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無意識のうちについやってしまう癖は誰にでもあるもの。ただし、見ている人によくない印象を与える癖は、できるだけ直したいですよね。自分の子どもであればなおのこと、早い段階で修正してあげたいと願うのは当然です。
今回は、子どもの “困った癖” のなかで特に多い「指しゃぶり」「爪かみ」「鼻ほじり」について、解説していきます。
「子どもの困った癖」の原因はストレス? 愛情不足!?
「こら、何度言ったらわかるの!」「汚いからやめなさい!」と、しょっちゅう叱っているにもかかわらず、繰り返される子どもの “困った癖” 。なかでも、不衛生に見える癖や、周りの人を不快にさせる癖は、たとえ子どもであっても厳しく注意するべきだと考えて当然でしょう。
子育て中の母親向けメディア「あんふぁん」が2019年に実施したアンケートでは、「子どもの困った癖」の1位は「鼻ほじり」、2位は「爪かみ」、3位は「指しゃぶり」という結果でした。また、子育て情報誌「kodomoe」のアンケートでも同様に、これらの癖が上位にランクイン。「鼻をほじって、さらにそれを食べちゃう……」「もうかむところがなくなるまで爪をかんでしまう」「爪の周りの皮膚までかんでしまい、やめてと言っても効果なし」といった回答者の声からは、多くの親がこれらの癖に悩まされ、わが子のためにもどうにか改善してあげたい、と切実に願っていることが伝わります。
そんな親たちをさらに追いつめるのは、「子どもが指しゃぶりをやめないのは親の愛情不足」「ストレスを感じているから爪をかむ」といった言葉の数々です。「指しゃぶり」「爪かみ」「鼻ほじり」をし続けるのは親のせいーー。そのような心無い言葉やネットの噂に傷つき、悩んでしまう親御さんにとって、子どもの癖は「絶対に解決しなければならない重大な問題」として重くのしかかっていることでしょう。
しかし近年では、これらの癖の原因が「愛情不足」でも「ストレス」でもないことがわかっています。小児科医の秋山千枝子氏は次のように述べています。
ひと昔前は『子どものクセはストレスが原因』と言われていたこともありました。でも、何が原因かは結局のところ分からないことが多いのです。ストレスがかかるとクセが強く出る、ということはありますが、決して『愛情が足りないせいだ』などと、ママが自分を責める必要はありません。
(引用元:kodomoe web|爪かみ・指しゃぶり・鼻ほじり……気になる行為・行動 子どもの“このクセ”大丈夫?)
ただし、はっきりとした原因はわからなくても、子どもの身体的な成長過程において、これらの行動が出やすくなるという傾向はあるそう。次に詳しく見ていきましょう。
子どもが「指しゃぶり」「爪かみ」「鼻ほじり」をする理由
子どもの「困った癖」の原因のほとんどは、身体的に不快な状態を解消した経験がきっかけとなっています。つまり、「すっきりして気持ちよかったからまたやろう」と記憶に刻まれている快感を得ることが目的です。また、単純に「これをすると落ち着く」「何もすることがなくて退屈」など、大人が考えるほど深い理由がないことも。ここでは、専門家の意見をもとに「指しゃぶり」「爪かみ」「鼻ほじり」の原因を考えていきます。
■子どもが指しゃぶりをする原因
乳幼児の癖のなかで特に多いのが「指しゃぶり」です。エコーの画像からも、胎児の時点ですでに指しゃぶりをする姿が見られることが知られています。お茶の水女子大学名誉教授で小児科医の榊原洋一氏は「おそらく指をしゃぶる感覚が安心するのでは?」との見解を示しています。
指をしゃぶっていると情緒が安定する、不安や緊張が緩和されるという面からも、無理にやめさせてしまうほうが悪影響である場合も。多くの専門家が「3歳頃までは特に禁止する必要はない」と回答しています。
■子どもが爪かみをする原因
小児科医の細部千晴氏は、爪かみの原因として「数本程度なら、爪をかむ感覚がおもしろいのかも」と論じています。最初のきっかけは、爪先がガタガタしているのが気になる、ささくれが引っかかるなど、ささいなことかもしれません。
ただし、すべての爪を極限まで深くかむようであれば、イライラしていたり不安が強かったりする可能性もあるそう。毎日のスケジュールに無理がないか、友人関係や勉強面で悩んでいないかなど、子どもが過度にストレスを抱えていないか気にかけてあげるといいでしょう。
■子どもが鼻をほじる原因
単純に「鼻の中に鼻くそがあって、かゆいから指でほじる」ことが原因として考えられます。それだけなら誰もがすることですが、癖にまで発展してしまうのはどうしてでしょうか?
