2021.3.10

朝食の大切さを知りたい人必見!基本の食育を実践しよう

朝食の大切さを知りたい人必見!基本の食育を実践しよう

なぜ食育で朝食の大切さが重視されているか、ご存じですか? それは、朝の食事が体温を上げ、一日の身体リズムが整うことで、活動的になれるから。子どもたちの健康状態だけでなく、学力や運動能力に大きなメリットがもたらされるのです。

でも、食欲がない・時間がないなどの理由でお子さんが朝食をとらず、「朝食の大切さをわかってほしいのに」と悩む方も多いのではないでしょうか。朝食の大切さについて解説するとともに、朝食にとりたい栄養や、食育について学ぶ方法など、家庭の食育に役立つ情報をご紹介しましょう。

朝食の食育が大切な理由

食に関する正しい知識や健全な食習慣を身につけるための教育「食育」では、朝食の大切さが強調されています。食育基本法に基づき作成された「第3次食育推進基本計画」では、目標のひとつに「朝食を欠食する国民を減らす」が挙げられました。毎日朝食をとることは「基本的な生活習慣を身につける観点から非常に重要」であるためです。

朝食をとる習慣を子どもが身につけるには、家庭環境が特に重要だそうですよ。家庭での食育において、特に朝食が大事である理由を説明しましょう。

健康への影響が大きいから

朝食は、三食のうち最も大事と言っても過言ではありません。たとえば、朝食を抜くと便秘になりかねないそうです。医薬品や生活用品を扱うクラシエグループによると、その理由は以下のとおり。

朝食を抜くと、直腸や結腸反射、胃、大腸の反射という排便を促すシステムが正常に機能しないことから、腸が動かず便意が起こりません。このような状態が長く続くとだんだん便意を起こす自律神経の働きが鈍ってくるために、便意を感じにくくなり便秘が慢性化してしまうのです。

(引用元:クラシエ|便秘の原因は?|よくあるご質問 太字による強調は編集部が施した)

それに、朝食をとらないまま学校に行くと、勉強に集中できず、体もだるくて運動がつらくなってしまいますよ。脳や体を動かすエネルギーが不足しているためです。

管理栄養士の大島菊枝氏によると、脳は夜中も活動を続けるため、朝にはエネルギー不足の状態だとか。そこで、きちんと毎朝食事でエネルギーを取り入れることが大切になるのです。

東北大学加齢医学研究所所長で認知症予防などが専門の川島隆太氏によると、脳が活発に働くのは午前中なので、朝は主食とおかずをしっかり食べるべきだそう。効率的な勉強には、朝食が欠かせないのです。

家庭の影響が強いから

朝食の欠食には、家庭環境が大きく影響しているようです。文部科学省が2019年に行なった調査により、朝食について以下のことがわかりました。

子供の朝食摂取状況と保護者の朝食摂取状況との関係において、週1日以上欠食する子供は、保護者も朝食を欠食する習慣がある家庭であることが多い傾向がうかがえる。

(引用元:農林水産省|朝食を欠食する子供の割合 太字による強調は編集部が施した)

親が朝食をとらないと、子どもも朝食を抜くようになるのですね。つまり、子どもが朝食をとる習慣を身につけるには、朝ご飯を食べるのが家庭で当たり前になっていることが大切なのです。

内容が偏りがちだから

朝食はパンと牛乳で十分、という人は多いかもしれませんね。でも、それだけでは栄養バランスが偏ってしまいますよ。

長崎女子短期大学生活創造学科栄養士コースの講師で栄養指導を専門とする古賀克彦氏が、幼稚園児の保護者を対象に実施した2014年の調査をご紹介しましょう。園児は朝食で炭水化物およびカルシウムを十分に摂取できていたものの、タンパク質やビタミンが少なく、栄養バランスの偏りがみられたそうです。古賀氏は、調査結果を以下のようにまとめ、提言を行なっています。

「とにかく何かを食べること」、「主食をしっかり食べること」を重要視している保護者が多く見られた。朝食を意識的に摂取することは良いことだが、朝食の目的はエネルギー源となる炭水化物の摂取だけではなく、(中略)保護者等へ朝食に関する指導を行う際は、「朝食を食べること」だけではなく、子ども達に必要な栄養バランスを考慮した「朝食の質」にも重点を置く必要がある

