2021.3.4

子どもの自己肯定感を下げる 「絶対に言ってはいけない言葉」

編集部
子どもの自己肯定感を下げる 「絶対に言ってはいけない言葉」

(この記事はアフィリエイトを含みます)

子どもにとって、親から向けられる言葉の影響力は計り知れません。わが子にはできるだけ、傷つけるような言葉をぶつけないようにしよう、と心がけてはいても、思い通りにいかずにイライラしたりカッとなったり……。

今回は、子どもに絶対言ってはいけない言葉について解説し、子どもの自己肯定感を育むだけではなく、親のストレスも軽減される効果的な声かけとほめ方を紹介していきます。

親の言葉が「子どもの人生の土台」をつくる

いつも穏やかな気持ちで子どもに接したいのに、カッとなるとつい厳しい言葉をぶつけてしまう
自分の言葉が子どもの人生に悪影響を与えているのではないかと不安になる……

このような悩みを抱えている親御さんも多いのではないでしょうか。真剣にわが子と向き合っているからこそ、親はいつも悩み、不安を感じてしまうもの。

いまの親は思い込みに縛られていて、せっかく愛情があるのに空回りしていることが多いと述べるのは、教育評論家の親野智可等先生です。みなさんも、ネットの情報やSNSなどを見ては、他人と比較して落ち込むこともあるはず。自分の育児法に自信がもてなくなると、子どもとの向き合い方までもわからなくなってしまいます。

親もひとりの人間なので、思い通りにいかない子どもにイライラしたり、感情的になって怒鳴ったりすることもあるでしょう。しかし、親から言われ続けた言葉は、知らず知らずのうちに子どもの心に深く刻み込まれることも事実です。

一般社団法人日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカさんによると親の言葉は子どもにとって一種の暗示のようなものであり、『あなたはできる』と言われて育った子は恐れずに挑戦する子になるなど、親の言葉が価値観の基礎になると指摘しています。

逆に、親から「あなたって本当にダメな子ね」と言われ続けると、子どもの自己肯定感は育まれません。それどころか、チャレンジ精神が失われ、ちょっとした壁にぶつかるとすぐに諦めるような無気力さばかりが目立つようになるでしょう。

このように、親からかけられた言葉が子どもの人格形成や、生きていくうえで身につけておきたい「自己肯定感」に強い影響を及ぼすことはよく知られています。

子どもの自己肯定感を下げる言葉02

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親が子どもに “絶対に言ってはいけない” 言葉

続いて、親が子どもに言ってはいけない言葉について、具体的に解説していきます。

子どもの存在そのものを否定する言葉

「あんたなんて産まれてこなければよかったのに」
「お前なんていないほうがいい」
「捨ててしまいたい」

これらの言葉は、どんな場合であっても決して言ってはいけません。もちろんほとんどの親は、このような言葉を発したことはないでしょう。しかし、ときに冗談や過剰な謙遜、周囲への照れなどから軽い気持ちで言ってしまうケースも。

たとえ冗談でも、言われた子どもは心に深い傷を負うかもしれません。大人になって何かにチャレンジしようとしたとき、幼いころに親から存在を否定されたことを思い出し、「どうせ自分なんか」と一歩も踏み出せなくなってしまうこともあるので注意が必要です。

子どもの人格を否定する言葉

「あなたって意地悪な子ね」
「どうしていつも迷惑ばかりかけるの!」

たとえばお友だちを叩いてしまったとき、「お友だちを叩くなんて乱暴な子ね!」と子どもの人格を責めるか、「お友だちを叩くのは悪いことだよ」と行動そのものに対して注意をするかで、受け取り方は大きく変わります。

『子どもが一週間で変わる親の「この一言」』(三笠書房)の著者の波多野ミキさんは、人格を否定されるようなことを言われ続けると、だんだんとネガティブになり、『自分はダメな子なんだ』と思うようになりますと警鐘を鳴らしています。あくまでも「子どもの行動そのもの」に目を向けて、人格を否定しないように気をつけて。

子どもの能力を否定する言葉

「何度やってもできないなんてダメな子ね」
「お前には無理だ」

自分の能力を否定される言葉で叱られ続ける弊害について、前出の親野先生は次のように述べています。よく見られるのは、「ダメな自分は親から愛されないのではないか」という不安から、わざと心配させるような行動をとり、「こんなに心配してくれているから自分は愛されているんだ」という確認作業を行なうこと。

また、子どもは自分が叱られながらも、親の口調や態度をよく観察しています。その結果、親の叱り方をまねするようになることも。弟や妹、友だちに対して、できないことをとがめるような口調で責めるようになる前に、親自身の叱り方を見直す必要があるでしょう。

兄弟・姉妹や他の子と比べる言葉

「お兄ちゃんはできるのに……」
「お友だちに負けないように頑張りなさい!」

『叱りゼロ!「自分で動ける子」が育つ魔法の言いかえ』(青春出版社)の著者でプロコーチの田嶋英子さんは、「わが子とほかの子どもを比べてしまうのは、ちゃんと成長しているかどうか確かめて安心したいから」と説明しています。しかしたいていは “できている子” と比べてしまうため、結果的に不安が増してしまうことが多いそう。

比べられて育った子は、劣等感が強くなり、自分に対してマイナスのイメージを抱くようになります。比べるなら過去のその子自身、つまり半年前や一年前の姿を思い出して、「ずいぶん成長したね」と前向きに考えるようにしましょう。

