教育を考える/体験/食育 2018.7.28

包丁は本物を。熱の危険は“温度体験”で覚える。『冷や奴のカリカリじゃこのせ』【夏休みの自由研究(家庭科)】

編集部
包丁は本物を。熱の危険は“温度体験”で覚える。『冷や奴のカリカリじゃこのせ』【夏休みの自由研究(家庭科)】

モンテッソーリ教育理論をベースにした『親子料理教室こどもキッチン』主宰・石井由紀子先生の夏休み自由研究企画第2弾は、ステップアップ編です。

料理体験は五感をフルに使います。想像力や探究心などさまざまなチカラを得ることができるでしょう。また夏休みの自由研究として、料理レポートを提出することで、子どもたちの「できた!」を見える化することができますよ。

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台所仕事をスタートした子どもたちはやがて、料理には欠かせない「刃物」や「火」をチャレンジしたがるようになります。「切りたい!」「炒めたい!」そんな我が子の声がきこえたら、セカンドステップに進みましょう。

和食に欠かせない食材の豆腐。実は、「買ってきて、そのままお皿にのせ、食材に出してよし」という食品は、世界でも類がなくかなり珍しいのだそうです。セカンドステップでは、そのまま食べておいしい豆腐を、手を加えて全く違うおいしさのお料理に変身させちゃう魔法を使いましょう。

暑い夏の食卓が、おいしい驚きに包まれます。自分で手を加えたからこそ、一層おいしくなる。これこそ「料理」の醍醐味ですよね。畑の肉と言われる「大豆」のたんぱく質、「ちりめんじゃこ」のカルシウム、野菜も加わり栄養価アップ! 食欲が落ちがちな暑い夏にも、ご飯が進むおいしいおかずを我が子が自分の手でつくってくれたなら、とってもハッピーな気持ちになります。

文・レシピ/石井由紀子

『冷や奴のカリカリじゃこのせ』を作ってみよう!

<使う道具>
包丁、まな板(すべり止めマットかぬれふきん)、フライパン、コンロ、さいばし、スプーン、計量スプーン

<材料> 2人分
・豆腐 ・・・1丁(250g)
・ブロッコリースプラウト ・・・適量
・レモン ・・・適量

★かりかりじゃことねぎのしょうゆソース
 ・ちりめんじゃこ ・・・20g
 ・うすあげ   ・・・10cm×5cm程度
 ・青ねぎ ・・・1本
 ・しょうが ・・・1かけ
 ・しょうゆ ・・・大さじ1
 ・ごま油 ・・・大さじ1

<つくり方>
A:かりかりじゃことねぎのトッピングをつくる
1)青ねぎは小口切りにする。しょうがはすり下ろしておく
2)うすあげは5mm角に切り、ちりめんじゃことともにフライパンに入れ、弱火でこげないように、さいばしで混ぜながら、から煎りする
3)うすあげがカリカリしたら火を止め、ごま油、しょうゆ、しょうが、青ねぎを加えて全体をよく混ぜる

B:盛りつける
1)ブロッコリースプラウトの根を切って、水をはったボウルに入れ、種を取り除いておく
2)豆腐をスプーンですくい、器に盛り込む
3)1)のスプラウトを飾り、かりかりじゃことねぎのトッピングを盛りつけ、レモンを添える

<自由研究のまとめ方>
1. 選んだ理由--どうしてこの料理をつくろうと思ったのか
2. 料理について--メニュー、材料や道具についての説明
3. つくり方--つくり方の説明
4. まとめ--上手にできたところや、失敗してしまったことなどをまとめる
5. 感想--つくってみて感じたことや、次回の目標などをまとめる
☆作業工程や完成品はぜひ写真(イラスト)を使って表現しましょう

安全のために大切な包丁の選び方

「子どもがやりたがるとき」が、包丁スタートのサインです。こどもの包丁スタートの前に、安全のためにみておくべき大切なポイントが2つあります。

1)包丁を使うための<身体能力>が、子どもに備わっている
2)包丁は「本物」を使う

まずは、運動能力としての「握る」「包丁を動かす」ができるかどうかをチェックしてください。そして、「よく切れる」のが本物の包丁です。

「ケガをしないように」と考えて、子ども用の刃先がギザ刃になっている、刃を触っても指が切れることのない包丁を使わせる方がいます。ところが、これのおかげで「包丁というものは、刃を触っても切れないのだ」と、子どもは体で学びます。そうした子どもは、教室でよく切れる包丁を扱うとき、平気で刃を触ろうとします。悪気はなくて、無意識のうちに危険とも思わずに刃を触ります。

一方で、家で「よく切れる本物の包丁」を使っていた子どもは、むやみに刃を触ろうとはせず、慎重に扱います。また、よく切れると調理がとてもしやすいです。道具が全て教えてくれます。子どもの安全のために、本物の、よく切れる、そして、子どもの手のサイズに合う包丁を準備しましょう。【小学生親子クラス】では、台所育児の包丁を使っています。子ども専用でよく切れるのでおすすめですよ。

“温度体験”で「熱」の危険を体で覚える

火を扱う体験は小学生までにぜひスタートしましょう。体験がないと大人になっても引火の危険が察知できず、火のそばに「紙」をおいても平気になったりして、かなり危険です。

自宅がIHで火を扱う体験のなかった27歳女性は、火をみることすら恐くてできません。普段は電化製品で大丈夫でも、いざ、地震など災害で避難生活を余儀なくされるとき、電気の恩恵にあずかれないとき、暖をとったり調理したりするのに、「火」は欠かせない存在です。カセットコンロやキャンプでの直火調理、ろうそくや花火に火をつける、など折に触れて体験をぜひ

やけどを防ぐ観点からは、「熱さ」を「温度体験」してもらいます。熱い鍋の「ふた」を開けてしばらくしたら、最初は鍋から50cm上に手をかざすと、ほんのり熱い。そこから少しずつ手を下げていくと、熱さが増します。そして「鍋に指をつけたら、熱くてヤケドするから触らないでね」というと、子どもは「さらに熱いんだ」と想像して触ろうとはしません。そして、鍋のどこを持つか、どこは触らないかも実際の鍋で伝えます。

安全のために、「火の点火」については「火をつけたり消したりするのは〇歳になってから」「大人と一緒に」などルールを設定します。家族でルールを守って安全に調理を。

【プロフィール】
石井由紀子(いしい・ゆきこ)
親子料理教室こどもキッチン主宰。子ども台所仕事研究家。神戸市出身。神戸大学教育学部卒業後、企業にて営業・企画に携わる。出産後、復職しての仕事のかたわら、モンテッソーリ教育の養成コースに学び、教員ディプロマを取得。「台所仕事から子どもの自立をつくる」をテーマに親子料理教室「こどもキッチン」を2008年にスタートした。大阪万博の年生まれ。
【こどもキッチン おとなもこどもも育つほんまもんの場所】


こどもキッチン、はじまります。(太郎次郎社エディタス)
石井由紀子 著、はまさきはるこ 絵
太郎次郎社エディタス(2017)

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小学校1年生に協力をしてもらい、編集部でも実際に作ってみました。意外に苦戦していたのは、青ネギの小口切り。青ネギの上に乗せた猫の手を、うまく移動できなかったようです。また、うすあげを炒めるときのフライパンの熱に驚いていました。やはり何ごとも経験が大切です。「あまり好きじゃない……」というネギを食べられたそうなので、食育の観点からも料理は二重丸ですね!