あたまを使う/教育を考える 2019.6.15

「伸びしろのある子ども」の親がしている3つのこと

「伸びしろのある子ども」の親がしている3つのこと

ここぞというときに学力をぐんと伸ばす子東大などの難関大学に合格する子困難なときも自分で道を切り開いていける子。そういった子どもと、そうではない子どもの違いって、いったい何だと思いますか?

その答えは 家庭にありました。さっそく、詳しくご紹介しましょう。

子どもの伸びしろは家庭環境で決まる?

入塾テストがないにもかかわらず、中学受験の第一志望合格率が7割以上、大学受験では難関大への合格率が8割以上という進学塾 VAMOS(東京・吉祥寺)を主宰している富永雄輔氏は、受験コンサルタントとしてこれまで2,000人以上の親と接してきた経験から、次のように述べています。

そもそも、「伸ばしやすい子」とはどういう子なのでしょう?それは、十分な「伸びしろ」が準備されている子です。「伸びしろ」とは、さらに成長する余地であり、可能性のこと。しっかりと「伸びしろ」をつくられた子どもは、きっかけさえ見つかれば、飛躍的に学力を伸ばしていきます。そして、その「伸びしろ」を育てるのはそれぞれのご家庭なのです。

(引用元:富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』, 文響社. )

親の心がけ、幼少期からの家庭での習慣、休日の過ごし方、環境づくりなどが、子どもの「伸びる」「伸びない」に関係しているということ。なにげなく過ごしている家庭での日々が、じつはとても大切なのです。

1. まず心がけたい「心休まるおだやかな家庭」

「陰山メソッド」に代表される基礎学力の向上や、『徹底反復シリーズ』をはじめとする教材開発などで知られる教育者・陰山英男氏はこう述べています。

私は教員時代に毎年何十件と行っていた家庭訪問で、子どもの性格と家庭の雰囲気の関係を考えるようになりました。そうして振り返っていきますと、やはりおだやかな心地よさが感じられる家庭のお子さんは成績がいい子が多く、また年齢相応のしっかりとした話し方のできるお子さんが多いということが改めて感じられたのです。

(引用元:ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?

また、これまで多くの子どもや親たちに指導を行なってきた「花まる学習会」代表の高濱正伸氏も、「家族関係の良さが子どもの安心感の源泉」であり、「家族で心からくつろげて安心できる家である」ことが、伸びる子を育むうえでとても大切なことだと指摘しています。

両親は共働き、子どもは習い事や塾で忙しい……今はそんな毎日を過ごすご家庭も多いのではないでしょうか。だからこそ、家の中では家族全員が心から落ち着ける空間、良好なコミュニケーションが取れる雰囲気を意識的につくっていくことが必要かもしれません。伸びる子のベースには、「家庭で得られる安心感」があることを忘れないようにしたいですね。

2. 伸びる子の親の褒め方

伸びる子の親の特長として、「褒め上手である」こともかなり大きなポイントのようです。

たしかに、褒められることで子どもは自信がつき、自己肯定感を高められる――というのは、よく聞く話ですよね。ただし、褒めすぎは要注意だそう。というのも、伸びる子は常にもっともっと上に行きたいという上昇志向を持っているから。子どもを伸ばしたいなら、この “ハングリー精神” は不可欠なのだそうです。

たとえば、算数で80点の壁をなかなか超えられなかった子どもがいるとしましょう。努力の甲斐あって、85点を取ることができたとしたら、どんな褒め言葉をかけてあげますか? 目標よりさらに5点高い85点を取れたのだからおおいに褒めてもいいのですが、ある親御さんはこう言ったのだそうです。

「よく頑張ったね。さあ、これで90点を目指す準備ができたじゃない!」

これこそ、絶妙な褒め言葉。85点を取れたことはしっかり褒めていますが、その先にも目を向けさせるような言葉です。褒めるのはもちろん必要ですが、時に大事なのは、「それはまだゴールではない」と子どもに感じさせることなのです。

ほかにも、伸びる子の親の傾向として、以下に挙げた行動が挙げられるようです。ぜひ参考にしたいですね。

■「勉強(宿題)しなさい」と言わない
■テストの結果、成績の上下に一喜一憂しない
■家族の目の届く場所(リビングなど)で勉強させる
■平日も休日も生活リズムを崩さない
■家庭菜園をする
■お手伝いをしっかり任せる
■無駄なものを家におかない
■収納のしつけをする
■子どもと一緒に図書館、劇場、美術館、博物館、科学館などに行く

3. こんな環境づくりでさらに伸びる子に

家の中にちょっとした “仕掛け” をつくって、家族みんなで楽しむこと。これも、伸びる子が育つ家庭の特長です。ポイントは、“自然と視界にはいってくるもの” “手を伸ばしやすい場所にある”です。ただし、強制はせず、うまくいけば儲けものくらいの感覚で試してみてくださいね。

■ファミリーライブラリーを作る
伸びる子の特長のひとつとして、“読書好き” あるいは “多読だった時期がある” が挙げられるようです。読書が子どもに良い影響を与えるのは、もはや周知の事実ですよね。

問題は、「どうやったら読書好きになるのか」ではないでしょうか。そこで試していただきたいのが、「ファミリーライブラリー」。ファミリーライブラリーとは、いつでも目に入るところ、手に取りやすい場所に、親自身が読みたい本、親が子どもに読んでほしい本、子ども自身が読みたい本などを棚などに並べておくこと。そのうち何冊かは、表紙を向けて並べておくのが効果的だとか。そうすることで、子どもの視覚に訴えやすく、瞬間的に手を伸ばすようになるのだそう。

さらに、親もなにげなく本を手に取ることが増えるでしょう。親の読書する姿を日常的に子どもに見せることも、子どもを読書好きにさせると言われています。子どもと一緒に調べものができるように、本の近くに辞書や辞典、世界地図、地球儀を置くのもおすすめです。

■覚えたいことを紙に書いて貼る
四字熟語、歴史の年号、英単語、漢字……覚えなくてはいけないことが増えてきたら、紙に書いて「トイレの壁」「冷蔵庫のドア」に貼っておきましょう。そうすることで、記憶に残りやすくなり、ひとつやふたつは無意識のうちに覚えてしまうものなのだとか。

メディアで活躍中の山口真由さんも、著書『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』の中で、「何かを記憶として定着させたいとき、毎日、何度か必ず行く場所に貼っておくのが効果的」だと言っています。

また、山口さんはもっと効果的な方法として、「覚えたことを親子の会話の中で声に出してアウトプットする」と書いています。ポイントはゲーム感覚で楽しむこと、だそうですよ。

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どれも、ちょっとした親の心がけや工夫でできてしまうことばかりでしたね。でも、そんななにげない些細なことが、知らず知らずに子どもに大きく影響を与えることは間違いないようです。ぜひ幼少期から家庭で取り入れてみませんか。

文/鈴木里映

(参考)
富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』,文響社
高濱正伸,相澤樹(2018),『あと伸びする子はこんな家で育つ』,大和書房
ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?
Business Journal|学力の高い子ども、親の習慣や家庭環境に「共通の傾向」…文科省調査で判明
東洋経済ONLINE|「勉強しなさい!」が不要な子の”家庭内習慣”
山口真由(2018),『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』,学研プラス