保育園でのママ友トラブル、経験したことはありますか? 幼稚園の送り迎えに比べ、保育園の方が時間も関係もドライに見えますが、じつは人間関係の誤解やママ友に感じる不安は意外と多いもの。
私が保育士として働いているときも、実際に相談を受けたり、ギスギスしている様子を目の当たりにしたりしたことがあります。じつは、ママ友トラブルに巻き込まれる人と、うまくかわす人には決定的な違いがあります。ママ友トラブルは「ある人はある」「ない人はない」というのが印象です。数多くの親子関係を見てきたなかで気づいた、その境界線をまとめました。
ライタープロフィール
保育士
児童学科で4年間学び、保育士資格や幼稚園教諭一種免許を取得。保育士として約10年勤務。現在、小学生2人を育てながら「働きながら子育てする大変さ」と対峙中。ワーキングマザーが安心して子どもを預けられるよう、さまざまな情報を発信します。
目次
どうしてママ友トラブルが起きるのか?
そもそも、なぜ「子どもが同じ保育園に通っているだけ」のママたちにトラブルが起きてしまうのでしょうか?その理由を見ていきましょう。
◆センシティブな話題が多い
保育園に子どもを通わせているママを取り巻く環境にはお金・家庭・仕事・妊娠など、センシティブな話題の共通点があります。そのような話題は、どうしても隣の芝生が青く見えてしまい、うらやましい気持ちが妬みにつながる恐れがあるのです。
- 共働きなのになかなか貯金ができず節約ばかりしている
- 夫が激務で保育園の送迎にもまったく協力してくれない
- フルタイムで働きたいのに頼れる人がおらず時短勤務にしている
- 2人目を望んでいるのになかなか授かれない
上記のような状態のときに、ママ友のマイホーム計画や妊娠の話などを聞くとモヤモヤしてトラブルにつながるケースも少なくありません。
たまに少ししか合わない保護者同士、なんだか会話の間が持たず「お仕事はフルタイムですか?」「2人目とか考えていますか?」などという地雷を踏んでいるシーンをよくお見かけします。また「〇〇くんが言っていたよ」など、子どもからの情報が誤解を生むことも……。
◆関わる人が固定化しやすい
保育園は、幼稚園のようにお迎えの時間が決まっていません。家庭や仕事の事情に合わせてそれぞれお迎えに向かうため、どうしても関わる人が固定になってしまいます。
子どもがお迎えに行ったのに「あと少し〜」と言ってなかなか片づけをしなかったり、同じタイミングで外に出たお友だちと遊び始めたり……。そのような状態になると「ちょっと苦手だな…」と思う人でも、その人しかいなければ会話もしますよね。
そのように気が合うからママ友になるのではなく、ただ関わる機会が多い人がママ友になることで仲違いが起こる可能性があります。
「ただお迎え時間が同じ」だけで親近感を覚え、一方的に家庭情報を聞き出したり、執拗にお願いごと(おさがりの要求や子どもの送迎依頼)を繰り返したりする人もいます。「よく会うから断れない」「いい人でいよう」という人が断り切れず、トラブルに巻き込まれている印象です。
◆子ども同士のトラブルが多い
子ども同士のトラブルが多いと、ママ同士も不仲になってしまうことがあります。そもそも子どもはケンカするものという認識や子どものことは保育園に任せるという姿勢でいれば問題ないのですが、子どものトラブルに必要以上に介入する保護者も多いもの。
また、解決したことを親の方がモヤモヤと引きずってしまい、ママ同士の陰口や仲間はずれといったトラブルになるパターンも少なくないのです。
保育園でしっかり把握できていないトラブルもあり、子どもが家でつらい気持ちを口にするケースがあることも事実です。そうなると「どんな子育てをしているんだ!」と、相手の家庭を批判したくなることもありますよね。そんな微妙な関係の子ども同士に限って、また同じようなトラブルを繰り返すんです……。
巻き込まれない人がやっている6つのこと
保育園ではさまざまなママ友トラブルが見受けられますが、一貫して巻き込まれない人もいます。かといって、そのママが仲間はずれになっているわけでもありません。
そのような巻き込まれない人は、とにかく深入りしすぎず、とはいえ冷たすぎない人間関係の構築が上手な印象です。巻き込まれない人は以下の6つのことを実践しています。
