教育を考える/親自身のこと 2025.8.28

知らぬ間に孤立する「保護者から避けられる人」の口癖3つ。その言葉、マウント発言かも?

編集部
知らぬ間に孤立する「保護者から避けられる人」の口癖3つ。その言葉、マウント発言かも?

お迎えのときのちょっとした会話で、場の空気が変わったように感じた経験はありませんか? 教育熱心な保護者同士の会話では、ちょっとした発言が知らず知らずのうちに相手を不快にさせ、結果的に孤立してしまうケースも少なくないようです。

その原因は、あなたが無意識に使っている「あの口癖」にあるかもしれません。今回は、保護者間のコミュニケーションで避けるべき3つの口癖をご紹介し、良好な関係を築くためのコツをお伝えします。

【口癖1】「〇〇してないのに~」

NG口癖:パターン1

「教えてないのに、なぜか漢字が好きみたいで~」
「練習してないのに、逆上がりができちゃったの」

これらの発言、「何もしていない」と謙遜しているように聞こえますが、言われた相手は「自慢してる?」と感じますよね。ストレートに自慢しているならまだしも、自虐や謙遜にみせかけてマウントをとる人は、相手に不要なストレスを与える存在です。

こういった無自覚の「マウント発言」について、脳科学者の西剛志氏は「心のどこかに劣等感がある」ことを指摘しています。劣等感がある人間は、他者と比較して自分が小さく見えてしまうことを回避したくてしょうがないのだそう。

キャリアカウンセラーの西村麗子氏も同様に、マウントを取りたがる人は「心の底には劣等感があるので、周りの人からの称賛や承認など、他人の評価を軸に生きることが標準化している」と述べています。自分自身が努力して実力をつけるよりも、「自分がどれだけすごいか」を言葉で伝えないと気がすまないため、余計な自慢話をしてしまうのです。

ママ友に嫌われる口癖03

また、劣等感が強い親ほど「子どもが評価される」=「自分も評価されている」と思い込みがちです。そのため、優秀なわが子をアピールしたい気持ちを隠せずに、発言の端々に自慢めいたエピソードを入れてしまうのでしょう。

もしあなたが、「最近、保護者同士での集まりに呼ばれなくなった気がする……」「前はしょっちゅう子どもの話をしていたのに、いつの間にか避けられるようになった……」など、保護者仲間から微妙に距離をとられているように感じるなら、これまでの発言を見直す必要があるかもしれません。

たとえば以下のような言い換えで、相手の子どもの頑張りを讃えつつ、お互いの子どもの成長や努力を見守るおおらかな発言を意識すれば、相手も気持ちよく会話を楽しんでくれるはずです。

NG例:謙遜に見せかけたマウンティング

教えてないのに、なぜか漢字が好きみたいで~

モヤモヤポイント:「それって自慢!?」と相手に思われるかも

OK例:相手の子どもの頑張りをほめる

〇〇くんは計算が得意だよね。うちの子も算数得意になってほしいな

結果:相手をモヤモヤさせずに気持ちよく会話を楽しめる

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【口癖2】「中学受験はまだ迷ってるんです」

NG口癖:パターン2

「中学受験はまだ迷っていて。〇〇君はN塾に通っているよね」
「公立でも十分だと思うんですけど……〇〇さんはどうされます?」

これらの発言の問題点は、聞く人によっては「探りを入れられている?」と不信感をもたれる点にあります。中学受験については、受ける・受けないはもちろん、どの学校を受験するか、どのくらい勉強しているか、など各家庭によってアプローチは千差万別であり、気軽に口外したくないデリケートな問題

さらには、「公立でも十分」という発言にも注意が必要です。私立中学に進学することを「お金をかけすぎ」「過度に教育熱心」という裏のメッセージを含んでいるように感じる人もいるため、子どもの進学先に関する話題には慎重になりましょう。

