2021.10.29

寝る前に3つ聞くだけ! 1週間で子どもの自己肯定感が上がる “幸福習慣”

編集部
寝る前に3つ聞くだけ! 1週間で子どもの自己肯定感が上がる “幸福習慣”

(この記事はアフィリエイトを含みます)

お子さまの自己肯定感が低下していると感じたことはありませんか。「どうせ……」という口癖が増えた、なんだか最近元気がないなどの様子が見られるのであれば、子どもの自己肯定感を上げるエクササイズをおすすめします。

1日たった数分でできる「寝る前にその日にあったいいことを3つ書き出す(口に出す)」という、とても簡単な方法です。今回、自己肯定感が下がり気味の小学2年生が実践してみたところ、びっくりするほど自己肯定感が上がったので、そのやり方と効果をみなさんにお伝えします。

「スリー・グッド・シングス」で自己肯定感アップ!

「寝る前にその日にあったいいことを3つ書き出す」ことで自己肯定感を上げる方法は、アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマン氏が唱えているもので、「スリー・グッド・シングス」と呼ばれています。

「いいこと」「グッド・シングス」とは、「よかったこと」「嬉しかったこと」「幸せだと感じたこと」。セリグマン氏の研究では、この方法を1週間行なったところ、「幸福度が増進するだけでなく抑うつ度が低下し、しかもその効果が半年後も持続した」という結果が出たそうです。

「幸福学」の第一人者で、『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』の著者・前野隆司氏(慶応義塾大学大学院教授)も、この「スリー・グッド・シングス」をすすめているひとり。前野氏いわく、グッド・シングスは書き出さなくても、誰かと伝え合うことでも効果を感じられるとのこと。その際は、「そのときの感情を思い出し、嬉しい気持ちや幸せだと感じたことを再実感する」とより効果が出るようです。

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脳が勝手に「いいこと」を探すから、幸せ体質になる

なぜ「寝る前にその日にあったいいことを3つ書き出す」だけで、自己肯定感がアップするのでしょう? 理由として、以下のことが挙げられます。

理由1:夜のうちに「自分の気持ちをリセット」できるから

「夜はイヤな出来事を思い出しやすい時間帯」と話すのは、一般社団法人 認知行動療法研修開発センター理事長で精神科医の大野裕氏。そして、そのイヤな気持ちのまま眠りについてしまうと、翌朝まで「負の感情」をもち越してしまうことに……。

しかし「スリー・グッド・シングス」を取り入れると、寝る前に気持ちを切り替えられるので、翌日を前向きな気持ちでスタートできるのです。また、寝る前にポジティブな言葉を自分自身にかけると、「心が育つため、自己肯定感が上がる」そうですよ。

理由2:脳が勝手に「いいこと」を探すようになるから

心理カウンセラーの中島輝氏は、「スリー・グッド・シングス」を続けていると、脳が勝手に「いいこと」を探すようになり、結果的に自己肯定感が上がっていくと話しています。

人間の脳は、同じことを繰り返すと、ニューロン間のネットワークが刺激されてクセが強くなっていきます。この性質のために、「スリー・グッド・シングス」を続けていくと、脳は「いいこと」を勝手に探すようになります。すると、1日の出来事に期待感を持てるようになり、「今日はいいことがあった」「明日もいいことが起きるはずだ」と、潜在的な思考が書き換えられていくのです。同時に、感情のコントロールもしやすくなっていくことで、自己肯定感が高まっていきます。

(引用元:STUDY HACKER|「夜をどう過ごすか」が自己肯定感を左右する。明日も最高のスタートを切るための大切な夜習慣とは?※太字は編集部が施した

ちなみに前出の前野氏の奥さまは、毎朝9時前に「いいこと」を3つ見つけてしまうのだそう。きっと、脳が勝手に「いいこと」を探してしまうのですね! 「スリー・グッド・シングス」を続けると「幸せ体質になる」と前野氏が断言しているのも納得です。

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玄関先で泣いていた娘の自己肯定感が本当に上がった!

とはいえ、寝る直前に「紙に書き出す」という行為は、子どもにとってハードルが高いですよね。そこで、前野氏の「誰かと伝え合うのもよい」というアドバイス通り、「今日あったよかったことを、3つ教えて?」と子どもに聞いてみました

【背景】
  • バスケットチームのお友だちから、「〇〇ちゃんはバスケが下手」「〇〇ちゃんはコーチにほめられないけど、私は今日もほめてもらった」といった言葉を練習中にたびたび言われるようになる。
  • 練習後、自宅の玄関先で泣くことが多くなり、「お友だちに言い返したら?」「バスケをやめる?」と親子で話し合う。
  • 「言い返してけんかになるのはイヤ」「お友だちが意地悪なことを言えなくなるくらい、たくさん練習して上手になりたい」という結論に。
  • 近所の公園で親子練習を始める。→「スリー・グッド・シングス」開始。

■1週め:「いいこと」を探すのに15分以上もかかる……

最初の3日は「今日あったいいこと」がとにかく出てこない……。「なんでもいいんだよ」と何度言っても、「なにがあったかな」と考え込んでいる状態。特に初日は3つのいいことを探すのに15分以上かかりました。ですが、少しずついいこと探しの時間が短くなり、同時に、「いいこと」が起こった時間帯も変わってきました。

「いま、お母さんと話していること」「晩ごはんがおいしかった」など、最初のうちは寝る直前の出来事ぐらいしか思い浮かばなかったのに、しだいに「おばあちゃんと遊んだ」といった、昼間の出来事を挙げられるようになったのです。脳がいいこと探しに慣れてきたのかもしれません。せっかくなので、このまま継続することに――。

■2週め:「前向きな言葉」が増えてきたぞ!

