子どもに与える“おやつ”について、みなさんはどのようなイメージを抱いていますか? できればあまり与えたくない、添加物が気になる、糖分や油分の摂りすぎが心配、市販のものよりも手作りのものを食べさせたい……さまざまな意見があるかと思います。
そもそも、おやつは必要なのでしょうか?
親御さんご自身の子ども時代を思い出してみてください。
お母さんが作ってくれた手作りのおやつが楽しみではありませんでしたか?
お友だちが遊びに来てくれたとき、一緒に食べるおやつのおかげでお友だちとの距離がぐっと近くなったような気がしませんでしたか?
学校で嫌なことがあったとき、家に帰っておやつを食べていると、次第に温かい気持ちに包まれていませんでしたか?
おやつとともにあるのは、いつだって子ども時代の楽しくて幸せな記憶なのではないでしょうか。
しかし親の立場になってみると、どうしても子どもに与える食べ物に関しては神経質になってしまうもの。身体も心も健やかに育ってほしいと願う大人ならば当然です。
おやつは大事。
ただし、食べる量と食べる時間を守ってこそ楽しいおやつの時間につながるのだと私たちは考えます。そこで「食のまなび探検隊」は、カルビー(株)の出前授業「カルビー・スナックスクール」におじゃまして、子どもたちと一緒に「おやつの選び方・食べ方」を学んできました。
カルビー・スナックスクール、スタート!
今回おうかがいしたのは、東京都北区にある王子第三小学校です。3、4時間目にかけてスナックスクールを行います。チャイムと同時に3年生2クラスの元気な子どもたちが家庭科室に入ってきました。
9つの班に分かれて、緊張した面持ちで授業開始の合図を待ちます。
この日“カルビーおやつ隊”として授業を担当するのは、食育担当の森田さんと山田さん。元気よく挨拶を交わしたら、早速スナックスクールが始まります。
まずは、TVのモニターに映し出された「3つの約束」をみんなで確認します。
- ゲームの答えは一つにまとめよう!
- ルールは最後まで聞こう!
- 話を聞くときは静かに聞こう!
さて、子どもたちはこの約束を最後まで守ることができるでしょうか?
ここで子どもたちに問いかけます。
「みんなはなぜおやつを食べるのかな?」
おいしいから! お腹が空くから! みんな思い思いに答えます。
「そうだね、おやつっておいしくて食べてると楽しいよね。じゃあみんな、おやつを食べるとき、おうちの人に注意されたことある?」
子どもたちから出てくる答えは「食べ過ぎちゃダメ」「夕飯前に食べちゃダメ」……親であれば一度や二度、いえしょっちゅう子どもに注意していますよね。
ここでふと疑問が浮かびます。おやつの量、そして食べる時間帯、そもそも正解はあるのでしょうか。
「今日の授業で学ぶのは、みんながおうちの人から注意されていることです」
カルビーおやつ隊は、そう力強く答えてくれました。
ポテトチップスの適量は?
各班の机に置かれているボウル。その中にはみんなが大好きなポテトチップスが入っています。
「普段おやつのときに食べている量のポテトチップスはどれくらいかな? ひとりひとり違う量だと思うけど、班ごとに答えをまとめてね」
そう切り出すと、子どもたちは「僕はいつもこれくらい!」「え~!? 多すぎじゃない?」「もうちょっと減らそう」など、お友だちと楽しく話し合い始めました。
「答えがひとつにまとまったら、秤に乗せて重さを量りましょう。何グラムだったかな?」
各班に発表してもらうと、一番少ない班が15グラム、一番多い班が50グラムでした。
ここでエネルギーとカロリーについて、図を用いて説明します。車が走るのはガソリンのおかげ、一方人間は食べものや飲みもの、つまりエネルギー(カロリー)によって活動できます。そこで1日を10等分にして食事の量を割り当てると、おやつの目安として200kcalが算出されました。200kcalは、ポテトチップスだと35グラム相当です。だからちょうどいい量は35グラムだとわかります。
この説明に子どもたちはみんな納得した表情をしていました。実際に自分たちで答えを想定して量を決めたうえで説明を受けることで、行動と思考が結びつき、深い学びにつながったようです。
正しいおやつの量を理解したら、紙皿に乗せたポテトチップスが35グラムになるように調整します。そのとき「ひとり2枚ずつ食べてもいいよ~」と言われると、大喜びの子どもたちはとても嬉しそうにポテトチップスを頰張りました。
改めて見てみると、35グラムって意外と多いですね。子どもたちもそのように感じたらしく、「こんなに食べてもいいんだ!」と驚いた表情を見せていました。この経験を通して、“正しいおやつの量”のイメージが、子どもたちの身体と頭にしっかりと刻み込まれたことでしょう。
「3時のおやつ」って誰が決めたの?
次はおやつを食べる「時間」について。
さてここで質問。「おやつはいつ食べればいい?」
まるで答えが決まっているかのように子どもたちは答えます。
「3時!」
3時のおやつ。このフレーズはすっかり定着し、何十年もの間疑いもなく私たちは信じていますよね。
「ちょっと待って。みんな、毎日3時におうちに帰ってる?」
「……」
「そうだよね、学校が6時間授業のときは3時過ぎちゃうよね」
改めて言われてみるとその通り! 子どもたちだけではなく、私たち大人もハッとさせられた瞬間でした。では一体、何時に食べるのが正解なのでしょうか。
「おやつの時間の目安として、“ごはんの2時間前までに食べ終える”ことを覚えておいてください」
答えはとてもシンプルでした。夜7時に夕飯を食べるのなら夕方5時までに、お休みの日の昼食が昼の12時なら午前10時までにおやつを食べると、食事に響きません。これから子どもにおやつをあげるとき、食事の時間から逆算するといいかもしれないですね。
子どもたちも「なるほど!」としっかりと理解をしたようです。これから成長するにしたがって、自分でおやつの量や食べる時間を決めなければならなくなるでしょう。正しい知識を身につけていることで、子どもたちの食生活や食に対する意識、またおやつを食べる楽しみがより一層高まるはずです。
おやつの量・食べる時間についてしっかりと学んだあとは、約8分間のDVD鑑賞です。『ポテトチップスくんの自分探しの旅』というこのおはなし、畑でとれたじゃがいもが工場でポテトチップスになり、お店に届いてみんなの手に渡るまでの過程を、アニメ仕立てでわかりやすく解説してくれます。
子どもたちは先ほどまでの体験型授業の盛り上がりから一転、じっと食い入るように画面に集中し、ポテトチップスくんのおはなしを楽しんでいました。みんなで一緒に考えて課題に取り組む時間、手を動かして作業をする時間、じっと集中してDVDを観る時間、とメリハリのある授業の進め方によって、子どもたちは飽きずに授業を受けることができるのですね。
ここで休憩を挟み、後半戦に突入です。