教育を考える/本・絵本 2020.4.21

「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です

「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です

子どもに絵本を読んであげるとき、「どうせだったら、うまく読んであげよう」と考える人もいるはずです。でも、「絵本スタイリスト®」であり、絵本の読み聞かせのプロでもある景山聖子さんは、「うまく読もうとしなくていい」と語ります。その理由はどんなものでしょうか。子どもの年齢別のおすすめ絵本と併せて、読み聞かせのコツを教えてもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカット)

子どもの年齢に合った絵本を「プロ」に選んでもらう

絵本の読み聞かせをする前に、なによりも子どもの発達段階に合った絵本を選ぶことが大切になります。というのも、絵本はそれぞれ対象年齢を考えて学習効果などなんらかのメリットがあるようにつくられているからです。

なかには、まだ1歳くらいの赤ちゃんに、「4〜5歳向け」の絵本を読んで反応が悪いからといって、「うちの子は絵本が嫌いだ」なんて思うような人もいるようですが、発達段階に合っていない本を読み聞かせしているのですから反応が悪いのは当然です。

ただ、むかしの絵本には「○歳向け」というふうな表示がありましたが、じつはいまの絵本にはその表示が減ってきています。では、どうやって絵本を選べばいいのでしょうか? それはとても簡単なこと。「絵本のプロ」に教えてもらえばいいのです。

図書館に行けば、「0〜1歳向け」「2〜3歳向け」というふうに、絵本の棚がわけられていることもあります。そういう分類をリストにして配布している図書館もありますから、それらを参考に選べばいいわけです。あるいは、まさに絵本のプロである図書館の司書さんに話を聞いてもいいでしょう。きっと、それぞれのお子さんに合った絵本を紹介してもらえるはずです。

景山聖子さんインタビュー_絵本の読み聞かせのコツ02

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ストーリーではなくコミュニケーションが大切

では、子どもの年齢に合った読み聞かせのコツと、わたしがおすすめする絵本を紹介していきましょう。まずは0〜1歳の子どもへの読み聞かせについて。この時期の子どもは、親との親密なコミュニケーションによって親子の絆を築いていく時期にあたります。もちろん、まだストーリーは理解できません。ですから、重要となるのは絵本のストーリーなどではなく、親子のコミュニケーション。この年齢の子どもを対象とした絵本には、親子でコミュニケーションが取りやすいように、擬音語や擬態語がただ並んでいるだけというような内容が多いものです。

わたしがおすすめするのは、じゃあじゃあびりびり(偕成社)。

景山聖子さんインタビュー_絵本の読み聞かせのコツ03

それこそ、擬音語や擬態語が並んでいるだけです。それらを子どもの目をしっかり見て、大げさに抑揚をつけるなど面白おかしく読んであげてください。そうすることで、子どもは「お父さん、お母さんと過ごす時間は楽しい」「絵本は楽しい」と感じ、ゆくゆくは読書に親しんでくれる子どもに成長してくれるでしょう。

続いて、2〜3歳の場合です。この時期の子どもは、日常生活にとても強い興味を示します。大人がやっていることに興味を持って自分でもやりたがりますが、内容によっては危険が伴うこともあり、なんでも経験させるわけにはいきません。ですから、絵本のなかでいろいろな日常を経験させてあげましょう。雨などの天候や食べ物など、日常が描かれているものが最適です。

わたしのおすすめはどうぞのいす(ひさかたチャイルド)。

景山聖子さんインタビュー_絵本の読み聞かせのコツ04

それこそおいしそうな食べ物がたくさん描かれていますし、内容として助け合いの大切さを学べるというメリットもあります。

4〜5歳向けの絵本は「栄養価が高い絵本」の宝庫

それから、4〜5歳の子どもを対象にした絵本は、まさに良書の宝庫です。4〜5歳向けの絵本には、「栄養価が高い絵本」と呼ばれるようなロングセラーの絵本がたくさんあるのです。この時期の子どもは、比較的長いストーリーもしっかり理解できるようになることがその要因でしょう。それぞれに個性的なストーリーを持っているバリエーション豊かな絵本がたくさんあります。それらを通じて、さまざまな「体験」をさせてあげることが、子どもの人格を豊かにしていくために大切です(インタビュー第1回参照)。