(引用元:古賀克彦(2015),「幼稚園児保護者の朝食に関する意識調査」, 長崎女子短期大学紀要, 38号, pp.138-145. 太字による強調は編集部が施した)

古賀氏によると、幼児期の食習慣は、大人になってからの食習慣にも影響するそう。みなさんも、食育として朝食の大切さを意識し、栄養バランスのよい朝ご飯を用意して、お子さんの健康をサポートしてあげてくださいね。

食育における朝食の大切さ2

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朝食にとるべき栄養

先ほどは、家庭での食育における朝食の大切さや、栄養バランスの重要性に触れました。とにかく口に入れさえすればよい、というわけではないのでしたね。

前出の川島氏によると、朝食がご飯やパンなどの主食だけでは、力を発揮できないのだそう。理由を次のように説明しています。

神経線維がのびたり、電気を通しやすくしたり、神経細胞と神経線維がつながるシナプスという場所をつくったりするための材料が必要だからです。その材料は、肉や魚にふくまれる「たんぱく質」、バターや油などの「脂質」、野菜やくだものにふくまれる「ビタミン」や「ミネラル」など、すべての栄養です。

(引用元:川島隆太(2018),『読書がたくましい脳をつくる』, くもん出版. 太字による強調は編集部が施した)

MRI装置などを用いた実験により、主食だけではなくおかずと一緒に食べるほうが、脳が活性化して集中力が高まるとわかっているそうです。では、朝食にとるべき栄養を、具体的に紹介していきましょう。

炭水化物

医学博士の中原英臣氏によると、炭水化物は「一日をスタートさせる活力源」。朝食には必ず、パンやご飯などの炭水化物をとりましょう。脳は血液中のブドウ糖をエネルギー源とするので、ブドウ糖を多く含む炭水化物を朝にとれば、脳が活性化して体が目覚めます。

中原氏は、炭水化物について次のように説明しています。

1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーがあります。摂取すると、活動するエネルギーになるだけでなく、幸福感を感じたりリラックスするという効果があるのです。

(引用元:PHPオンライン衆知|朝食には必ず炭水化物(糖分)を!~医者がすすめる健康習慣 太字による強調は編集部が施した)

炭水化物だけでは不十分とはいえ、炭水化物が欠かせないことには変わりません。朝食には必ず、炭水化物を取り入れましょう。

【炭水化物を多く含む食品】

  • ご飯
  • パン
  • めん
  • いも
  • 果物
  • 砂糖
  • はちみつ

タンパク質

古賀氏の調査でわかったように、子どもの朝食には、卵・魚・肉などのタンパク質が不足しがち。「朝からお肉はちょっと……」「晩ご飯で食べているから大丈夫」と思うかもしれませんが、タンパク質は一日3回バランスよくとるのがおすすめなんですよ。アメリカの栄養士マドンナ・M・マメロー氏らによる2014年の研究では、タンパク質を夕食だけでなく朝も昼も同じようにとるほうが、筋肉を効率よく合成できるとわかっています。

そして、タンパク質が豊富な食材は、「トリプトファン」というアミノ酸も含みます。トリプトファンは、精神を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の材料です。

脳科学者の中野信子氏によると、セロトニンが不足すれば「気持ちがふさぎ気味で、何をするにもおっくう」になってしまうそう。中野氏は、セロトニンのもととなるトリプトファンの重要性を、次のように語っています。

トリプトファンは “必須アミノ酸” と呼ばれ、体内では合成することができません。(中略)つまり、セロトニンを合成するには、トリプトファンをきちんと食事で摂ることが必要になってきます。

(引用元:中野信子(2015),『あなたの脳のしつけ方』, 青春出版社. 太字による強調は編集部が施した)

中野氏によると、トリプトファンを摂取してからセロトニンが合成されるまで時間がかかるそう。そのため、夜だけでなく朝もタンパク質をとることで、セロトニンが不足しづらくなるわけです。

【トリプトファンを多く含むタンパク質の食品】

  • カツオ
  • レバー
  • パスタ
  • チーズ

ビタミン

ビタミンも、体の調子を整えるのになくてはならない栄養素。小学校での食育や給食管理の経験がある管理栄養士・小泉明代氏によると、エネルギー産生に必要不可欠な「ビタミンB群」が特に重要なのだとか。ビタミンB群が不足していると、せっかく炭水化物やタンパク質を摂取しても、体内でスムーズにエネルギーをつくれないのです。

