健康を考える/心と身体 2025.7.15

「保育園でお友達が触ってくる……」「子供同士だから」と放置は危険。わが子を守るために、いますぐ教えるべきプライベートゾーン【無料ダウンロード】

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「ママ、○○くんがおしり触ってきた」「△△ちゃんが、シャツのなかをのぞいてくるの……」

保育園から帰ってきた子どもの何気ない一言に、ドキッとしたことはありませんか? まだ小さいから、よくわからないでやってるだけよね……と思いたい気持ちと、でも本当に大丈夫かな? 先生に言うほどのことかな? と、どうしていいかわからなくなってしまいますよね。

じつは、多くの保護者が同じような経験をしています。でも、「子ども同士のこと」「まだ小さいから」で済ませてしまうのは危険です。臨床心理士の高山恵子氏は、「性教育をしなければ、子どもが性被害に遭うかもしれない」と警鐘を鳴らします適切な性教育を受けておらず、自分自身の体が「守るべき大切なもの」だと認識していないために、性被害に遭ってしまう子どもは決して少なくないのが現実です。

大切なのは、年齢に応じた正しい性教育を通して、子どもに「自分の体を守る力」を身につけさせること。難しく考える必要はありません。今日からできる具体的な方法をお伝えします。

「自分の体はとても大切」——3歳から始められるプライベートゾーン教育

性教育をはじめるタイミングについて、高山氏は「性にかかわることや体に対して子どもが興味をもったとき」だと説明します。一般的には3歳から10歳くらい「うんち」や「おちんちん」といった言葉をおもしろがって使うようになったときが、性教育を始める絶好のタイミングです。

まず最初に子どもに伝えてほしいのは、「あなたの体は、世界でたったひとつの大切なもの」ということです。「○○ちゃんの体は、○○ちゃんだけのもの。とても大切で、特別なものなんだよ」と話しかけてください。日常的に、転んで痛がっているときは「痛かったね、体が『気をつけて』って教えてくれたんだね」、疲れているときは「体が『休みたい』って言ってるね」と、体の声に耳を傾けることの大切さを伝えましょう。

そのうえで実践してほしいのは、プライベートゾーンについて教えることです。プライベートゾーンとは「口・胸・性器・お尻」を指し、女の子には「水着で隠れるところと口」男の子には「水着で隠れるところと口と胸」と教えると、子どもにもわかりやすくなります。

プライベートゾーンは「体はどの部分も大事だけれど、そのなかでもとくに大事なところ」と伝えてください。「どうして?」と聞かれたら、「赤ちゃんが生まれることに関係している大事なところだからだよ」と説明してあげましょう。

赤ちゃん 画像

プライベートゾーンについては、「自分ではない人が、勝手に見たり触ったりしないところ(自分で自分のものを触るのはOK)」「自分のものであっても、人がいる場所で見たり触ったりしないところ(人がいない場所ならOK)」ということも教えてください。この認識が子どもに根づけば、なにも知らないがために性被害に遭ってしまうリスクを大きく減らすことができます。

Point
プライベートゾーンとは「口・胸・性器・お尻」
女の子には「水着で隠れるところと口」、男の子には「水着で隠れるところと口と胸」
自分ではない人が、勝手に見たり触ったりしないところ(自分で自分のものを触るのはOK)
自分のものであっても、人がいる場所で見たり触ったりしないところ(人がいない場所ならOK)

(関連記事)3歳から始める性教育、基本のキ。嫌なときは「No!」と言う練習をしよう

【入学準備おすすめ7記事】入学前の不安、解消します!
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「さわらせない」

「水着で隠れるところは、○○ちゃんの大切なところ。誰にもさわらせないよ」とシンプルに伝えましょう。「イヤ」って思ったら、それで十分。大きな声で「やめて」と言ってもいいし、その場から離れてもいいことを教えてあげてください。子どもが自分の気持ちを信じて、行動に移せるようになることが大切です。

「さわらない」

お友達の大切なところは、さわっちゃダメ。ふざけていても、遊んでいても、お友達がイヤな気持ちになるかもしれないからね」と教えることで、相手を思いやる気持ちが育ちます。もしさわりたくなったら、まず「いい?」って聞いて、お友達が「イヤ」って言ったら、すぐにやめることの大切さも伝えましょう。遊んでいるときでも、この約束を忘れないよう繰り返し教えることが重要です。

