2021.1.20

親子でレジリエンスを鍛える4つのトレーニング。折れない心を育てよう!

長野真弓
親子でレジリエンスを鍛える4つのトレーニング。折れない心を育てよう!

逆境に強く、ポジティブ思考の人になるためのキーワードがあります。それが「レジリエンス」。“心の筋肉” とも言われ、鍛えれば人生がパワーアップするそうです。

また、レジリエンスは、近年注目されている「やり抜く力(GRIT)」を構成する4つの要素、根性(GUTS)・回復力(RESILIENCE)・自発性(INITIATIVE)・執念(TENANCY)のひとつでもあります。レジリエンスを鍛えることで、やり抜く力もアップするはず。今回は、親子で身につけたい能力であるこのレジリエンスについて、詳しく見ていきましょう。

レジリエンスとは「折れない心」であり「回復力」

いま話題のレジリエンスとは、「折れない心」であり、逆境から立ち直る「回復力」のこと。一般社団法人 日本ポジティブ心理学協会では、次のように説明されています。

レジリエンスとは、心理学においては、「逆境やトラウマ、惨事、脅威、さらには重大なストレス源に直面したときにうまく適応するプロセス」であり、総じて「困難な経験から『再起する』こと」と定義されます(アメリカ心理学会の定義より)。

(引用元:一般社団法人 日本ポジティブ心理学協会|JPPA認定 第3期レジリエンス・トレーニング・コースのご案内)※太字は編集部が施した

ストレスマネジメントの専門家である小関俊佑氏(桜美林大学准教授)は、「レジリエンスとは、ストレスに負けずに自分がやりたいことをやるためにあるもの」と言います。人生にストレスはつきものです。ストレスを上手にかわすためにも、レジリエンスを育みたいところ。レジリエンス育成はできるだけ早い時期がいいとされています。なぜならば、いろいろな経験の積み重ねこそがレジリエンス育成につながるから。

では、レジリエンスとは具体的にどういう力なのか。次に見ていきましょう。

レジリエンスを鍛える方法1

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レジリエンスが高い子と低い子の違い

臨床心理士で医学博士の小玉正博氏は、レジリエンスには次の7つの要素が含まれていると言います。

  • 気持ちや感情をコントロールする力
  • 変化する状況に順応できる柔軟性
  • 「自分は大切な人間だ」という感覚
  • 人に助けを求められる力
  • 楽観的であること
  • ネガティブな気持ちを引きずらない力

 
「成績が悪かった」「友だちとけんかした」など、子どもにとって困難なことが起こり、落ち込んだり挫折したりしたとき、これらの要素をもつ子(レジリエンスが高い子)ともたない子(レジリエンスが低い子)では次のような反応の違いが出てきます。

【レジリエンスが高い子】・・・楽観的、人に頼ることができる
「なんとかなる」
「この状況は長くは続かない」
「いままでのようにきっと大丈夫」
「お父さんかお母さんに相談してみよう」

【レジリエンスが低い子】・・・悲観的、自分の殻に閉じこもる、ひとりで耐える
「どうしたらいいのかわからない」
「きっともうダメだ」
「もうどうでもいい」
「恥ずかしいから、誰にも話したくない」
「怒られるかもしれないから、親には話せない」
「自分でなんとかしなきゃ」

このような反応の違いには、ふたつのポイントがあります。

まずひとつめは、子どもに自己肯定感があるかどうか。自己肯定感とは、自分のよい面だけでなく欠点も含めて「私は私」と認められる感覚のこと。自己肯定感を高める活動をしている日本セルフエスティーム普及協会は、「自己肯定感を高めることでレジリエンスも高くなる」と説明しています。レジリエンスの土台は自己肯定感なので、レジリエンスを高めたいのであれば、まずは自己肯定感を高めるべきなのだそう。

そして、ふたつめのポイントは、まわりにSOSを出せるかどうか。これにはまずまわりとの信頼関係が必要です。普段から親や友だちとの人間関係において、人との関わり方を学び、人から助けられる経験をすることがとても大切になります。問題を抱えてひとりではどうしようもなくなったとき、助けを求められるかどうかは、そのようなコミュニケーション体験の有無によるのです。

これらをふまえたうえで、レジリエンスを育むコツをご紹介します。

レジリエンスを鍛える方法2

親子でやってみよう! レジリエンスを育む方法

“折れない心” には、「自己肯定感」と「信頼関係」が必要だということがわかりました。次はいよいよ、レジリエンスを育むための方法をご紹介します。「自己肯定感を上げてレジリエンスを鍛えるトレーニング」と、「親子で信頼関係を築き、レジリエンスを強化する方法」です。ぜひ今日から親子一緒に実践してみてくださいね。

方法1:劣等感に負けない、自己肯定感を育むトレーニング

法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生氏は、「人がネガティブな感情をもつのは当たり前で、むしろ必要」と言います。なぜならば、嫉妬や劣等感がモチベーションになり、よりよい自分であろうとするための成長ステップになるから。しかし、その過程でネガティブ感情に負けてしまっては意味がありません。そうならないために、渡辺教授が提唱する「レジリエンスを鍛える4つのトレーニング」で “心の筋肉” を鍛えてみてください。

「I am」マッスル
私は〇〇(自分を肯定する言葉)
例:私は優しい

「I can」マッスル
私は〇〇ができる(自分ができること)
例:私は泳げる

「I like」マッスル
私は〇〇が好き(自分が好きだと思うこと)
例:私はサッカーが好き

「I have」マッスル
私には〇〇がいる、私は〇〇をもっている(自分が大事にしている人や宝物)
例:私には頼りになるお父さんがいる、私は電車のおもちゃをもっている