横浜市立大学付属病院児童精神科の見解によると、「鼻くそが引っかかってとれず、やっとのことで取り出せた。そのときに感じた “すっきり” を、心のバランスをとるために体や心(脳)が必要として続けることになっている」のだそう。つまり、「以前体験した刺激や快感」を求めて同じ行動を繰り返すことが、癖につながっているというわけです。
■ほかに考えられる原因
「鼻ほじり」の別の原因として考えられるものに、「鼻になんらかの病気がある」ことが挙げられます。JCHO東京新宿メディカルセンターの石井正則氏によると、「癖を直すというより、まず鼻の病気を治すことを考えるべき」とのこと。鼻の病気とは、代表的なものとして風邪や花粉症、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎などが挙げられます。これらの病気が治れば鼻をほじることもなくなるはずなので、病院に連れて行って様子を見てあげましょう。
「指しゃぶり」が癖になるのも、しゃぶって皮膚が硬くなり、たこができて、たこが乾くと痛くてなめる……という悪循環によって引き起こされるケースが考えられます。心理的な要因よりも、このように鼻のなかや指に不調を抱えていることが癖につながっていると考えると、解決への糸口が見えてくるのではないでしょうか。
「困った癖」を厳しく叱るのはNG!
子どもの癖は一過性のものが多く、ほとんどはその時期のブームに過ぎません。「癖が出やすいのは、ほかにすることがないときが多い」と前出の秋山氏が指摘するように、手持ち無沙汰になっているときや退屈しのぎで出てしまう癖については、あまり深く悩む必要はないでしょう。
しかし、「あまりにも長く続いている」「衛生面が心配」「お友だちから嫌がられそう」など、親御さん自身の心配やストレスにつながるようなら、すぐにでも改善したいですよね。
まず、すべての癖に共通した対処法として「叱らずにほめること」が挙げられます。子ども本人は、親を困らせようとしてわざとやっているわけではありません。前出の榊原氏によると、「自分は悪いことをして叱られている」と思わせないことが大事なのだそう。そのうえで、「癖をしているときに叱るのではなく、しないでいたら『えらいね。指しゃぶりしてなかったね』というようにほめてあげて」とアドバイスしています。
「我慢できたことをほめられた子どもは、我慢することに意味があると気づくようになります」と語るのは、東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり氏です。親からほめられることで、子どもの達成感は高まります。さらにその体験を経て、子どもは自信をもって「次も頑張ろう」と思えるようになるのです。叱りたい気持ちをぐっと抑えて、子どもを追いつめるような言葉をぶつけるのは避けましょう。
■指しゃぶりへの対処法
指しゃぶりで心配されるのが「歯並びが悪くなる」こと。歯科医が指摘しているのは、長い時間ずっとしゃぶり続けることと、寝ているあいだの指しゃぶりが、歯並びに影響を与えるという点です。それを避けるためにも、寝かしつけのときに子どもの手をにぎったり、絵本の読み聞かせをしたりして、指しゃぶりをしなくても安心できるようにするといいでしょう。
また、物理的に指しゃぶりを避けられるアイテムに頼ってもいいですね。「チュチュ BYE BYEスキンクリーム」は、「子どもの指しゃぶりの回数が減った」「指しゃぶりをするときにためらうようになった」という使用者の声からもわかるように、子どもの指しゃぶり防止に効果を期待できる商品です。グリセリンやスクワランなどの肌を優しく潤わせる成分や、なめると苦味を感じる成分を配合しています。
親子で楽しく指しゃぶりを卒業できると評判の「指しゃぶり卒業キット たこたこおにおにおんころぽい」は、子どもが自らの意思でやめようと決意できる工夫がほどこされています。指しゃぶりにまつわるミニ絵本と、そのおはなしに連動した指シールがセットになっており、視覚・感覚的に指しゃぶりを抑制する効果が期待できるでしょう。
■爪かみへの対処法
なかなか直らない癖に対して、「癖と置き換える “拮抗行動” を子どもに教える」ことをすすめるのは秋山氏です。拮抗行動とは、その動作をしているときには癖ができない動作のこと。特に決まりはありませんが、「1~2分間維持できる」「まわりの人から目立たない」「ほかの動作の妨げにならない」条件を満たしていることが好ましいでしょう。
