暑い夏、とくに気をつけたいのが熱中症です。強い日差しや高温多湿の環境だけでなく、水分や塩分・栄養が不足すると、熱中症のリスクが高まります。
とくに子どもは体温調整が未熟なため、大人以上に注意が必要です。今回は、熱中症対策と栄養補給について解説します。夏におすすめの手作りレシピも紹介しているため、暑い日のおやつや、外遊び後の栄養補給にぴったりです。ぜひ日々の習慣にとりいれてみてください。
ライタープロフィール
管理栄養士
約8年間保育園で献立作成や給食づくり、栄養相談に携わる。とくに食育活動に力を入れ、「食を楽しく学ぶ」「食に興味をもつ子を育てる」をテーマに0歳から5歳の年齢に合わせた指導を実施。アトピーや運動誘発性小麦アレルギーの発症、2年間のイギリス生活などを経て、現在は執筆活動をメインに食と健康に関する情報を発信している。
目次
子どもは大人に比べて熱中症になりやすい
子どもは大人に比べて体温調整の機能が未発達なため、熱中症にかかりやすいといわれています。暑さを感じても汗をかくまでに時間がかかるため、体温が下がりにくく、からだに熱がこもりやすいためです。*1
さらに、子どもは大人に比べて身長が低く、地面からの照り返しの熱を受けやすい位置にいるため、周辺温度が大人より高くなりがちです。実際に、サントリーの研究では子どもは大人より7℃も高い環境にさらされているという報告があります。*2
子どもは、大人に比べて熱中症のリスクが高い環境に置かれています。だからこそ、大人がこまめに子どもの様子を気にかけ、日ごろから熱中症予防の対策をしてあげることが大切です。
熱中症対策で大切な3つのポイント
熱中症対策では、以下のポイントを意識しましょう。とくに大切な3つのポイントについて詳しく解説します。
- こまめに水分を補給する
- 必要な栄養素を積極的に摂る
- 食欲低下を防ぐ
ポイント①こまめに水分を補給する
熱中症を防ぐには、こまめな水分補給が欠かせません。子どもは自分から「喉が渇いた」と言い出しにくいため、大人が意識してタイミングを作ってあげることが大切です。
そのため、子どもの喉が渇く前に、こまめに水分をとるよう声をかけましょう。一度に大量に飲ませるのではなく、運動の前後や休憩時間などに「一口飲もうね」と声をかけ、少しずつ水分を与えるのがおすすめです。
また、汗をたくさんかくと、水分とともに体のなかのナトリウム(塩分)も失われます。水分補給と同時にナトリウム(塩分)の補給も心がけると、暑さに負けないからだづくりにつなげられます。*3
ポイント②必要な栄養素を積極的に摂る
熱中症予防として、以下の栄養素を含む食材を積極的に食べましょう!*3
主な栄養素 | はたらき | 主な食材 |
---|---|---|
たんぱく質 | しっかりしたからだをつくる | 🐟 卵・魚・乳製品 など |
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変える | 🐖 豚肉・大豆 など |
ビタミンA | からだの抵抗力を高める | 🥕 人参・かぼちゃ など |
ビタミンC | からだの抵抗力を高める | 🍋 レモン・キウイ・グレープフルーツ など |
たんぱく質やビタミンB1だけでなく、ビタミンAやビタミンCも積極的に摂るのがおすすめです。ビタミンAやビタミンCは、体の健康維持や疲労回復に役立つとされており、暑さに負けない体づくりをサポートします。
野菜や果物の摂取量の不足はビタミン類の不足につながりやすいため注意しましょう。
熱中症からからだを守るためには、日頃からバランスの良い食事を心がけるのが大切です。とくに、朝食の欠食は1日に必要な栄養素の不足を引き起こすことが考えられるため、1日3食を意識して食事のリズムを整えましょう。
ポイント③食欲低下を防ぐ
栄養を摂るためには、食欲低下を防ぐのも大切なポイントです。栄養不足が続くと体調を崩しやすくなり、結果的に熱中症にもつながりやすくなるとされています。そのため、日ごろから食欲低下を防ぐ工夫をしましょう。
食欲低下を防ぐには、クエン酸が豊富に含まれた食材がおすすめです。
クエン酸には、食欲を増進させる効果が期待できます。レモンやグレープフルーツなどの柑橘類や梅干しに豊富に含まれています。上記の3つのポイントを押さえて、熱中症を予防しましょう。
【簡単】美味しく食べて熱中症予防! 手作りアイス&ジュース3選
今回は、夏におすすめの熱中症対策アイス・ジュースを紹介します。砂糖不使用で、果物やはちみつの自然な甘さを活用したレシピです。ぜひお子さまと一緒につくってみてください!
