朝は仕事の準備と子どもの支度で忙しく、時間に追われながら過ごす方が多いのではないでしょうか。忙しいなかで食事の準備がなかなかできない、ゆっくりと朝ごはんを食べる時間がないという方もいるかもしれません。
朝ごはんは、一汁三菜を揃えるのがベストですが、毎日完璧な朝ごはんを準備するのは大変です。そこで、おすすめなのが「おにぎり」です。片手で食べられるおにぎりは、大人も子どもも食べやすく忙しい朝にぴったりの食べ物です。
今回は、朝ごはんにおすすめのおにぎりメニューを紹介します! 子どもと一緒に食べやすいレシピを揃えたので、ぜひつくってみてください!
ライタープロフィール
管理栄養士
約8年間保育園で献立作成や給食づくり、栄養相談に携わる。とくに食育活動に力を入れ、「食を楽しく学ぶ」「食に興味をもつ子を育てる」をテーマに0歳から5歳の年齢に合わせた指導を実施。アトピーや運動誘発性小麦アレルギーの発症、2年間のイギリス生活などを経て、現在は執筆活動をメインに食と健康に関する情報を発信している。
目次
朝ごはんに「おにぎり」がぴったりな理由
子どもが午前中の活動に集中できなかったり、疲れやすかったりすることはありませんか? もしかしたら、朝食欠食によるエネルギー不足かもしれません。
朝ごはんにおにぎりを食べると、活動時に必要なエネルギーを蓄えることができます。
理由は、おにぎりに使用するごはんには、脳のエネルギー源となるブドウ糖が豊富に含まれているためです。朝食にしっかりとごはんを食べることで脳にエネルギーが回り、集中力や記憶力のアップが期待できるからです。*1
そして、健康的な生活にはからだのリズムを整えることが重要ですが、整えるためには運動や睡眠だけでなく、十分な食事も欠かせません。
とくに幼児期と呼ばれる1歳から6歳ごろの期間は、食生活の基礎を組み立てる大切な時期です。朝食を食べる習慣は、小さい頃からの積み重ねが重要となります。*2
忙しい朝は片手でパッと食べられるおにぎりで朝食欠食を回避しながら、食事のリズムを整えていきましょう。
おにぎりの栄養素――具材選びのポイント
おにぎりは具材を工夫すれば、栄養バランスが整えられるのも大きなメリットです。おにぎりの具材で注目したい栄養素は、主に以下のものがあります。
おにぎりの具材で注目したい栄養素
💪 たんぱく質
主な動き:筋肉や骨の維持 *3
おにぎりの具材例:たまご・大豆・鮭・しらす・えび・さば・肉類など
🦴 カルシウム
主な動き:筋肉の収縮や神経を安定させる、骨粗しょう症の予防. *4
おにぎりの具材例:チーズ・小松菜・切干大根・ひじき・さくらえびなど
🩸 鉄
主な動き:酸素の運搬、貧血予防 *5
おにぎりの具材例:たまご・あさり・納豆・小松菜・ほうれん草など
🌱 食物繊維
主な動き:便秘予防、免疫力の向上 *6
おにぎりの具材例:ひじき・切干大根・人参・ブロッコリーなど
カルシウムや鉄などの不足しがちな栄養素を積極的に取り入れて、子どものからだづくりを支えましょう!
忙しい朝のラクラクおにぎり活用術
朝忙しいなかでも、継続的におにぎりづくりを続けるためには「いかに準備を簡単にするか」がカギです。
たとえば、冷凍野菜を使えば包丁不要ですぐに作れます。はさみで刻むのもおすすめです。また、おにぎりを大量につくって冷凍しストックを用意しておけば、レンジで温めるだけですぐに食べられます。
おにぎりを冷凍する際は1つずつラップで包み、まとめてジップロックに入れましょう。アルミやステンレスなどの金属製バッドに乗せて冷凍すれば、冷凍にかかる時間を短くでき、美味しさを保ったまま冷凍が可能です。
【時短重視】子どもの朝ごはんにおすすめ! 簡単おにぎりレシピ5選
忙しい朝には、簡単につくれるおにぎりレシピが大活躍します。ここでは、簡単につくれるおすすめおにぎりレシピを5つ紹介します。お時間があるときに、ぜひお子さまと一緒につくってみてください。
1. 骨づくりをサポート! カルシウムおにぎり
しらすはカルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富に含まれています。フライパンやトースターで焼くのもおすすめです。
・ごはん 150g
・ミックスチーズ 10g ……【た】【カ】
・しらす 12g ……【た】【カ】
・醤油 2g
1. ボウルにチーズ・しらす・醤油を入れて混ぜ合わせる
2. 1に温かいごはんを加えてよく混ぜる
3. ラップで包んで成形する
しらすの塩分量で塩加減が変わるため、味をみながら調整してください。
2. 鉄分補給! 菜飯おにぎり
不足しがちな鉄分を補給できる小松菜は、アクが少なく短時間の調理でもおいしく食べられる野菜です。ツナの旨みを活かせば、野菜が苦手な小さなお子さまでも食べやすくなります。
