2021.12.2

「7秒ハグ」のすごい効果。親も子も自己肯定感が上がる “愛情習慣” とは?

編集部
「7秒ハグ」のすごい効果。親も子も自己肯定感が上がる “愛情習慣” とは?

子どもの自己肯定感を高めるためにあれこれ試してみたものの、気力と体力が削られるばかりで効果を感じられなかった――という経験はありませんか? 「わが子の自己肯定感アップのために」と親が頑張ってみたところで、親自身がストレスを感じたり、プレッシャーに押しつぶされたりしては本末転倒です。

じつは、子どもの自己肯定感は「親のある習慣」によってぐんと高めることができるのだそう。しかもそれはとても簡単で、いますぐに始められて、かつ親自身の自己肯定感も高まるというもの。今回は「子どもの自己肯定感が高まる、親の習慣」について考えてみます。

自己肯定感が高い子どもの親がしている愛情習慣

自己肯定感が高い子どもの親には、ある共通点があります。それは、ハグなどの “親子のスキンシップが習慣化している” という点、そして、「大好きだよ」「生まれてきてくれてありがとう」といった “愛情を言葉にして伝える習慣がある” という点です。

愛情習慣1:スキンシップ

脳科学評論家の澤口俊之氏によると、「親からよくハグをされた子どもは、自尊心が高く心が強くなる」のだそう。スキンシップには、「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌を促す効果があり、親子間の愛情や人との信頼関係を深めてくれるのです。

さらにオキシトシンは、幸福感を高め、不安感やストレスを軽減するという効果もあります。これらのことから、幼い頃のスキンシップは、子どもの自己肯定感を高める一因になっていると考えられているのです。

そして「毎日のスキンシップで子どもの肌を十分に刺激し、皮膚感覚を活発化してあげると、子どもにも親自身にもたくさんのメリットがある」と桜美林大学リベラルアーツ学群教授の山口創氏が指摘するように、スキンシップには子どもだけでなく親にも大きな効果があると言えるでしょう。

愛情習慣2:愛情を言葉で伝える

「子どもは自己肯定感を自分ひとりで身につけることはできない」と話す発達心理学者の岩立京子氏は、「自己肯定感は、乳幼児期に無条件に愛されて受け入れられる体験を通して育まれるもの。そして子どもは、『親が自分をどう見ているのか』という判断基準から、自分自身の価値を決めていく傾向がある」と指摘します。

親から自分のよい部分をほめられたり、「大好きだよ」「かわいいね」「あなたはママの宝物」など、自分の存在そのものを認められたりすることで、子どもは親の無条件の愛情を実感するようになります。それにより、自己肯定感がぐんぐん高まっていくのです。

このように、「スキンシップ」と「愛情を伝える言葉」は、良好な親子関係を構築するだけでなく、子どもの自己肯定感を確実に育んでいきます。

親の愛情習慣02

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“たった7秒のハグ” でも、親の温もりと愛情は伝わる

ここでは「親子ハグ」を中心に、スキンシップについてより詳しく解説していきましょう。

子どもは成長するにつれて、さまざまな問題に直面します。そのときに味わうプレッシャーやストレス、不安な気持ちを落ち着かせるにはスキンシップが一番。教育研究家の石川幸夫氏は、親との触れ合いを求めている子どもが増えている問題を指摘し、「子どもは親を必要として、かまってほしいサインを連発しているのに、それを無視し続けるのは危険」と警鐘を鳴らしています。

求めているときに相手(親)が応えてくれるという安心感、そして親から無条件に愛されているという自信がつくことで、子どもの自己肯定感は育まれていきます。

「忙しいから」「照れくさいから」などの理由で、子どもとの触れ合いを避けてしまうこともあるでしょう。しかし石川氏が提唱する「7秒ハグ」のように、たった7秒という短い時間でも、親の温もりと愛情を子どもに伝えることは可能です。

