芸術にふれる/アート/デザイン 2018.10.3

【プラス クリエイティブな生き方】 多様化のすすむ世の中で自分らしさを感じる大切さとは

【プラス クリエイティブな生き方】 多様化のすすむ世の中で自分らしさを感じる大切さとは

前回ご紹介した「ちびっこうべ」とは別に、個人的にも子ども向けのワークショップを行うことがあります。

よくやっているのは「きりえプリント」を使ったトートバッグづくり。ご家庭でも簡単にできるのでおすすめです。きりえプリントはアイロンをつかって布地に染色できるシートで、たくさんの色があり、ハサミやカッターを使って簡単に切ることができます。

このきりえプリントは子どもの年齢や能力によって表現できることが変わってくるのですが、今回は幼稚園児と一緒にできる内容で解説していきたいと思います

そして、クリエイティビティを伸ばすためにいちばん大切なことを考えてみましょう。クリエイティブを通じた子どもの「学び」と「成長」についてお話しします。

描く、切る、貼る が一度に体験できる

<準備するもの>
〇きりえプリント用紙(オンラインショップからご購入ください)
〇えんぴつ
〇はさみ(必要に応じてカッター)
〇無地のトートバッグ
〇アイロン
〇トレーシングペーパー(クッキングペーパーで代替可)

トートバッグでなくても、アイロンできる布ものであれば大丈夫です。Tシャツなども良いかもしれませんね。仕上げ時に色がきれいに見えるよう、もしくは白に近い薄い色のものを選ぶと良いでしょう。

<作り方>
まずは好きな色の用紙、色のついていない裏紙の方に好きな形を描きます。ハサミで切ることを考え、描写があまり細かくならないようにするのがポイントです。

何を描いていいかわからない~という場合は、例えば色からヒントを得て考えてみるのはどうでしょうか。赤ならりんご、緑は木、青はゾウ、といったように、子どもがアイデアをひらめきやすいように促してみましょう

また、丸や三角など単純な図形をたくさん描いて、後で組み合わせを考えるという方法も良いかもしれません。ちなみにうちの5歳児は、とにかくたくさん描いて、あとで選ぶ戦略のようです。

次に、描いた絵や図形をハサミで切ります。作業はなるべく子どもに任せて大人は見守ることに徹するのがいいですが、細かいところやカッターを使わなければいけないところは必要に応じて補助してください。大人のクリエイティビティ(?)を見せられる機会になるかもしれません。

形を切り終えたら布の上に並べましょう。用紙の色のついた面を下にしてアイロンをあてます。用紙がずれてしまわないように、横には動かさず上からぎゅーっと押さえつけるようにしてください。10~15秒程度あて終えたら、熱が冷めないうちに裏紙をはがしていきます。もちろん熱いので注意してください。

色を重ねる場合など、裏紙を剥がしたあともう一度アイロンを当てる際には、色が移ってしまわないようにトレーシングペーパーを間にはさみます。ご家庭にあるクッキングペーパーでも大丈夫です。

ということで、じゃん! できました。いかがでしょう。それなりのものができたでしょうか。長男いわく果物と野菜を表現したそうです。ちなみに奥のバッグは私がつくったものです。

慣れてくると、もっと細かい表現や、大作にすることだってできます。描くだけで終えず、切ったり貼ったりして加工するところまでをセットで体感できるので、ものをつくる楽しさが一度にたくさん味わえると思います。

このきりえプリントワークショップは体験された親御さんにとても好評で、幼稚園バッグのワンポイントにしたい、夏休みの自由制作にいいかも! と喜んでらっしゃいました。簡単にできるのでぜひおすすめです。

子どもの力を信用する

ワークショップを行うなかで、ついつい子どもの作業に口を挟んだり手を貸しすぎてしまう親御さんを見かけます。優しさからそうしてしまうのかもしれませんが、もう少し子どもの力を信用してあげて見守ってあげてほしいのです

この4回の記事でも一貫してお伝えしていることですが、やはり大人は子どものすることにどのように寄り添うかを考えることが大事だと考えます。クリエイティビティを伸ばすために大切なことは、この「信用する」ことに尽きるかもしれません

一生懸命につくった結果がうまくできなくても、失敗してもよいのです。むしろその方が学びが大きいとさえ思います。完成したもののクオリティよりも過程が楽しめるかどうかが大切です。

きっと自分の力でつくったものには愛着が生まれ、ものを大切に思う気持ちも育めるでしょう。クリエイティブを通じて学び成長できることはたくさんあるのです。

プラス クリエイティブな生き方を

これからますます多様化がすすむ世の中で、どこに自分らしさを感じることができるか。それはなにもクリエイターに限ったことではありません。

どんなことにでも創造性を持って取り組める「プラス クリエイティブ」な生き方の重要性や必要性はより高まっていくのではないでしょうか。常識にとらわれない自由な発想を持つ子どものうちに、たくさんのものをつくり出すことが、その成長にとって大きな役割を担うのだと私は考えます。

■ イラストレーター・サタケシュンスケさん 連載一覧
第1回:【絵の世界は自由】子どもの視点や考えを尊重し寄り添う事が大切
第2回:【つくる喜びを知る】子どものちからを伸ばせるときとは?
第3回:【クリエイターと地域が協力】子どもの創造力を育てる「ちびっこうべ」
第4回:【プラス クリエイティブな生き方】 多様化のすすむ世の中で自分らしさを感じる大切さとは

【プロフィール】
サタケシュンスケ(さたけ・しゅんすけ)
イラストレーター。京都造形芸術大学 非常勤講師。
1981年 大阪府生まれ 兵庫県在住
広告制作会社勤務を経て2007年に独立、以後フリーランスのイラストレーターとして活動を続ける。
主な仕事は広告、書籍等で使用するイラストレーションおよび
キャラクターの制作、モチーフは人物や動物が中心。
得意とするジャンルは子育てや教育、ファミリー向け。ライフワークとして子どもから大人まで楽しめるワークショップ活動も行う。
2014年度、2017年度 グッドデザイン賞受賞
Shunsuke Satake Illustration website https://naturalpermanent.com/