1. 不明点はママ友ではなく「保育士に聞く」が基本
ママ友同士で情報を共有すると、何か間違いがあったときに「〇〇さんが言っていたから」というトラブルにつながる可能性があります。また「私は〇〇だと思うよ」という主観が入って情報の正確性に欠けることも。
保育士は、保護者からの質問を手間だとは思いません。わからないことは保育士に聞いて、情報の正確性を最優先しましょう。
2. ウワサ話は「そうなんですね」で流す
人のウワサ話が好きな人はたくさんいます。自覚がなくても、自分も知り得た情報を「誰かに言いたい」と思ってしまうことがあるかもしれません。
ウワサ話は自分から始めないこと、そして始まったら「そうなんですね」と一言相づちを打つだけに留めるのがトラブル防止の基本です。相手にはしないけど、雑に扱わず感じよく共感しながらスルー。「〇〇さんも言っていましたよ」なんてウワサ話の仲間にされたら大変ですからね。
3. 頼まれごとは「家庭ルール」で断る
人の善意につけこみ、あれもこれもと頼んでくるタイプのママ友はできれば縁を切りたい存在です。しかし、子ども同士のつながりがあると簡単にはいきませんよね。
そのような場合は「土曜日は家族時間って決めていて」や「夫がそういうのうるさくて」などなど。角が立たないように、かつ曖昧にせずしっかり断ることが大切です。
4. 降園後のおしゃべりは3分以内
保育園のお迎えに行くと、タイミングが合ったママ友同士でおしゃべりに花が咲くことも多いですよね。そのような場合は、3分以内で切り上げて「忙しいアピール」をするのがおすすめです。
時間がないときは、あいさつに留めて足を止めないことを意識するのも◎。その代わり、とにかく笑顔でいい感じに立ち去りましょう。
5. 個人的な情報は極力聞かない言わない
自分にとっての当たり前が、誰かにとってはうらやましく妬ましいことかもしれません。人を傷つけるつもりがなくても、どの話題が相手の地雷になっているかはわからないもの。
個人的な情報は極力話題に出さず子どもの友だちのママという距離感をしっかり保てるようにすると、余計なトラブルを寄せ付けません。
6. 保育園でのトラブルは保育士に任せる
保育園で起こったトラブルに対して「うちの子がこう言っているんだけど?」と個人的にLINEが送られてきたこと、または送ったことはありませんか?又聞きで自分の子どもの言い分だけを聞いて相手を責めると、トラブルが大きくなってしまいます。
そこで解決させず、不快な思いをさせてしまったことに対してのみ謝罪。そのあとは保育園に事実確認をお願いし、解決を依頼しましょう。
ママ友付き合い「がんばらなくていい」理由
保育士として見ていて「仲がいいんだな」と思うママ同士には、以下のような共通点があります。
- 上の子も同じ年で以前から親交がある
- 同じマンションやご近所に住んでいて顔見知り
- 子どもが通っている習い事が同じ
上記のような共通点があれば、自然に話す話題も増えてくるでしょう。
しかし、特別知り合いでもないのに「参観日だから誰かと話さないと」「小学校同じになるママと仲よくならなくちゃ」と、気負う必要はありません。ママ友がいなくても困ることって意外とないものです。
子どもは親同士が仲よくなくても、普通に仲よくなれます。ご縁があり親同士も仲よくなることもありますが、それは「がんばって話さなければ」と思って作る関係ではありません。保育園で出会ったママ同士の関係は一時的で子ども中心であるものですからね。
ママ友=必要な存在ではなくママも親しくなれたらラッキーくらいがちょうどいいと考えると気が楽になりますよ。
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ママ友付き合いは、上手にやるより巻き込まれないを目指してやり過ごすのがおすすめです。無理に仲よくしなくても、保育士や子どもとの関係がうまくいっていれば大丈夫。
トラブルに強い親は、愛想ではなく「線引き」が上手な人です。ウワサ話はサラッと流し、相手のプライベートに立ち入りすぎない。そして、世間話は短時間で済ませつつも笑顔で感じのよい印象で立ち去る……。主役はあくまでも子どもです。わが子との時間を大切にしつつ、自分を守るスタンスを貫きたいですね。