「話しかけても「別に」しか返ってこない」「いつの間にかドアを閉めるようになった」「小4までは何でも話してくれたのに」
帰ってくるとランドセルを置いてそのまま自分の部屋へ。夕食で「今日どうだった?」と聞いても、「普通」のひとことで終わる。そんな姿を見て、「反抗期が始まった」と身構えたり、「嫌われたのかな」と落ち込んだりしているお母さんは少なくありません。
じつは、小5〜中1の子どもが口をきかなくなるのは、親を嫌いになったからではありません。親から少し離れて、自分をつくり始めた合図と考えられます。反抗期とは「蚕でいえば、いままで幼虫だったのが自分のまわりに “まゆ” をつくっているような状態」だといいます。(東京成徳大学教授、田村節子氏)*1 まゆという壁で親と距離をとり、自分で決める機会を少しずつ増やしながら、じっくり自分をつくっていく時期。口数が減るのも、その壁ができ始めた姿のひとつと見ることができそうです。
ただし、「黙っている」姿のすべてが成長のサインとは限りません。似て見える変化のなかに、気にかけておきたいものが混ざっていることもあります。そこで、12のサインを「見守ってよい8つのサイン」と「気にかけたい4つのサイン」の2列に分けました。ここ1〜2か月のわが子の様子を思い浮かべながら、どちらの列に□がつくかを見てみてください。
目次
小5〜中1は、反抗期のピーク手前、思春期の入口にあたります
こどもまなびラボの「思春期と反抗期の違いとは? 「口が悪くなる男の子」「不機嫌になる女の子」の対処法」の記事でも紹介しているように、第二次反抗期は中学生・高校生の時期にピークを迎え、反抗的な態度そのものは早い子で小学校中学年くらいから始まるといいます。(和洋女子大学こども発達学科、大神優子氏)*2 小学校中学年ごろからは「前思春期」が始まっているともいわれ、この時期の子どもは「生理的な発達にともなう変調、対人関係の難しさ、自我の形成にともなうしんどさなど、大変さを同時に抱えています」とのこと。(東海大学教授、医学博士、芳川玲子氏) 小5〜中1は、反抗的な態度が出始めてから中高生のピークへ向かう、ちょうど途中の時期にあたります。
京都市こころの健康増進センターの資料では、「親に対してよそよそしくなる」「批判的な態度を示す」といった思春期の心の変化を、一般的に反抗期と呼ぶと説明されています。*3 よそよそしさも、思春期に起こる心の変化のひとつなのです。
なぜ親に話すことが減るのでしょうか。思春期に大きな変化が表れるのは、脳の前頭葉の発達によって、自分を第三者の視点で見る「メタ認知」ができるようになるからだと説明しています。(青山渋谷メディカルクリニック名誉院長、精神科医、鍋田恭孝氏)*4 自分を客観視できるようになると、人間関係のなかでの自分の立ち位置も見えてきて、友だちにどう思われているかが気になり始めます。小学生までは親によく話をしていた子どもも、思春期に入ると、話をする相手が親から友だちへと変わっていくそうです。(関東中央病院 精神科、菊地秀明氏)*5

12のサインを「見守ってよい」と「気にかけたい」の2列で見てみましょう
左の8つは、親から離れて外へ向かう動き。右の4つは、親から離れられないか、外からも離れていく動きです。似て見える行動を横に並べました。
左の列に□がいくつもつくなら、思春期の入口に差しかかっているサインと考えられます。8つはどれも、こどもまなびラボの「反抗期を「ありがたい」と考える親の神対応。「うるさいな!」は自立への第一歩です」の記事などで、専門家の意見をもとに紹介してきた反抗期・思春期にありがちな言動。親の接し方を間違えたせいではなく、成長の過程でよく見られる変化です。
左の□が少なければ、入口がまだ先か、穏やかに入り始めたところかもしれません。穏やかに育って反抗期がないという子どももいて、それは子どもの欲求を上手に親が受け止めていた場合だそうです。(早稲田大学教授、本田恵子氏)*6
右の列は、数ではなく「向き」で見てください。左の□が多いこと自体は心配いりません。右にひとつでも当てはまるものがあれば、少し気にかけておきたいところです。