また、「親子ハグ」によるメリットはまだまだあります。アサヒ飲料が実施した「親子のハグとカラダとココロの健康」に関する調査では、子どもにハグをしている親の約9割が、「自分の子どもの体と心が同年代の子どもに比べて健やかであり、親子関係も良好だと感じている」という結果に。ほかにも、親子ともに「よく眠れるようになる」「健康になる」「幸せな気分になる」「ストレスが軽減される」という嬉しい効果も実証されました。

親の愛情習慣03

「親子スキンシップ」のポイント4つ

では、親子のスキンシップはいつ、どんなタイミングですればいいのでしょう?

遊びのなかで楽しく触れ合う

オキシトシンをたくさん分泌するコツは、楽しい雰囲気のなかで優しく触れ合うこと。お風呂上がりに歌を歌いながらクリームを塗ってあげたり、こちょこちょ遊びや手遊び歌などを取り入れたりすると、親子の楽しい触れ合いタイムになります。

読み聞かせは “抱っこしながら” がおすすめ

読み聞かせが毎日の習慣になっているのなら、子どもを膝に乗せて抱っこしながらがおすすめ。物語に合わせてぎゅっと抱きしめたり、体をさすったりすれば、自然にスキンシップをとることができます。

スキンシップの効果は夕方以降にアップ!

スキンシップ効果が上がるのは、朝よりも副交感神経が優位になる夕方以降です。副交感神経とは、食事中や睡眠中など体がゆったりとしているときに強く働く自律神経のこと。夕食後やお風呂上がりのリラックスしているタイミングであれば、たとえ短時間でも子どもにしっかりと愛情を伝えることができます。

「ちょい抱き」でも十分効果あり

前出の山口氏がすすめる「帰宅後の “ちょい抱き” 」を習慣にするのもいいでしょう。先述のとおり、たった7秒のハグでも愛情は伝わります。「忙しいから」「手が離せないから」「恥ずかしいから」とスキンシップを避けているうちに、子どもは成長してしまい、ますます抱きしめることが困難になってしまいます。短い時間でも習慣化することが大切なのです。

親の愛情習慣04

なぜ「大好きだよ」で自己肯定感が上がるのか

次に、「親が子に愛情を伝えるとなぜ子どもの自己肯定感が上がるのか」について解説していきます。

教育評論家の親野智可等氏によると、「学校の先生に『今日、ぼくの誕生日』とアピールしてくる子どもはけっこう多い」のだそうです。なぜなら、「誕生日は自分の存在を無条件に肯定してもらえる日」であり、「おめでとう」という言葉を通して、「自分の存在そのものをほめてもらえる日」だから。

ここで重要なのが無条件にということ。よい子にしていたから、テストで100点をとったから、かけっこで一番になったから、ではなく、ありのままのわが子を肯定してあげることに意味があるのです。

世界中にクライアントをもつ子育てコーチのエロイーズ・リックマン氏は、「いつでも肯定的に子どもを受け入れ、子どもを変えようという意識を捨てて向き合えば、子どもは安心して新しいことに挑戦し、失敗し、思いきって難題にも挑むようになると述べています。

「大好きだよ」「大切に思っているよ」「あなたがいてくれるだけで幸せ」など、親から伝わる無条件の肯定的な言葉によって、子どもは自らの価値や存在意義を肯定できるようになります。それが「自己肯定感が上がる」ことにつながっていくのです。

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日常生活で「子どもに愛情を伝える方法」4つ

それでは、日常生活で取り入れやすい「子どもに愛情を伝える方法」をいくつか提案しましょう。

子どもが落ち込んでいるときこそ深い愛情を伝える

子どもが落ち込んでいる様子を見るのはつらいものです。そんなときは、「どんなことがあっても、お母さんとお父さんはあなたの味方だよ」「○○ちゃんは私たちの宝物だよ」と、ありのままのわが子を肯定する言葉をかけてあげましょう。「自分は自分のままでいいんだ!」と、子どもの自信につながります。

