教育を考える/食育 2019.12.25

子どもが食べやすく、親の準備もしやすい。勉強に集中できる「良質な朝ごはん」のつくり方

笠井 奈津子
子どもが食べやすく、親の準備もしやすい。勉強に集中できる「良質な朝ごはん」のつくり方

文・レシピ写真/栄養士・幼児食インストラクター 笠井奈津子
構成/岩川 悟

子どもの発達過程において、食の影響は計り知れない

はじめまして、栄養士・幼児食インストラクター笠井奈津子です。

「子どもの好き嫌いが多いのは、わたしの料理が下手だからですよね?」
「子どもがよく風邪をひくのは、栄養が足りていないのでしょうか?」
「普段の生活で落ち着きがないのは、食事が乱れているからでしょうか?」

わたしのところには、子どもの食に悩むお母さんたちがたくさん相談にきます。言うまでもなく、子どもの体と脳は食べたものでつくられます。食事から摂取する栄養は、間違いなく子どもの体と脳の発達を担うもの。それが十分にわかっているから、お母さんたちは日々の食事づくりに悩みます。せっかくつくったごはんを食べてもらえなくてイライラしたり、子ども優先で自分の食事は後回しにしたり……なんてことは誰しもが経験していることはでないでしょうか。1児の母であるわたし自身も、もちろん経験済みです。

子どもの発達の過程において、食の影響は計り知れません。集中力を上げるのも、免疫力を上げるのも、体力をつけるのも、そのベースには栄養が不可欠。ですが、ライフスタイルの変化とともに食生活が乱れているのは、いまや大人だけではありません。「高コレステロール」や「肥満」の子どもたちが増え、生活習慣病予備軍とされる子も増えています。それに、「うちの子どもは太っていないから大丈夫」とも言い切れません。日本では「痩せ」の子どもも多く、疲れやすいとか、学力が伸びないといったことの背景には、鉄が不足している可能性もあります。

ここまで書いたように、食は生活の重要な一部です。でも、頑張りすぎてしまったら、お母さんたちの大事な睡眠時間や生活、仕事にも支障が出ます。最低限のポイントをおさえながら、食と生活のバランスを上手に取っていただきたいなと思います。

笠井奈津子様連載_良質な朝ごはん02

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朝ごはんをルーティン化することも一手

たとえば、今回のテーマとなる朝ごはんがそう。「毎日同じものではいけない」と頑張っていたり、それに疲れ「もうパンと牛乳だけでいいや……」となったりしていませんか? 書店に行けば、朝ごはんの内容が書かれたものだけでもたくさんのレシピ本があります。もちろんインターネット上にも情報があふれていますよね。選択肢が多いぶん、朝ごはんですら頭を悩ませてしまうもの。

でも、料理は「つくる時間」だけではなく、「献立を考える」「買い物をする」という工程にも時間がかかります。ですから、時間との戦いになる朝は、思い切ってルーティン化するのもひとつの手ですよ。

我が家のルーティンは次のようなものです。

〈和食の場合〉
ごはん+味噌汁+納豆/鮭/しらす/卵料理(単品もしくは組み合わせ)+温野菜+果物

〈洋食の場合〉
食パン+卵料理(チーズ、ソーセージ、ヨーグルトなどはその日次第)+温野菜+果物+牛乳

笠井奈津子様連載_良質な朝ごはん03

ポイントは、朝も必ずタンパク質を摂取すること。「脳へのエネルギー補給で炭水化物をなにかしら食べさせればOK」と思われがちですが、朝からしっかり体温を上げるために、または、筋肉をつくる、鉄の大きな補給源としてもタンパク質が必要だからです。

朝は忙しくてパンかおにぎりの二択という方は、ツナ缶を常備しておいて、パンの上にチーズと一緒にのせてトーストしたり、前夜にゆで卵を仕込んでおいたりして、なにかしらタンパク質を足すといいでしょう。

朝から野菜もしっかりとれるとベストですが、子どもが小さいと朝は特に気分のムラがあって思うように食べ進めてくれないこともあるはずです。お味噌汁に入れたらなんでも食べてくれるという場合は、メインになるくらい具沢山にするといいでしょうし、ビタミン補給は果物を食べれば良しというくらいの気構えでもいいと思います。

