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子どもの自己肯定感を高めるために、声かけなどのコミュニケーションや家での過ごし方など、子育ての環境を整える工夫をしているご家庭は多いはずです。
では、親御さんご自身の自己肯定感はどうでしょう。じつは「親の自己肯定感」こそが、子どもの自己肯定感につながる鍵なのです。なぜ親の自己肯定感が大事なのか? その理由をくわしく解説していきます。
科学的にも証明されている「親の自己肯定感=子どもの自己肯定感」
昨今の「自己肯定感」ブームにより、「自己肯定感が低いとよくない」「自己肯定感が高い子どもと自己肯定感が低い子どもの大きな差」といった、不安をあおるような話題が取り上げられることも増えてきました。そのせいで、過度にプレッシャーを感じてしまい、わが子の自己肯定感を上げることばかりに注力する保護者も増加傾向にあるようです。
しかし、どんなに「子どもの自己肯定感」にばかり気を配っていても、「親自身の自己肯定感」について真剣に考える機会はあまりないのではないでしょうか。
「自己肯定感は親子セットで育むもの」と断言するのは、行動科学専門家の永谷研一氏です。永谷氏によると、「親の自己肯定感の低さが子どもに影響を与えることは、科学的にも証明されている」とのこと。
慶應義塾大学医学部小児科教授で医学博士の高橋孝雄氏もまた、「親の考え方や振る舞い、習慣などが子どもに影響することから、親の自己肯定感の低さは子どもに連鎖する」と指摘しています。たしかに、「どうせ私なんて……」「きっと失敗するから諦めよう」など、ネガティブな言葉を日々聞かされる環境で育てば、子どもの自己肯定感が低下するのもうなずけます。
また、自己肯定感が低い親は、知らず知らずのうちに子どもにとってマイナスの影響を与えることもわかっています。一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会によると、「親の過去の悔しさや挫折を、子どもを使って挽回しようとする」「子どもの将来が親の希望通りに進むようにコントロールする」などのケースが見られるそう。一見すると教育熱心で、子どもの将来のために尽くしているようにも思えますが、それが「過干渉」や「教育虐待」につながってしまう恐れもあるので注意が必要です。
「過干渉の親は、世間体を気にしすぎるあまり、『子どもが勉強できないと自分も格好悪い』というような、非常に狭い教育観で子育てをする傾向があります」と苦言を呈しているのは、臨床心理士の芳川玲子氏。このような親は、テストの点数や勉強の進み具合ばかり気にしているため、子どもの内面的な成長や長所に目を向けることがほとんどありません。芳川氏は、「その結果、子どもの自尊感情は育たず、子どもの心はどんどん萎縮していくのです」と言います。
これらの原因は、自分の生き方に自信がもてず、それゆえに子どもに「成功した自分」を自己投影してしまうことです。『「いい親」をやめるとラクになる』(青春出版社)著者で医学博士の古荘純一氏は、「敏感な子ほど、全部それ(大人の不安)を受け止めてしまうため、大変なストレスになる」と指摘しています。
子育てがつらいのは自己肯定感が低いせいかも……
古荘氏によると、自己肯定感の低い親のなかには「なんでこんなにつらいのだろう」「この子がいなければ楽なのに」などのネガティブな考えから、子育てが困難になるケースもあるとのこと。子育て心理学協会代表理事の東ちひろ氏も同様に、「自己肯定感が低いまま大人になった場合、子どもの自己肯定感を高めるどころか子育てそのものがつらく感じることがある」と述べています。
自己肯定感が高い人は心に余裕があるため、子育て中のハプニングやトラブルに対して柔軟に対応できます。また、ネガティブな情報に振り回されず、自分のペースで子どもと向き合うことができるのも、自己肯定感の高さゆえでしょう。
子育ては決して楽しいことや幸せを感じることばかりではありません。孤独感に押し潰されそうになったり、自己犠牲をともなったりするものです。そのような状況に置かれると、自己肯定感が低い人は「ちゃんとできないのは自分のせい」と、自責の念にかられてしまうのです。
自己肯定感が低いまま親になる人は意外と多い
