教育を考える/本・絵本 2024.8.30

たった30分で始められる! 親子で楽しむ『Kindle読書』の効果

たった30分で始められる! 親子で楽しむ『Kindle読書』の効果

「読書習慣を身につけさせたいのに、スマホやゲームばかり……」こんな悩みを抱えている親御さんは少なくないのではないでしょうか。子どもと本の関係に頭を悩ませていませんか?もしお子さんが「紙の本」に興味がもてないのであれば、電子書籍などのデジタルを活用するという選択肢もあります。

じつは、デジタルデバイスを使った読書には、子どもたちにとって意外なメリットがあるのです。今回は、デジタル時代の新しい読書スタイルと、それが子どもたちにもたらす効果について詳しくご紹介します。お子さんの読書習慣づくりに、新たなヒントが見つかるかもしれませんよ。

読書量が多い子ほど「4教科の偏差値平均」が高い

本を読むことで身につく力や、読書習慣があることによって広がる可能性について、こどもまなび☆ラボではたくさんの記事として紹介してきました。みなさんも、読書の重要性を知っているからこそ、わが子が自ら進んで本を読むことを望んでいるのではないでしょうか。

特に、読書と学力の因果関係についてはさまざまなデータが公表されており、ベネッセ教育総合研究所の調査によると、「読書量が多い子どもほど4教科(国語・算数・理科・社会)の偏差値平均が高い」ことが実証されています。

さらに、国立青少年教育振興機構青少年教育研究センターが実施した調査では、「子どもの頃の読書量が多い人は、そうでない人よりも意識・非認知能力や認知機能が高い傾向がある」と結論づけています。具体的には、自己理解力・批判的思考力・主体的行動力の3つの能力が高まるそう。

自己理解力:「今の自分が好きだ」「自分には自分らしさがある」などの自己肯定感を包含
批判的思考力:「ものごとを順序立てって考えることが得意だ」など客観的、多面的、論理的に考える力、自分あるいは他者の意見をまとめる力、コミュニケーション力を包含
主体的行動力:「分からないことはそのままにしないで調べる」など何事にも進んで取り組む姿勢や意欲

(引用元:国立青少年教育振興機構|子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究~「読書離れ」の実態と、「読書好き」を育てるヒント~)※太字は編集部で施した

このように思考力や行動力、自己肯定感が高まるなど、学力面以外でも読書の効果は計り知れません。そのため、幼いうちから絵本の読み聞かせに力を注いだり、図書館で何冊も本を借りたりと、子どもが本を好きになるようにあらゆるアプローチをしてきた親御さんも多いはずです。

その結果、読書が好きになった子もいれば、成長するに従ってゲームやスマホなどに夢中になり、読書への興味が薄れてしまった子もいるでしょう。このまま社会のデジタル化が進めば、アナログな「紙の本」を読む子どもは減少し続けるかもしれません。しかし、デジタル機器を使った読書ならどうでしょうか?

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紙の絵本もデジタル絵本も、幼児の内容理解に差はない!

とはいえ、デジタルメディアより紙の本のほうが、やはり効果があるのでは? という考えも拭えませんよね。しかし、実際にそれらを比較した研究データを見てみると、意外な結果に驚かされるでしょう。

東大大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(東大CEDEP)ポプラ社の共同研究プロジェクトとして、紙とデジタルの絵本の読み聞かせを比較したところ、「紙とデジタルでは絵本の内容理解に差はなく、幼児は初めて出会ったデジタル絵本でも紙の絵本と同じように楽しむことができる」という結果が出たそうです。

またこの調査結果について、東大CEDEP特任教授の佐藤賢輔氏は、「デジタル絵本は子どもの発達に良くないのでは、内容を理解できないのでは、内容よりも機器の操作やナレーションなどデジタル特有の特徴の方に注意が行ってしまう」といった心配はほとんどないと結論付けています。(カギカッコ内引用元:東大新聞オンライン|デジタル社会の今、読書は大事? 東大CEDEP×ポプラ社 「子どもと本」の関係を研究する

さらに学年が上がると、電子書籍を利用する子どもは増え、その利点を実感しているというアンケート結果も出ています。平成30年度に実施した文部科学省委託の「子供の読書活動の推進等に関する調査」によると、電子書籍を読んだ子どもは以下の点をメリットだと感じているようです。

  • 持ち運びや入手にあたっての利便性
  • ひとつのデバイスで複数の本が読める
  • キーワード検索などでわからない言葉をすぐに調べられる
  • 文字を大きくすることができる

