教育を考える 2018.7.18

夏休みの宿題がサクサク進む計画表の作り方【小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! 第3回】

編集部
夏休みの宿題がサクサク進む計画表の作り方【小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! 第3回】

量が多いだけでなく、さまざまなジャンルから出されるうえ、ひとつひとつにかかる日数も異なるのが、夏休みの宿題。多種多様な宿題を、「夏休み明けの提出」というゴールに向けてしっかり進めるには、計画をうまく立て、なるべくその通りに実行することが大切です。

今回は、夏休みの宿題をスムーズに進めるための計画の立て方について、解説します。

夏休みの宿題計画の大切さ

夏休みの宿題計画は、ちゃんと立てたほうがいい――。小学生時代の遠い昔、夏休みの宿題に苦労したことがある親御さんであれば皆、そのことは認識しているでしょう。自己流でやったがゆえに失敗したという苦い経験もお持ちかもしれません。だからこそ、子どもたちの夏休みの宿題計画が気になりますよね。

第1回でご紹介したとおり、子どもには先を見通して論理的に考えていく力があまりないため、子どもが夏休みの宿題を自力で計画的に進めるのは難しいもの。また、早めに宿題を終わらせるつもりでも、楽しいことを優先してしまえば宿題はどんどん後ろ倒しになります。

加えて、夏休みの宿題計画を立てることには、子どもの成長につながる大きなメリットがあります。

メリット1. 時間管理術を学べる

教育評論家の親野智可等氏は、夏休みは子どもが時間管理術を学ぶ良い機会だと言います。そのためには、いつどの宿題をやるか、カレンダーや計画表のような見える形にすることが必要です。

計画を立てていないと、子どもはなかなか勉強をする気が起きなかったり、親から言われないと勉強できなかったりするでしょう。しかし計画表があれば、自分でカレンダーや時計を見て、自分から行動を起こす習慣が身につきます。子どもは夏休みの宿題計画によって、計画を守ることや自発的に行動することの大切さを学ぶことができるのです。

メリット2. やる気が高まり、達成感が得られる

計画表を作ると、「今日はどの宿題をどれぐらい進めるか」が明確になります。1日の目標がはっきりするので、子どものやる気アップが期待できるでしょう。また、計画通りに進められれば、達成感が得られ、自信にもつながります。

そのために大切なのは、親が計画を立ててあげるのではなく、親子で一緒に計画を立てることです。「計画を作り、目標を達成する」という経験をひと夏の間に得ることができる。これが夏休みの宿題計画の醍醐味です。

メリット3. 勉強の習慣がつく

計画表の通りに宿題を進めるようになると、自然と勉強する習慣が身につきます。第1回第2回でもお伝えしている通り、夏休みの宿題を終わらせるには、毎日の生活に勉強を組み込むことが大切。夏休みの宿題計画を立てることと勉強の習慣づけをすることは、密接につながっているのです。

夏休みの宿題が進む計画表の作り方3

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夏休みの宿題がサクサク進む、計画表の作り方

ではここからは、夏休みの宿題計画の上手な立て方について解説します。手順は次の6ステップです。夏休み全体の予定を考えるのは、低学年の子どもにはまだ難しいもの。親御さんがリードしながら、お子さんと一緒に進めてくださいね。

  1. 夏休みの宿題の全体像を把握する
  2. 計画表のための用紙を準備する
  3. 完了予定日、勉強できない日、勉強しない日を書きこむ
  4. 基本的な進め方を決める
  5. 1日あたりのノルマを設定する
  6. 計画表に書きこむ

1. 夏休みの宿題の全体像を把握する

学校から配られた資料を見て、どんな宿題がどれくらいあるのか把握し、紙にリストアップしましょう。その際、ドリル類は具体的なページ数、プリント類なら枚数もメモしておきます。

2. 計画表のための用紙を準備する

夏休みの初日から最終日までの日付・曜日が書かれた、夏休み専用のカレンダーを用意しましょう。A3くらいの大きめの紙が、子どもには使いやすいですね。

用紙を縦に使い、上から順に1日1行ずつ割り当てて、日付の横にやるべき宿題の内容を書きこめるようにします。

学校で配られている用紙があれば、それを使ってください。もしなければ、親御さんが手書きまたはパソコンで手作りしてあげてもいいですね。カレンダーの例として、埼玉県のホームページからは、夏休みの計画づくりに活用できる空欄の夏休み用カレンダー(Excel)がダウンロードできますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
■ 埼玉県|夏休みの生活計画表(児童生徒用)
→「なつやすみのけいかくひょう(生活カレンダー)低学年用(エクセル:419KB)」

3. 完了予定日、勉強できない日、勉強しない日を書きこむ

まずは、夏休みの宿題全体の完了予定日を決めましょう。次に、外出やレジャーの予定があって勉強できない日が決まっていたら、最初に書きこみます。また、1週間に1回(例えば週末)は予備日として、勉強の予定を入れない日を設けて書きこみましょう。計画通りに宿題が進まなかった場合でも、予備日があればリカバリーできます。