・ツナ(油漬)15g ……【た】
・小松菜 1/2束(15g)……【カ】【鉄】
・白いりごま 小さじ2 ……【食】
・鶏ガラスープのもと 小さじ1/2
・醤油 2g
1. 洗った小松菜は細かく切り、耐熱ボウルに入れる
2. 1にふんわりとラップをし、電子レンジで温める(500w1分)
3. 2に白いりごま・鶏ガラスープのもと・醤油・ごはんを加えてよく混ぜる
4. ラップに包んで成形する
冷凍小松菜を使えば洗う手間が省け、はさみで切れば包丁不要です。大人はコチュジャンを足して、少しピリッとさせるのもおすすめです。
3. たんぱく質を補う! きつねおにぎり
油揚げを噛むほどに甘辛い味が口いっぱいに広がります。おやつにも活用できるおにぎりです。
・ごはん 150g
・油揚げ 30g ……【た】
・小口ねぎ 5g ……【食】
・醤油 小さじ1
・砂糖 大さじ1(小さじ2)
・水 大さじ2(大さじ1)
・顆粒和風だし 小さじ1/2
1. 油抜きをした油揚げと小口ねぎを細かく刻む
2. 耐熱ボウルに1と醤油・砂糖・水・顆粒和風だしを入れて混ぜる
3. 2にふんわりとラップをし、電子レンジで加熱する(500w2分)
4. 3にごはんを入れてよく混ぜる
5. ラップで包んで成形する
冷凍の油抜き不要の油揚げを活用すると、時短でつくれるのでおすすめです。
4. 疲労回復を助ける! さば梅おにぎり
DHAやEPAを持つ良質タンパク質のさばとクエン酸の豊富な梅干しでつくるおにぎりです。めんつゆを使えば、手間がかかりません。
・ごはん 150g
・さば缶 50g ……【た】【カ】【鉄】
・梅干し 1個
・白ごま 小さじ1……【食】
・めんつゆ(4倍) 小さじ1
1. 梅干しは種を取る
2. ボウルに1とさば缶を入れてほぐす
3. 2にごはん、白ごま、めんつゆを入れて混ぜる
4. ラップで包んで成形する
お子さまの好みに合わせてはちみつ梅で代用したり、野菜を混ぜたりなどアレンジするのもおすすめです。
5. カラフルエビのピラフ風おにぎり
ブロッコリーにはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは鉄分の吸収をサポートしてくれるため、積極的に摂りたい栄養素です。
・エビ 50g ……【た】
・茹でブロッコリー 20g ……【食】
・コーン 10g
・バター 5g
・コンソメ 小さじ1/2
1. エビを電子レンジで加熱し、はさみなどで細かく刻む(500W30秒から1分)
2. 1にごはん・ブロッコリー・コーン・バター・コンソメを加えてよく混ぜる
3. ラップで包んで成形する
冷凍ブロッコリーを使えば、下処理がラクになります。
おにぎりにプラス! 簡単に品数を増やすコツ
以下の方法も取り入れることで、品数を簡単に増やすことができます。
1. 前日の味噌汁を朝食に活用する
前日の汁物を少し多めに作っておき、冷蔵庫で保存しておきましょう。朝はそのまま温めるか、たんぱく源となる卵や豆腐などをプラスすれば、より栄養価の高い朝食になります。
2. デザートで栄養バランスをUPする
ヨーグルトやフルーツを添えて、もう1品増やしてみましょう。とくに、フルーツは、おにぎりや汁物で摂りきれないビタミンの補充ができます。
フルーツなどに含まれるビタミンCは、鉄分の吸収をよくしてくれる働きがあります。*7
たとえば、たんぱく質入りのおにぎりには、食物繊維が豊富な切干大根の味噌汁を合わせるのがおすすめです。鉄分豊富な小松菜おにぎりには、オレンジを添えると鉄分の吸収がアップします。
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白いごはんにちょっと工夫をするだけで子どもの食べ進みがよくなることがあり、「見た目の美味しさ」も大切な食育の1つなのだと日々感じています。
朝のおにぎりで、子どもたちの笑顔が少しでも増えればいいなと思います。
そして子どもの栄養はもちろん、親であるお父さんお母さんが健康でなければ家庭は回りません。ぜひ、朝ごはんはみんなで揃っておにぎりを食べる時間をつくってみてはいかがでしょうか?
(参考)
農林水産省|子どもの食育
子ども家庭庁|一日のはじまりに みんなで食べよう朝ごはん
消費者庁|たんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよくとる
農林水産省|大切な栄養素カルシウム
国立がん研究センター|資料① 『鉄の豊富な食品と吸収率』
国立がん研究センター|―治療中も“おいしく食事を楽しみたい”―第 11 回「上手に使おう食物繊維-便秘・下痢があるとき-」
J-Stage|生体における鉄の吸収動態とビタミンCの関係