具体的には、爪をかみたくなったとき、手のひらに指先をぎゅっと握りこむなど、指を口元にもっていかないように意識させます。最初のうちはうまくいかないかもしれませんが、子どもにとってプレッシャーにならないように、粘り強く練習させるといいでしょう。
口に入れると苦味を感じるマニキュアタイプの商品も、爪かみ防止には効果的です。爪噛み防止の苦ぁーいマニキュア「かむピタ」は、たくさんの使用者から「子どもが爪かみをやめられた!」と嬉しい声が続出するほど、爪かみ防止のベストセラー商品。人体に無害な植物由来の成分を配合していることからも、安心して使用できますね。
■鼻ほじりへの対処法
小さな子どものなかには、大人の反応がおもしろくてわざと鼻をほじる子もいるでしょう。その場合、過剰な反応は避けて、冷静に「人前ではやめようね」「かっこ悪いよ」と諭してあげてください。ほかに夢中になれることを見つけたり、指先を使った遊びに集中するよう促したりすれば、自然と鼻ほじりへの執着は薄れていくでしょう。
ただし、前項で説明したように、鼻になんらかの異常がある可能性もあります。鼻水がたまると鼻くそができ、それをとろうとして鼻ほじりに発展するのであれば、上手に鼻をかむ方法を教えてあげて。何も出てこなくなれば、鼻をほじることはつまらないと感じてやめるようになるはずです。
子どもの癖に悩んだら読みたい本
最後に、子どもの困った癖の解消に役立つ本をご紹介します。癖の原因や、癖がやめられない子どもの気持ちに対する理解が深まることで、みなさんの悩みが少しでも軽くなりますように。
◆『指しゃぶりにはわけがあるー正しい理解と適切な対応のために』
新日本医師協会の会長を務める歯学博士・岩倉政城氏による、指しゃぶりへの適切な対処法を示した本著。さまざまな具体例をもとに、禁止したり強制したりせずに、指しゃぶりを改善へと導く方法を解説しています。いま現在、子どもの指しゃぶりに悩んでいる保護者にとって、心配や不安が軽減される一冊になるでしょう。
◆『ゆびたこ』
指しゃぶりがやめられない少女の親指には、立派な「たこ」ができてしまいました。もうすぐ1年生になるのに、指しゃぶりなんてはずかしい、このたこ消えないかなぁ……。すると突然、「指たこ」がしゃべりだした! 「これからも、もっと指しゃぶりして、わいのこと大きくしてや〜」だなんて、ちょっと怖くてとびきり愉快なストーリーにぐいぐい引き込まれます。実際に「子どもの指しゃぶりに効果あり!」という感想も続出しているそう。
◆『なっちゃうかもよ』
子どもならではの「困った行為」を、叱らずにやめさせるのにぴったりのしつけ絵本です。「はなくそをほじると……」「はをみがかないと……」「おやゆびをしゃぶっていると……」、はたしてどうなってしまうのでしょうか? 視覚的効果が高く、子どもでも理解しやすい内容になっています。「ついやってしまうこと」と「やってはいけないこと」が明確に示されているので、困った癖をスムーズに直す一助になるでしょう。
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癖というものは、無理にやめさせようとすると逆に意識しすぎてやめづらくなることもあります。イライラして叱ったり、力で押さえつけたりするのは絶対にやめましょう。ほかのことに興味を向けさせるなど、癖が出る機会を自然に減らしていくのが理想ですが、なかなか直らないようなら、今回ご紹介した対処法を試してみてください。
(参考)
あんふぁんWeb|どうしたらいい? 子どもの癖
kodomoe web|爪かみ・指しゃぶり・鼻ほじり……気になる行為・行動 子どもの“このクセ”大丈夫?
NHK すくすく子育て情報|動画で見る!子どものクセ
横浜市立大学付属病院・市民総合医療センター 児童精神科|親子のこころのとまり木|くせ(爪かみなど)について。
小児科と小児歯科の保健検討委員会|指しゃぶりについての考え方
いこーよ|子供はなぜ、よく鼻をほじる?止めさせる方法は?
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