教育を考える/本・絵本 2019.2.8

「読み聞かせ」にも「はじめての一人読み」にも最適。“幼年童話” の魅力とおすすめ作品

佼成出版社
「読み聞かせ」にも「はじめての一人読み」にも最適。“幼年童話” の魅力とおすすめ作品

「子どもの年齢があがるにつれ、絵本では物足りなくなってきた様子……」
「もうすぐ1年生。いつまでも絵本ばかり読ませていていいの?」
「小学生になり、あまり本を読まなくなった我が子。もっと本を楽しんでもらいたい!」

今回は、親御さんたちのそんなお悩みにおこたえするべく、佼成出版社オススメの幼年童話シリーズをご紹介します。

読み聞かせから一人読みへ。絵本から児童文学への移行のコツ

本の紹介をさせていただく前に、幼少期のお子さんにとって「幼年童話」がいかに大切であるかをお伝えしたいと思います。

子ども向けの本には「絵本」「児童文学」がありますね。皆さんおなじみの絵本は、ふんだんに描かれた絵と言葉を一緒に楽しむもの。一方の児童文学は、挿絵が入るものの、主として言葉による物語です。

実はその中間に、「幼年童話」というものがあるのをご存じでしたか? 幼年童話の特徴について、金沢学院大学准教授の米川泉子先生が次のように解説しています。

幼年童話は、(中略)大きな文字と絵によって描かれている。絵本と比べると絵よりも言葉に主軸が移っていながらも、児童文学に比べると絵が多く描かれている。また、言葉はひらがなを主体として書かれており、漢字が使われる場合にはルビがふられている。そして、絵は、児童文学のような挿し絵としてではなく、言葉だけでなくストーリーを伝える役割を十分に持っているのが特徴である。

(引用元:米川泉子(2013),「絵本と児童文学のはざまにある幼年童話を考える」, 聖霊女子短期大学紀要, 第41号, pp. 81-91.)太字は引用にあたり施した

こうした幼年童話のおおよその対象年齢は、就学前の5・6歳から小学校低学年の8歳ごろまで。米川先生によるとこの時期は、絵本を読む楽しみを持ちながらも、主に文字から楽しみを味わう児童文学へと進んでいく時期。この年齢にある子どもは、言葉による秩序の世界に入っていく過程にあるものの、まだ論理的に考える力が備わっていないのだそう。

そんな時期に、言葉がメインであり、かつ絵にもストーリーを伝える役割がある幼年童話を読むことで、子どもは言葉を獲得しながら、これまで知らなかった世界へとスムーズに向かうことができるのだそうです。

また、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』の著者で、受験のプロとしても知られる松永暢史氏は、幼年童話を読むことの意義を次のように述べています。

子どもの頃、物語に挿絵があるとうれしかった記憶はないでしょうか。絵本からいきなり文字だけの世界へ移るのは、子どもにはハードルが高く感じられます。そこでまず、絵本に比べると絵の量は少ないけれど、文章が良く、挿絵に作り手の神経が行き届いているような幼年童話へ進みます。
この手の幼年童話であれば、親が読み聞かせることもできる長さです。
早い子で小学校入学前から読み始め、小学校中学年くらいまでに最適です。
こうした幼年童話の中には、単純な物語に複数の登場人物が出てくるものがあります。こうした本を一人で読み切れるようになると、難関私立中学の国語の入試問題をラクラク解けるくらいの国語力がつきます

(引用元:Googleブックス|『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』書籍のプレビュー)太字は引用にあたり施した

読み聞かせにも、一人読みの練習にも最適で、国語力アップにも効く幼年童話。ぜひ子どもに読ませてみたいと思いませんか?

