教育を考える/食育 2019.12.26

“タンパク質不足”に要注意。子どもの頭をよくしてくれる、実は身近な「ブレインフード」

笠井 奈津子
“タンパク質不足”に要注意。子どもの頭をよくしてくれる、実は身近な「ブレインフード」

文・レシピ写真/栄養士・幼児食インストラクター 笠井奈津子
構成/岩川 悟

乳幼児期に脳はグッと成長していく

身長は思春期にグッと伸びますが、気になる「脳」がグッと成長するのはいつなのでしょうか? 実は、脳は3歳にして成人の約80%、6歳で約90%の大きさに達します。つまり、乳幼児期に大きな成長を遂げるということ。ほかの臓器と同じように、脳も食べものの影響を大きく受けますから、この時期になにを食べていたかはとても重要です。

とはいえ、発育曲線がゆるやかになるだけで、脳はその後も成長していきます。ですから、食を改善するのに遅いということはありません。勉強や運動そのものは本人にしかできなくても、食事ならばわたしたち親がしっかりサポートできます。脳の働きをよくする食材や食べ方を、この機会に学んでいきましょう。

笠井奈津子様連載_脳によい食事02

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近年、注目を集める「ブレインフード」

近年、脳をよくする食べものとして「ブレインフード」が注目されるようになってきました。脳は神経細胞同士がつながって発達していきますが、その働きを担っているのは神経伝達物質です。そして、この神経伝達物質が食べたものからつくられるからこそ、食事をおろそかにはできないのです。

たとえば、「幸せホルモン」とも言われる神経伝達物質「セロトニン」アミノ酸を材料としますが、記憶力に関わる神経伝達物質「アセチルコリン」「コリン」というビタミン様物質を材料とします。

アミノ酸はタンパク質の構成成分なので、いわゆる魚や肉などのメインのおかずをしっかり食べていることが大切。「朝は時間がなくてパンだけ」「麺類などお腹を満たす炭水化物がメインになりやすい」という食生活は要注意ということになります。多くの方が、野菜をとることは意識しても、「タンパク質=筋肉」と思いがちで、積極的に摂る方はそう多くないように見受けられます。タンパク質が不足すると、脳の神経伝達物質の原料も不足すると認識しておいてください。

笠井奈津子様連載_脳によい食事03

では、「コリン」はどうでしょう? 実は、コリンはとても身近な食材であるに多く含まれています。卵の場合、卵黄に含まれるレシチンも記憶力や集中力の向上に役立つので、実に優秀なブレインフードです。

「子どもが卵アレルギーで……」という方も安心してください。卵に続いてコリンを多く含むのは、日本人にはとても身近な食材である大豆です。大豆ならば、納豆、豆腐、豆乳、きな粉など様々な加工がされているので、毎日飽きずに食事に取り入れることができますよね。

調理いらずでもっと手軽にとれるブレインフードと言えば、ナッツが代表的な食材です。くるみ、アーモンド、ピーナッツなど、種類によって栄養成分は異なるものの、これらに含まれるビタミンEは細胞膜の酸化を予防し、不飽和脂肪酸が脳の働きをサポートするという点は共通しています。ただ、ナッツ類はカロリーが高いので、食べすぎには注意したいところです。サラダやヨーグルトなどにトッピングする、または、少量ずつ食べることを推奨します。

笠井奈津子様連載_脳によい食事04

おやつは栄養を補う「補食」になる

逆に、子どもの食生活から遠ざけたいのはお菓子とジュースです。単に「太るから……」「将来、生活習慣病になる可能性が高まるから……」という理由だけではありません。糖質はエネルギーになる一方で、その代謝の過程でビタミンB1を必要とします。ですから、ごはんとおかずを一緒に食べるならまだいいのですが、糖質だけを単品で食べるとビタミンB1が不足して、かえって疲労感を感じ集中できなくなってしまうのです。

