2021.4.21

寝る前はNG!? 絵本の読み聞かせで “やらないほうがいい” 6つのこと

長野真弓
寝る前はNG!? 絵本の読み聞かせで “やらないほうがいい” 6つのこと

インターネットが普及し、バーチャルな世界が珍しいものでなくなっても、絵本の読み聞かせは家庭教育の定番として認知され続けています。絵本にはそれだけの魅力があり、必要とされる理由があるということでしょう。

今回は、絵本の読み聞かせについて深掘りしていきます。子どもたちが絵本の世界に浸るために、読み聞かせをする大人が気をつけることについてもご紹介しましょう。

絵本の読み聞かせのとてつもない効果

絵本の読み聞かせについて、数多くの専門家がそのメリットを挙げています。『1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる』の著者で教育学者・齋藤孝氏もそのひとり。どんな社会になっても生きていける “本当に頭のいい子” を育てるには、幼児期までの7年間を大事にしなければならないとし、「幼児教育の中心には絵本の読み聞かせを据えるべきだ」「絵本の読み聞かせにはとてつもない効果がある」と断言しています。

それでは、絵本読み聞かせの効果を詳しく見ていきましょう。

読み聞かせ効果1:豊かな心を育む

「絵本の世界で体験する心の動き、感情の表れ、その自覚といったものが、人間の心を育てる」と齋藤氏が言うように、絵本は子どもの人格形成に大きな役割を果たします。絵本スタイリストの景山聖子氏によると、8歳くらいまでの子どもは現実と空想の境目が曖昧なため、絵本のなかの出来事も自分の体験の一部になるのだそう。ですから、主人公が笑っていれば、子どもも「楽しい」と感じ、おいしいクッキーを食べている場面であれば、「おいしい!」と感じます。実際には経験していないことであっても、「仲間外れにされると、こんなに悲しい気持ちになるんだな」などと学ぶことができるのです。

読み聞かせ効果2:学力がアップする

文部科学省の平成28年度の調査で、「読書好きの子どもは国語と算数の成績がよかった」ことがわかりました。さらに、イギリスの大学・University College Londonが2015年に行なった読書に関する調査では、「家庭環境や遺伝よりも、本をたくさん読む読書習慣のほうが、学力に与えるよい影響は4倍大きい」と結論づけられています。

また、教育環境設定コンサルタントで『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』の著者・松永暢史氏も、読み聞かせと学力の関係について次のように述べています。

「高い学力を持つ子は例外なく小さい頃からたくさん本を読んでいる」。このことを私は、教育コンサルタントとして、多くの子と接している中で、身を持って感じてきました。特に「読み聞かせ」は、まだ自分で字が読めない子が「読書量の貯金」を積むために唯一、親ができることだと思います。早い段階からたっぷり読み聞かせをすることで、脳に刺激を与え、日本語の音になじんでいきます。そうすると本格的に勉強がスタートしたとき、その子が元々持っている能力の、はるか上までレベルアップさせることも可能になります。

(引用元:絵本ナビ|『将来の学力は10歳までの読書量で決まる!』松永暢史さんインタビュー ※太字による強調は編集部が施した)

絵本を通して出会うたくさんの言葉と、そこで育まれる想像力や読解力が、その後の学力につながるのは間違いないようです。

読み聞かせ効果3:親子の絆が深まる

読み聞かせは生後すぐからでもOK。赤ちゃんはまだ絵本の内容を理解できませんが、絵本タイムが親子のコミュニケーションの貴重な時間となるからです。また読み聞かせの際、親子の肌が触れ合うことで脳内では「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンが分泌し、親子の心の絆がより深まるという効果も期待できます。「一緒に読んだ絵本の世界は、親子の共通言語になります。共有した時間や経験が多ければ多いほど、絵本の世界で過ごした時間が長ければ長いほど、芯の強い、どんな変化の時代にも強い人間が育つのです」と齋藤氏も言うほど、親子の絆は大切なのですね。

このように、絵本の読み聞かせは、子どもの成長にとても大きな役割を果たします。そしてその効果を最大限に生かすには、子どもたちに絵本の世界を、ただ素直に、自由に、楽しんでもらうことが絶対条件です。そのために、親は何に気をつけたらよいのでしょうか。次項で詳しく説明しましょう。

読み聞かせでやらないこと1

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絵本の読み聞かせでやらないほうがいい、6つのこと

子どもたちのピュアな心に「絵本の世界」は、すーっとしみ込んでいきます。だからこそ、読み聞かせのときに、大人の下心や思惑を紛れ込ませてはいけないのです。大人の下心をなくすことで絵本の効果は最大限に発揮されるでしょう。

