子どもの朝食は、パンというご家庭も多いのではないでしょうか?パンはそのままで食べられるため、忙しい朝の救世主となります。しかし、パンだけでは栄養が不足しやすいため、タンパク質やカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれた食材を組み合わせるのがおすすめです。
今回は、朝食にパンを食べる方へ向けて、おすすめの食べ方やレシピを紹介します。簡単な取り組みで少しでも栄養価の高い朝ごはんにしましょう!
ライタープロフィール
管理栄養士
約8年間保育園で献立作成や給食づくり、栄養相談に携わる。とくに食育活動に力を入れ、「食を楽しく学ぶ」「食に興味をもつ子を育てる」をテーマに0歳から5歳の年齢に合わせた指導を実施。アトピーや運動誘発性小麦アレルギーの発症、2年間のイギリス生活などを経て、現在は執筆活動をメインに食と健康に関する情報を発信している。
目次
朝食は欠食せずにしっかり食べましょう!
朝食を食べる習慣は、睡眠や学力によい影響を与えます。
幼児や中学生、成人を対象とした研究では、朝食を食べる人は睡眠の質がいい人が多く、不眠傾向の人が少ない結果が報告されています。また、中学生を対象とした研究では、朝食を食べる人は食べない人に比べて学力が高い(学校の成績・学力テストの点数が高い)ことが報告されています。*1
対して、朝食を毎日食べない子どもは朝食を毎日食べる子どもと比べて、イライラとした感情が「いつもある」「よくある」「時々ある」と回答する割合が高いことも判明しました。*1
朝食は子どもの睡眠や学力の質、心の状態を安定させるために欠かせない習慣です。
とくに、幼児期と呼ばれる1歳から6歳ごろの期間は、食生活の基礎ができる大切な時期です。朝食欠食の割合は、年齢が上がるにつれて増える結果が報告されているため、小さい頃からの習慣が大切です。*2
トーストの具材選びのポイントは「ビタミンC」「鉄」「食物繊維」
女子大生1,700人の朝食の主食と栄養摂取量を比較した研究では、毎日ごはんを食べる人は毎日パンを食べる人に比べて、ビタミンC・鉄・食物繊維などの摂取量が多いことがわかっています(※3)。つまり、パンを習慣的に食べる人は、ビタミンC・鉄・食物繊維などを積極的に食べる必要があります。
上記を踏まえて、パンを習慣的に食べる人が積極的に摂るべき栄養素と食材を以下の表にまとめました。
トーストの具材で注目したい栄養素
💪 たんぱく質
主な働き:筋肉や骨の維持 *4
トーストの食材例:卵・ツナ・しらす・カニカマ・肉類など *5
🦴 カルシウム
主な働き:筋肉の収縮や神経を安定させる、骨粗しょう症の予防 *6 *7 *8
トーストの食材例:チーズ・きな粉・しらす・小松菜など
🩸 鉄
主な働き:酸素の運搬、貧血予防
トーストの食材例:卵・納豆・ほうれん草・プルーン・おからなど *9
🌱 食物繊維
主な働き:便秘予防、免疫力の向上
トーストの食材例:ブロッコリー・プルーン・きな粉など
🍊 ビタミンC
主な働き:皮膚や粘膜の健康維持 *10
トーストの具材例:パプリカ・ピーマン・小松菜・オレンジ・キウイなど *11
不足しがちな栄養素を積極的に取り入れて、子どものからだづくりを支えましょう!
【時短重視】子どもの朝ごはんにおすすめ! 簡単トーストレシピ5選
忙しい朝には、簡単につくれるトーストレシピが大活躍します。ここでは、大人・子ども問わず食べやすいトーストレシピを5つ紹介します。
1. 一滴の醤油が決め手! 和風じゃこトースト
カルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれた小魚のトーストです。海苔にはミネラルが含まれています。
・食パン 2枚
・じゃこ(しらす) 10g ……【た】【カ】
・マヨネーズ 大さじ1
・醤油 1滴
・刻み海苔 適量
1. しらすに熱湯をかけ、塩抜きをする
2. しらすの水気をさっとふき取り、マヨネーズ・醤油と混ぜ合わせる
3. 食パンに2を塗る
4. 細かく切った海苔を2にかける
5. トースターで2~3分焼く
カリカリに焼くとおつまみ感覚で食べられます。大人はワサビを足してアレンジするのもおすすめです。写真は、食べやすさに配慮し、刻み海苔をさらに刻んでいます。お好みに合わせて調節してください。
2. 野菜たっぷり! ピザトースト
トマトは加熱することでリコピンの吸収率が増します。カラフルな見た目が食欲をそそる一品です。
・食パン 2枚
• ケチャップ 大さじ1
• すりおろしにんにく 1g
• ハム 2枚……【た】
• ミニトマト 3個……【食】【ビ】
• ピーマン 1個……【ビ】
• コーン 15g……【食】
• スライスチーズ 2枚……【た】【カ】
1. ケチャップ・にんにくを混ぜ合わせる
2. 食パンに1を塗る
3. ハム・ミニトマト・ピーマンを好きな大きさに切る
4. 2に刻んだハム・ミニトマト・ピーマンとコーンをのせる
5. トースターで2分焼く
6. チーズをトッピングする
7. 再度トースターで1~2分焼く
バジルソースやバジルの葉をトッピングすれば、さらに美味しさが増します。
3. スパイシーな香りが食欲をそそる! ツナとコーンのチーズカレートースト
