2022.8.8

「過保護」と「過干渉」の大きな違い。「過保護」に育てると子どもは自立します!

編集部
「過保護」と「過干渉」の大きな違い。「過保護」に育てると子どもは自立します!

大切なわが子が幸せになるように、楽しく過ごせるように、傷ついたり悲しんだりしないように、親はいつでも心配してしまうものです。しかし、必要以上にかいがいしく世話を焼いたり、親の意見を押しつけたりするようなら、「過干渉」だと言わざるを得ないでしょう。

今回は、子どもの将来にも影響を及ぼす「親の過干渉」の危険性について解説します。「私って過干渉?」と不安な方は、最後の過干渉チェックリストをぜひ参考にしてみてくださいね。

「過干渉」と「過保護」の違いは?

よく混同されがちな「過干渉」と「過保護」ですが、調べてみると大きな違いがあるようです。公認心理師としてメディアなどで活躍する佐藤めぐみ氏の見解をもとに説明します。

過干渉:親の理想や期待を子どもに押しつけること

親の願望を子どもに押しつけたり、子どもの人生をコントロールしたりするのが「過干渉」です。佐藤氏によると、子ども自身が望んでいないことについて、過干渉な親は自分の価値観を基準にして「やってあげなければ」と思い込んでしまう特徴があるそう。そのため、親は自分が過干渉なことに気づきにくいとのこと。また、「子どもの失態や過ちが自らの評価に影響する」という不安を抱いている親も多く、子どものためではなく自分のためという思いも潜んでいるそうです。

過保護:親が子どもを過剰に保護すること

一方で「過保護」とは、親が子どもを過剰に保護することを指すと、佐藤氏は言います。まわりからは「子どもを甘やかしてる」と指摘されることもあるかもしれません。ですが、過保護は自立の芽を育て、過干渉は自立の芽を摘むと精神科医の故・佐々木正美氏が断言しているように、過保護は決して悪いことではありません。むしろ、親が欲求に応えてあげることで、子どもは「自分の願いを叶えてくれた」と満足し、自然と自立への道を進んでいくのです。

過干渉も過保護も、どちらも「子どもに何かをしてあげる」という点では同じです。しかし佐藤氏は、過干渉な親の心の奥には、「自分が思い描く理想の子どもに育てたい」というコントロール願望が潜んでいると述べます。これこそがまさに、過干渉がもたらす危険性の根源となっているのです。

過干渉チェックリスト02

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過干渉な親に育てられた子どもの特徴5つ

佐藤氏は、「干渉しすぎる親のもとで育った子は、のちのち社会に出てからもさまざまな問題を抱える傾向がある」と述べています。親の過干渉は、子どもの将来にどのような影響を与えるのでしょうか。ここでは、過干渉な親に育てられた子どもの特徴を5つご紹介します。

特徴1:「いい子症候群」から「アダルトチルドレン」になる

「過干渉気味に育てられた子どもは、他人の顔色ばかりうかがって自分が何をしたいかわからない『いい子症候群』になる」と指摘するのは、明治大学文学部教授の諸富祥彦氏です。さらに、いい子症候群の子どもは、大人になったときに「アダルトチルドレン」と呼ばれるようになるのだそう。子ども時代に自分らしくさせてもらえない体験を重ねることで、生きづらさを抱えた大人(=アダルトチルドレン)になってしまうのです。

特徴2:アイデンティティが確立できず無力感におそわれる

米国のセラピストであるスーザン・フォワード氏は、著書『毒になる親』(毎日新聞社)で、「コントロールしたがる親に育てられた子は、成人後も自分が何者であるのかというアイデンティティがぼやけたままはっきりしない。それは、自分と親は独立した異なる人間であることを実感しにくいからである」と説いています。そのため、自分が望んでいると思っていることが本当に自分の望むことなのか、それとも親が望むことなのかよくわからない――。このような無力感におそわれてしまうのです。

特徴3:打たれ弱く失敗を恐れるようになる

過干渉な親に育てられた子の特徴として、佐藤氏は「失敗に対する耐性が弱く、一度の失敗で心に大きな傷を負ってしまう」ことを挙げています。佐々木氏も同様に、「親に干渉されすぎると他者からの評価に過敏になり、ほめられることばかりして叱られるようなことをしない子になる」と指摘しています。「どうしたらほめられるか」ばかりを優先すると、何かに挑戦して失敗することを極端に避けるようになるのです。

特徴4:親に対して激しく反抗するようになる

ずっと自分を支配してきた親に対して、「悲しませることで復讐する」という複雑で根が深い問題に発展することも。前出の諸富氏によると、「親に対してものすごく反発して非行に走るようなケースもある」のだそう。自分が何をどうしたいのかということがわからないため、「私はこうしたい」という交渉ができずに、怒りや悲しみの感情が親への激しい反抗に直結してしまうのです。

