教育を考える 2019.8.8

夏休み中の子どもの生活、気になるアレコレ。「ゲームのやりすぎ、テレビの見すぎ」はどう防ぐ?

宍戸 洲美
夏休み中の子どもの生活、気になるアレコレ。「ゲームのやりすぎ、テレビの見すぎ」はどう防ぐ?

お子さんたちは夏休みをいかがお過ごしですか。昔は、夏休みには多くの地域でラジオ体操が行なわれていましたので、子どもたちもそれに合わせて早起きをしていたものです。最近ではそのような光景が少なくなり残念ですね。

夏休み中に学校のプールが開放されている場合には、ぜひ参加して水と仲良くなるといいでしょう。塾や地域のスポーツチームでの練習、家族との帰省など予定がぎっしりつまっている人もいると思います。人によって過ごし方はいろいろですが、夏休みは何か普段できないことにチャレンジするとてもいい機会です。ご家庭で、夏休みをどう過ごすかをしっかり話し合って、計画的に充実した夏を過ごせるといいですね。

夏休み中の「遅寝・遅起き」はこんなに危険!

夏休みをどう過ごすかによって、体や心に大きな影響が出ます。特に、学校がお休みだからといって「遅寝・遅起き」の生活を続けていると、体調が崩れてしまいます。具体的には、体のだるさを感じる食欲がなくなる、精神的にも意欲が低下して「何もやる気がしない」という状態になる、などの問題が起きてしまうのです。

私の養護教諭時代の経験では、夏休み明けに、もともとやせていた子どもがますますやせてしまったとか、太り気味だった子どもがさらに太ってしまったなどということがよくありました。前者は、もともとたくさん食べられないうえ、夏のだるさで体を動かさないためにますます食欲がなくなり、そうめんなどの口当たりがいいものしか食べられなくなるケース。後者は、食欲の旺盛さは維持しつつも体を動かさなくなる分、そのまま体重増につながってしまうケースです。

例えば、夏の間に身長が3cmも伸びたのに、体重は逆に1kgぐらい減ってしまった子どもや、身長は確かに伸びたものの、体重の増加が身長の伸びを極端に上回る子(1ヶ月で5kg増)などもいました。先ほど述べた心身の調子だけでなく、こうした体の成長にも、夏休み中の生活の仕方は大きく関係しているのです。

人間の体のリズムは、夏休みだからといって変わることはありません7月号でも紹介しましたように、生活リズムが崩れると「夏バテ」「熱中症」にもかかりやすくなりますので、

  • 規則正しい生活
  • 1日1回以上は外に出て汗をかくぐらい体を動かす
  • 食事は3食しっかり食べる

の3つは、きちんと守りましょう。1日のスタートはやはり、家族そろって一緒に朝ごはんを食べることをお勧めします。

ゲームなどのやりすぎに要注意

夏休みには、ゲームなどのやりすぎにも注意が必要です。自由時間が長いのをいいことにゲームばかりしていると、知らないうちに依存症になってしまう可能性があるからです。

最近は若者たちの間でゲーム依存症が増えています。これは世界的にも問題になっており、世界保健機関(WHO)は2019年5月にゲーム依存症を「精神疾患」として位置づけ、治療が必要な疾病に分類しました。

特に問題なのは、ネットにつないで友だちと競い合うようなゲームです。夢中になると、1日中お部屋にこもったり、夜更かしをしてしまったりすることにもつながります。こうしたゲームは若者のみならず小学生の間にも広がってきていて、小学生のなかにもゲーム依存症に近い人(予備軍)が出てきているのです。

お子さんがゲームに依存しないためには、各ご家庭で 「ゲームの時間は1日何時間」と決め、それをしっかり守らせることが大切です。また、何もすることがないとついついゲームを手にしてしまうことになりますから、1日をどのように過ごすのか、何をするのかなどを「親子できちんと決めて、行動する」ことを大切にしましょう。そういう意味では、学校のプールの活用や、地域の児童館などが開催する催し物などへの参加をお勧めします。