1. ココアバナナアイス
チョコのような風味が楽しめるアイスバーです。食物繊維が豊富なココアとバナナを合わせ、栄養面と美味しさ両方の満足度が高くなるようにしました。
材料(2~3人分)
- バナナ 1本
- ココアパウダー 大さじ1
- はちみつ 小さじ1
- 牛乳 100ml
作り方
- バナナは皮を剥き、フォークや手でほぐす
- ココアパウダーとはちみつを入れ混ぜる
- 牛乳を少しずつ加え、混ぜ合わせる
- 型に流し込み、しっかり冷やす
キューブ型やアイスバーなどお好みの容器で固めてお楽しみください。
2. ピンクグレープフルーツのヨーグルトシャーベット
少量の塩を加えているため、ナトリウムも補給できます。しっかりと混ぜることでキレイなピンク色に仕上がります。
材料(3~4人分)
- ピンクグレープフルーツ 1/2個
- ヨーグルト 100g
- はちみつ 20g
- 塩 ひとつまみ
作り方
- グレープフルーツは皮を剥き、軽くほぐす
- ミキサーに1とヨーグルト・はちみつ・塩を入れて混ぜる
- アイスバーの型に流し込み、しっかり冷やす
ジップロックに入れて冷凍するのもおすすめです。ジップロックの場合は、冷凍途中で数回ほぐしてください。
3. キウイとレモンのジュース
ビタミンCが豊富なキウイとレモンを合わせた、さっぱりとしたジュースです。運動前はもちろん、帰宅後にもおすすめの1杯です。
材料(2~3人分)
- キウイ 1個
- レモン汁 大さじ1
- はちみつ 大さじ1
- 水 200ml
- 氷 適量
作り方
- キウイは皮を剥き、半月切りまたはいちょう切りにする
- ミキサーに1とレモン汁・はちみつ・水を入れる
- ミキサーで良く混ぜ、コップに入れる
- 氷を入れて完成
酸味が強い場合は、はちみつを追加してください。
普段の食事に上記のさっぱり・ひんやりとしたアイスやドリンクを追加して、足りない栄養を補給しましょう。なお、冷たいものの食べすぎや飲みすぎは、お腹がゆるくなる場合があります。お子さまの体調に合わせて摂取量を調節してください。
手作りを持ち歩こう! 外出時に冷たい差し入れをする際の注意
凍らせたアイスやシャーベットは、外出先で火照ったからだを冷やしてくれるため、熱い日の差し入れやおやつにおすすめです。保冷ボトルを活用したり、ジップロックに入れてクーラーボックスで保冷したりするなどし、持ち歩きましょう。
離乳食を作る際の小分けプレートや製氷皿、100円ショップで手に入るアイスバーなどで小分けにすると、外出先でも食べやすいです。外出先では、衛生面を考慮してなるべく早めに食べ切りましょう。
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体温調整が未熟な子どもは、大人に比べて熱中症のリスクが高いとされています。日頃からこまめな水分や塩分補給・栄養補給を心がけましょう。
今回紹介した手作りアイスやドリンクは、熱中症予防だけでなく、子どもが楽しく食べたり飲んだりできる工夫も盛り込んでいます。手作りレシピを取り入れて、楽しく栄養補給しながら、熱中症対策を心がけてみてください。
(参考)
*1 国立研究開発法人国立成育医療研究センター|熱中症(熱射病)
*2 サントリー |【意外と”子どもの熱中症”が多い5月より、「こども気温」啓発始動】実は、子どもは”汗っかき”ではない!”大人の6割しか発汗能力がなく、高温下では熱がこもりやすい”事実に着目し、大人の+7℃にもなる「こども気温」啓発を強化
*3 農林水産省|熱中症対策