特徴5:ほかの人間をコントロールしたがるようになる

さらに前出のフォワード氏は、「コントロールしたがる親に育てられた子どもは、小さなときから押さえつけられてきたフラストレーションと怒りが心の奥にたまっている。そのためほかの人間をコントロールしたがるようになる」とも述べています。また、友だちや周囲の人間との距離感をうまくつかむことができず、人間関係でのトラブルを起こしがちに。親の過干渉な言動は、子どもに「親は自分を信頼していない」と感じさせます。その結果、子ども自身も他者を信頼できなくなってしまうのです。

過干渉チェックリスト03

いくつ当てはまる? 【過干渉チェックリスト10】

「もしかしたら私も過干渉かもしれない……」と不安を感じられた親御さんもいるかもしれません。普段の言動や子どもへの接し方は習慣化しているため、自分では当たり前になっていて気づかないことも。以下のチェックリストを参考にして振り返ってみましょう。すぐに実践できる対処法も提案しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

【過干渉チェックリスト10】

  1. 子どもの時間割を毎日確認、率先して準備をする
  2. 子どもが着る服や持ち物を勝手に選ぶ
  3. 子どもが嫌がる習い事を無理に続けさせている
  4. 子どもの宿題に口を出しすぎてしまう
  5. 子どもの進路を勝手に決める
  6. 子どもの交友関係が気になって口を出す
  7. 子どもの行動を逐一チェックする
  8. 子どもの机の引き出しをこっそり開けてしまう
  9. 子どものメールを盗み見してしまう
  10. 子どもをほめるよりも叱ることのほうが多い

1. 子どもの時間割を毎日確認し、率先して準備をする

入学したての子どもであれば仕方ありませんが、中学年や高学年になっても「明日の時間割は?」「持ち物は?」と確認しなければ気がすまないのは過干渉です。幼児教育の専門家である立石美津子氏が言うように、いつまでもその調子でいると、子どもは自分で身のまわりのことを準備したり整えたりする習慣を身につけられません。学校に必要なものは子ども自身が管理できるように、部屋の収納を見直すなど工夫してみましょう。

2. 子どもが着る服や持ち物を勝手に選ぶ

「そのシャツとズボンを合わせるのは変だよ」「今日はこの靴をはいていきなさい」と、子どもの服装を毎朝選んでいませんか? 大人から見たらおかしい組み合わせかもしれませんが、有無を言わさず親の意見に従わせるのは過干渉だと言えます。一般社団法人日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏によると、「夕方から寒くなるみたいだよ」「大きめのリュックだったら荷物が全部入るかもね」など、親は軽くアドバイスするくらいで、選んで決めるのは子ども自身に任せるといいそうです。

3. 子どもが嫌がる習い事を無理に続けさせている

親の「やらせたい!」という強い願望だけで続けさせている習い事は、いずれ子ども自身の負担になります。親自身は、この習い事を続けて上達することは「わが子のため」だと思い込んでいるかもしれませんが、子どもの気持ちや意思を無視して続けさせることは明らかに過干渉です。「お子さんの個性と能力、そしてどのくらい本気で嫌がっているのかを見極めて」と佐々木氏がアドバイスするように、習い事に行くことが子どものストレスになっているようなら、しばらくお休みするという選択肢もありですよ。

4. 子どもの宿題に口を出しすぎてしまう

「宿題終わったの?」という声かけだけでは収まらずに、宿題の中身を細かくチェックしたり間違っている箇所を訂正したりするのは過干渉であると、元新聞記者で臨床心理士の西脇喜恵子氏は指摘します。「お母さんがやることを指示してくれる」「最終的にはお父さんが手伝ってくれる」という甘えが根づいてしまうと子どもの自主性が育たないのだそう。「最初に一回だけ声かけをして、そのあとはいっさい口出ししない」などと決めて、子どもの宿題に口を出しすぎないようにしましょう。

5. 子どもの進路を勝手に決める

自分の人生なのに、進むべき道を自分で決められないでいると、失敗したりつまずいたりしたときに「誰かのせい」にして責任から逃れるようになってしまうと、諸富氏は言います。子どもに幸せな人生を歩んでほしいという一心で、進学先や就職先に口出ししてしまうのかもしれません。しかし諸富氏が言うように、これこそが子どもの自立を阻む行為であることを忘れずに。子ども自身が決めたことなら信じて応援する、迷ったり悩んだりしているようなら相談に乗る、アドバイスはするけど押しつけない、ということを心がけましょう。

