教育を考える 2018.6.25

子供が勉強しないときの対策。イライラはNG、親子で勉強計画を立てよう!

[PR] 編集部
子供が勉強しないときの対策。イライラはNG、親子で勉強計画を立てよう!

皆さんの子どもは家で勉強していますか? 親が何も言わずとも家庭学習を行う習慣がついているなら、何よりです。
しかし、「子どもが勉強しない」「勉強しなさいと言っても聞かない」とお悩みの方もいらっしゃることと思います。今回は「子どもが勉強しないとき、どうするか」をテーマに、子どもが勉強しない原因と対策についてお話ししますね。

なぜ子どもは勉強しないのか

なぜ子どもは勉強しないのでしょう? 考えられる理由は、大きく分けて6つです。複数の原因が重なっている場合もあるでしょう。順にご紹介します。

趣味の優先度のほうが高い

友だちと遊ぶ、テレビを見る、模型を作る、絵を描く――この世界には、楽しいことがたくさんあります。けして勉強が嫌いなわけではないのです。ただ、ほかにやりたいことが山ほどあるため、勉強を後回しにしてしまいます。

勉強の必要性を感じない

皆さんは子どものころ、なぜ勉強していたのですか? テストで悪い点を取りたくないから、志望校に合格したいから、勉強しておくと将来の役に立つから――さまざまな動機があったはず。しかし、勉強をしない子どものなかには「勉強する意味がわからない」と感じる子もいるのです。「意味がない」「役に立たない」と思うことを実行するのは難しいですよね。ベネッセ教育総合研究所が2014年、小学4年生~中学2年生とその保護者を対象に実施した「小中学生の学びに関する実態調査」では、小学生の10.1%が「何のために勉強しているのか分からない」と答えました。

難しくてできない

勉強を「やらない」というより「できない」に近い子もいます。教科書を読んでも理解できなかったり、ワークの問題が解けなかったり。その子どもにとって、いま学校で勉強している内容は難しすぎるようです。上述したベネッセの調査では、小学生の15.0%が「授業の内容が難しすぎる」と答えました。

計画的に考えられない

宿題を出された次の日が締切である、という状況なら、すぐに取りかかれる子どもは少なくないでしょう。しかし、夏休みのように、提出期限まで1カ月もあると話は別です。「宿題の全体量はこれだけある。そして残された時間は〇日。つまり、宿題をやるべきペースは……」と論理的に思考できる能力が、子どもにはまだ育っていません。頑張れば何でも終わらせられる気がするのです。ベネッセの調査では、「計画を立てて勉強する」と答えたのは小学生の48.1%でした。およそ半数は、計画を立てず勉強していることになります。

集中力が続かない

「勉強しなければ」とは思っています。だから机に向かい、教科書やワークを開きます。しかし集中力が続かず、椅子に座っているのが苦痛になったり、眠くなったりしてしまいます。やる気がないわけではありません。ベネッセの調査では、小学生の33.3%が勉強の悩みとして「集中できない」と答えました。

「勉強=楽しくない」というイメージを持っている

「勉強」という言葉から連想するのは、退屈な教科書、気詰まりな時間、「勉強しなさい!」と怒る親……。勉強に関する悪い記憶が多すぎて、「勉強」という概念そのものが嫌になっています。つまらないことをやったり、「いいからやりなさい」と命令されたりするのは、大人でも苦痛ですよね。ベネッセの調査では、勉強する理由として「楽しいから」と答えた小学生の割合は51.9%に留まりました。

子どもが勉強しないからってイライラしてない?

上記のように、子どもが勉強しない理由はさまざまですね。親が強制するのも、子どもが勉強を嫌ってしまう原因のひとつです。
では皆さんは、子どもが勉強しないからといって、叱ったり怒鳴ったりして互いにストレスを溜めていませんか? 立ち止まって考えてみてください。

そもそも、子どもは本当に「勉強していない」のでしょうか。親の帰宅が遅かったり、子ども専用の部屋があったりする場合は特に、親の見ていないところで勉強しているのかもしれません。
なぜ「子どもが勉強していない」と思うのでしょう。テストの結果や通知表の成績が悪かったからでしょうか? 学校の先生から「宿題を出していない」と連絡があったからでしょうか。そうでないのなら、子どもは充分に勉強しているといえるでしょう。

ベネッセの調査では、小学生の67.4%が「毎日コツコツ勉強する」、65.3%が「親に言われなくても自分から勉強する」と答えました。一方、子どもに関する悩みとして46.7%の親が「学習習慣」を挙げました。6割以上の小学生が「自分は積極的に勉強する」と考えているにもかかわらず、それに満足している親は半数以下というギャップが見られます。自分では勉強しているつもりなのに「勉強しなさい」と言われたら、子どもが傷ついてしまうことでしょう。

子どもが勉強をしているかどうか気になる場合、子どもが具体的にどうすることを自分は望んでいるのか、考えてみてください。「宿題を期日までに出す」「テストで〇点取る」「親の見ている前で一日30分以上ワークをやる」など、「勉強した」といえる基準をはっきりさせましょう。
「勉強する」というのは、あいまいな言葉です。子どもが「勉強していない」ように見えるからといって、イライラする必要はありませんよ。

子どもが勉強しないとき叱るのは逆効果!?

