教育を考える 2019.4.23

語学力だけでは不充分! グローバル人材に「自己肯定感」が必須なワケ

編集部
語学力だけでは不充分! グローバル人材に「自己肯定感」が必須なワケ

グローバル化が進む昨今、私たちの日常生活も徐々に変化してきました。街中で見かける外国人観光客の数は明らかに年々増加していますし、コンビニや飲食店の店員が外国人であることも今や全く珍しくありません。海外出身の方と一緒に働く職場も増えてきているのではないでしょうか。

もちろん、子どもたちを取り巻く環境も同じように変化を続けています。園や学校のクラスメイトに外国人のお友だちがいるというケースも増えていることでしょう。

このような社会の流れを受け、子どもたちにも「グローバル人材」の資質が求められています。とはいえ、やみくもに英語だけを学べばいいというものでもないようです。家庭内でどのようなことに気をつければ、子どもをグローバル人材に育てることができるのでしょうか。今回は、子どもがグローバル人材になるために大切なことについてご紹介します。

これからのグローバル人材の3つの要素とは?

これからの時代に求められるグローバル人材になるためには、どのような能力が必要になるのでしょうか。

2020年から小学校でも英語が必修化されることもあり、多くの方が語学力の必要性は理解されていることでしょう。しかし、単にネイティブスピーカーのように英語が操れるだけでは、真のグローバル人材として不十分。大切なことは、「英語を使ってどんなはたらきかけをするか」です。

官邸主導のグローバル人材育成推進会議が定義した「グローバル人材」の要素は次のとおりです。

「グローバル人材の要素」
要素I:語学力・コミュニケーション能力
要素II:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素III:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー

(引用元:首相官邸|グローバル人材育成戦略(グローバル人材育成推進会議 審議まとめ)

海外の相手とコミュニケーションを図るには、語彙力だけではカバーできない部分もあります。自分とは異なる価値観や文化的バックグラウンドを持つ人々のことを理解する柔軟性や、失敗を恐れず積極的にチャレンジするタフさなど、幅広い力が必要とされるのです。このような能力は、かつては一握りのエリートやリーダーに求められていたものですが、これからの時代は多くの人に求められるようになっています。

では、基本的な要素である語学力・コミュニケーション力を除いた要素II、要素IIIは、どのようにして身につけることができるのでしょうか。

グローバル人材に必須なのは「自己肯定感」

グローバル人材の要素IIにあたる「主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感」は、あらゆる能力を身につけなければ得られないような印象を受けますよね。しかし、実はこれらに共通するのは「自己肯定感」、つまり「自分は価値のある存在だ」「自分ならできる」という気持ちです。自己肯定感が育まれている子どもは、要素IIの能力を楽に伸ばすことができるでしょう。

家庭で自己肯定感を高めるのに効果的な「言葉がけ」の仕方を考えてみましょう。例をいくつかご紹介します。

■子どもの気持ちに共感する
子どもが習い事のレッスンなどでうまくいかず悔しがって泣いているときには、子どもの気持ちを受け止めてあげることが大切です。自分のことを分かってくれているという安心感が自己肯定感アップにつながります。

【NGワード】
「悔しいんだったらもっと練習していけばいいでしょう」
「泣いたってどうしようもないよ」

【OKワード】
「今日はうまくできなかったから悔しかったんだね」
「実はお母さんも昔できなくて泣いたことがあるんだよ」

■過保護になりすぎない
親は、子どもが失敗して辛い思いをしないようにあれこれ先に手を回したくなるものですが、過保護になりすぎているようなら要注意。子ども自身に考えさせる声かけを心がけるのがおすすめです。

【NGワード】
「ほら、○○を忘れずに持っていきなさいね」
「いいわよ、ママがやってあげる」

【OKワード】
「何を持っていけばいいんだっけ?」
「あなたはどうすればいいと思う?」

■人と比べない
うまくいかないときでも、他の子と比べるような発言をすると、子どもは「友だちと比べて自分は劣っているのだ」と受け取ってしまいます。子どもが自分に自信を持つには、子ども自身の成長ぶりを少しずつ認めて褒め「今の自分を認められた」と感じさせることが必要です。

【NGワード】
「〇〇くんはテストが100点ばかりなんだって」
「△△ちゃんはもう自転車にスイスイ乗っているのに」

【OKワード】
「前よりも10点上がったね」
「もうすぐ補助輪も取れそうだね」

このように、子どもを否定したり自立心を奪ったりすることなく、「自分ならできる」と感じさせるような言葉がけをすることによって、子どもの自己肯定感を高めることができます。

グローバルな人材教育は、まず日本を知ることから

では、要素IIIにあたる異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティーは、どうしたら身につけられるのでしょうか。

外国人とのコミュニケーションでは、「あなた自身はどう考えるのか?」と意見を聞かれることがあります。これは、「あなた自身=日本人」としての意見を期待されていることが少なくありません。

みなさんも、普段は「日本人としてのアイデンティティー」について考えることはほとんどありませんよね。そのため、外国人と交流した際に、日本について質問をされて答えに困ってしまったり、自分たちよりも日本のことを詳しく知っている外国人に出会ったり……。という経験はないでしょうか?

そこで、将来を担えるグローバル人材になるために、教養としてお子さんが「日本らしさ」を知る機会を増やすことをおすすめします。お子さんが小さいうちから、四季折々の日本の自然にふれたり、年中行事や習わしを一緒に体験したりして、身近な「日本の文化」を学べるように環境を整えることが大切です。

さらに、自分の国について知っていることで、相手の国を理解しやすくなることもあります。東京都教育委員会は、異文化理解の心は自国の文化理解のもとに育まれるため、日本の伝統や文化を通して日本人というアイデンティティを確立する教育を推進することが必要だと述べています。異なる文化や風習などの「多様性」を受け入れられる許容性や柔軟性は、グローバル人材として成長するための基礎となるのです。

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グローバル人材に育てるためには、特別な何かを与える必要はありません。むしろ、子どもの「自己肯定感」を高める言葉がけと、私たちの身近にある「日本らしさ」の経験の豊かさが大切だといえますね。

(参考)
首相官邸|グローバル人材育成戦略(グローバル人材育成推進会議 審議まとめ)
河合塾Kei-Net Guideline4・5月号|特集2 グローバル人材の育成-
こどもまなび☆ラボ|「自己肯定感の高い子どもは学力も高い」は本当? 自己肯定感アップに効果的な3つのこと。
東京都教育委委員会|日本の伝統・文化理解教育の推進
こどもまなび☆ラボ|英語学習だけで大丈夫? 子どもがグローバル社会で活躍するために本当に大切なこと
日経DUAL|「リスクを取れて、前向き」が世界を生き抜ける子