらぎます。

特に大切なのは、普段あまり目立たない子や、輪に入りづらそうにしている子にも自然に声をかけられること。困っている子がホッと笑顔を見せると、周りもつられて温かい雰囲気になっていきます。

消しゴムと鉛筆

④ 「一緒にやろうよ」と引き入れられる子

遊びのグループをつくるときや、体育でペアを決めるとき。「◯◯ちゃんも一緒にやろ!」と自然に声をかけられる子がいると、クラスの雰囲気はぐんと和らげます。

こうした子は、勝ち負けや上手い下手にこだわらず、男女の区別もせず、フラットに仲間を誘えます。誘われた子は「受け入れてもらえた」と安心し、周りの子も「そうだね」と自然に同調する。孤立を防ぐこうした一言は、クラス全体にやさしい循環をつくります。

じつはこうした行動ができる子は、周りの目を気にしすぎず、自分が正しいと思うことを素直に行動に移せる子でもあります。「あの子を入れたら嫌がられるかも」ではなく「一緒にやったら楽しいかも」と考えることができるのです。

体育でのペア

⑤ ちょっとしたユーモアで笑いを届けられる子

掃除中にほうきをマイクにして「ただいま放送中〜」とふざけてみたり、先生の言い間違いを聞いて「今のちょっと面白いね」とクスッと笑ったり。小さなユーモアで教室を和ませる子がいると、緊張していた空気が一気にやわらぎます。

もちろん、ふざけすぎれば授業の妨げになることもあります。でも適度なユーモアは「気を張りつめすぎなくても大丈夫」という安心感をもたらします。子どもたちはそのなかで、楽しく学習をし、失敗を恐れず挑戦できるようになるのです。笑いは場を乱すものではなく、クラスを前向きに動かすエネルギーにもなる――これは教室で強く感じてきたことのひとつです。

***
ムードメーカーと聞くと「にぎやかで目立つ子」を思い浮かべるかもしれません。でも実際には、さりげない一言や小さな行動がクラスの空気を和らげていることが多いのです。「ありがとう」や「一緒にやろうよ」といった言葉。失敗を笑いに変える力や、ちょっとしたユーモア。そうした振る舞いがあることで、子どもたちは安心して過ごせる空気がつくられていきます。

もし、今回ご紹介した5つの特徴のうち、1つでもお子さんに当てはまるものがあれば、それは立派な長所です。ぜひその姿を認めて、伸ばしてあげてください。

(参考)
小学館デジタル大辞泉|ムードメーカー