自己肯定感を高めることができないまま大人になってしまうのはなぜでしょう。『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)の著者で家庭教育専門家の田宮由美氏は、次のことを原因として挙げています。
- 友人や兄弟と比べられて育った
- いつも完璧を求められていた
- 選択肢をあまり与えてもらえなかった
- 話をあまり聴いてもらえなかった
- 共感してもらえなかった
つまり、子ども時代に「親に認めてもらえなかった」「親の期待に応えられなかった」という経験が根底にあり、成長後に他者と関わり合うなかでも自己肯定感を高めるきっかけをつかめなかったことが要因となっているのです。
「長年かかって形成された自分の価値観や思考を変えることは大変」と田宮氏も述べるように、親になったからといって自動的に自己肯定感が上がることはなく、むしろその根深さに気づかされることも。前出の古荘氏は、現代の子育て世代が幼少期を過ごしてきた時代背景にも関係があると分析しています。
現在子育てをしている親の多くは、1970~80年代の高度成長期から安定成長期にかけて子ども時代を過ごした世代です。その後突然のバブル崩壊を経て、日本全体が長い不況に陥る様子を青年期にかけて目の当たりにしています。
一生続くと思われた幸せの図式があっという間に崩れ去り、将来の見通しが立たなくなるという不安定な時代を生き抜いてきた世代だからこそ、自分たちの生き方に自信がなく、常に将来に対する不安を感じているのです。
自己肯定感が育まれないまま大人になり、親となったいま、わが子のためにも、まずは自分自身の自己肯定感を上げることを目指してみませんか?
親の自己肯定感を上げる5つの方法
親の自己肯定感を上げるには、どのような方法があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
1. 夫婦で日常的に「感謝の気持ち」を伝え合う
自己肯定感を高める方法として有効なのは、ほめられることです。しかし、大人になるにつれて他者からほめられる場面は確実に減ってきます。そこで、前出の高橋氏は「大人どうしは『感謝すること・されること』を意識しましょう」とアドバイス。
「いつもおいしいご飯をつくってくれてありがとう」「食器を洗ってくれて助かるよ。ありがとう」など、親が日常的に感謝の気持ちを伝え合うよう心がければ、その様子を見た子どもも「感謝すること・されること」の大切さを感じ取り、自己肯定感の土台を築けます。
2. 自分に対して「魔法の言葉がけ」をする
多くの保護者たちと接するなかで「親の自己肯定感の低さ」を実感したという教育評論家の石田勝紀氏は、「いまの自分を肯定できないのであれば、『楽しむ』という世界へ自分をもっていくようにするといい」と述べています。
自己肯定感が低い人ほど、現状の自分を否定し、物事を悲観的に考えてしまいがち。そこで「楽しいね~!」「ワクワクするね~!」という言葉を、自分自身に向けて発してみましょう。「面倒だな、イヤだな」という方向に思考が向いてしまいそうになったとき、「どんなことが起こるんだろう? ワクワクするね~」と多少強引にでも「これから楽しくなる!」と思い込むのがコツです。
3. 物事を「できたこと」で評価するようにする
前出の永谷氏によると、「自分への評価が『できていないこと』という否定からスタートすると、不安ばかりが増してチャレンジしようという力が湧いてこなくなる」のだそう。
反対に、物事を「できたこと」というプラスから見始めると、さらに頑張ろうという前向きな気持ちが生まれます。「忙しくて夕食はレトルトのハンバーグにしちゃった……」よりも、「忙しかったけど、スープとサラダは手づくり!」と、できたことに目を向けてみましょう。
4. 自分時間をつくる
忙しい日々を送っている人ほど、心に余裕がなくなり、マイナスの感情にとらわれてしまいがち。『自己肯定感を育てるたった1つの習慣』(青春出版社)著者で心理カウンセラーの植西聰氏は、「自己肯定感が低い人は『自分を大切にする』ということが苦手」だと指摘します。
そこでおすすめなのは、すべての情報をシャットアウトする時間をつくること。1日に10分だけでもゆったりとした気持ちで瞑想したり、深い呼吸を意識して気持ちを整える習慣をつけたりするだけで、プラスの感情を増やすことができます。自分を大切にするためにも、まずは自分と向き合う時間をつくりましょう。
