「自分に自信がない」「SNSの人たちに比べ自分は劣っている」——こんな悩みを抱える子どもたちが増えています。
特にSNSが身近な昨今では、子どもたちが外見を気にしすぎる傾向があることが問題視されています。こども家庭庁の調査によると、「いまの自分が好きだ」と答える日本の子どもはわずか53.4%。アメリカやドイツなど諸外国の7割以上であることと比べると、特に低い結果であることがわかります。
では、どうしてこのような違いが生じるのでしょうか。アメリカでは、子どもの自己肯定感を育てるために「あなたが誇らしい」「あなたを信じてる」「あなたが一番すてき」など、子どもを認める言葉を日常的にかけています。失敗したときでも、子ども自身の努力を認めたり、ありのままの容姿を認めたりすることで、自信を育てているのです。一方日本の子どもたちは「謙虚であれ」と育てられるために、自己肯定感が育ちにくいのではないかと言われています。
この記事では、こうしたアメリカの例を参考に、子どもも使える「アファメーション(自己肯定感を高める言葉)」を20個厳選して紹介します。毎日の小さな声かけが、子どもの心を強く育てる鍵になるかもしれません。
目次
アファメーション(自己肯定感を高める言葉)とは?
アファメーションとは、前向きな言葉で自分や他の人を幸せへと導く言葉のことです。心の奥に働きかけることで、人生を良い方向へ変えていくことができると言われています。
親から子どもへの前向きな言葉かけは、子どもの「内側の声」を育てます。親から「あなたは勇敢だね」「ありのままが素敵よ」などと繰り返し言われることで、子どもは「わたしは勇敢なんだ」「ぼくの容姿に自信をもっていいんだ」と、自分についてよいイメージをもつようになります。
このように、習慣的に親が自己肯定感を高める言葉かけをすることによって、やがて子ども自身の声となり、そのうちにそれが本当の自分になっていくのです。
アファメーション(自己肯定感を高める言葉)を実践するコツ
アファメーション(自己肯定感を高める言葉)を、子どもにしっかり届けるために、以下のポイントを意識すると効果的です。
- 短くわかりやすく: 子どもが理解しやすい簡潔な言葉で伝える
- 肯定的な表現で: 否定形ではなく、ポジティブな言葉を選ぶ
- 心から伝える: 本音で語りかけることで、子どもの心に響きます
- 日常的に取り入れる: 日常会話のなかで自然に組み込む
- 繰り返し伝える: 同じ言葉を何度も聞くことで、子ども自身の言葉になっていきます
アファメーションを生活に取り入れるコツは、無理せず自然に使える場面を見つけること。子どもが落ち込んでいるとき、何か新しいことに挑戦するとき、自信がなさそうなとき——そんな「必要な瞬間」に使うだけでも効果があります。
以下に、子ども使える20個のアフェメーションを場面別に紹介します。これらを日常的に使うだけで、子どもは自分自身を好きになり、外見だけでなく自分の内面的な価値も認められる、心の強い人に成長するはずです。
【場面別】子どもも使えるアファメーション(自己肯定感を高める言葉)20選
◆子どもに愛情を伝えたいとき
子どもが「わたしは愛されている」と実感できることは、自己肯定感の土台になります。特別な理由がなくても、日常のなかで愛情や安心感を伝えましょう。
- 「大好き」
- 「一人じゃない」
- 「大切な存在」
- 「いつでも味方」
- 「特別」
こうした言葉は、「わたしは大切な存在なんだ」と感じる力を育み、ストレスへの耐性や感謝の心にもつながります。
◆子どもが見た目や体のことで悩んでいるとき
小さな子どもでも、自分の見た目や体について悩むことがあります。友達との比較やからかわれた経験があると、自己否定の気持ちが芽生えやすくなります。そんなときには、外見だけが価値ではないことを伝えましょう。
- 「自分は自分」
- 「ありのままが好き」
- 「個性があっていい」
- 「自分らしくいるのがいちばん」
- 「〜〜が好き」
「人と比べない」「自分らしさを大切にしていい」というメッセージを日常的に伝えていきましょう。もしお子さんが自分の体の特定の部分(例えば鼻の形や身長など)を気にしているなら、具体的にその部位を「好き」と伝えてあげるとよいでしょう。
◆子どもが不安を感じているとき
テストや発表会など、不安なときってありますよね。子どもが「失敗してはいけない」というプレッシャーを感じていたら、こんな言葉を使ってみましょう。
- 「失敗してもいい」
- 「だいじょうぶ」
- 「やればできる」
- 「そばにいるよ」
- 「自分を信じて」
先述したように親から声をかけてもらうだけでなく、子ども自身が心のなかでこれらの言葉を繰り返せるようになると効果的。「緊張したら、深呼吸をして『だいじょうぶ』と自分に言ってごらん」と伝えておくといいでしょう。
◆子どものチャレンジを応援するとき
難しいことに出会ったとき、子どもは「できない」と感じがちです。そんなとき、まずは挑戦した自分を認め、「まだできないけど、やってみる」と思えるような声かけをしましょう。
- 「できなくてもいい」
- 「やってみることが大切」
- 「一歩ずつでいい」
- 「成長している」
- 「まだできないけど、続ければできる」
「まだ」という言葉には、子どもの成長志向を育てる力があります。「できない」ではなく「まだできない」と言い換えるだけで、前向きな気持ちにつながります。
こうした日常の声かけを続けることで、子どもは少しずつ自分を信じる力を育てていきます。
子どもの自己肯定感を育てるために、継続が大切
日本では多くの親が、子どもを過度にほめることに抵抗を感じるかもしれません。しかし、子どものいいところを認めて伝えることは、決して甘やかしではなく、健全な自己肯定感を育てる大切な土台になります。
アファメーションは即効性のある魔法の言葉ではありませんが、継続することで子どもの考え方に前向きな変化をもたらします。最初は照れくさく感じることもあるでしょう。それでも続けることで、肯定的な言葉かけは親子の間で自然なやりとりになっていきます。
***
子どもの自己肯定感を育てるには、日頃のアファメーションが効果的です。具体的にほめる、努力を認める、比較しないなどの基本を守りながら、子どもの状況に合わせた声かけを心がけましょう。特別なことではなく、日常会話のなかに自然に取り入れることがポイントです。
そして何より大切なのは、親自身が自分を大切にする姿を子どもに見せること。外見を重視しがちな現代だからこそ、親のこうした言動が、自分の内面を大切にできる子どもを育てます。
(参考)
こども家庭庁|我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)
Parents|35 Positive Affirmations to Empower Your Child
STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは
レタスクラブ|自己肯定感を上げる「アメリカ式」子育てとは!? 自立心、自尊心、生き抜く力を強化するマジックフレーズを紹介!