夏休み中に見られる、休み明けの“不登校”の兆し

夏休みが終わると、ほとんどの子どもたちが真っ黒に日焼けして、友だちや先生に久しぶりに会うことを楽しみに元気に登校してきます。しかし、なかには夏休み明けに学校に来られなくなるお子さんもいます。

その原因はいろいろなことがあり得ますが、ひとつには「生活リズムの崩れ」による影響が挙げられます。先に述べたような「遅寝・遅起き」に代表される夏休みの不規則な生活のせいで、「夜眠れない」「朝起きられない」「体調が悪い」といった不調が起き、それが気力・体力の低下につながってしまうのです。

そういった不調が、単なる生活リズムの乱れによるものにすぎない場合には、朝多少無理やり起こして活動させても大丈夫でしょう。ですが、もしかしたらその現象が「学校に行くことが辛い」というサインである可能性その場合には子どもの接し方に注意が必要になってきます。「学校に行くことが辛い」のはなぜなのか、誘因となっているものを探り、丁寧に対応する必要があるのです。

その誘因は、夏休み中というより1学期の生活の中にあったかもしれません。学習のつまずき、友だちや先生との関係、あるいは家庭の中にある心配などです。夏休みこそ親子でしっかり向き合い、お子さんが不安に感じていることは何かを理解し、対策を考えましょう

また、子どもにストレスが見受けられる場合は、普段はできない家族旅行や解放的な自然環境のなかで、体も心もリラックスして遊び込むことがとても有効です。自然には、人間に癒しを与えてくれるたくさんのエキスがありますし、とことん遊ぶと頭がすっきりし、よく眠れます。親御さんもお子さんと一緒に体を動かせば、日頃の疲れやストレスが解消されるはず。夏休みの家族の過ごし方としてはもってこいだと思いますよ。

普段は子どもとゆっくり話をする時間が取れない方も、夏休みは絶好のチャンスです。長い休みを有効活用しましょう。

就寝が遅くなったら、翌朝は寝坊OK? NG?

夏休みならではの親御さんの困りごとに、いくつかアドバイスをいたしましょう。

【親御さんからの質問 1】

夏祭りや帰省、旅行など、イベントがあるたびに生活リズムが崩れ、一度崩れるとなかなか元に戻りません。特に、就寝時間がどうしても遅くなってしまいます。何日間ぐらいまでなら生活リズムが乱れても大丈夫でしょうか?

生活リズムの崩れは、意識的に直さないとなかなか元に戻りません。時差ボケの経験がある親御さんはわかると思いますが、昼間とても眠かったり夜中に眠れなかったりしても、昼間の活動を続けているうちに2~3日もすれば元のリズムに戻ります。ですから、「生活リズムの崩れが何日までなら大丈夫か」というより、リズムの乱れが直るのには2~3日かかることをまずは知っておいてください。

イベントなどで疲れて帰ってきても、翌日の朝はとにかくあまり寝坊しないで、体を動かしましょう。昼寝は30分ぐらいならいいかと思いますが、長く寝すぎたり夕方近くに眠ったりしてしまうと、夜の睡眠に響きますので要注意です。また、外出が続けば体も疲れますので、新学期が始まる前1週間はなるべく遠出などは控え、普段どおりの生活に戻すことが大切だと思います。

テレビは1日何時間まで見せていいの?

【親御さんからの質問 2】

外で長時間遊ばせると熱中症が怖いし、かといって家の中で過ごさせるとテレビを長時間見たがります。「テレビの見すぎは良くない」と思うのですが、そもそも1日何時間ぐらいまでなら子どもにテレビを見せてもいいのでしょうか? 親として安心できる指針が欲しいです。

今の時代は、テレビ視聴だけでなくゲームやDVD、インターネット動画など、メディアとの接触時間をトータルで見ていくことが必要だと思います。特にYouTubeは、子どもたちの多くがなりたい職業にYouTuberを挙げている(※)ことからも、その視聴時間はかなり長いことが予想できます。(※2018年9月、学研教育総合研究所学研教育総合研究所調べ)

