あたまを使う/英語 2019.1.11

自分の考えを上手にまとめ、発信する力を育てる! 「英語プレゼン」の効果と5つのコツ

田中茂範
自分の考えを上手にまとめ、発信する力を育てる! 「英語プレゼン」の効果と5つのコツ

9歳で「子どもの環境団体」に興味を持ち、12歳でリオデジャネイロの環境サミットに団体の代表として参加し、子どもの視点から環境問題についてスピーチをした少女、セヴァン・カリス=スズキを知っていますか?

1992年、「世界を5分間沈黙させた少女」として世界中で有名になり、その翌年にはUNEP(国際連合環境計画)の「世界の尊敬すべき500人」の勲章を受けました。物怖じせず、自分の考えを強く、はっきりと話す姿は、とても印象的でしたね。

彼女ほどでなくても、海外では、自分の意見を持ち、それを的確に周囲に伝える力が非常に重視されます欧米の小学校では、生徒一人一人が特定のトピックについてスピーチをしたり、調べ学習をした上でプレゼンテーションをしたりする機会もたくさんあります。

そこで求められるのは、論の展開です。論理展開には、問題発見、現状分析、物語展開、問題解決など、その目的によって、いくつもの展開方法があります。幼少期から、効果的な論理展開ができるように練習しておくと、記述式の試験や、入試の面接、英語4技能試験のスピーキングテストなどでも有利になるでしょう

ここでは、英語のプレゼンテーションを例にして、論の展開の仕方をご紹介します。今回注目するのは、冒頭部分。慣用表現を使って、プレゼンテーションにおける思考の流れをナビゲートするのがポイントです。

1. 開始のシグナル「はじめます」

日常会話では、「あのさあ」「ねえ、聞いて」「ほら」のような言葉を使って、話し出す前に相手の注意をひきますね。英語では “Hey” “Listen” “Now” “Look” “Well” などにあたります。

しかし、プレゼンテーションのような改まった状況では、これらは礼を失した表現と受け取られてしまいかねません。そこで、次のような表現で口火を切るのが普通です。

・では、そろそろはじめましょうか。
OK, now, shall we begin?

・そろそろはじめさせていただきます。
OK, I’d like to start now.

司会者がいる場では、司会者が使う言葉でもあります。

2. 謝辞「話をする機会をいただき、光栄です」

開始のシグナルの次に、感謝の意を表すことがあります。

・この会議にお招きいただき、感謝しています。
Thank you so much for inviting me to this conference.

・ここでお話しする機会をいただき、光栄です。
I’m honored to have an opportunity to talk here.

政治家の演説などでは、冒頭で謝辞を述べる場面がよく見られますね。

3. エピソードや有名な言葉の引用「……によると

何かを発表する際に肝心なのは、プレゼンテーションの狙いを述べること。時にはいきなり目的が何なのかを明らかにすることもありますが、多くの場合、その背景について述べてから目的に入るでしょう。

そんな時は特に、聞き手を意識した語りをする必要があります。そのためには、聴者を巻き込むために、次のような表現を使います。

・(皆さん)ご存じのように。
as you (all) know

・もちろん、皆さんお気づきのことですが……。
I’m sure you are all aware of …

あるいは、エピソードから始めることもあります。第7代国際連合事務総長コフィー・アナンがノーベル平和賞受賞の際に行った有名な演説は、あるエピソードで始まりました。

今日、アフガニスタンで女の子が生まれるでしょう。彼女の母親は彼女を抱き、授乳し、彼女をあやし、彼女の世話をするでしょう。それは、ちょうど、世界中のどこにあっても母親がやっているように。こうした人間の本性ともいえる最も基本的な行為において人間に区分はありません。

その後に、貧困をはじめとする、アフガニスタンが直面する状況の厳しさについて語ったのです。

また、これから話したい話題の背景を述べる時に、有名な人物の言葉を引用する方法も、よく用いられます。

・ジョン・デューイによると、教育は人生のための準備ではなく、それは人生そのものである。
According to John Dewey, “education is not a preparation for life; it is life itself.”

・ネルソン・マンデラは「教育は世の中を変える最も強力な武器である」と述べたことがある。
Nelson Mandela once said, “Education is the most powerful weapon one can use to change the world.”

権威ある知識人や著名人の言葉を引用することで、説得力が増しますね。

4. 話の目的を述べる「今日の狙いは……

ここで本題に入るわけですが、まずは話の目的を明らかにすることが大切です。聴衆は、最初に告げられた話の目的が、今後どう展開していくかに期待を寄せるのです。

・今日私がここにいるのは、……について話すためです。
I’m here today to talk about ….

・私のプレゼンテーションの目的は……です。
The purpose of my presentation is to ….

まずおおまかに、その後に細かく、目的を伝えることもできます。

・大きなテーマとしては……についてお話ししたい。
Generally, I’d like to discuss….

・もっと具体的に言うと……に焦点を当てたい。
More specifically, I’d like to focus on….

どこに着目するつもりかをあらかじめ伝えることで、聞き手も重要なことを聞き逃さずに、話に集中できるようになりますね。

5. 話の順序を伝える「3つの話をします」

トピックの数や話の順番を事前にはっきり伝えることは、とても大切です。なぜなら、聞く側が話の道筋を予想でき、プレゼンテーション全体の内容を理解しやすくなるからです。

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチにも、この手法が用いられています。

世界最高の大学の1つの卒業式にこうしてみなさんとご一緒できることを光栄に思います。正直に言いますと、私は大学を卒業していません。これが、大学の卒業式というものに私が一番近づいた瞬間です。今日、私の人生経験から3つのお話をしたいと思います。私がお話するのはまさにそれです。大げさな内容ではありません。たった3つの話です。

感謝の意を示し、簡単なエピソードを入れて、話の目的を述べた後、3つの話をすることを伝えています。

さて、このように「3つ」と述べたら、それが何であるかを明らかにしなければいけません。順序立てて話をするためにジョブズは、それぞれの内容をこのように一言で説明しています。

・1つ目の話は、点と点をつなぐことです。
The first story is about connecting dots.

・2つ目の話は、愛と喪失についてです。
My second story is about love and loss.

・3つ目の話は、死についてです。
My third story is about death.

話のポイントと話す順序を明確に示すことで、話全体の「構造」が明らかになるのです

トピックが2つであれば、“One is”(1つは) “The other is”(もう1つは)と、列挙するまでもありません。しかし3つになると、スティーブ・ジョブズのように、助数詞などを使って列挙する方法が有効です。

・まずはじめに
To begin(start)with

・第1に
・First / Firstly / First of all

・第2に
Second / Secondly

・第3に
And third / Thirdly

トピックが4つ以上ある時は、上記の表現に加え、「最後に」 “Finally” で締めくくるといいでしょう。

これらの5つの点を押さえれば、英語でのプレゼンテーションはぐっとわかりやすいものになるはずです。それだけでなく、様々な分野で活用できるポイントがたくさんあります。

特に、常に目的を意識することは、試験や学校の授業において、とても重要です。さらに、これからどんな話をするのかを事前にまとめて伝える力は、英語4技能テストや入試の面接でも、効果を発揮するでしょう。