あたまを使う/教育を考える 2018.11.8

コミュニケーション能力は低くて当然の時代!? そんないま親が子にしてあげるべき6つのこと

編集部
コミュニケーション能力は低くて当然の時代!? そんないま親が子にしてあげるべき6つのこと

今どきの若者たちのコミュニケーション能力低下は、学校や新卒採用などの現場において、ずいぶん前から言われ続けてきました。今の若い世代には、社会で求められる高度で複雑なコミュニケーションに対応できる力が備わっていない、という話は、多くの皆さんにとって「耳にタコ」ではないでしょうか。そして、若者だけでなく、実は子どもたちについても、同じことが言われています。

ではなぜ、彼らのコミュニケーション能力は低いと言われているのでしょう。今の子どもたちが、将来社会人生活を送るのに十分なコミュニケーション能力を身につけるためには、どうすればよいのでしょうか。

大事なのは、日頃の家庭でのコミュニケーションの在り方です。子どもたちのコミュニケーション能力を伸ばすために、親が家庭でできることを紹介します。

コミュニケーション能力低下の背景

子どものコミュニケーション能力が低くなったと言われる背景には、社会の大きな変化があります。

・ITの発達

例えば、夕食の後に、翌日学校で使う持ち物の用意をしていて、何を持っていけばよいのか忘れていたことに気づいたとき、子どもたちはどうするでしょうか。

かつては、友だちの自宅へ電話をかけ、応答した家の人に友だちへの取次ぎをお願いし、代わって出た本人に確認をする、というやり方が一般的でした。ですが今では、自分のスマートフォンから友だちのスマートフォンへ、メールやSNSでダイレクトに、しかも声を発することなく、時には絵文字だけでメッセージを送り、確認することができます。

今は昔に比べて、友だちと連絡を取り合う際、自分が発声する言葉によるコミュニケーションが必要ない時代なのです。

・少子、核家族化

もうひとつ、普段の家庭での過ごし方をイメージしてみましょう。

今より古い時代には、子どもたちが学校や園から帰ってくると、友だち同士、近所で集まって遊ぶ姿がよく見られたもの。ですが今ではそのような光景を見ることは少なくなりました。そもそも子どもの数が少なくなっているうえに、習い事などで子どもたちの放課後の過ごし方が多様化し、お互いに遊ぶ時間を合わせにくい現状があります。

また、夕食時には、同居するおじいちゃんおばあちゃんも含め大人数で食卓を囲んで、その日あったことを話し、いろんな世代の意見を交えながら団らんする――。そんなシーンも、昭和を描いたドラマやアニメでしか見かけなくなりましたよね。

こうした家庭環境の変化により、子どものコミュニケーション環境は今と昔で大きく変わってきたのです。

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コミュニケーション能力の低下による弊害1:人間関係のトラブル

社会の変化に合わせるように、今どきの子どもたちが人と関わる範囲は、かつてに比べて小さなものになりつつあります。狭いコミュニティの中で、仲間内や家族とだけ、単語レベルでの短い言葉でやり取りすれば済むようになっているのです。

しかし、学校生活では、こうしたコミュニケーションのスタイルがトラブルにつながるケースも。言葉が足りないせいでクラスメートとの意思疎通が不十分になり、人間関係が希薄になったり誤解につながったりすることがあります。

教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は、現代の子どもたちのコミュニケーション能力と人間関係の築き方について、次のように述べています。

現代の若者や子どもたちの対人関係に関する能力については、「良好な対人関係をつくる能力が低下している」という否定的な見方がある一方で、「周囲の人間関係を的確に把握して、それに自分を合わせるなど高い能力がある」という肯定的な見方もあります。ただ、今時の子どもたちには、仲間同士では必要以上に気を使うのに対して、大人など異世代や仲間以外に対する人間関係には無関心という傾向もあるように思われます。いずれにしても、昔に比べれば、全体的なコミュニケーション能力は低くなったと言っても過言ではないでしょう。

(引用元:ベネッセ教育情報サイト|就職も左右!?「コミュニケーション能力」は家庭から

「やばい」「うざい」「きもい」などの無思慮な短い言葉でのやりとりを許し合えるような、小さなコミュニティで過ごしがちな、今の子どもたち。彼らは、人との言葉のやり取りが少ない分、空気を読みながら行動することは得意かもしれません。ですが、身近な関係から一歩外へ出た途端、お互いの言葉が足りないことはトラブルの原因になります。自分の感情をうまく言葉で伝えられなければ、人間関係がうまくいくはずはありませんよね。

コミュニケーション能力の低下は、良好な人間関係を築く能力の低下とも言い換えられるのです。

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コミュニケーション能力の低下による弊害2:将来の就職への悪影響

子どもたちの人生をもう少し長い目で見てみましょう。社会人生活、とりわけその第一歩となる就職にも、コミュニケーション能力の低下は大きく影響を及ぼします。

全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が2009(平成21)年秋に実施した「学生生活実態調査」によると、目上の人との会話が得意で、家族との会話が多い学生ほど、就職内定率が高いということがわかりました。

(引用元:同上)

この調査によると、就職が内定している大学4年生は、4年生全体の平均と比べ、家族との会話や友人の数が多く、クラスやサークル等の団体の中でのリーダー経験があり、目上の人との会話が得意で、周囲の意見を尊重できるという特徴があることが明らかになったそうです。

幅広い人間関係を形成しているか、自分から積極的に人に働きかけられるか、周囲に共感できるか。コミュニケーション能力の高さは、就職活動の結果までも左右するわけなのです。

