芸術にふれる/アート 2020.2.6

自己肯定感はアートで高める! 「自ら考え、かたちにする」を繰り返し、自信を持てるようになる

編集部
自己肯定感はアートで高める! 「自ら考え、かたちにする」を繰り返し、自信を持てるようになる

近頃、子ども教育に関する記事やニュースに頻繁に登場する、「自己肯定感」というキーワード。その自己肯定感は、子どもが健全に育つために重要なものだとして注目を集めています。「自己肯定感はアートによって高められる」というのは、子ども向けのアート教室を運営する今泉真樹先生。いったいそれはどんな方法なのでしょうか。

インタビュー写真/石塚雅人
アート活動写真/今泉真樹

大人の思い込みによる判断基準で子どもの絵を評価しない

ご存じのとおり、「自己肯定感」とは、自分を尊重し、自らの存在そのものを認め、「自分はかけがえのない存在」だと感じられる気持ちのことを指します。自分の人生を肯定的に受け止め、豊かなものにしていくために欠かせないものです。

わたしが運営している「アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室」の目的のひとつが、子どもたちの自己肯定感を育むことです。そのために大切なのが、幼い子どもが自由に表現したアートに対して、親など周囲の大人が、思い込んでいる「うまい下手」の判断基準によって評価しないということ。(インタビュー第2回参照)。

こういった環境下では、親が「うまい」とよろこぶような絵を描かなければならないと子どもは考えてしまいます。たしかに、大人が教え込めば、その子どもの絵は大人が勝手に思う「うまい絵」になっていくかもしれません。でも、それは大人にいわれたままに描いているだけのこと。表現の自由を奪われてしまうと、「自分でできた!」という達成感や自信を得られず、自己肯定感が育まれないということになってしまうのです。

今泉真樹先生インタビュー_アートで自己肯定感を高める02
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子ども自身に考えさせ、模索させる

わたしのアトリエでは、子どもたちがつねに自分で考え、自分の力でかたちにするという指導をしています。「できない!」とすぐにあきらめる子どもに対して、やり方を教えるほうが、大人にとっては楽です。しかし、そこをぐっと我慢して、「どうしたらできるかな?」と子ども自身に考えてもらうよう、促しています。大人に頼ることを覚えてしまった子どもは、自分でなかなか考えようとしません。

あきらめかけている子どもには「きっとできるよ!」と励まします。大人も忍耐が必要です。でも、自分で答えを出せたときの達成感を味わい、自信がつくと、「自分でやる」といい出します。どんな問題でも必ず自分で考えて、かたちにできるよう、生きる力をつけてほしいと願っています。

自信をつけて「0から1」を生み出せる子どもに

たとえば、未就園児が版画をつくる場合、絵を描くよりも、難しく感じられます。描いた絵を切り抜いて凹凸をつくり、版にするという紙版画の場合、どうして版画ができあがるのかという仕組みが、幼い子どもにはなかなか理解できません。

すると大人はつい、「まず、下絵を描きましょう」「次は、切り抜きましょう」「最後に貼って、版をつくりましょう」というふうに、次々に指示を出してしまいます。それでは、子どもはただ指示されたままに作業をしているに過ぎません。版画の仕組みについて、「自分で考えてみる」「やり方を模索する」という過程がなければ、子ども自身の力はつきません

もちろん、幼い子どもの場合には時間がかかります。一度できあがった版を刷ってみても、思ったような絵にならずに、「あれ?」と思うこともあるでしょう。でも、隣の友だちの版を観察してみたり、「こうすればいいのかな?」と探求したりするなかで発見がある。子どもが自分なりに考え模索して、ようやくつくりたかったものができたとき、はじめて子どもは自分でできた!と感じられます。この体験を積み重ねることが、自信を持つことにつながります。大人を頼らず、自分で考えられるようになれば、「0から1」を生み出せるアート思考が身についていくでしょう。

今泉真樹先生インタビュー_アートで自己肯定感を高める03

なぜアート教育が注目されているのか

いままでの日本の教育は、「与えられた問題に対して、正解を出す」「知識の暗記」などが主流でした。しかしながら、これらの分野はコンピューターやAIに勝てません。正解が見つかっていないものに対して、探求することがより大切になってくるでしょう。

ビジネスにおいても、創造力が豊かな人材が求められ、「デザイン思考」が取り入れられるようになってきています。「0から1を生み出すこと」への価値が高まっているいま、アートを学ぶ意義は大きいでしょう。

「好きなこと」を通じて生きる力を身につける

いまの子どもたちはたくさんの習い事をしていますが、習い事を選ぶ際にも、ぜひ「子どもが好きなこと」を基準にしてあげてください。自分が好きなことを思い切りできる環境を与えられた子どもは、自信に満ちあふれ、生き生きとしています。ありのままの自分が認められていると感じられるからです。それは、まさに自己肯定感そのものでしょう。

また、好きなことにとことん打ち込む過程のなかで、達成感を味わうこともあれば失敗することもあります。たとえ失敗しても、好きなことなら「どうすればいいか」と考えて計画し、再び挑戦することができます。そうやって、好きなことに取り組める子どもは、自己肯定感のみならず、生きていくうえで必要なさまざまな力を身につけていくのです。

今泉真樹先生インタビュー_アートで自己肯定感を高める04

アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室

■ アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室 主宰 今泉真樹先生 インタビュー一覧
第1回:「汚してもいいよ」で子どもの好奇心を発揮させる! 未就学児から楽しめるアート活動
第2回:つい言ってしまう「上手だね」。もっとお絵かきが純粋に楽しくなる大人の言葉
第3回:子どもの表現力には限界がある。だからこそ「本物」のアートに触れてほしい
第4回:自己肯定感はアートで高める! 「自ら考え、かたちにする」を繰り返し、自信を持てるようになる

【プロフィール】
今泉真樹(いまいずみ・まき)
東京都出身。アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室 主宰。桑沢デザイン研究所を卒業後、英ローズ・ブルフォード大学を主席で卒業。国内外の有名ブランドや宝塚歌劇団のジュエリーデザインなどを手がける。2012年、アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室を設立。子どもの自由な発想力や思考力を育てることに焦点をあてた絵画・工作・野外アート活動の指導を行う。保育 絵画指導スペシャリスト ライセンス保有。新宿区子ども未来基金助成活動【アートミック】アート講師も務める。