そこで、齋藤氏、景山氏など “教育のプロ” たちのアドバイスを参考に、「読み聞かせでやらないほうがいいこと」をまとめました。

1. 勉強のつもりで読み聞かせる

「絵本を『勉強のつもり』で読み聞かせるのは避けてほしい」と、景山氏。知育として学ばせたい親の気持ちはわかりますが、そんな大人の下心に子どもは敏感です。特に、「十二支というのはね……」などと内容の解説に走るのはNG子どもを “本嫌い” にしてしまうかもしれません。子どもから何かを質問してきたとき以外、絵本解説はやめましょう。子どもが絵本を楽しんでいれば、それだけでOK! 学習効果はあとからついてきます。まずは、親子で絵本の世界を純粋に味わってくださいね。

2. スラスラ読む・過剰な演出をする

松永氏は、「一音一音ハッキリ読み」を提唱しています。同じ音程、同じ強さで、一音一音区切るようにハッキリ読むことで、子どもは絵本に集中できるようになり、助詞・助動詞への理解が強化されるとのこと。また、ゆっくり淡々と読むほうが、国語力アップに効果的だそうです。一方で景山氏は、「棒読み」と「自然な感情を込める読み聞かせ」の両方を使い分けることを提案しています。前者では想像力が育まれ、後者では感受性が育つのだそう。とはいえ、過剰な演出の読み聞かせでは効果は出ないそうなので注意してくださいね。

3. 読み聞かせのあとに感想を聞く

齋藤氏は、絵本は “目覚めたまま見る夢” だと言っています。絵本の世界の余韻に浸っているときこそ、子どもたちの想像力や感受性が育まれているのです。そこに大人の「どう思った?」「猫さんはなんで悲しい顔をしていたのかな?」などの現実的な問いかけが割り込むと、せっかくの子どもの空想の世界が消えてしまいます。読み聞かせのあと、子どもに感想を聞くのはやめましょう。

読み聞かせでやらないこと2

4. 親のペースで読む

「親の都合で、時間がないから早く読もうとする」「子どもが眠そうでも最後まで聞かせようとする」など、読み聞かせを親のペースで進めていませんか? 「子どもが前のページに戻りたがったら、好きにさせる」「考え込んでいるようだったら、何か言うのを待つ」など、読み聞かせでは子どものペースを守ってあげることが大切です。子どもに気に入ったページがあるのであれば、何度でも反復させてあげましょう。

5. “しつけ” のために読む

よい “しつけ絵本” ももちろんあります。しかし、しつけのためと絵本を読み聞かせ続け、「絵本=お説教」という構図ができてしまうのは避けたいところ。そもそも絵本は、子どもたちの人間性を育むものです。たくさんの絵本に出会うことが、思いやりや道徳心など人としての基礎を築き、その子の “芯” を育むことになると、齋藤氏は言っています。しつけ絵本ばかりに偏らないよう気をつけましょう。

6. 寝る前に読み聞かせをする

『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』の著者・立石美津子氏は、読み聞かせに効果的な時間帯は、「子どもの脳がフレッシュな朝」だと言います。寝る前の時間帯は、お話を聞いているうちに心地よくなって寝てしまうので読み聞かせには向かないのだそう。さらに、寝る前に怖いお話を聞くと、嫌な夢を見てしまうことも。また、景山氏も6種類の「寝かしつけに向かない絵本」を挙げています。

  • わくわくする絵本
  • スピーディーな展開で、頭を使って考えさせる絵本
  • おいしそうな食べ物の絵本
  • 個性的で、独創的な絵本
  • 電車や車の写真絵本
  • 起承転結のある感動的なお話の絵本

しかし景山氏は、「寝かしつけ用の絵本は、刺激の少ない、穏やかで幸せな気持ちになれる絵本の中から選びましょう」と述べているので、「寝る前の読み聞かせ絵本」については専門家によって意見が違うようです。

前述したような教育効果を求めるのであれば「朝の読み聞かせが効果的」で、寝かしつけることが目的であれば「寝かしつけに効果がある絵本を選ぶ」のがよいでしょう。最後に景山氏がおすすめする「寝かしつけ絵本」を3冊ご紹介します。

絵本から子どもたちが得る豊かな学びのチャンスを、親は邪魔しないように気をつけたいものですね。

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絵本の読み聞かせは、人生を実り多きものにする “本好き” への入り口――。大切にしたいですね。

(参考)
齋藤孝(2020),『1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる』, マガジンハウス.
ドロシー・バトラー 著, 百々佑利子 訳(2006),『クシュラの奇跡 140冊の絵本との日々 普及版』, のら書店.
立石美津子(2013), 『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』, あさ出版.
松永暢史(2014),『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』, すばる舎.
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