「勉強する」という行為の具体的な基準について考えたうえで、それでも子どもが「勉強していない」と断言できる場合、親は叱るべきなのでしょうか。
『大辞林』によると、「叱る」とは「相手のよくない言動をとがめて、強い態度で責める」ことを意味します。「強い態度で責め」ても相手のモチベーションを上げられるわけではないことは明らかですよね。仮に、叱ることで子どもが勉強するようになったとしても、それは「もう叱られたくない」という恐怖心からです。勉強が好きだからでも、勉強の必要性を理解しているからでもありません。

「StudyHacker」のコラム「なぜか勉強したくなる!? 『やる気が出ない』が解消される『アメ』と『アメなし』の合わせ技」では、いわゆる「アメとムチ」の「ムチ」について、以下のように説明されています。

行動心理学の分野で行われた、マウスを使った研究では、進ませたい方向にクッキー(アメ)を置き、進ませたくない方向に行こうとすると電気ショック(ムチ)を与えたところ、ハッキリと効果が生まれたそうです。
しかし、電気ショックを少し強めに設定してみると、マウスは強い電気ショックを受けるとその場でうずくまり、右にも左にも進まない無気力なマウスになってしまったのだとか。クッキーを欲する気持ちよりも、防衛本能の方が強く働いたため、意欲をそがれてしまったのです。

(引用元:StudyHacker|なぜか勉強したくなる!? 「やる気が出ない」が解消される『アメ』と『アメなし』の合わせ技

このように、子どもが勉強しないからといって「叱る」という「ムチ」を振るえば、子どもを無気力な人間にしてしまう可能性があります。では、勉強しない子どもにどう対処すればよいのでしょう? 子どもの状態に応じた6種類の提案があります。

子供が勉強しない2

子どもが勉強しないときの対応1:勉強する時間を決めさせる

友だちと遊びに出かけたり、ゲームをしたりといったことが楽しくて仕方なく、勉強が後回しになっている場合、それらの趣味をやめさせるべきではありません。興味を持てる対象を自分で見つけ、行動できるのは素晴らしいことです。友だちと交流せず、趣味も持たず、ただ必要な勉強のみを黙々とこなす人間にはしたくないですよね?

とはいえ、趣味にかまけて勉強を全くしないというのは問題です。そのようなときは、親から「遊びと勉強の両立」について話すようにしましょう。まず、「遊ぶことは大事だね」と子どもの行動を承認します。そのうえで「けれど、勉強することも大事なんだよね」と、勉強の重要性について言及するのです。ベネッセの調査でも、小学生の半数以上が、勉強のやる気を高める「メリハリ方略」を行っていることがわかりました。「遊ぶときには遊び、勉強するときには集中して勉強する」という項目について「よくある」「ときどきある」と答えた小学生の合計は75.0%です。

では、どうすれば遊びと勉強が両立できるのでしょう? 方法のひとつとして、「勉強する時間を決めさせる」というものがあります。「〇時~△時までは宿題・復習をする時間。それ以外は遊んでもよい」とルールを決めるのです。ベネッセの調査でも、小学生の54.8%が「量や時間を決めてから勉強をはじめる」と答えました。

計画を立てる際、勉強時間を親が一方的に指定するよりも、子どもと一緒に考えたほうがよいでしょう。「自分で決めたのだから」と思わせ、意欲を高めるためです。
スケジュールを組むときは、夜から逆算するのがおすすめです。寝る時間をあらかじめ設定し、「×時に寝なければいけない。だから□時までにお風呂に入らないと。ということは、〇時~△時に勉強すれば間に合う」と考え出すことができます。子どもの計画性を養うこともでき、一石二鳥ですね。詳しくは、StudyHackerのコラム「予定は “夜” から埋めるべし。計画通りに進めるための、スケジュールの作り方」を参照してください。

子どもが勉強しないときの対応2:将来の話をする

「生きていくのに必要」「志望校に合格するため」のような勉強の必要性を子どもが全く感じていない場合、どうにかして伝える必要があります。ベネッセの調査では、「勉強は生活に役立つこと」や「勉強の意義や大切さ」を伝えたほうが、「生活に役立つから」「自分の夢をかなえたいから」という学習動機が生まれやすいと判明しました。
とはいえ、子どもが将来のことを具体的に想像するのは難しいですし、進学について興味を持たない子もいるかもしれません。

そのため、「説教」ではなく、親の「思い出話」を聞かせることをおすすめします。皆さんは、現在(過去)の職業に就くまで、どんな努力をしましたか? 仕事や日常生活のなかで、学校での勉強はどう役立っていますか? どんな高校や大学へ行きましたか? なぜそこを選んだのですか?
自分の話を通して、子どもに考えさせてください。すぐに効果が表れなくても、自分の将来についてイメージしはじめるでしょう。

