2023.7.14

親の自己肯定感を高める3つの方法。 “コレ” をすれば「私なんて」が手放せる!

編集部
親の自己肯定感を高める3つの方法。 “コレ” をすれば「私なんて」が手放せる!

「子どもの自己肯定感を高めるにはどうしたらいい?」
「勉強でもスポーツでも、成功をつかむには自己肯定感が必要不可欠」
「能力はあるのにうまくいかないのは自己肯定感が低いせい」

ここ数年で、 “自己肯定感” という言葉はすっかり定着しました。とりわけ子育てをしていると、あらゆる場面で「わが子の自己肯定感」について意識せざるをえなくなり、「うちの子の自己肯定感が低いのは、親である私のせいかもしれない」と思い悩む親御さんも増えているようです。

そこで今回は、子どもの自己肯定感に直結する「親の自己肯定感」についてじっくり考えていきます。

子どもの自己肯定感と親の自己肯定感には相関関係がある

みなさんは、「自分は自己肯定感が高い」と思いますか? 日本人は欧米人に比べて、その国民性から自己肯定感が低めであることは以前から指摘されています。(参考:我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度))まわりを見渡しても、「いえいえ、私なんて」と謙遜する人や、自己主張をするよりも他人に配慮して遠慮する人のほうが多いのではないでしょうか。

しかし、子どもの前で「私なんて……」と言いすぎている人はちょっと注意が必要かもしれません。なぜならば、親の自己肯定感と子どもの自己肯定感は、切っても切り離せない強い力によって結びついているからです。

『世界最強の子育てツール SMARTゴール 「全米最優秀女子高生」と母親が実践した目標達成の方法』(祥伝社)の著者・ボーク重子氏は、「おうちのかたが、自分にダメ出しばかりして自分への評価が低いと、同じように子どもを見てしまいますし、さらに子ども自身も自分のダメなところばかりを見てしまい、自己肯定感を低めて」しまうと指摘します。(カギカッコ内引用元:ベネッセ教育情報|親の自己肯定感が低いと子どもはどうなる?ボーク重子さんに聞く! これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方~Lesson2 自己肯定感

親のネガティブな言動から、知らず知らずのうちに強い影響を受けてしまう子どもたち。医学博士の高橋孝雄氏は、親の自己肯定感の低さが、子どもに影響していく過程を次のように説明しています。

たとえば、ママやパパが「私はダメな人間だ」と自己肯定感が低い考え方をしていると、それは言葉に表れ、その言葉を繰り返し吐くことで「ダメな人間」として行動するようになり、それが習慣となり、やがて性格となり、ネガティブな運命を選択するようになる。
そのような生き方をしている親に育てられたら、子どもの自己肯定感が低くなってしまうのは、当然といえるのではないでしょうか。

(引用元:たまひよ|親の自己肯定感が低いと、子どもにも影響が、まず親から高めることを【小児科医】

親子ともに自己肯定感が低下してしまう――こうなるのには理由があるというわけです。だからこそ、親自身が物事をポジティブにとらえる姿を子どもに見せる必要があります。

また、子育てによって自己肯定感がさらに低下するケースも。子育てはうまくいかないことの連続。自分だけに関わることであれば、「まあいいか」「頑張ればうまくいくはず」と前向きに取り組めても、子どものこととなると責任の重さから、「もっとちゃんとしなきゃ」「私ってダメな親だな」とプレッシャーを感じてしまいがちではないでしょうか。

医学博士の古荘純一氏は、「すべて否定的にとらえることが続くと、結果として自己肯定感も低くなり、抑うつ度も高くなり、育児困難につながっていく」と注意を促しています。(カギカッコ内引用:たまひよ|「いい親でなければ」と思うほど自己肯定感が低下する…?!子育てにつらさを感じたら【専門家】

決して軽視してはならない「親の自己肯定感」について、さらに深く掘り下げていきましょう。

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自己肯定感の低い親がやりがちなNG行動5つ

まず、自己肯定感が低い親がやりがちな「NG行動」をいくつか挙げていきます。以下の行動は、こどもまなび☆ラボインタビューで語られた専門家の意見です。思い当たる項目はありますか?

  1. 「100点とってすごい!」など、子どもを「条件つき」でほめる(日本アドラー心理学会 正会員・熊野英一氏
  2. 子どもをほめるときに、「〇〇くんより上手にできたね」と他人と比べてしまう(幸福学の第一人者・前野隆司氏
  3. 遊ぶ友だちや部活動選びといった子ども自身が決めるべきことでも、自分(親)の思い通りになるようにコントロールしてしまう(心理学者・諸富祥彦氏
  4. 着る服を毎日用意したり、「忘れ物ない?」「宿題やった?」などしつこく確認したりと、先回りして子どもの世話を焼いてしまう(発達臨床心理学の専門家・井戸ゆかり氏
  5. 子どもの前で「ママって本当にダメよね」「パパには無理だよ」など、自分を卑下する言葉を吐く(心理学者・諸富祥彦氏

 
【5】の「自分を卑下する言葉」はわかりやすいものですが、【1】~【4】のような行動をとることがなぜ自己肯定感の低さを表すのでしょう。

【1】の「子どもを条件つきでほめる」、また【2】の「他人と比べる」のは、そのような評価のされ方こそが正しいと親が思い込んでいるからです。親自身が、ありのままの自分を評価されるよりも、「〇〇だから優れている」という評価をされることで安心しているわけです。つまり、「ありのままの自分じゃ評価されない」という思いがあるから「自己肯定感が低い」ということ。

【3】の子どもの生活や身のまわりのことをコントロールしたり、【4】のあれこれ世話を焼いたりしたがるのも、自己肯定感の低さゆえに「(子育てを)完璧にしなければ自分が責められる」「子どもへの評価が私の評価につながってしまう」という不安からだと言えるのです。

たとえ無意識でも、上記のような言動を頻繁にしてしまうのであれば、子どもの自己肯定感にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。「そうは言ってもこれが自分の性格だし、いまさら変えることは難しい……」と諦める前に、次の方法を試してみませんか?