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家庭でできるコミュニケーション能力アップ術

子どもたちの明るい将来のために必要不可欠なコミュニケーション能力は、家庭での取り組みによって向上させることができるもの。そこで、家庭ですぐに実践できるコミュニケーション能力アップ術を6つ紹介します。この中にピンときたものがあれば、ご自身のお子さんに合わせて日常会話に取り入れてみてはいかがでしょうか。

1. 返事をさせ、言葉のキャッチボールをする

親が子どもに話しかけ、子どもから言葉を返させましょう。話をYes/Noで終わらせず、自分の意見をはっきり相手に伝えることで、自然と発する言葉は増えていきます。

例えば、お母さんが晩ご飯にシチューを作ろうとしているとき。子どもに「今夜はシチューにしようと思うんだけど」と話しかけるだけでは、子どもからの返事は「いいよ」か「やだ」で終わってしまいます。そこで、次のように問いかけて子どもから具体的な言葉を引き出しましょう。

親:今日の晩ご飯はシチューにしようと思うんだけど、〇〇ちゃんはシチューに何を入れたい?
子:カボチャを入れて!
親:わかった、じゃあカボチャを入れようね。

2. どちらか選ばせる

「AとBどっちにする?」と選択肢を与えることで、子どもが自分で選ぶ経験を積み重ね、自分の意見をもつ訓練になります。さきほどのシチューの例を続けましょう。

親:カボチャ入りのシチューだったら、一緒に入れるのは鶏肉が良いかな? ソーセージが良いかな?
子:そうだなー、鶏肉がいい! 鶏肉大好きだから!

3. 好奇心をもたせる

なぜ? どうして? という疑問がコミュニケーション能力を鍛えます。ですから、子どもに疑問や好奇心を抱かせるような場を用意してあげましょう。

例えば、シチュー作りをしている様子を子どもに見せ、「ニンジンはカボチャより煮えるのに時間がかかるんだよ」と説明すれば、子どもは「どうして?」と疑問に思うはず。親は、子どもが疑問や興味をもったタイミングを逃すことなく、コミュニケーションを広げていきましょう。

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4. 長い文章で説明させる

親子で長い文章をやりとりするようにしましょう。短い言葉で会話を済ませるのではなく、具体的な内容がわかる文章を作って話すのがおすすめです。子どもから具体的な言葉を引き出すには、親の問いかけの仕方にも工夫が必要

例えば、学校から帰ってきた子どもに、親が学校での出来事を尋ねるとき。「学校は楽しかった?」と聞いたら、子どもは「楽しかった」と答えて終わりです。次のように、子どもが説明しやすいような問いかけをしてみてください。その際、親はなるべく聞き役に回り、子どもがたくさん話せるようにしましょう。

親:今日は図工で絵の具を使って絵を描いたんだよね。どうだった?
子:うん、面白かった。
親:どんなところが面白かったの?
子:筆で色を混ぜるところ!
親:へぇ! 何色と何色を混ぜて、何を描いたの?
子:青と黄色と白を混ぜてね、……

5. 正解は1つではないことを伝える

本を読み聞かせたあとで感想を言い合ったり、テレビ番組を見て意見を出し合ったりして、正解は1つではないのだということを理解させましょう。

学校の勉強では、正解か不正解かを求められることが多く、子どもたちは常に正解を求めようとしがちです。著述家で元公立中学校校長の藤原和博氏は、そうした学校教育を経て育った子どもは、何にでも正解があると思うようになり、思考停止してしまうと言います。

しかし、実社会には「正解」のない問題がたくさんあるのが現実ですよね。さまざまな考え方があること、正解不正解で片づけていい問題ばかりではないことを、親子のコミュニケーションの中で理解させるのが大切です。

6. 多様な人間関係のなかに身を置いてみる

核家族化や地域コミュニティの希薄化によって、子どもたちがさまざまな大人と接する機会は減る一方です。地域の行事や公園・駅前で開催されるイベントなど、さまざまな人と触れ合える場に出かけてみましょう。

人との関わりが少ないままでは、多様なコミュニケーションに対応できる力が身につくはずはありません。家族以外の大人、年上のお兄さん・お姉さんや自分より小さな子どもなど、様々な人とコミュニケーションをとる機会を増やしましょう。

藤原氏は、子どもたちには「斜めの人間関係」を築かせることが重要だと言います。

人間関係も家のようなものです。縦の関係というのは「柱」です。それから横の関係は「梁」です。それだけだと地震が来ると倒れてしまう。だから、「筋交い」、斜めの関係が必要です。ちょっとやそっとの人間関係の揺れでもびくともしない子を育てるためには、この斜めの関係をもう一度復興する必要があります。

(引用元:内閣府|情報誌「子どもと若者」~子どもと若者への支援に向けて~2009/No.5 コミュニケーション力を高めるために

親の私たちも一緒になって、多様な人と積極的にコミュニケーションを取りたいものですね。

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現代の社会の仕組みを考えれば、子どものコミュニケーション能力は、自然に任せていてはなかなか伸びないようです。言葉でコミュニケーションをとる機会を意識的に増やしていきましょう。とはいえ、親が何でも先取りしてヒントを出したり代弁したりするのは禁物。じっくり焦らず見守っていってくださいね。

(参考)
文部科学省|コミュニケーション教育推進会議(第1回)「コミュニケーション能力」に関する指摘・調査等
内閣府|情報誌「子どもと若者」~子どもと若者への支援に向けて~2009/No.5 コミュニケーション力を高めるために
ベネッセ教育情報サイト|就職も左右!?「コミュニケーション能力」は家庭から
学びの場.com|子どものコミュニケーション力は落ちているのか
北海道教育委員会|ほっとねっと July 2016 正しい言葉で心のキャッチボールを
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