10回にわたってお送りしました管理栄養士・新生暁子先生による『親子で学ぶ おいしい食育学』。今回はいよいよ最終回です。毎日忙しい親御さんにとって、普段の食事作りとはまた違うお悩みを持つ“お弁当作り”ですが、tokko先生流・お弁当作りのポイントを読めば、気持ちが軽くなるはずです。
また、これまで子どもの「食」についてお悩みの保護者の方に優しく寄り添い、問題解決へと導いてくれたtokko先生。みなさまのご家庭の食事の時間がより楽しく、豊かなものになるきっかけとなったことを期待しつつ、最終回ではtokko先生から読者のみなさまへとっておきのメッセージをいただきました。
ライタープロフィール
管理栄養士
管理栄養士、博士(スポーツ健康科学)。1971年、兵庫県に生まれる。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士後期課程修了。独立行政法人 国立健康・栄養研究所勤務時には、長野県佐久市で実施された大規模コホート研究「佐久肥満克服プロジェクト」に技術補助員として従事し、食事から肥満を克服するための栄養教育にあたる。2008年には高橋尚子率いる『チームQ』にて栄養・調理指導者として参加し、日米での合宿、アメリカ・コロラド州での合宿にも帯同。『チームQ』解散後は、フリーの管理栄養士としてTV、ラジオ、雑誌、Webサイトなど幅広い媒体で食事と健康に関する情報を発信している。著書には、『塩ヨーグルト健康レシピ』(アスコム)、『健康名人の炭酸水レシピ』(セブン&アイ出版)、『夢をかなえるスポーツ応援レシピ つくろう!食べよう!勝負ごはん 全3巻』(日本図書センター)、『最新版スポーツめし』(エイ出版社)などがある。
オフィシャルHP|
目次
お悩み「お弁当作りが憂鬱」
tokko先生の答え
長い夏休みも終わり、新学期を迎えたお子さんが多いのではないでしょうか? 今年の夏は過酷な暑さだったので、体力的にも大変でしたね。そのうえ、新学期が始まり生活に変化があると、どうしても体調を整えるのが難しくなってしまいます。
そうこうしている間に、秋の遠足や運動会などイベントが目白押し。お子さんにとってはイベントそのものも楽しみだと思いますが、昼食が給食からお弁当になるということも特別感があり嬉しいものです。とくに、このようなイベント時は好きなものをたくさん入れてもらえるので、より一層ワクワクするのではないでしょうか。
毎日のお弁当では栄養のことやバランスも気になりますが、イベント時のお弁当はハレの日のものです。ですから、このときくらいは、お子さんの好きなもので埋め尽くしてあげてもいいのではないでしょうか? その方がお子さんのモチベーションも上がりますし、「食を意識する」ことにつながります。そしてお子さんにとっては、このときのお弁当が『記憶に残る食』となるのです。このような体験は子どもにとってとても大切です。ぜひぜひ、お子さんのお弁当に入っていたら嬉しい料理を、食事中に聞き出してみてください。
しかし、お弁当にもルールがあります。今回はそのルールと、私のオススメのお弁当のおかずをご紹介しましょう。
覚えておきたいお弁当のルール:
- 食中毒など、衛生面には気をつけましょう
- 汁気があるものは避けましょう
- 酢、梅干しなどを上手に使いましょう
- 主食(おにぎり・サンドイッチなど):メイン(肉や魚など):野菜=5:2:3
これらのルールを守ったうえで、お子さんの大好きなお弁当を作ってみましょう。今回おすすめするのは、アレンジが豊富なおかずです。
<オススメおかず>
豚ミンチのミートボール
ミートボールには、たまねぎ、にんじん、ピーマン、きのこ、コーンなどお子さんの好きな野菜を刻んで入れることができますね。旬の野菜や冷蔵庫に残っている野菜などを入れることができるところもポイントです。
また、そのまま焼けばハンバーグにもなりますし、餃子や焼売の皮に包んで、揚げたり蒸したりとバリエーションが豊富です。ミートボールのあんかけの味つけを変えてみても、また違った味わいが楽しめます。冷凍もできるので、ぜひぜひ、みなさんのご家庭の味で作ってみてはいかがでしょうか?
さて、全10回にわたってみなさんに「子どもの食」についてお伝えをしてまいりました。いかがだったでしょうか?
みなさんにお伝えするときに心がけていたことは、『難しくないこと』と『実践できそうなこと』でした。私はいつも、未来を担う子どもたちが健康で、心身ともに豊かであればいいなと思っています。だからこそ、毎日の当たり前の食を決して粗末にせず、大切に感じ、考えて欲しいのです。この10回のコラムを通じて、親御さんとお子さんの食を通したつながりが強くなってくださることを切に願っています。
***
tokko先生こと新生暁子先生による連載『親子で学ぶおいしい食育学』、いかがでしたか? 子どもの年齢や性別、性格、夢中になっているスポーツ、食べ物へのこだわり、それぞれの家庭の事情、親御さんの食に対する意識など、さまざまな条件や置かれている環境によって「子どもと食の関係」は大きく変わります。しかし一番大切なことは、親御さん自身が無理をせず、おいしい食事を子どもと一緒に楽しむことだと私たちは考えます。未来を担う子どもの健やかな成長のために、この連載コラムをぜひお役立てくださいね。