たんぱく源のツナと食物繊維が豊富なとうもろこしをトッピングします。にんにくの味を少し効かせて、食欲の増す一品に仕上げました。
・• 食パン 2枚
• ツナ 35g……【た】
• コーン 15g……【食】
• マヨネーズ 大さじ1
• カレー粉 小さじ1/4g
• ピザ用チーズ 15g……【カ】
• パセリ 適量
1. ツナ・コーン・マヨネーズ・カレー粉を混ぜる
2. 食パンに1を塗る
3. 2にピザ用チーズを乗せる
4. トースターで2~3分焼く
5. パセリを振りかける
採れたてのとうもろこしを使えば、より甘みが際立ちます。大人はコショウをかけるのもおすすめです。
4. 砂糖不使用でも甘さ十分! ココア×きな粉のバナナトースト
ココアを使ったチョコバナナ風のトーストです。きな粉を混ぜることで、タンパク質が補給できます。また、バナナは加熱すると、甘みだけでなく腸内の善玉菌のエサとなるオリゴ糖も増えるのがポイントです。
• 食パン 2枚
• バナナ 50g……【食】
• 牛乳 大さじ1……【た】
• ココア 大さじ1……【食】
• きな粉 大さじ1……【た】【食】
• はちみつ小さじ1/2
1. バナナは食べやすい大きさに切る
2. 牛乳・ココア・きな粉・はちみつを混ぜ合わせる
3. 2をパンに塗る
4. バナナをトッピングする
5. トースターで2~3分焼く
お好みではちみつをかけてください(分量外)。
4. 魔法の粉が隠し味! クリームチーズとプルーンのトースト
たんぱく質・カルシウムが豊富なクリームチーズと、鉄分・食物繊維が豊富なプルーンのトーストです。隠し味にアーモンドパウダーを使用することで、美味しさと栄養価の満足度が一気に上がります。
・食パン 1枚
・クリームチーズ 25g ……【た】【カ】
・ドライプルーン 15g ……【鉄】【食】鉄
・アーモンドパウダー 小さじ1/2
・はちみつ 2g
1. ドライプルーンは細かく刻む
2. クリームチーズ・アーモンドパウダー・はちみつを混ぜ合わせる
3. 2にドライプルーンを入れ軽く混ぜ合わせる
4. 食パンに2を塗る
5. トースターで2~3分焼く
ドライプルーンを混ぜ合わせると食べやすく、トッピングすればクリームチーズの白さとドライプルーンの存在感が際立ちます。お好みでアレンジしてみてください。
冷凍ストックすれば忙しい朝も準備ラクラク!
焼く前の状態で冷凍しておけば、朝トースターで焼くだけですぐに朝食の準備が済ませられます。トーストの冷凍は、以下の手順でおこないましょう。
- パンに具をトッピングする
- 1枚ずつラップで丁寧に包む
- ジップロックや食パン専用の保存袋などに入れ冷凍する
冷蔵庫の急速冷凍モードを使ったりアルミトレーに乗せたりすれば、冷凍までの時間を短縮でき、普通に冷凍するよりも美味しさが保てます。解凍時は、冷凍状態のままトースターに入れて10分を目安にじっくり焼きましょう。
トーストにプラス! 簡単に栄養価を上げるコツ
以下の方法も取り入れることで、さらに栄養価の高い朝食が完成します。
①米粉や全粒粉のパンを選ぶ
食物繊維を摂ると消化吸収が緩やかになるので、ライ麦や全粒粉のパンは、通常の白い食パンに比べて食物繊維が豊富に含まれています。
また、お米で作られたパンは、GI値が低く小麦のみで作られた食パンに比べて緩やかに消化吸収がされます。腹もちがよくからだに優しいのが特徴です。
その日の気分や体調に合わせて全粒粉や米粉パンを試してみてください。
②前日のスープにちょい足しアレンジをする
前日のスープを多めに作り、冷蔵庫で保存しておきましょう。朝はそのまま温めるか、たんぱく源となるカニカマや卵などをプラスすれば、より栄養価の高い朝食になります。
③デザートで栄養バランスをUPする
ヨーグルトやフルーツを添えて、もう1品増やしてみましょう。とくに、フルーツは、トーストや汁物で摂りきれないビタミンの補充ができます。フルーツなどに含まれるビタミンCは、鉄分の吸収をよくしてくれる働きがあります。
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朝食にパンを食べる習慣がある方は、ぜひ今回紹介したレシピを試してみてください。ちょっとした工夫で栄養価の高い朝ごはんが作れます。忙しい朝でも、子どもたちが笑顔で一日をスタートできるよう、美味しくて栄養満点のトーストでの健康をサポートしましょう!
(参考)
*1 農林水産省|朝食を毎日食べるとこんないいことがあるの?
*2 子ども家庭| 一日のはじまりに みんなで食べよう朝ごはん
*3 農林水産省|みんなの食育
*4 厚生労働省|タンパク質
*5 消費者庁|たんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよくとる
*6 農林水産省|カルシウムを積極的に
*7 独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院|カルシウム/大豆・ごま
*8 独立行政法人農畜産業振興機構|成分別野菜ランキング
*9 国立がん研究センター|資料①『鉄の豊富な食品と吸収率』
*10 農林水産省|ビタミン
*11 国立がん研究センター|資料②『ビタミンCの豊富な食品』
*12 J-Stage|生体における鉄の吸収動態とビタミンCの関係