6. 子どもの交友関係が気になって口を出す

わが子の交友関係に無関心でいられる親はいないでしょう。ただし、いくら心配でも、自我が芽生え始めた子どもに対して「○○くんとはあまり付き合わないで」「△△ちゃんみたいな子と仲良くしてほしいな」などと言ってしまうのは過干渉だと諸富氏は苦言を呈しています。心配しなくても、子どもはいずれ自分に合う子を見つけ、自然と仲良くなります。その過程において、さまざまなタイプの子と接するのも勉強だと思って、黙って見守ってあげましょう。

7. 子どもの行動を逐一チェックする

お友だちどうしで出かけているのに、頻繁に電話やメールで行動を確認するようなら過干渉かもしれません。親の目が届かないところでわが子が何をしているのか、気になる気持ちもわかりますが、子どもは子どもなりに自立に向けて一歩ずつ進んでいるのです。「あまり心配しすぎずに、子どもの主体性を尊重して見守ってあげて」と元東京都養護教諭研究会会長の宍戸洲美氏が言うように、家を出る前に「車には気をつけてね」「楽しんできてね」と声かけするだけで、子どもは「お母さんは自分を信じてくれている」と実感できるもの。帰宅後に子どものほうから「こんなことがあったんだよ」と話してくれるように、話しやすい雰囲気をつくってあげることも大切です。

8. 子どもの机の引き出しをこっそり開けてしまう

いくら親子でも、最低限のプライバシーは守りましょう。特に、子どもの机の引き出しのなかをチェックするようなことは、親子間の信頼を著しく損なうので要注意です。立石氏は、「子どもだって親に秘密にしておきたいことはたくさんある。見たくなったら子どもの気持ちになって、一呼吸置いて」とアドバイス。隠し事はないか、悪いことはしていないか、と相手を疑う気持ちがあるのなら、その原因を探るほうが大事。子どもの様子がおかしいと感じたら、「悩んでることがあるなら言ってね」「最近気になっていることはある?」など、日常会話としての声かけをするといいでしょう。

9. 子どものメールを盗み見してしまう

スマートフォンやSNSの普及により、閉じられた世界で他人とやりとりすることが可能になりました。そのため、わが子がいじめや犯罪に巻き込まれないか、心配でたまらない親御さんも多いのではないでしょうか。だからといって、子どものプライバシーを盗み見することは許されません。ITジャーナリストの高橋暁子氏いわく、「子どものITリテラシーを高めるためにも、スマートフォンの使用ルール、家族間でのルール、そしてインターネットの危険性についてもしっかりと親子で話し合う必要がある」とのこと。そのうえで、「ルール内なら自由にしてもいい」と子どもの自主性に任せることが大事です。

10. 子どもをほめるよりも叱ることのほうが多い

子どもの短所ばかりに目が向いてしまうのは、ありのままのわが子を受け入れられないから。立石氏が言うように、自分の理想の子ども像に近づけたい=子どもの人格や人生をコントロールしたい、という考えは危険です。欠点のように見えるところは、視点を変えれば長所になります。「落ち着きがなくて騒がしい」は「好奇心旺盛で行動力がある」、「動作が遅い」は「丁寧で慎重に行動している」など、お子さんの短所を強みに変えてみましょう。

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佐々木氏は著書のなかで、「問題なのは怠惰な放任か過干渉で、過保護なことではありません」と述べています。過保護と聞くと悪いイメージをもつ人も多いですが、普段から親にたくさん受け入れられている子は、親やまわりの人たちの言うことも受け入れるようになるのだそう。一番大事にすべきは「子どもの気持ち」であり、親の理想を押しつけることは親の自己満足にすぎません。お子さんの自立の芽を育てるためにも、干渉はほどほどにしたいですね。

(参考)
オトナンサー|「過保護」と「過干渉」はどう違う? 親子関係のパターンで知る両者の特徴と脱却方法
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?
日本家政学会誌 Vol 48 No 9 823~828(1997)|アダルト・チルドレンー私の物語をつくり直すー
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|“手がかからない子”ほど要注意! 「いい子症候群」が怖い理由とその防止法
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「過干渉」育児が招く悲しい結果。“見守るだけでは物足りない”親が危険なワケ
スーザン・フォワード(1999),『毒になる親』, 毎日新聞社.
Mind 子どもの心を育てるために|過保護と過干渉
佐々木正美(2019),『子育てのきほん』, ポプラ社.
佐々木正美(2021),『子どもが喜ぶことだけすればいい』, ポプラ社.
PHPのびのび子育て 2020年10月号, PHP研究所.
PHPのびのび子育て 2020年10月特別増刊号, PHP研究所.
現代ビジネス|「夏休みの宿題を全部やってあげる親」が子どもの思考を止めていた
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