子どもを叱る親2

親自身の自己肯定感を高める方法3つ

行動科学専門家の永谷研一氏は、自己肯定感は親子セットではぐくむものと断言しています。もちろん親と子は別の人間ですが、子どものマイナス面ばかりが目につくようなら、それは自分自身も苦手としていることの表れでもあるのです。だからこそ、親が自己肯定感を上げてポジティブな生き方を目指すことで、子どももまた前向きな人生を歩んでいけるはず。(カギカッコ内引用元:AERA dot.|勉強でもスポーツでも大切な「自己肯定感」を高める方法とは

ここでは、親自身の自己肯定感を高めるために、いますぐ取り入れられる方法を3つご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

方法1:現実の出来事をマイナスからプラスにとらえる

自己肯定感を高めるために、前出の古荘氏がすすめるのは、認知行動療法の方法でもある「現実を肯定的に受け止める」こと。一度マイナスの思考にはまったら、なかなか抜け出せないのが自己肯定感の低い人ですが、そこで深みにはまるのをやめて、起きた事実だけを確認します。そして事実をゼロとして確認できたら、今度はプラスにとらえられるように変えていきましょう。

具体的には、「今日はあまりにも疲れていて、夕飯はレトルトのカレーにしてしまった」という事実があったとします。そこで「おかずも用意できなかった」「レトルトなんて手抜きすぎる」「親として失格」と、どんどんマイナスの方向に進むのではなく、「夕飯にレトルトのカレーを出した」事実だけを認識します。

そして大事なのは、「ごはんはちゃんと炊いた」「ゆで卵を添えてあげた」「カレーを食べた後にゼリーをあげたら喜んだ」など、「できなかったこと」ではなく「できたこと」だけを考えましょう。そうすることで、いまの自分を認めて、肯定的に受け止められるようになるそうです。

方法2:いま「ある」ことに感謝をする

『お母さんの自己肯定感を高める本』(WAVE出版)の著者で、心理学の専門家である松村亜里氏は、「今の自分に『ない』ものではなく、すでに『ある』ものに目を向けて感謝することで、自己肯定感が上がると述べています。

それは決して特別なことでなくてもかまいません。「家族が健康でいてくれる」「ごはんを残さず食べてくれる」といった、ごく当たり前のことでも、意識して感謝することで、自己肯定感や自信、さらには幸福感も高まっていくのだそう。もちろん、直接感謝の言葉を口に出して家族に伝えるのが一番効果的ですが、照れや気恥ずかしさから難しいという人もいるでしょう。

そこで松村氏が提案しているのが、「3つのいいこと」を毎日書き出す、という方法。「カフェで飲んだコーヒーが美味しかった」「子どもが学校の話をたくさんしてくれた」「庭の花が咲いた」など、ささいなことでいいのです。「いつもいいことがある」と信じていると、脳は自然と「いいこと」に目が向くようになります。

この方法は「スリー・グッド・シングス」として知られています。実践レポートとして効果を実感した記事も公開しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
『寝る前に3つ聞くだけ! 1週間で子どもの自己肯定感が上がる“幸福習慣”』
スリーグッドシングス

方法3:夢中になること・没頭できることを見つけよう

最後に提案するのが、親自身が夢中になれることをする、という方法です。みなさんは、「やるべきことをやってからでないと、趣味に時間を費やしてはいけない」と、自分の好きなことを後回しにしていませんか? 時間を忘れるほど何かに没頭している状態を、心理学では「フロー体験」とされているようです。『お母さんの自己肯定感を高める本』のなかで松村氏は、幸せな人の共通点として挙げられるのが、「フロー体験が豊富である」と述べています。

スポーツ、アート、ハンドメイド、語学レッスンなど、「そういえば昔夢中になって取り組んでいたな」というものは、誰にでもあるはずです。もしくは、興味はあるけど始めるきっかけがなくて諦めていたことはありませんか? 自分に自信をつけたい、自己肯定感を上げたい、毎日を前向きに楽しく過ごしたいと思うなら、まずは一歩踏み出しましょう。

親が夢中で楽しんでいる姿を子どもに見せることで、その充実感や幸福感は必ず伝播します。それはいずれ、親と子の自己肯定感を上げるカギになるはずです。

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「自己肯定感を上げること」は決して目的ではありません。生き生きと充実した毎日を過ごすこと、自分を好きになることが、自己肯定感アップにつながるということを忘れずにいたいですね。

(参考)
ダイヤモンドオンライン|自己肯定感が高い欧米人と低い日本人、何が違うのか?
ベネッセ教育情報|親の自己肯定感が低いと子どもはどうなる?ボーク重子さんに聞く! これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方~Lesson2 自己肯定感
たまひよ|親の自己肯定感が低いと、子どもにも影響が、まず親から高めることを【小児科医】
たまひよ|「いい親でなければ」と思うほど自己肯定感が低下する…?!子育てにつらさを感じたら【専門家】
AERA dot.|勉強でもスポーツでも大切な「自己肯定感」を高める方法とは
『AERA with Kids特別編集 自己肯定感を高める本』, 朝日新聞出版.
松村亜里(2020),『お母さんの自己肯定感を高める本』, WAVE出版.