ただし、ここで重要なのは「他人の体をさわらない」という意味であり、自分の体を自分で触ることは自然な行為だと高山氏は説明しています。

(関連記事)専門家に聞いた「性器いじり」への対応と「性器のケア」を習慣にする年齢

「すぐに言う」

「もし誰かにさわられたら、すぐにママに教えて。『イヤ』って言えなくても、怖くて動けなくても、あとから話してくれるだけで大丈夫」と伝えることで、子どもが安心して相談できるようになります。特に重要なのは「○○ちゃんは悪くないから、安心して話してね。ママが守ってあげるから」と、子どもに罪悪感をもたせないことです。

Point
「さわらせない」
 ・「さわらない」(自分の体を自分で触ることは自然な行為)
・「すぐに言う」

親子の画像

「ノー」と言える力を育てる

プライベートゾーンについて教えるだけでなく、日常的に嫌なことには『いやだ』といっていいと伝えることが重要です。嫌なことに対して、はっきりと「ノー(NO)」といえるようになる練習が必要なのです。

この練習は、日常の小さなことから始められます。「今日は公園に行きたくない」「この服は着たくない」といった子どもの気持ちを、できる範囲で尊重してあげることで、自分の意思を表現する力が育ちます

お風呂の時間も絶好のチャンスです。「今日は疲れてるから、お風呂に入りたくない」と言われたとき、頭ごなしに「ダメ」と言うのではなく、「そうなんだね。でも体を清潔にすることは大切だから、今日は短時間にしようか」と子どもの気持ちを受け止めながら対話することで、「ノー」と言っても大丈夫だという安心感を与えられます。

NOという男の子

教育機関との連携の重要性

お友だちからの不適切な行動にどう対処するかという問題については、保育園・幼稚園・学校との連携が欠かせません。先生に相談するときは、まず事実を整理して伝えることが大切です。いつ、どこで、誰が、何をしたか、そして子どもがどう感じたかを冷静に説明しましょう。

先生への相談例:「○○が『お友達に触られた』と言っています、家庭でもプライベートゾーンについて教えています。園(クラス)でも年齢に応じた指導をしていただけるとありがたいです」

多くの保育園では、年齢に応じた性教育や体の大切さについて指導する時間を設けています。家庭と園や学校が連携することで、より効果的に子どもたちを守ることができます。

電話をするママ

視覚的な教材を活用しよう

教えるときには、体の構造をイラストで解説している性教育の書籍や絵本を使うことがおすすめです。視覚情報があることで、知識がまったくない子どもにも理解しやすくなります。

『だいじ だいじ どーこだ?』(遠見才希子/大泉書店)

だいじ だいじ どーこだ?

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『だいじ だいじ どーこだ?』(遠見才希子/大泉書店)は、プライベートゾーンを楽しく学べる内容になっています。水着で隠れるところが「大事なところ」だということを、歌うような優しい文章で説明しており、子どもも覚えやすい構成です。作者の遠見才希子氏は産婦人科医で、医学的に正しい知識をもとに、年齢に応じた性教育の重要性を伝えています

またプライベートゾーンのイラストを見ながら、子供と一緒に確認するのもよいでしょう。こちらをシェアしますので、ぜひご家庭や園、学校でご活用くださいね。

PDFダウンロード

※この教材は教育機関や家庭での使用を目的としています。商用利用や再配布はご遠慮ください。

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性教育は一度話したら終わりではありません。子どもの成長に合わせて、継続的に話し合うことが重要です

また、子どもからの質問には正直に答え、恥ずかしがらずに話し合える関係を築くことが大切困ったときは親に話せるという安心感をもてることが、子どもを守る最大の力になります。

帰宅時には「今日保育園でどんなことがあった?」「嫌なことや困ったことはなかった?」と日常的に子どもの様子を聞く習慣をつけましょう。寝る前の時間も効果的です。「今日も一日お疲れさま。何か心配なことがあったら、いつでも話してね」と安心できる時間に、子どもの気持ちを聞いてあげることで、リラックスした状態で話しやすくなります。ひとりで悩まず、園や学校との連携も大切にしながら、わが子の安全を守っていきましょう。

(参考)
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|専門家に聞いた「性器いじり」への対応と「性器のケア」を習慣にする年齢
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|3歳から始める性教育、基本のキ。嫌なときは「No!」と言う練習をしよう