伝えたいことは間違っていなくても、選ぶ言葉によって子どもの心を深く傷つけることがあります。親が発する言葉の重みや責任について、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうですね。

子どもの自己肯定感を下げる言葉03

カッとなる前に押さえておきたい! 叱り方のポイント2つ

子どもの性格や家庭の方針によって叱り方はさまざまですが、状況に応じて即座に正しい声かけをするのは容易ではありません。カッとなってとっさに人格を否定するような言葉が出てしまうこともあるはずです。自分の言葉に後悔して落ち込まないように、「これだけは押さえておきたい叱り方のポイント」を覚えておきましょう。

子どもが自分から動けるような「具体的な提案」をする

NG:「こんなに散らかして! なんで片づけないの!?」
OK:「まだ遊びたいのかな? 遊び終わったならおもちゃを箱にしまって、おやつにしようか」

毎日毎日同じことを注意しているのに、いつまでたっても自分から動こうとしない、と悩んでいませんか? だからといって、ついイライラして感情のままに叱っても、状況は改善されません。

前出の田嶋さんは、子どものよい部分に目を向け、自己肯定感を高めながら、できていないところも直すことを心がけてとアドバイスしています。「小さいおもちゃはこの箱に、大きいものはこの箱に入れようか」など、具体的に指示を出しながら促すとスムーズに行動できるようになるでしょう。

「私」を主語にすれば、子どもを責める口調になりにくい

NG:「(あなたは)何回言ったらわかるの!」
OK:「(私は)○○してくれると嬉しいな」

子どもを叱るとき、無意識のうちに相手を責めるような口調になっていたら要注意。親業訓練協会の瀬川文子さんは、子どもを叱るのは、たいてい子どもの行動に対して親が気に入らないとき。だから『どうしてそんなことをするの!』という表現になってしまう」と説明しています。

これは「あなた」を主語にした叱り方であり、相手を責めるニュアンスが強く、責められたほうは言い訳や反発をしてしまうという悪循環を生むことも。子どもに注意するときは、「(私は)こうしてほしい」「(私は)こんな気持ちになった」と、「私」を主語にするようにするといいでしょう。

子どもの自己肯定感を下げる言葉04

「叱る回数」よりも「ほめる回数」を増やしてみませんか?

子どもを叱りつけるたびに後悔し、自分を責めてしまいがちな親御さんは、子どもをほめることを意識して過ごすように心がけましょう。親御さんのストレスが軽減されるのはもちろん、お子さんの自己肯定感もぐんぐん上がりますよ。

子どもが失敗したときこそ、ほめるチャンスです!

たとえば、お片づけを「していない」ことばかりに目が向いてしまうケースでは、お片づけを「してくれた」ときにしっかりとほめるようにします。その際にはきれいになって気持ちがいいね」「片づけてくれて助かるよと、感謝の気持ちもプラスしましょう。

また、お子さんが何かに挑戦して失敗してしまったときも、ほめ言葉を伝えるチャンスです。結果だけに着目するのではなく、そのプロセスやがんばった姿を認めてあげることで、子どもの自信につながります。

「親は子どもの『できる』『できない』に目を向けがちです」と苦言を呈するのは、東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり先生。がんばってもできなかったときは、「つらかったね」「次はきっとできるよ」「一緒にやってみようか」と励ましながらも、がんばったことをしっかりとほめてあげるといいでしょう。

ニコニコして子どもを見守るだけでも効果あり

なかには「ほめるのが苦手」「どうやってほめればいいの?」と悩んでいる親御さんもいるのではないでしょうか。

発達心理学が専門で恵泉女学園大学学長の大日向雅美先生は、「ほめることにテクニックはない」ときっぱり。ただし、『何かができるから、いい子』というほめ方はしない方がいいとアドバイスしています。「これができたからいい子だね」と条件つきでほめてしまうと、子どもは「次も親の期待に応えなければならない」とプレッシャーを感じてしまうそう。

また、乳幼児教育学が専門で玉川大学大学院教授の大豆生田啓友先生は、ほめ方には、『見守る』ことも含まれると述べています。子どもの様子を見て、「がんばっているんだな」とニコニコしながら見守ってあげることも、子ども自身が「自分は認められている」と感じることにつながるので、十分効果的だといえるでしょう。

もっと具体的に「子どもをほめる基準」や「子どものほめ方」を知りたい方は、ヒューマンアカデミーの通信講座「ほめ育子どもコーチング講座」をおすすめします。子どもの長所を伸ばすだけでなく、親自身の成長も感じることができると注目されている「ほめ育」。しっかりと基礎から学ぶことで親子の絆が深まり、子どもの自己肯定感アップにもつながりますよ。

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普段あまり意識していなくても、子どもにとって親の言葉は強い影響を及ぼします。今回ご紹介した「叱るときに注意したいこと」「ほめるときのポイント」を覚えておけば、親子のコミュニケーションはより豊かになるでしょう。

(参考)
PHPファミリー|子どもの「性格の土台」は親の言葉がつくる
東洋経済オンライン|親が子どもにうっかり授ける「裏の教育」
PHPのびのび子育て 2021年3月特別増刊号,PHP研究所.
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して
NHK すくすく子育て情報|“ほめて育てる”とはいうけれど…
ヒューマンアカデミーの通信講座 たのまな|ほめ育子どもコーチング講座(Basic)