子どもが勉強しないときの対応3:学習を支援する

「学習内容が難しすぎる」ことが勉強したがらない理由である場合、親がサポートしてあげる必要があります。おすすめは、子どもが「確実に理解できる」レベルの問題までさかのぼって学びなおすことです。

たとえば小学4年生で、図形の面積の計算が理解できない場合、小学3年生の内容に戻って、図形の特徴を学んだりかけ算をやり直したりするのが効果的な場合があります。それでも難しそうなら、小学2年生のワークを買い与え、「足し算・引き算を確実にできる」体験をさせるのもよいでしょう。

この際、親の子どもに対する声かけが重要です。下の学年の問題集をやるのは、けして恥ずかしいことではないと教えてあげてください。また、子どものうちは自分に合った問題集を見つけるのは難しいので、親が選んであげてくださいね。

子どもが勉強しないときの対応4:勉強の計画を立てる

夏休みのように、計画的に宿題をこなさければならない場合、子どもが学習計画を立てる手助けをしてあげましょう。まず、与えられた全ての宿題を箇条書きしてください。このとき、問題数のページなどを把握して、親自身の経験を思い出しつつ、課題ごとに必要そうな日数を設定しましょう。

次に、スケジュール表を用意します。専用のものが学校から配布されていない場合、書き込めるスペースが多いものを準備しましょう。

そして、どの課題をいつやるのか、スケジュール表に書いていきましょう。しかしその前に、「勉強できる日」と「できない日」をはっきりさせておく必要があります。

勉強計画を立てる際には「使える日数を確認する」ことが重要です。夏休みには、友だちと遊んだり、家族で出かけたりする予定が入っていることでしょう。そのような予定を考慮せずに組んだ勉強スケジュールは、実現不可能なものになってしまいます。ですから、まずは決まっている用事をスケジュール表に書いておき、空いている日数に対して課題を割り振りましょう。

子どもが勉強しないときの対応5:集中力を発揮させる

勉強に手をつけはするものの、集中力が長く続かない場合、子どもが集中力を発揮しやすい環境を親が整えてあげましょう。

まず、学習机はどのように配置されていますか? 右利きの場合、窓が左側に来るよう机を置くべきです。そうすれば、自分の手の影によって手元が暗くなりづらいため、勉強に集中しやすくなります。

また、机に向かっているとき、子どもの視界に入ってくる情報にも気を配る必要があります。多くの色であふれる環境は、無意識のうちに視覚を刺激し、集中力を妨げている可能性があるためです。机に向かった際、視界に入る情報量が少なくなるように、色の数は極力減らしましょう。あまりカラフルなものはしまっておいた方がいいかもしれません。カーテンやベッドなど、大きな面積を占める物の色だけ統一するのも効果的です。

同様に、視界に入る情報を減らすためにも、勉強に関係のないものは目につかない場所に片付けましょう。勉強机に漫画などが置いてあると、つい集中力が削がれてしまいます。勉強するときだけでもしまっておくことをお勧めします。

子どもが勉強しないときの対応6:親も楽しく勉強する

やはり、子どもが「勉強=楽しい」というイメージを抱き、自分から積極的に勉強するようになるのが理想ですよね。では、どうすればよいのでしょう。

まず、親が勉強について「やりなさい」「やらないと後悔するのは自分だよ」のように、ネガティブな感情を呼び起こす言葉を使わないことです。強制や脅迫に近い言葉から、ポジティブな感情は生まれませんよね。

また、2015年に学研と講談社が共同で実施した調査によって、親の読書量が多いほど子どももよく本を読む傾向があることが判明しました。子どもは親の行動を見てまねするもの。ということは、親が勉強する姿を見れば、子どもも勉強するようになるのではないでしょうか。

肝心なのは、親が子ども時代に勉強していたかどうかではなく、「いま」勉強する姿を見せることです。仕事に関係する資格試験だけでなく、外国語や、子ども時代に苦手だった教科を学びなおすのもよいでしょう。
このとき、ただ熱心に取り組むよりも、「勉強することは楽しい」と感じている様子が子どもに分かるようにしてください。「以前はできなかった問題が理解できるようになった」「努力した結果、試験に受かった」などの成果を生き生きと話す親の姿は、子どもの胸に響くことでしょう。

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このように、子どもに勉強を促すにはさまざまなアプローチがあります。
どれかひとつでも試してみて、子どもの変化を温かく見守ってくださいね。

(参考)
コトバンク|叱る
StudyHacker|なぜか勉強したくなる!? 「やる気が出ない」が解消される『アメ』と『アメなし』の合わせ技
StudyHacker|予定は “夜” から埋めるべし。計画通りに進めるための、スケジュールの作り方
ベネッセ教育総合研究所|小中学生の学びに関する実態調査 報告書 [2014]
学研ホールディングス|学研×講談社 共同企画「子どもの読書実態調査」結果速報