もちろん、「おやつは絶対に食べさせてはいけない」ということではなく、目的と量を間違えないようにすべきです。「甘いものを食べたら元気になって集中できる」という短絡的な考えは間違いであって、いいものを少量、時間を決めて食べるのがいちばんです。子どもにとってのおやつは、食事で不足しやすい栄養を補う「補食」の役割を果たすもの。ですから、具沢山のたきこみごはんをおにぎりにしたものや、むかしながらの焼き芋、ヨーグルトなどでいいのです。

共働き家庭においては、どうしても夕食の時間が遅くなりがち。そうなると、お腹を満たすためにおやつを大量に食べてしまうということも起こり得るでしょう。その対策としても、食事の一部になり得るおやつのレパートリーを考えましょう。

笠井奈津子様連載_脳によい食事05

また、日々の積み重ねが子どもこれからの人生に大きな影響をもたらすことを考えると、「主食を見直す」ことも大切なポイントでしょう。脳のエネルギー源として炭水化物を摂ることは重要ですが、そこでもなにを選ぶかで差がつくからです。

目安としたいのは、「GI(グリセミック・インデックス)値」。血糖値が上がりやすい食品は高GI食品、上がりにくい食品は低GI食品と言いますが、子どもの記憶力や集中力をサポートしたいなら、選ぶのは低GI食品です。

朝、甘いシリアルを食べているのであればオートミールに、白いパンを食べているならライ麦パンや全粒粉パンに、白米を食べているならば雑穀を加えるなど、選択を変えていきましょう。高GI食品は、集中力を下げたり「もっと甘いものが食べたい!」という欲求を引き起こしたりしてしまうので注意してください。

そして、頭をよくするためにも、日頃から子どもたちが楽しく食事をする環境づくりも心がけてほしいことです。楽しく食べると副交感神経が活性化し、消化吸収がスムーズになります。またなにより、神経伝達物質であるドーパミンが分泌されて脳の活性化にもつながります。

子どもの消化能力は、大人ほどではありません。学習能力を上げるには良質な睡眠をとることも欠かせませんから、良質な睡眠を妨げる要因となる寝る直前の食べすぎや、遅い時間の夕食は避けたいものです。「ちゃんとごはんをつくると遅くなってしまいそう……」というときには、今回ご紹介するレシピのように、1品に栄養を詰め込んで、あとは具沢山お味噌汁を添えるだけというような組み合わせでもいいのです。「手抜き」と思わずに知識を上手に活用してください。

レシピ◆5分でできる! ブレインフードチャーハン

笠井奈津子様連載_脳によい食事06

【材料】ひとり分

  • 卵 1個
  • 納豆 1パック(タレも使用)
  • 雑穀ごはん 軽く茶碗1杯分
  • 小ねぎ お好み
  • ごま油 小さじ2
  • 水 小さじ1
  • 鶏ガラスープの素 小さじ1/2

【作り方】

  1. フライパンにごま油をしいて火にかける
  2. ボウルにごま油以外のすべての材料をいれてかき混ぜ、1に入れる
  3. 3分ほど、パラリとするまで炒めてできあがり(大人用には胡椒をふってもOK)

【主な食材に含まれる栄養素】

    • 卵……免疫力を高めるビタミンAなど成長期にとりたい栄養が豊富
    • 納豆……ねぎとあわせると、納豆に含まれるビタミンB1の吸収が高まる
    • 雑穀……食物繊維

 

■ 栄養士・幼児食インストラクター 笠井奈津子さん 連載記事一覧
第1回:子どもが食べやすく、親の準備もしやすい。勉強に集中できる「良質な朝ごはん」のつくり方
第2回:“タンパク質不足”に要注意。子どもの頭をよくしてくれる、実は身近な「ブレインフード」
第3回:脳を発達させる食材といえば、やっぱりコレ! 苦手な子でも食べやすくなる、魚の調理法
第4回:「子どもの集中力がない」それ、おやつのせいかも? 甘いお菓子が脳に良くない理由とは