はじめての幼年童話におすすめ! 「おとのさま」シリーズ

幼年童話にチャレンジしたいと思ったら、質に定評のある“シリーズもの”から始めてみてはいかがでしょう。そこでご紹介したいのが、「おとのさま」シリーズ

“現代の日本に住むおとのさま”がいろいろな経験をする様子を楽しく描いたこのシリーズは、全部で7作品(2019年2月現在)。保育士やミュージシャンなどユニークな経験をもつ中川ひろたかさん作、お2人のお子さんをお持ちの絵本作家・田中六大さん絵による、人気シリーズです。

■シリーズ作品一覧はこちらからご覧いただけます。

今回は、この中からおすすめの3作品をご紹介しましょう。

『おとのさまのじてんしゃ』

ここはお城の天守閣。双眼鏡で街の様子を見ていたおとのさまが、ある日不思議な乗り物を発見しました。
「わしは、あれにのりたい」。初めて見る自転車に、おとのさまは興味津々。さっそく街に下りて自転車を買いにいきます。最初は転んでばかりのおとのさまでしたが――。
現代の日本に住む、ちょっとおとぼけなおとのさまとお供のさんだゆうとの会話が楽しい、ユーモアたっぷりの幼年童話。「おとのさま」シリーズの第1作です。

【編集者コメント】
初めてこのお話を読んだとき、おとのさまとさんだゆうとのとぼけた会話に笑いが止まりませんでした。その面白さやそれぞれのキャラクターの魅力を画家の田中六大さんがさらに倍増させて、最高に楽しい1冊にしてくださいました。
おとのさまはお城に住んでいますが、時代は現代の日本。だから、街の人たちとはちょっと感覚がずれています。でも、何度転んでもひたむきにがんばる姿や、知らないものにも興味を持って挑戦する姿を見ていると、いつのまにかおとのさまのことが大好きになってしまうのです。

『おとのさま、ゆうえんちにいく』

お城の近くに、遊園地がオープンしました。さっそくお供のさんだゆうを連れて遊園地に向かうおとのさま。観覧車、ジェットコースター、メリーゴーランドと遊園地を満喫するおとのさまでしたが、最後に入ったおばけ屋敷で……。子どものように楽しむおとのさまと、乗り物が苦手なさんだゆうとの対比がおもしろい、シリーズ第4作目です。

【編集者コメント】
「おとのさま」シリーズの第4弾。今作では、初めて遊園地を訪れます。
尻込みするさんだゆうをよそに、アトラクションを満喫するおとのさま。観覧車では隣のカップルにちょっかいを出したり、相変わらず自由な行動でさんだゆうを困らせます。しかし、臆病なさんだゆうも、おばけ屋敷だけは得意な様子。平気な顔をしてどんどん進んでいくのですが……。
初めて遊園地に行ったときの、あのドキドキを思い出すことができる1冊です。

最新作! 『おとのさま、ほいくしさんになる』

作者の中川ひろたかさんは、実は日本で最初の男性保育士。保育士としての勤務経験をもとに、保育園の様子をおとのさまの目線で楽しく描いたのが、最新作『おとのさま、ほいくしさんになる』です。

ここはお城の天守閣。お城の前をおさんぽする保育園児たちを見て、どうしても保育士をやってみたくなったおとのさまは、近くの保育園で1日保育士体験をすることになりました。やんちゃな子どもたちの前では、さすがにたじたじのおとのさまでしたが、だんだん調子が出てきて……。子どもの心を持ったおとのさまと保育園の子どもたちとの会話が楽しい、シリーズ第7弾です。

【編集者コメント】
今回はおとのさまが保育士さんになって、子どもたちのお世話をします。元保育士の中川ひろたかさんならではの、実体験を元にしたリアルなエピソードも満載。いつもは自由な行動で周りを困らせるおとのさまが、子どもたちに振りまわされる姿が見ものです。

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「こどもまなび☆ラボ」をお読みの皆さんのお子さまたちにピッタリの幼年童話をご紹介しました。はじめての幼年童話は、ぜひ「おとのさま」シリーズから始めてみてはいかがでしょうか。

(参考)
米川泉子(2013),「絵本と児童文学のはざまにある幼年童話を考える」, 聖霊女子短期大学紀要, 第41号, pp. 81-91.
Googleブックス|『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』書籍のプレビュー