わたしがおすすめするのはラチとらいおん(福音館書店)。

景山聖子さんインタビュー_絵本の読み聞かせのコツ05

内容は、泣き虫だった男の子が、ある日出会ったライオンに特訓してもらって少しずつ強く成長していくというもの。成長の真っ最中にある子どもの心に大いに響く内容です。

最後が、6〜7歳の子どもを対象とした絵本について。この時期の子どもは、心が急激に成長しています。そのため、それまでならお父さんやお母さんになんでもいえたのに、「これはいっちゃいけない」「これはいったら恥ずかしい」といった気持ちや悩みが出てきているものです。そこで、そういう子どもの心に寄り添って癒やしてくれるような内容の絵本を与えるのがいいでしょう。

わたしからは、びゅんびゅんごまがまわったら(童心社)をおすすめしておきます。

景山聖子さんインタビュー_絵本の読み聞かせのコツ06

この絵本では、開かれた小学校生活のシーンが繰り広げられ、親しめる校長先生が登場し、「大人を信じてなんでも話してみたら?」というメッセージもあります。子どもの心が温かくなり、大人は寄り添ってくれる存在として映ることで、悩みが生まれはじめる子どもの心を自然と癒しやてくれることでしょう。

「うまく読もう」なんて思わなくていい

最後に、全般的な絵本の読み聞かせのコツについてアドバイスしておきましょう。まず、子どもはまだ理解力が成長している途中にありますから、とにかくゆっくり読むということが大切です。大人からすれば、ゆっくりだと感じるスピードをもう1段階遅くするくらいがちょうどいいでしょう。

また、読み終わったあとに「どう思った?」と感想を聞くことは絶対に避けましょう。子どもは、絵本を通じて描かれている絵の前後を空想のなかで動かしています。そうして、想像力や集中力、感受性を育んでいるのです。その作業は、絵本を読み終えたあとも子どものなかで続いています。でも、そこで「どう思った?」と聞かれると、その大切な作業を止めてしまうことになってしまう。

それから、うまく読もうとすることもNGです。読み聞かせは親の発表会ではありません。絵本は子どもとのコミュニケーションの道具だというふうに考え、子どもの興味がどこに向いているかというところをいちばんに考えてください。子どもがどんどんページをめくりたがるならそうさせればいいし、逆にひとつのページに興味を持って立ち止まったら飽きるまで見せてあげればいい。絵本の内容から親子の会話が盛り上がったら、そのまま絵本を読むことをやめても構いません。そのことが、親子の絆を深め、子どもに「絵本は楽しい」と感じさせ、読書や勉強に対する興味を持たせることにもつながるのです。

景山聖子さんインタビュー_絵本の読み聞かせのコツ07

子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31
景山聖子 著/小学館(2018)
景山聖子さん著書

■ 絵本スタイリスト®・景山聖子さん インタビュー記事一覧
第1回:「絵本の読み聞かせ」から、子どもが学ぶもの。そして、親が手に入れるもの。
第2回:「勉強が勉強でなくなる」のが絵本の魅力! でも「勉強のつもり」で読み聞かせてはダメ
第3回:「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です
第4回:「もっと頑張らなきゃ」と自己嫌悪に陥りがちな母親たちに、励ましをくれる絵本の存在

■景山聖子さん連載『絵本よみきかせコーチング』記事一覧

【プロフィール】
景山聖子(かげやま・せいこ)
群馬県出身。絵本スタイリスト®。群馬テレビアナウンサーを経て上京し、TBS、テレビ朝日、日本テレビ等で報道番組などのリポーターを務めたのち、ナレーターへ転身。NHKラジオの朗読番組『私の本棚』などを担当する。一児の母となると同時に、絵本の世界に魅せられ、2013年に(社)JAPAN絵本よみきかせ協会を設立し、代表理事に就任。ボランティア認定資格講座には全国から人が集まり、公共施設やカルチャーなどの「よみきかせ講師」も多数育成。現在は、絵本を介しての子育てに関する講演活動を行うほか、パナソニック読み聞かせ機能搭載ライトのアドバイザーやカルピス読み聞かせ隊のサポーターに就任。アカチャンホンポ・ピジョン保育士の全国社員研修なども担当。NHK総合テレビで絵本の朗読も行う。園や小学校での絵本の読み聞かせも続け、絵本の持つ力を広めるために精力的に活動している。主な著書に、『今日から使える読み聞かせテクニック』(ヤマハミュージックメディア)、(『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』(小学館)、『子どもが夢中になる 絵本の読み聞かせ方』(廣済堂出版)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。