見守ってよい8つのサインは、どれも「親から離れて外へ向かう」動きです
似たサインをふたつずつまとめ、専門家の見方を並べました。
気にかけたい4つのサインは、反抗の「激しさ」ではなく「向き」で見分けます
親離れや反抗期は、「子どもが社会の中で親に頼らず同世代の仲間とともに自分の力を信じてやっていく、大人になっていくという過程の一部」だと述べています。(関東中央病院 精神科、菊地秀明氏) 心配されているのは、むしろ反抗しない・できない子ども。自分では何も決められない、親を恐れて反発できない、家や学校で良い子を演じてしまう。そうした子どもが、不登校や摂食障害などの問題を引き起こしてしまうことがあるといいます。右の4つは、この指摘を日常の姿に置き換えたものです。
手がかからないことと、安心して甘えられていることは、別のことです。

親ができるのは「干渉しない。でも関心は向ける」の3つです
「関心を向けてくる相手を追っ払ってひとりになることと、関心がまったく向けられず、ほったらかしにされてひとりでいることは全然違う」といいます。(法政大学文学部心理学科教授、渡辺弥生氏) 必要なのは、干渉を減らすことと、関心を減らさないことの両方です。
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「小4までは何でも話してくれたのに」。その時間は、なくなったわけではありません。10歳頃の子どもの「飛躍」は、それまでの親による教育やインプットが花となって開きはじめた表れだと述べています。(法政大学文学部心理学科教授、渡辺弥生氏)*10 たくさん話してくれた日々が、いま黙って自分をつくる力になっているのでしょう。
左の8つに□がついたなら、それは親から離れる準備が進んでいる印。右の4つが空欄なら、まゆの壁はきちんと外に向かって開いています。今夜「別に」が返ってきたら、「そっか」とひとこと返して、そのまま同じ食卓にいてください。
よくある質問(FAQ)
A. 遅れではありません。反抗的な態度は早い子で小学校中学年から始まるとされますが、ピークは中学生・高校生の時期です。穏やかに育って反抗期がないという子どももいて、それは子どもの欲求を親が上手に受け止めてきた場合だそうです。(早稲田大学教授、本田恵子氏) 右の4つに当てはまらなければ、入口がまだ先か、穏やかに通過しているところと考えてよいでしょう。
A. 一度の様子だけで決めつける必要はありません。見ておきたいのは、その状態が一時的なものか続いているか、そして学校生活に影響が出ているかどうかです。友だちや学校から離れていく様子が続く場合は、担任やスクールカウンセラーに早めに相談してください。サイン10〜12は、気にかけたいサインの表の「→」にある関わりを家庭で意識することから始められます。
A. 「うざい」は、脳が引き起こしている感情のひとつだといいます。(脳科学者、中野信子氏) 注意されてふてくされるのも、心を許しているからこそ親に甘えている姿だそうです。(心理学者、諸富祥彦氏) 言葉そのものに反応せず、「そういう時期なんだ」と一歩離れて見守るだけでも、受け止める側の気持ちは少し楽になるはずです。
A. 父親とあまり話さなくなり、避けるようになるのは、専門家の意見をもとに挙げられている反抗期にありがちな言動のひとつです。お父さんから追いかけたり、無理に会話を求めたりせず、子どもが楽しそうにしているときに「それ、おもしろそうだね」と短く関心を向け続けてみてください。距離を保ちながらも、関係を切らさずにいられます。
(参考)
*1 こどもまなびラボ|反抗期を「ありがたい」と考える親の神対応。「うるさいな!」は自立への第一歩です
*2 こどもまなびラボ|思春期と反抗期の違いとは? 「口が悪くなる男の子」「不機嫌になる女の子」の対処法
*3 京都市こころの健康増進センター|思春期のこころを育むためのガイド
*4 こどもまなびラボ|思春期の問題は学童期からはじまっている? 10歳までの親子関係が大事な理由
*5 公立学校共済組合 関東中央病院|反抗期について
*6 こどもまなびラボ|「10歳の反抗期」に親がすべきこと。子どもは親の思いどおりには育たない!
*7 こどもまなびラボ|子どもの反抗的な態度にイライラしてる!? 【“中間反抗期” の時期・特徴・対処法】
*8 こどもまなびラボ|「うちの子だけ?」小4で心が折れやすくなる子どもたち。10歳の壁を飛躍に変える親の接し方
*9 中野信子(2021)|『中野信子のこども脳科学 「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!』フレーベル館.
*10 こどもまなびラボ|「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」! 親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由









