英会話力を身に付けるのに不可欠なものは、何でしょうか。漠然と英会話ができるようになりたいといっても、ターゲットがはっきりしませんね。
会話では、会話の流れを作り出し、その流れに乗り、そして流れを変えることが求められます。相手の主導権に任せて、一方的に話を聞くだけでは、対等の立場で会話を進めることができません。ここで重要なのは、積極的に会話の流れを調整する能力なのです。
英語に自信がない人は、そんなの無理だと思うかもしれませんね。でも相手は、あなたの英語ではなく、あなた自身に関心があるのです。
そこで、相手にきちんと向き合うには、英語力の有無にかかわらず、積極的に会話を調整していくことが求められます。これを英語教育の分野では「会話管理能力」や「コミュニケーションの方略」と呼びます。
流れを調整する時はもちろん、英語を使って行うのですから、まずはそのための慣用表現を覚えることが肝要です。今回は、話題を調整するのに便利な慣用表現ネットワークをご紹介しましょう。
1. 話題を導入する「ねえ、知ってる?」
「こんなことがあったんだよ!」「ねえ、知ってる?」新しい話題について話し出す時、日本語ではこう口火を切りますね。
話題を導入するという行為は、会話の流れを作る上で必要不可欠です。もちろん、英語でも同じことが言えるでしょう。
- よい知らせがあるよ。
- 何があったか当ててごらん
- 信じられないかもしれないけど……。
- 想像できないかもしれないけれど(こんなことがあったんだ)。
I have some good news for you.
Guess what.
You may not believe this, but ….
You’ll never guess what happened.
例えば「宝くじに当たったんだ!」と伝えたい時、いきなり話し出すよりも、「信じられないかもしれないけれど」という一言で始めたほうが自然ですね。
また、まず相手の注意を喚起してから話題を導入することもよくみられます。
- 聞いて!
- 見て!
- えーと……。
- ねえ、……。
- で、……。
Listen!
Look!
Well, ….
You see…,
So …。
日本語で言えば、「あのー」「ねえ」「えーと」「で」に近い感覚の表現ですね。
2. ひらめきを伝える「いいこと思いついた!」
何かをひらめいた時は、なんて伝えたらいいでしょうか。
- ねえ、いいアイディアを思いついたよ。
- ちょっと思ったんだけど。
- これってどう思う?
Hey, I’ve got an idea.
I just thought of something.
What do you think of this idea?
こう話し始めれば、聞き手もちゃんと耳を傾けてくれることでしょう。
3. 提案する「こんなのどう?」
相手に尋ねられ、それに対する自分の考えを話す時、日本語ではまず「こんなのどうかな?」と言いますね。英語でも同様のフレーズを使うと、会話がスムーズになります。
- こうしたらいいんじゃないかな。
- じゃあ、こんなのどうでしょう。
- これはどうですか?
I know what we can do.
I’ll tell you what.
how does this sound?
しばらく考えてから、ある考えを話し出す前に使える、便利な表現です。
4. 途中で脱線する「ところで」
ある話題について話し出したら、しばらくはそれに関するやりとりが続くはずですね。しかし普段の会話では、話題の変更や脱線がしょっちゅう起こります。
あるトピックについて徹底的に話し合うというよりも、むしろ思いつくままに話題を展開させていくのが日常会話というもの。
もちろん、いきなり話題を変えてもルール違反ではありません。しかし、「話題を変更するよ」という言語によるシグナルを送ることができると、より親切ですね。
- ああ、ところで……。
- ちょっと話題は逸れるけど……。
- それで思い出したことがある。
Oh, by the way….
To get off the subject a moment, ….
That reminds me of something.
好きな時に自然な形で話題を変えることができるようになりますよ。
5. 元の話題に戻す「いずれにせよ」
話題を変更した後に、元の話題に戻したい。そんなこともあるでしょう。
- いずれにせよ……。
- 何を話していたんだっけ?
- 冗談はさておき……。
- まじめな話……。
Anyway ….
Where was I?
All jokes aside….
Seriously, though,….
話の軌道修正ができるようになると、自分から積極的に会話を進めやすくなること間違いなしです。
6. 話題が変わるのを防ぐ「最後まで聞いて!」
会話では普通、話題がどんどん変わっていくものですね。しかし、例えばミーティングのように、話題がコロコロ変わるのが望ましくない場面もあります。そんな時は、こう言えるといいですね。
- 話題から離れないようお願いね。
- もう少しこの話題について話してもいいですか?
- 最後まで聞いてください。
Let’s not get off the subject.
Would you mind staying with the subject?
Hear me out, please.
自分が話している最中に他の人に割り込まれた時は、最後の表現が便利です。
7. 話題を避ける「別のことを話そう」
難しそうな話題になり、英語に自信がない時はどうするべきでしょうか。ある調査によれば、日本人学習者の場合、黙ったままで苦笑いをして、曖昧な反応をする人が少なくないようです。
これでは相手は、無視されたと考えるかもしれません。暗黙の回避は、誤解の元です。話題を避けたい時は、その意図を明確に言葉で表現することが大切になります。
- それについては話したくないな。
- その話題に入るのはやめよう。
- そのことは持ち出さないようにしよう。
- 何か別のことを話そう。
I’d rather not talk about it.
Let’s not go into that.
Let’s not bring that up.
Let’s talk about something else.
会話の流れを自ら作り出し、上手に調整するために、このような表現を練習してみてください。続けていくと、英会話力の向上が実感できるはずです。