ビタミンB群の不足によってエネルギーが足りなくなると、疲労・虫歯・皮膚炎といったデメリットも。炭水化物やタンパク質と合わせ、朝食に必ずビタミンを添えましょう。

【ビタミンB群を多く含む食品】

  • ビタミンB1→豚肉、レバー、豆、はい芽米、玄米
  • ビタミンB2→レバー、ウナギ、卵、納豆、乳製品、モロヘイヤ、ほうれん草
  • ビタミンB6→カツオ、マグロ、レバー、肉、バナナ
  • ビタミンB12→カキ(貝)、レバー
  • ナイアシン→タラコ、魚、肉
  • パントテン酸→レバー、納豆、サケ、イワシ、肉、卵
  • 葉酸→レバー、枝豆、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリー、いちご
  • ビオチン→レバー、卵、大豆、牛乳、ナッツ、アサリ

ミネラル

カルシウム・リン・カリウムなどのミネラルも、体の臓器や組織をスムーズに働かせるのに必要です。しかし、体のなかでつくれないため、食べ物から摂取しなければいけません。

大阪市立大学大学院生活科学研究科の教授で公衆栄養学が専門の由田克士氏によると、ミネラルの摂取は多すぎても少なすぎてもよくなく、バランスが大事だそう。

不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。(中略)ミネラルは、互いに吸収や働きに影響をあたえ合うことがあるため、バランスよく摂ることが求められます。

(引用元:e-ヘルスネット|ミネラル 太字による強調は編集部が施した)

ミネラルが不足すると、骨の発達が悪くなり、免疫力が落ち、疲労感や貧血などさまざまな症状が現れてしまいます。朝食には、牛乳やワカメのお味噌汁など、ミネラルも添えてくださいね。

【ミネラルを含む食品】

  • カルシウム→小魚、乳製品、ほうれん草、ヒジキ、海藻、ナッツ
  • 亜鉛→カキ(貝)、牛肉、卵、ナッツ
  • カリウム→コンブ、ヒジキ、緑黄色野菜、ナッツ
  • 鉄→レバー、緑黄色野菜、ヒジキ、卵黄

朝食に必要な栄養として、炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラルを紹介しました。これらの栄養を朝食に取り入れるコツについては、「子ども向け朝ごはんメニュー、シンプルな2パターン。」をご参照ください。

お子さんの食育の一環として、まずは親御さんから、朝食の大切さに目を向けてみてくださいね。

食育における朝食の大切さ3

食育の大切さをもっと知るために

ご家庭での食育と、朝食の大切さについて説明してきました。食育についてもっと知りたくなった方のため、ヒューマンアカデミーの「食育スペシャリストパーフェクト講座」をご紹介しますね。

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【メニュープランニング】

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  • 集中力や記憶力を向上させる、魚のメニューづくり など

 
【食育情報の収集と発信】

  • 信頼できる食育情報を収集する方法
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子どもが健全な食習慣を身につけるには、家庭での食育が大事なのですね。本記事を参考に、朝食の大切さについて、お子さんと考えてみてください。

文/上川万葉

(参考)
川島隆太(2018),『読書がたくましい脳をつくる』, くもん出版.
中野信子(2015),『あなたの脳のしつけ方』, 青春出版社.
農林水産省|食育の推進に向けて~食育基本法が制定されました~
農林水産省|農林水産省/朝ごはんを食べないと?
厚生労働省|第3次食育推進基本計画
農林水産省|朝食を欠食する子供の割合
クラシエ|便秘の原因は?|よくあるご質問
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@DIME|ビタミン、ミネラル、食物繊維、管理栄養士に聞くイマドキの子どもの不足しがちな栄養素と摂取方法
古賀克彦(2015),「幼稚園児保護者の朝食に関する意識調査」, 長崎女子短期大学紀要, 38号, pp.138-145.
Mamerow, Madonnna M., Joni A. Mettler, Kirk L. English, et al. (2014), “Dietary Protein Distribution Positively Influences 24-h Muscle Protein Synthesis in Healthy Adults,” The Journal of Nutrition, Vol. 144, No.6, pp.876-880.
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