ママ友に嫌われる口癖04

教育アドバイザーの鳥居りんこ氏は、「入試が近づくと、受験生よりも保護者の方が動揺したり、どんどん不安になったり、ピリピリした態度が表に出たりする」のはよくあることとし、「人によっては “隣の芝生” が今、どうなっているのかが気になって仕方ない人も出てくる」と注意を促します。

その場合、子どもの友だちや保護者に探りを入れるのではなく、中学受験経験済みの先輩保護者や、塾の先生に相談するのがベター。臨床心理士の八木経弥氏は、「中学受験をするわが子を心配しすぎるあまり、空回りしてしまう親が多い」と指摘しています。

デリケートな話題だからこそ、相手を不快にさせないのはもちろん、自分自身も不安にならないように注意深く振る舞う必要があります。たとえば以下のように言い換えてみるのがおすすめ。中学受験や今後の進路の話題になったら、どの家庭でも悩みや不安があることを前提として、プライバシーに配慮した発言を心がけましょう。

NG例:探りを入れているような問いかけ

中学受験、うちはまだ迷っていて……。〇〇さんのお子さんはどうですか?

モヤモヤポイント:「デリケートな問題なのに気軽に聞かないでほしい」と相手を困らせることに

OK例:立場を明確にせずに一般論でまとめる

受験する子もしない子も、いまは塾通いで大変だよね。N塾に通ってる子が多いみたい。

結果:相手の動向を探っていないので不信感をもたれない

【口癖3】「共働きだから~」

NG口癖:パターン3

「共働きだから習い事の送迎が大変で」
「フルタイムだから、毎日時間がたりなくて~」

共働き世帯は年々増加しているものの、さまざまな事情から専業主婦として子育てに専念している家庭もあります。上記のような発言は、「専業=暇だと決めつけないで! うちの事情なんて知らないくせに……」と相手をモヤモヤさせてしまう可能性も。

「伝えるプロ」である電通コピーライターの勝浦雅彦氏は、コミュニケーションで大事な「自分を含めた場の状況や雰囲気を客観視すること」について言及しています。コミュニケーションは「相手ありき」。子育ての大変さや時間のなさに悩んでいるのはみんな一緒だからこそ、「兼業だから大変・専業だからラク」と短絡的に考えるのはやめましょう。

「つい口が滑って失言してしまう」「自慢する気はないのに、マウンティングしているように伝わってしまう」「私が話したあと、いつも微妙な空気になっちゃう」など、気をつけていても余計なひと言が出てしまうのなら、 “語彙” を増やす努力を。

たとえば、「専業」「兼業」「フルタイム」など特定の属性に関わるデリケートな言葉はできるだけ使わずに、それぞれの家庭の事情を考慮したうえで発言することを心がけましょう。以下のような言い換えをすれば、どんな家庭でも当てはまるため、相手に不快な思いをさせずにすみますよ。

NG例:「自分だけが大変」というアピールを含んだ発言

うちは共働きだから時間に余裕がなくて……。〇〇ちゃんはいつもママと一緒にいられていいな〜

モヤモヤポイント:「『専業はヒマ』って言いたいの!?」と相手は見下された気持ちに

OK例:各家庭の事情を考慮した発言を心がける

私たち毎日子育て頑張っていますよね。誰かにほめてほしいくらいです(笑)

結果:誰もが共感できる発言は、その場の雰囲気をポジティブに

***
信頼される保護者には、「ほかの子どもの成長も一緒に喜んでくれる」「家庭の事情を詮索しない」「建設的な情報交換ができる」という特徴があります。良好な関係を築くためにも、「相手の子どもや教育方針を認める姿勢」「自分の状況を詳しく話しすぎない」「多様性を受け入れられる寛容さ」を忘れずにいたいですね。

(参考)
GOETHE|「マウンティング」は自身の無さの表れ?裏側にある人間の心理を脳科学者が解説!
Cityliving web|マウントは無意識に取っている人がほとんど?その対応方法は
Schola|ママ友との付き合いを考える
CHANTO WEB|「受験させる?」ママ友の嫌な探り合いにうんざり【心理師に聞く」
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