小学校生活にもすっかり慣れた3年生〜4年生くらいの時期、親に反抗的な態度をとるようになったり、イライラして怒りっぽくなったりする子どもが増えます。思春期の反抗期とは少し違う、この時期特有の反抗期は『中間反抗期』と呼ばれ、子どもの成長には欠かせないといいます。
今回は、『中間反抗期』について詳しく説明していきましょう。「最近反抗的になってきて困っている」とお悩みの親御さんは、ぜひ参考にしてくださいね。
『中間反抗期』とは?
一般的にいわれる『反抗期』は、大きく2つに分類されます。
- 第一反抗期:いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれる2〜3歳ごろ
- 第二反抗期:小学校高学年〜中学生の時期=思春期
しかし、第一反抗期から第二反抗期の間である小学校低学年〜中学年ごろにも反抗的な態度が現れやすく、『中間反抗期』と定義されています。
『中間反抗期』は、ほかの反抗期ほど激しい反抗ではないため、あまり気に留めずにやり過ごしてしまいがち。しかし、その態度や言動に戸惑う親御さんも多いようです。
文部科学省は、この時期の子どもについて「9歳以降の小学校高学年の時期には、身体も大きく成長し、自己肯定感を持ち始める時期」だと説明する一方で、「自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある」としています。
いわゆる「9歳の壁」「10歳の壁」もしくは「小4の壁」と呼ばれるこの時期は、集団の一員としての役割や他者との関係性について悩みが深まるともいわれています。これが「他者意識」の発達につながり、子どもから大人へと成長する過程では必要不可欠でもあるのです。
ただし、他者との比較を通じて自己評価や自尊心が低下することで、嫉妬などのネガティブな感情が芽生えることも。気に入らない相手を無視したり、その人の悪いうわさを流したりといった「関係性攻撃」につながる様子も見られるそうです。
中間反抗期=ギャングエイジ
小学校中学年(3年生・4年生)は、『ギャングエイジ』と呼ばれることが多い学年です。つまり、『中間反抗期』=『ギャングエイジ』ともいえるでしょう。ギャングといっても悪いイメージを抱いて不安になる必要はありません。ここでいうギャングとは、チームやユニット、仲間を意味する言葉。
チャイルド・ファミリーコンサルタントのやまがたてるえさんは、ギャングエイジの特徴として「それまで個々でしていたちょっとしたいたずらが、仲間との相乗効果によりギャングのような社会行動へと変換されることがある」と説明しています。
学校生活に慣れてくるこの時期は、気の合う友だちと集まって楽しく過ごすことが増えます。そして、次第に広がる仲間同士の絆が良い行動を起こすこともあれば、ひとりではやらなかったような冒険を引き起こしてしまうこともあるそう。それが「ちょっとしたイタズラ」や「少し悪い言葉遣い」などに表れるというわけです。
ギャングエイジ期は、対人関係の上手な間の取り方を学ぶ大事な時期です。この時期をうまく過ごすことができれば、子どもは社会や他人に関心を持ち、自発的に関わりを持とうとします。それは大人へと成長したとき、人とのコミュニケーションや社会生活の基礎となるはずです。
中間反抗期は自立への第一歩
中間反抗期では、次のような特徴が見られるといいます。
- 親に口答えをする
- イライラした様子で親と会話しない
- 親に話せない・話さないことが増えてくる
- 親に秘密を持ったり、ウソをついたりするようになる
- 注意しても聞かない、無視をする
- 親が手助けするのを嫌がる
- 大人に干渉されない子どもだけの世界をもつようになる
- 悪い言葉を使うようになる
- 禁止されていることをしようとするなど、悪さをするようになる
「うるさいな」「放っておいて」「お母さん(お父さん)には言いたくない」などといった、生意気ともとれる発言が増えてくると、親としてはショックを隠しきれません。しかし、これらの言動にはちゃんと理由があります。
中間反抗期は、親に依存した状態から抜け出し、友だちの影響を受けて成長していく時期です。そのため、親からの指示や世話をされることを嫌がる、親と会話したくなくなる、といった反抗的な態度をとるようになります。
子どもは子どもなりに、小学校という社会で精一杯がんばっています。勉強やスポーツで順位をつけられて周りとの差を感じたり、友だちとの付き合い方にも変化が表れたりと、無意識のうちに戸惑っている子どもたち。そういった心の動揺から、親に口答えをするなど、反抗的な態度へとつながっているというわけです。
子ども教育のプロフェッショナル養成に携わる増田修治先生は、こうした時期のイライラは、「自分の思いをうまく言葉に整理できない」ことが一番の原因だと指摘します。
心のモヤモヤを言語化する能力がまだ未熟な子どもは、激しく揺れ動く自分の気持ちの変化についていけません。その結果ストレスがたまり、イライラしてしまうのです。
中間反抗期の子どもへの接し方
まさに今、中間反抗期の真っただ中というお子さんも、これからその時期を迎えるというお子さんもいるでしょう。前出の増田先生のアドバイスを参考に、そんなお子さんの反抗的な態度に効果的な対処法をご紹介します。
■子どもが安心して話せる工夫を
イライラをうまく言葉にできなくて反抗的になっているのなら、「きちんと言葉で表現するようにさせる」のが一番だそうです。そのときに注意するのは“聞き手”に徹すること。
「どうしたの?」
「お友だちとなにかあったの?」
と誘いの言葉をかけてあげることで、子どもは自分から話しやすくなります。
また、どんなにカッとなっても「ダメ!」と頭ごなしに叱らずに、「○○だから、お母さんはやめたほうがいいと思うよ」と理由を述べて諭すよう心がけましょう。
■言いなりになるのではなく「受け入れる」
子どもがムキになって口答えをするのは、自分の考えを認めてほしいから。たとえ子どもの言い分が間違っていたとしても、「あなたはそう思うのね。わかったよ」と、一度は許容する態度を示しましょう。
ただし、面倒だからと言いなりにならないように気をつけて。「ここまで」と決めたラインを超えたら、どんなに甘えてきても「自分でできることは自分でしようね」とはっきり伝えましょう。人を傷つける言葉を使ったら、「そういう言い方をされると、すごく悲しくなるよ」としっかり教えることが大切です。
■子どもの友だちに “ダメ出し” はしない
子どもの交友範囲が広がり、いろいろなタイプのお友だちと接するのはとてもいいことですね。ただしなかには、少し乱暴だったり言葉遣いが気になったりと、悪い影響を受けないかと心配になることも。
しかし、よほどの問題がない限り、子どもの交友関係には口出ししないほうがいいでしょう。たとえ子どもであっても、自分が選んだ友人を否定されると、自分自身も否定されたように感じるものです。どうしても心配なら、一度家に呼ぶなどして実際にその友だちのことを知る努力をしましょう。自分の子どもがどうして仲良くしたいと思ったのか、その魅力に気づかされるかもしれませんよ。
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中間反抗期と聞いて、戦々恐々としていませんか? でも大丈夫。この時期は自我が育ち、自分で考えて行動しようとする気持ちが強まるので、親の言いつけに従うことを嫌がるようになるのは自然の流れなのです。
この時期に反抗的な言動が見られたら、「しっかりと育っている」証拠なのでご安心を。あまり気にせずに、一定の距離感を保ちながら見守ってあげましょう。
(参考)
ベネッセ 教育情報サイト|小学校低・中学年の保護者のかたは必見!「中間反抗期」をご存知ですか?
文部科学省|3. 子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題
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