また、朝の洗い物があまり増えないように、納豆は深みのあるカップ入りのものにして廃棄しやすくしたり、はくっつかないシートを敷いて焼いたりと、できるだけ手間を省く導線を整えることもポイントです。ルーティンになると完成形がわかっているので、夫や子どもに盛り付けや配膳をお願いするということもしやすくなります。

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「ダメなものはダメ」と言える勇気も必要

日々の食事(栄養)と同じくらい大事なのは、大人になったときに困らない食習慣をつくることです。将来、「お腹が満たされればなんでもいい」「お菓子を食事代わりにする」なんてことにならないように、子どもたちが食への興味関心を持てるような食事時間も大切です。

そのためには、「急かしたり怒ったりしながら食べさせる」「ひとりで食べさせる」「朝から殺気だって支度をする」というような「食卓の戦場化」は避けたいものです。

そして、子どもが将来ダイエットなどで悩まないように、食事と飲み物・嗜好品には一線をひきましょう。たとえば、「バターやジャムを毎朝のパンに添えるのは控える」「ジュースを買い置きしない」などです。食が細いと親は心配になって、パンをお菓子みたいに食べやすくアレンジしたり、せめてジュースや牛乳くらい飲ませようとしたりしがちですが、それで満たされてしまって食事をおろそかにするというパターンに陥っている子も少なからずいます。これでは栄養不足。子どもが本来持っている力を発揮できないばかりか、血糖値を上げようとアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されることで興奮したり、感情コントロールが難しくなったりします。

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とはいえ、いきなり食事量を増やしたり、内容を思いっ切り変えたりというのも難しいもの。まずは、今回ご紹介するレシピのように、甘いだけのパンから、食事パンへの移行をはじめましょう。

甘い朝食や夕食前のお菓子など、大人になったときに困る食習慣をつくってしまうことは避けるべき。おやつの時間以外にもおやつを欲しがるようになると、結果として食事量そのものが減ってしまうものです。「お菓子を食べるからごはんが食べられなくなるのよ!」などと怒るよりも前に、そうならなくていい環境を親が率先してつくってあげましょう。そして、要求に対して、「ダメなものはダメ」とはっきり言っていいと思います。

子どもが小学生くらいになると、「パパが食べないから僕(わたし)も食べない」などと親の食べ方を真似するようになります。ダイエット目的などで朝ごはんを抜かれる方もいらっしゃると思いますが、朝ごはんを含めて3度の食事を規則正しくとることは、1日の血糖値を安定させて、太りにくい体や集中できるコンディションをつくります。子どもが元気に体を動かして遊び、または勉強にも集中できるように、ぜひご家族で朝ごはんを見直してみてください。

レシピ◆のせて焼くだけ! 和風チーズトースト

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【材料】

  • 全粒粉パン 1枚
  • スライスチーズ 1枚
  • 海苔 適宜
  • しらす 適宜
  • ごま 適宜

【作り方】

パンにそのほかの食材を好きな順に重ね、いつも通りトーストしたらできあがり

【主な食材に含まれる栄養素】

  • 全粒粉パン……糖質をエネルギーにかえるために欠かせないビタミンB1を通常の白いパンより多く含む
  • スライスチーズ……カルシウムやビタミンAの補給もできるタンパク源
  • 海苔……不足しがちな食物繊維を手軽に補給
  • しらす……カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多く含む
  • ごま……血中コレステロールの上昇をおさえる不飽和脂肪酸を多く含む


■ 栄養士・幼児食インストラクター 笠井奈津子さん 連載記事一覧

第1回:子どもが食べやすく、親の準備もしやすい。勉強に集中できる「良質な朝ごはん」のつくり方
第2回:“タンパク質不足”に要注意。子どもの頭をよくしてくれる、実は身近な「ブレインフード」
第3回:脳を発達させる食材といえば、やっぱりコレ! 苦手な子でも食べやすくなる、魚の調理法
第4回:「子どもの集中力がない」それ、おやつのせいかも? 甘いお菓子が脳に良くない理由とは