このトレーニングは、子どもがもつ「いいところ」「いいもの」を「見える化」し、自分自身の劣等感に打ち勝つことを目的としています。子どもは、ポジティブな気持ちで眠りにつくことができるでしょう。そして、毎日続けることで自己肯定感もアップします。

方法2:親子の絆を深め、レジリエンスを強化する方法

子育てコーチング専門家でNPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子氏は、「レジリエンスがもともと低い子はいない」と言います。親との関係や、まわりの人との関わりによって、子どものレジリエンスの高低は変化するのだそう。

東京学芸大学名誉教授で臨床心理学者の深谷和子氏も、子どものレジリエンス育成の重要な鍵となるのは、親や家族との信頼関係だと指摘しています。家庭を「居心地のよい場所・心の拠り所」にすることで、子どもは外の世界で嫌なことがあったとしても、安全基地であるお父さん・お母さんのもとで充電し、気持ちを回復させることができるのです。それでは、深谷氏をはじめとした専門家の意見を取り入れた、親子コミュニケーションのポイントをお伝えしましょう。

親子の会話

子どもとの信頼関係を深めるのは、なんといっても “毎日の会話” です。しかし、親だけが一方的に話してしまうのはNG。もし子どもが失敗してしまったときでも、「だから〇〇しなさいって言ったのに」なんて言わず、「悲しいね」とネガティブな感情を受け止めてあげましょう。子どもの話をじっと聞き、どんなネガティブな感情も受け止めることで、親子の信頼関係のベースが築かれます。実際に、この方法で不登校が解消した例も報告されているようですよ。

もしテストで思ったような点数がとれなくて子どもが落ち込んでいるときなどは、「勉強頑張っていたよね!」と努力の過程をほめてください。すると、ストレスを感じていたとしても、再度、挑戦する力が湧いてくるものなのです。また、親自身の「失敗談」や「立ち直りストーリー」を話すのも◎。「完璧な人はいない」というメッセージは子どもを安心させます。

子どものお手伝い

親を助ける、親の役に立つお手伝い経験は、子どもを無力感から解放し、「自分は家族のなかで大切な存在だ」と再確認できる機会です。洗濯物をたたむ、冷蔵庫からドレッシングを出す、買い物をする、旅行の計画を立てるなど、簡単なお手伝いから少し難しいお手伝いまで、とりあえずどんなことでもお願いしてみませんか?

「できた!」という達成感から自己肯定感も育まれますし、「失敗しちゃった……」という場面でも「頑張ってお水を運んでくれたよね。ありがとう!」と、できたことを親が認めてあげることで、子どもは、心を回復させる力を手に入れることができますよ。

レジリエンスを鍛える方法3

レジリエンスを学べる本

そして家庭外では、ゲームなどのバーチャルではない、リアルな遊びを通して、できるだけ多くのお友だちと遊ばせましょう。また、スポーツに励むこともレジリエンス強化に効果があると、深谷氏は推奨しています。

どうやら、レジリエンスを鍛えるには、まだまだたくさんの方法があるようです。おすすめの書籍をいくつかご紹介しますので、ぜひ読んでみてくださいね。

『親子で育てる折れない心 レジリエンスを鍛える20のレッスン』

うまくいかなくてもへこたれずに頑張ることができる、失敗しても立ち直れる――そんな「レジリエンス・キッズ」を育てる技術を紹介した1冊。どんなタイプの子どもにも有効なトレーニングばかりです。毎日3分、親子で取り組んでみませんか?

『子どもの「逆境に負けない心」を育てる本』

「挫折しやすい子」「キレやすい子」「すぐ諦める子」が変わる! レジリエンス教育の第一人者による実践ワークブックです。日本の学校でも効果が実証済みの教育プログラムをイラストとともに説明しています。

『イラスト版 子どものレジリエンス』

著者は、子どものレジリエンス研究会代表の上島博氏。「気持ちを言葉にしよう」や「ストレスをパワーに変える」など、落ち込んでいる気持ちを回復させる方法がたくさん書かれています。子どもと一緒に読みたい1冊。

『ヘコんでも折れない レジリエンス思考』

健康心理学が専門の医学博士・小玉正博氏が「レジリエンス」について詳しく解説。また、ストレスから心を回復させるための思考法も事例とともに紹介しています。鋼のような強い心ではなく、復元力に富む「しなやかな心」をつくりましょう。

 
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変化の激しい時代を力強く生き抜くために、「レジリエンス」はこれまで以上に必要不可欠な能力と言えるでしょう。レジリエンスを育むためには、子どもに大きな影響をもたらす大人(親)のレジリエンスを高めることも重要です。親子一緒にレジリエンスを鍛えていきましょう。

(参考)
一般社団法人 日本ポジティブ心理学協会|JPPA認定 第3期レジリエンス・トレーニング・コースのご案内
SHINGA FARM|子どもの「心理的レジリエンス」を高める3つのコツとは?
All About|子どものレジリエンスを鍛える10のコツ!逆境を跳ね返す力とは
ベネッセ教育情報サイト|乳幼児から育む、折れない心【前編】困難に負けない、レジリエンスとは
ベネッセ教育情報サイト|乳幼児から育む、折れない心【後編】レジリエンスを伸ばす保護者の働きかけとは
朝日新聞 EduA|逆境に負けない心、「レジリエンス」を育てるには他人に助けを求める能力も身につけて
一般法人日本セルフエスティーム普及協会|レジリエンス(折れない心)は自己肯定感でつくる
日経DUAL|レジリエンス、しなやかさ、負けないメンタル…「心が強い子」の育て方|レジリエンスを育むにはこの気質を理解することから
個別指導塾スタンダード|どんな困難にもくじけない!我が子のレジリエンスを鍛えるには?
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