「バスケの練習が楽しかった」「今日は公園でたくさん練習できた。明日のチーム練習が楽しみ」など、前向きな言葉がちらほら。実際にチームでの練習時も、前のような積極性が戻ってきたと感じました。2人1組、3人1組などの練習で、自分から近くにいる子に声をかけられるようになったのもこの頃。いつも誰かに声をかけてもらうまで待っていたので、この娘の変化は親として嬉しかったです。

■3週め:家族以外との「いいこと」が見つかった

また学校でも、同じクラスに仲良しのお友だちができたようで、毎日がとても楽しそうな様子。家にお友だちを連れて来たり、公園で遊ぶ約束をしたりと、かなり行動的に。このあたりから、「鬼ごっこをした」「お友だちとレゴで遊んだ」など、家族以外との「いいこと」を挙げるようになりました。

■4週め:「いいこと」が勝手に見つかるようになった

いいこと探しにすっかり慣れた4週目では、学校から帰るなり、「今日のいいこと、もう2つ見つかったよ!」なんて言うことも。「これはもしや、娘の脳が勝手にいいことを探してしまっている状態!?」と嬉しくなったことを覚えています。

※以下の画像は、娘が教えてくれたいいことを、親が書き取ったメモです
スリーグッドシングス3
スリーグッドシングス4

■効果:自己肯定感が上がり、「明るく」「強く」なった!

娘の雰囲気が明るくなったなと感じたのは1週め。そして「すっかり元気が戻ってきたな」と思ったのは3週めでした。自己肯定感が上がったからなのか、「明るく」「強く」なったという印象です。また、「スリー・グッド・シングス」を始める前よりも、毎日が楽しそうにも見えました。

4週間で「スリー・グッド・シングス」をストップしましたが、その後も効果は持続していたようです。「また今日も『〇〇ちゃんはバスケが下手』と言われたけれど、こうやって、私のやる気をなくそうとしているんだとわかったから、もう気にしないことにした!」と強気な笑顔で話す娘を見て、「スリー・グッド・シングス」の効果を改めて実感しました。

人間の脳は21日間で「書き換え」可能になる

上述した効果は、あくまで筆者が感じたことです。そこで、実践した娘本人に「スリー・グッド・シングス」の効果について聞いてみました。

  • 「公園での自主練は大変だと思うときもあったけど、寝る前に『楽しかった』って言ったら、本当に楽しかったような気持ちになった」
  • 「前よりも、よかったと思うことが増えた気がする」

 
もしかしたらこれは、中島氏の言う「思考の変換作業」なのかもしれません。「楽しかった、よかった」とアウトプットすることで、実際には大変だったこともつらかったことも、グッド・シングスに置き換えられてしまったのでしょう。

また中島氏は、「人間の皮膚が21日で生まれ変わるように、私たちの脳も21日間で書き換え可能になる」ので、「スリー・グッド・シングス」は3週間(21日)続けてみてほしいと述べています。3週めあたりから、娘が元気を取り戻したように感じたのは、娘の思考がポジティブに書き換えられたためかもしれません。

じつは、この「スリー・グッド・シングス」を行なったのは約1年半前(コロナ禍前)。もし効果が出なかったとしても、とりあえず1週間は続けてみようと、「スリー・グッド・シングス」を始めたのです。

その結果、当時小学2年生だった娘の自己肯定感は、確実に上がりました。現在は4年生になりましたが、1年半経過したいまでも自己肯定感は下がっていません。ですが、イライラしていたり、元気がなかったりするときは、「スリー・グッド・シングス」を1週間ほど再開して、意識的に「いいこと探し」をしてもらうようにしています。

お子さまの自己肯定感が下がってきたなと感じたときは、ぜひ「スリー・グッド・シングス」を試してみてくださいね。

***
子どもが泣いている姿を見るのは、親として本当につらいものがありました。どうにかしてあげたいけれど、子どもの友だち関係に親が口出しをするのはよくないのではないか……。この時期は、娘も筆者も気持ちが不安定だったと記憶しています。

けれど、この「スリー・グッド・シングス」を通して、娘自身に「強くなる力」がしっかりあったことがわかりました。こんなに効果があるのなら、今度は筆者も「スリー・グッド・シングス」を実践してみようと思っています。親子一緒に「スリー・グッド・シングス」をやってみたら、家のなかが明るくなりそうですね!

(参考)
前野隆司(2018),『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.
独立行政法人経済産業研究所|良いことを毎日3つ書くと幸せになれるか?
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子育てでイライラした時どうすれば? 幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方
STUDY HACKER|「夜をどう過ごすか」が自己肯定感を左右する。明日も最高のスタートを切るための大切な夜習慣とは?
日本経済新聞|夜、よかったことを書き出す
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