私が小学校で養護教諭をしていた頃、夏休み明けの子どもたちに、長期休み中のメディア接触時間を調査したことがあります。そのなかに、テレビやゲームの時間を合わせて1日6時間~8時間と答えた子がいたのにはびっくりしたものです。また、いま教鞭をとっている短大の学生のなかにも、1日5~6時間はメディアを見ているという学生がいます。彼らの多くは、短大生になってからというより、子ども時代からメディアに長時間接触しているのだとか。幼少期のメディアの視聴習慣は長きにわたって影響を及ぼすといえそうです。

ご家庭でのテレビの視聴時間は、「1時間」とか「2時間」というような決め方だと、ドラマの途中でも見るのを止めなくてはならなくなってしまいます。1週間を通してどの番組を見るのかを決め、おおよそ1日2時間程度だと理想的ですね。午前中1時間、午後1時間などのような規則を作るといいでしょう。

しかし、親が見ているのに子どもはダメというのも矛盾がありますから、テレビを消したら親子で一緒に何かをするというような方策が必要だと思います。一緒に料理を作るとか、本の読み聞かせをするなど、家族でコミュニケーションを取る時間にしたいですね。

「10歳の壁」は夏休み中に越えられる?

【親御さんからの質問 3】

うちの子は、夏休み前あたりから学校の勉強が難しく感じると言うようになり、勉強への苦手意識が出始めました。夏休み中に少しでも苦手な箇所を克服してもらいたいのですが、あまりうるさく言うのもかわいそうな気がするし、「このまま不登校になったらどうしよう?」と心配になります。どう声をかけてあげたらいいでしょうか?

今、「10歳の壁」という言葉がよく使われていますね。その1つに挙げられるのが、10歳前後の子どもが勉強面や心理面でつまずき劣等感を抱いてしまうこと。学校の勉強で抽象的な思考が始まるこの時期に、「勉強が難しい!」と感じる子どもたちが増えているのです。

昔はこうした問題はなかったのか、というと、昔もあるにはありました。ですが、昔は今日ほどには社会も親も勉強のことを気にしなかったので、子どもたちも「勉強はきらい!」と平然としていられたように思います。しかし、今は3年生ぐらいの子どもでも、「自分はクラスの中で勉強ができる方だ」とか「できない方だ」ということをかなり意識しているようです。

「勉強ができない」という自覚が自尊感情の低下につながらないようにしたいですよね。お子さんの授業のノートやテストの結果を見て、どこでつまずいているのかを把握し、親御さんが教えてあげられればそれが一番いいかと思います。しかし、高学年になるとなかなか学習も難しくなります。難なく教えられることばかりではなくなってきますので、親御さんもお子さんの教科書をみて「ママにできるかな~」などと言いながら、一緒に勉強するといいでしょう。

また、事情が許せば夏休みに友だちを呼んで一緒にグループで宿題などに取り組むのもお勧めです。友だち同士の教え合いもいいですね。「勉強って、わかると面白い!」という経験を、夏の間にぜひたくさんさせてあげたいものです。

心も体も元気で新学期を迎えるために

長いお休みの間には新しい体験や楽しい思い出ができるように、家族でいろいろ話し合ってみましょう。おうちのお手伝いなども、子ども自身が家族の一員として役立っていると実感できるチャンスです。子どもが少し頑張ったらできそうなことをお願いし、達成できたら「助かったよ」というメッセージを伝えてあげましょう。意欲が増し、心の成長にもつながるはずです。

夏休み明け、「友だちに会うのが楽しみ!」「こんな作品作ったから早く先生や皆に見せたい!」といった楽しい気持ちで、心も体も元気で新学期を迎えられるといいですね

(参考)
yomiDr.|ゲーム依存症は「精神疾患」…WHOが分類改訂
日本海新聞,「中高生ネット依存93万人」,2018年9月1日付.
学研教育総合研究所|小学生白書Web版2018年9月調査 6.将来について 将来つきたい職業(全体ランキング)