(上記参照元:文部科学省|子供の読書活動の推進等に関する調査研究 報告書概要版

以上のことからも、デジタルデバイスという手に取りやすく操作性が高いツールを使うことは、子どもにとって効率的な読書法として浸透しつつあると考えられます。

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おすすめの「デジタル絵本&デジタル児童書サービス」

近年では、デジタルならではの利点を活かしつつ、従来の紙の本の魅力も損なわないよう工夫されたサービスが増えています。そんな、デジタル絵本と児童書の世界への入り口となる2つのサービスをご紹介しましょう。

■デジタル絵本なら「絵本ナビプレミアム」

デジタル絵本なら「絵本ナビプレミアム」月額1,480円(税込)がおすすめです。約4万冊の絵本が楽しめるサブスクリプションサービスで、人気作品や季節の絵本など、豊富なラインナップが魅力です。子どもの年齢や興味に合わせて絵本を選べる機能も便利。年間2,000万人が利用する絵本・児童書の情報サイト「絵本ナビ」が運営しているだけあって、動画見放題(絵本ムービー)、絵本コンシェル(無制限)といったサービスも充実しています。

■デジタル児童書なら「Amazon Kids+」

デジタル児童書を探すなら「Amazon Kids+」のラインナップが充実しています。ハリー・ポッターシリーズ全巻や、日本・世界の名作、児童文庫、学習マンガや科学の本など、とにかく児童書の品揃えが豊富で、ベストセラーから最新作まで幅広い! Kindleアプリを使えば、スマートフォンやタブレットでいつでもどこでも読書を楽しめます。

たくさんの本の表紙が並べられている
画像:Amazon Kids+の豊富なラインナップ!

デジタル書籍サービスを「4年間」愛用してみた!

じつは、筆者の娘も電子書籍愛用者です。きっかけはコロナ禍でした。当時小学5年生の娘は暇を持て余し、ゲームやタブレットばかり……。そこで、筆者自身が長年愛用していたアマゾンの電子書籍リーダー「Kindle」を、子ども用にともう1台買い与えたところ、暇つぶし以上の効果を発揮したのです。

一般的なタブレットやスマホではなくKindleにした理由は、「読書専用デバイス」であることから操作がシンプルで、「本を読む」ことに特化しているから。また、購入した「キッズモデル」には、子どもに最高の読書体験を提供するためのさまざまな特典が付いていたことも決め手になりました。

本体のセットに含まれている「Amazon Kids+」というサブスクリプションは、1,000冊以上の子ども向けの本がなんと1年間読み放題! 上述したように、児童文学の名作から歴史・科学などの学習コンテンツ、子ども向けの現代小説など豊富なラインナップが揃っているので、「読みたい本がない」ということはまったくありませんでした。

ちなみに、Kindleが届いてから各種設定を完了させ、娘が実際に使い始めるまで30分弱。娘はすぐに自室にこもり、読みたい本を自分でダウンロードしてどんどん読み始め、何時間も夢中になって「本選び」と「読書」をしていたようです。

といっても、読書に集中するというよりも、新しいデバイスに触れたことや、スムーズな操作性に導かれて好奇心が刺激された結果、「これから私はこんなにたくさんの本を選んで、読むことができるんだ」というワクワク感を味わっていたように感じます。

また、端末自体はネットにつなげていましたが、「読みたい本を探す→ダウンロードする」「知らない言葉をその場で調べる」程度のネット利用だったので、状況に応じてネットワーク接続を不可にすることもありました。データをダウンロードしてしまえば、ネットにつながっていなくても読書を楽しめるので、外出先や移動中でも重宝しています。

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画像:デジタル書籍を夢中になって読む筆者の子ども

受け身の読書→デジタル書籍を乱読→主体的な読書

もともと紙の本を読むこと自体には抵抗はなかったものの、積極的に読書を楽しむタイプではなかった娘。「友だちがおすすめしてくれた本」や「図書室で人気がある本」には興味を示しても、「次はこの本を読みたい!」「こういうジャンルの本が好き!」といった強い意思はありませんでした。

親としては「本をまったく読まないわけではないけど、読書に対して受け身の姿勢が気になる……」とモヤモヤした気持ちを抱えることも。しかし、「Kindle」で読書をするようになってからは、いままで読まなかったジャンルの本も積極的に読むようになりました。

これはいわゆる「乱読」では? と思われるかもしれません。しかし、児童文学評論家の赤木かん子氏のインタビュー記事『「つまらない本」を知ることも大事。図書館での“3千冊の乱読”から子どもが養う大事なもの』では、「つまらない本を知らないと、『この本はおもしろいんだな』ということがわかりません。子どもには膨大な時間がありますから、乱読することで感覚やものを見る目を養わせましょう」と赤木氏は述べています。「乱読」にもプラスの効果が十分にある、と言えるということですね。