「当たり前のこと」をあえて言葉にして伝える

「ただいま!」と帰宅した子どもに対して、ただ「おかえり」とだけ言うのではなく、「今日も無事に帰ってきてくれてよかった」とひとことつけ加えてみると、子どもはより自分が大事にされていると実感できます。「いつも元気でいてくれてありがとう」「今日も○○ちゃんと一緒にいられて嬉しいな」なども、心のなかで思っているだけではなく、口に出して伝えることが大事です。

手紙やカードで愛情を伝える

前出の親野氏は、「口では言いにくいことを手紙やカードに書いて伝えるのも効果的」と提案しています。文字に書いて手渡すことで、その言葉は子どもの人生を支える宝物になることもあります。長い人生で壁にぶつかったとき、親からもらった手紙を読み返して力が湧いた経験がある人もいるでしょう。離れていてもわが子を元気づけ、自信を与えることができるのは、「親からの無条件の愛情」を感じられる言葉だけなのです。

写真を見ながらだとスムーズに伝えられる

子どもの自己肯定感を上げる取り組みとして注目されている「ほめ写プロジェクト」は、子どもが何かを頑張っている姿や、なにげない日常の写真を家に飾り、その写真を眺めながら子どもをほめることで、子ども自身が「自分は愛されている」「存在価値を認められている」という肯定的な感情を抱きやすくなるというもの。写真を見ながら「このときの○○君、頑張っていたね!」などと伝えると、より自然に子どもをほめることができます。

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母親は “優しく” 、父親は “元気に” スキンシップをとりましょう!

オキシトシンは、子どもだけでなく親の側にも多くのメリットをもたらすことは先述のとおりですが、前出の山口氏によると、「母親の場合は、抱っこするなど子どもに優しく触れるとオキシトシンが分泌されるが、父親の場合は体を動かしながら元気に触れ合った方が分泌されるとのこと。

また、『世界標準の子育て』著者でTLC for Kids代表の船津徹氏によると、「子どもは母親の顔を見ると精神が安定して脈拍や呼吸数が少なくなり、父親の顔を見ると『楽しい遊び』を期待して脈拍や呼吸数が増えることがわかっているのだそうです。父親のスキンシップは、子どもの社会性を育みやすいという傾向があることからも、積極的にスキンシップをとるように心がけたいですね。

おすすめなのが、肩車やお馬さんごっこなど、体遊びを兼ねたスキンシップ。お母さんとの優しいスキンシップに比べて、やや荒っぽいくらいの刺激的なスキンシップこそが、父親ならではの「親子スキンシップ」であり、楽しみながら続けられる愛情習慣なのです。

***
いまや「自己肯定感」と聞くと、プレッシャーや不安を感じてしまう保護者の方もいるようです。ですが、日々の親子の触れ合いのなかで、子どもの自己肯定感は自然と育まれます。みなさんがお子さんに抱いている愛情をしっかりと伝えるためにも、スキンシップと言葉がけを意識してみましょう。

(参考)
あそびのもり ONLINE|スキンシップは子育ての基本。肌の触れ合いは親も癒します
PHPのびのび子育て 2020年8月特別増刊号,PHP研究所.
ほめ写プロジェクト|子どもの自己肯定感が低い原因は? 親子で一緒に自己肯定感を高める方法
PR TIMES|1日7秒のハグで、大切な人との絆を深めよう 12月14(金)より「Hotcott(R)#7秒ハグ」プロモーション本格始動
アサヒ飲料|十六茶 親子のおもいやりプロジェクト
東洋経済オンライン|「誕生日アピール」する子どもの切ない心理
ダイヤモンドオンライン|自己肯定感の高い子の親がやっている、やらかした子どもに「大好きだよ」と伝える方法
ニューズウィーク日本版|4割の子どもにできていない 「健全な愛着形成」良い親子関係を作るコツとは?