教育を考える/食育 2018.8.7

親子で学ぶ おいしい食育学【第8回】子どもと一緒にクッキング 編

新生暁子
親子で学ぶ おいしい食育学【第8回】子どもと一緒にクッキング 編

親御さんがお料理をしている姿を見て「なんだか楽しそう!」と子どもの好奇心が刺激されることはよくあります。きっとそれは、親御さんが家族の健康を願って、幸せな気持ちで美味しい食事を作っていることが伝わっているからではないでしょうか。

楽しそうな料理。「僕にもやらせて!」「私も一緒に作りたい!」子どもは目をキラキラと輝かせてそう言うでしょう。しかし、親の立場で考えると「まだ早い」「危ない」「逆に時間がかかって面倒」といったマイナスのイメージから、一緒に料理をすることに抵抗を覚えてしまうもの。

そこで今回は、tokko先生に「子どもと一緒に料理をするときに覚えておいてほしいこと」そして、ちょっと視点を変えて「親子で料理する経験がもたらす良い面」について教えてもらいました。

お悩み
小学2年生の娘は料理に興味津々。せっかくの夏休みなので一緒に料理することもあるのですが、つい口うるさくなってしまいます。包丁の使い方などまだまだ危なっかしく、結局は私がすべてやってしまい、残念そうな娘の顔を見て後悔することもたびたび……。もっとおおらかに見守ってあげたいのですが、どうしたらいいでしょうか? 親子で一緒に楽しく料理するコツがあれば教えてください。

tokko先生:
親御さんにとって、3食の食事作りが必然となる夏休みは意外とのんびりする暇もないものです。食事作りが1日3回となると、何を作ろうか、何が食べたいか、またどんな食事がお子さんのためになるのかと頭を悩ませることも多いのではないでしょうか?

ところでみなさんが子どものころの夏休みはどうでしたか?
私は小さいころからお料理が好きで、よく母の料理を横で観察していました。もちろん手伝えることと手伝えないことがあるのですが、いろいろなことを教えてもらったような気がします。

今でもはっきりと覚えている最初のお料理は『おにぎり』。その『おにぎり』は、三角型でもなく俵型でもない歪な形でした。具はおかかだったのですが、ちゃんと真ん中に入れることができず、白いはずの『おにぎり』が、お醤油の色に染まっていたことをはっきりと覚えています。でも母は私に「作ってくれてありがとう」と言い、その歪な形の『おにぎり』を「美味しい、美味しい」と言って食べてくれました。

母に褒めてもらったこと、そして母が喜んで食べてくれたことが本当に嬉しくて、今でもそのときのことが忘れられません。幼少期にお料理をすることで、楽しい経験が特別な記憶となり、大人になってからも忘れられない素敵な想い出になるということは、誰しも理解できるのではないでしょうか。

ただし、お料理は危険なことと隣り合わせです。包丁や火など、万が一扱いを間違えると怪我だけでは済まないことがあるということを忘れてはいけません。そのことは、親御さんだけでなく子どもたちも理解しておくべきでしょう。

安全面に気をつけて楽しくお料理するには、いくつかの点に注意しなければなりません。そこで、お子さんと一緒にお料理をするときのポイントをご紹介しましょう!

子どもと一緒に料理をするときのポイント
1. おままごとは仮想クッキング
2. やりたいと言ったときがスタート!
3. お料理本を絵本がわりに
4. 「ダメ」や「また今度」はなし
5. 食材を育ててみる
6. 包丁の前に、カトラリーナイフから

tokko先生:
小さいうちは、男女関係なくおままごとで遊ぶこともあるでしょう。これは今後、実際に料理をするにあたってとても良い訓練になります。また、おままごとには、ご家族の日頃の様子が色濃く反映されると思った方がいいでしょう。

小さなお子さんは、ご両親の食卓の様子をよく観察しています。おままごとで登場するお料理も、そして食事中の口癖もきっとマネすることでしょう。これは、お料理や食事に興味をもつ第一段階です。そして、興味がわいたときが、お料理を少しずつ経験していくスタート地点です。ぜひ、“お料理は楽しい。そして自分で作ったらもっと美味しい”ということを体感させてあげてください。

子どもにとっての食事とは、親が作る料理がすべてです。もちろん、ファストフードや外食が多ければ、さまざまな料理を知ることになりますし、給食が始まると、家庭以外の料理を知り始めます。そのタイミングで、お料理の本などを絵本がわりにしてみてはいかがでしょうか? それは、視覚からの興味でしかありませんが、作ってみると自分の視覚と味覚、嗅覚などの五感がフル活動することにつながります。

子どもと一緒にお料理を始めると、つい危険なことに対して「ダメ」という言葉が増えていきますよね。また、自分が料理をした方が早いので「また今度ね」もつい口から出てしまうワードです。親御さんがこれらを言うのはできれば最小限にしたいものです。しかし、毎回お子さんのペースに合わせるのは大変ですよね。お子さんの興味の芽を摘み取ってしまわないように、お手伝いの頻度や曜日を決めるのもひとつです。

また小さなお子さんはきっと、お料理と食材が一致しないことが多いのではないでしょうか? どの材料を使うとこの料理ができる、この食材はこの料理にもあの料理にも使われている……など、大人にとっては常識でも、まだまだ知らないお子さんも多いものです。

そこで、食べものを大切にするという観点からも、自分で育てたもので料理を作ってみましょう。家庭菜園ほど大きなものじゃなくても、小さなハーブなどでも充分です。

最後に、包丁を触ることができる年齢ですが、これは“包丁は危険なものである”ということが理解できたときがベストです。当然ですが、実際に切ってみないとその痛みはわかりません。それを経験させるわけにはいきませんので、カトラリーのナイフのギザギザした部分を軽く触らせて、痛いといことを理解させてみてはいかがでしょうか? もちろん安全面には注意してくださいね。

そしてこのカトラリーナイフでも、肉や魚、野菜や果物も切ることができるということを理解させたうえで、トライさせてみましょう。その後に、お子さん用の包丁を準備することをおすすめします。

お料理をイメージして、作って完成させる行為はとてもクリエイティブなことです。私は、お料理とは物語を読んでイメージして絵を描いていく行為と似ていると思っています。そしてこれを訓練することは、感性を磨くことにつながっていると信じています。お子さんの意欲が高まったときがチャンスです。そのタイミングを見逃さずに、感性を磨くトレーニングを始めてみましょう。