1,000冊以上の本を乱読しながら、「読みたい本を自分で選ぶ練習」ができる点も、電子書籍の魅力でした。とにかくたくさんの本に触れることで、自分なりの感性や選ぶ力が磨かれたはずです。

また、子どもが選んだ本は親もチェックできる設定になっているので、「へ〜、こういう内容に興味があるんだ」「結構難しいジャンルにも挑戦してるな」など、娘の意外な一面を知ることもできました。まさに「乱読」を楽しんでいる姿を目の当たりにして、受け身の読書から能動的・主体的な読書へと変化する様子を感じたのを覚えています。

子どもと電子書籍04マイページ画面
画像:子どものKindle画面(上)と親の管理画面(下)

4年間使い続けた結果、「本は気軽に楽しむもの」として定着!

現在、Kindleを使用し始めてから4年が経過しました。そのあいだに中学校に入学したため、部活や塾などで忙しくなり読書する時間は減ってしまいました。ですが、読みたい本があれば「お母さん、あの本Kindleで買ってくれる?」とお願いされたり、私が読んでおもしろかった本を娘の端末に共有してあげたりと、デジタル書籍の利点を活かした使い方を継続しています。

何よりうれしいのは、読書へのハードルが下がったことにより、ちょっと興味があれば「とりあえず読んでみようかな」とすぐに読み始める習慣がついたこと。デジタル書籍だけでなく、紙の本も同様に、興味があればすぐに手にとる姿をよく目にしています。もちろん中学生らしく、スマホやゲームに夢中になる時間もありますが、それらと同じ位置にいまも「読書」があるのは、デジタル書籍に慣れ親しんだおかげであるのは間違いありません。

書店や図書館に出向いて本を選ぶ時間や、購入する際の費用、本棚のスペースなどを考慮すると、紙の本では負担が大きいと感じますが、デジタル書籍をうまく活用すればそれらの問題も解決できますね。

また、Kindleには親が設定・管理できるペアレンタルコントロールというサービスがあり、端末のロック機能や1日の使用時間の設定子どもの年齢に適したコンテンツのみが表示されるようにするなど、安心して使えるように親が設定できます。何をどれくらい読んだかなど、週単位、3か月単位で使用状況を可視化できるのも便利です。さらに、親が購入した本を共有できる「コンテンツ追加機能」を使えば、親子のコミュニケーションを深められますよ。

実際に数年間使ってみて実感したのは、親がしっかりと管理をしたうえで使用すれば、デジタル書籍は子どもにとって、より広い世界を知ることができるツールになるということ。

膨大なデジタル書籍のなかから、おもしろそうな本を自分で選ぶ「判断力」や「決断力」、わからない言葉の意味をその場ですぐに検索して解決する力、いつもとは違うジャンルの本を読んで知識を広げようとする「探究心」や「知的好奇心」など、いつの間にか身についた力は、いずれきっとお子さんの人生の糧になるでしょう。

***
長年、紙の本に親しんできた親世代は、デジタル端末を使った読書に対して抵抗感があるかもしれません。「最初から子どもにとっての本は紙媒体に限ると決めつけるのではなく、紙かデジタルか、子どもの好みやメディアの特徴に応じて、読書の形を選べるようになったらよい」と佐藤氏が述べるように、お子さんにとって最適な読書環境を与えるきっかけとして、デジタル読書も選択肢に入れてみませんか?

文/野口燈

(参考)
株式会社ベネッセホールディングス ニュースレター|【小学生の読書に関する実態調査・研究】読書は学力が低い子どもたちに大きなプラス効果 「自分で調べる」「話題が増える」幅広いメリットが明らかに
国立青少年教育振興機構|子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究~「読書離れ」の実態と、「読書好き」を育てるヒント~
HugKum|デジタルは「子どもの本離れ」を救う⁉︎電子書籍サービスで読書量が増加
東大新聞オンライン|デジタル社会の今、読書は大事? 東大CEDEP×ポプラ社 「子どもと本」の関係を研究する
HugKum|「読み聞かせ」子どもの発達の関係性、「デジタル」が子どもたちにもたらす影響など【東京大学×ポプラ社】が驚くべき研究成果を発表
文部科学省|子供の読書活動の推進等に関する調査研究 報告書概要版
STUDY HACKER 子どもまなび☆ラボ|「つまらない本」を知ることも大事。図書館での“3千冊の乱読”から子どもが養う大事なもの
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