5. やりがいや熱中できることを見つける
ペンシルバニア大学ウォートンスクール名誉実務教授のスチュワート D.フリードマン氏の研究によると、「親が自分の仕事にやりがいを感じていたり、自分自身をケアする時間をとったりすることは、子どもの感情面によい影響を与える」とのこと。
子どもの情緒面においても、親の自己肯定感を高めるためにも、やりがいや熱中できることを見つけたいものです。「何か新しいことに挑戦したい!」という熱意が湧いてきたら、気軽にチャレンジできるものから試してみるといいでしょう。たとえば、子育て中のママに嬉しい短期集中型のスクールやレッスンなどがおすすめです。
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自己肯定感を高めたい人におすすめの本
最後に、親の自己肯定感を高めるのに参考になる本をご紹介します。
◆『お母さんの自己肯定感を高める本』
コロンビア大学で修士号を取得した心理学者による「母親が幸せになる14の行動習慣」を紹介している本著。NYで流行しているポジティブ心理学をベースに、12項目のバランスチェックシートや14のワークなど、論理的かつ具体的に「幸せになるための方法」を教えてくれます。
◆『子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる』
ドキッとするようなタイトルですが、中身はとても読みやすい小説形式になっています。「自己肯定感」をテーマに執筆活動を行なっている人気カウンセラーによる本著は、読み進めるうちに「子どもに対する罪悪感」がスーッと消えて、親子で自己肯定感を育むための気づきが生まれる不思議な感覚をもたらしてくれます。
◆『「自己肯定感低めの人」のための本』
無意識の心のクセ=「心のノイズ」に着目した、自己肯定感を上げるための具体的な方法を示した一冊。これまで8,000人の心のクセを直してきた人気カウンセラーが、そのメソッドをぎゅっと詰め込んだ本著では、自分のなかに潜む「無意識のノイズ」に気づくことで不安を解消する方法が紹介されています。
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2017年に逝去された児童精神科医の佐々木正美氏は、「愛されてきた人しか人を愛することはできないように、自分の言うことをよく聞いてもらってきた経験をもたない親は、幼い子どもの言うことをゆっくり聞いてあげることはできないのです」という言葉を残しています。親自身が誰かに受け入れてもらっていること、そしてありのままの自分を認めてあげることこそが、子どもの自己肯定感を伸ばす土台になるのです。
(参考)
『AERA with Kids特別編集 自己肯定感を高める本』, 朝日新聞出版.
たまひよ|親の自己肯定感が低いと、子どもに影響が、まず親から高めることを【小児科医】
一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会|親の自己肯定感の低さが、子どもへの過度の期待を引き起こす
学びの場.com|芳川玲子 子どもの折れやすい心を語る。
古荘純一(2009),『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』, 光文社.
東ちひろ(2019),『子育てが上手くいく!「ママのココロ貯金」のすすめ 親と子の自己肯定感を上げる33のポイント』, メイツ出版.
東洋経済オンライン|「自分はダメ親」と悩む人を変える“魔法の言葉”
ダイヤモンド・オンライン|コロナ禍を乗り切るために「自己肯定感」を上げる習慣とは?
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|親のキャリアは子どもの成長にどんな影響を与えるか
Famm|1ヶ月で完結 子どもと通えるママ専用Webデザイナースクール
ENGLISH COMPANY|1week ENGLISH COMPANY
佐々木正美(2021),『子どもが喜ぶことだけすればいい』, ポプラ社.