夏休みの宿題が進む計画表の作り方2

4. 基本的な進め方を決める

夏休みの宿題はおおむね次の3タイプに分かれます。

  1. 国語や算数のドリル・プリント類のように、1日あたり少しずつ分散させて進めることができるもの
  2. 1日1回の音読・朝顔の観察日記のように日々継続してやる必要があるもの
  3. 絵画や工作、読書感想文、自由研究のようにある程度まとまった日数を使って取り組むべきもの

宿題のタイプ別に、どのように取り組むかを決めましょう。決め方は次のとおりです。

【1】の宿題

毎日少しずつやるか、何日間か用意して先に全部終わらせてしまうかを決めます。いずれの場合も、全体の量を宿題にあてられる日数で割り、1日で進めるべき量を決めます。夏休み中も学童に通う子どもの場合、このタイプの宿題は学童で済ませるルールにするといいでしょう。

【2】の宿題

先取りしてまとめて終わらせることはできませんので、日々取り組むべきものになります。毎日ではなく夏休み中に○回、と決められていることもあるようです。学校からの指示をよく確認しましょう。

【3】の宿題

このタイプの宿題は、少し時間をかけてじっくり取り組む必要があります。例えば読書感想文については、毎年子どもたちの読書感想文指導を手掛ける文章力養成コーチの松嶋有香先生によると、本選びから完成までだいたい2週間かかるそう。ほかにも、絵画で3日間、工作で3日間、自由研究で1週間、といった具合に、その宿題に取り組むべき期間を決めてください。大物の宿題だからとは言え、1日にかける時間が長くなりすぎないよう、無理のない範囲で日数を設定してくださいね。

これらの宿題については、イベントやセミナーを活用するのもひとつの方法です。そのようなセミナーに参加すれば、短い日数で宿題をある程度のところまで進められたり、終えられたりします。

5. 1日あたりのノルマを設定する

1日あたりどれくらい宿題を進めるか、具体的な目標設定をします。第2回でお伝えした通り、机に向かって勉強する時間の目安は「学年×10分」でOK。だいたいこれぐらいの時間で終わりそうな分量を、ノルマとして割り当てましょう。自由研究など【3】のタイプの宿題は、集中して取り組めるよう、お勉強系の宿題とは別に時間を取るようにします。ここで設定するノルマは、決して多すぎてはいけません。無理なく取り組める量を設定しましょう。

【1】【2】の宿題

「算数ドリルを1日2ページ」「漢字プリントを1日1枚」「音読を1日2ページ×1回」のように、具体的な量で示します。

【3】の宿題

ステップ4で決めた期間の間、1日目には何をする、2日目には何をする……といったように、具体的な取り組み内容を設定します。例えば絵画なら、1日目は題材探し、2日目は下書き、3日目は色塗り、といったような具合です。

6. 計画表に書きこむ

5で設定した1日あたりのノルマを、計画表に書き込みます。該当の日付のところに、具体的な取り組み内容を書き込んでください。できるだけ子どもに書かせると、「自分でたてた計画だ」ということが実感できるのでおすすめです。ただ低学年の場合、小さい文字でたくさん書くのが大変な場合もあるので、ところどころ親が手伝ってあげるといいでしょう。

書き込む際は、宿題の内容別に文字の色を変えたり、カレンダーのマス目に色を塗ったりすると、見た目にもわかりやすくなります。例えば、毎日やる勉強は黒文字で書く、自由研究に取り組む期間はマス目をピンク色に塗る、勉強しない日のマス目はグレーに塗る、といったような感じです。

また、1日終えるごとに達成感が味わえるようスタンプ欄やシール欄を設けておくのもおすすめ。親が花丸を書き込める欄を付けてもいいですね。

完成した計画表は部屋に貼っておき、いつでも親子でチェックできるようにしておきましょう。

***
夏休みの宿題計画は、子どもだけに任せるのではなく、親子で一緒に立てることが肝心です。子どもも自分で立てた計画なら、ご機嫌に取り組むはず。みなさんの夏休みの宿題がスムーズに進みますように。

■ 小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! コラム一覧
第1回:夏休みの宿題を早めに終わらせる方法とは?
第2回:夏休みの生活リズムの整え方
第3回:夏休みの宿題がサクサク進む計画表の作り方
第4回:子どものやる気、どう維持する?
第5回:宿題をする子どもに、親はどんな言葉をかけるべき?
第6回:宿題が終わらない! 遅れた宿題の挽回法とは
第7回:崩れた生活リズムのリセット法

(参考)
yomiDr.|夏休みの宿題教室…地域や大学 親に代わり
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもが勉強しないときの対策。イライラはNG、親子で勉強計画を立てよう!
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|【親子でとりくむ読書感想文 書き方レッスン】第2回:そうだ、本屋へ行こう!
さぽナビ|<1年生学習Topic>勉強も遊びも充実! 夏休みの計画術
ベネッセ教育情報サイト|勉強の効果アップ! 学習計画表を作ろう!
学研キッズネット|教えて! 陰山先生 夏休み特別編 その2 夏休みの宿題を計画通りに進めさせたい!
埼玉県|夏休みの生活計画表(児童生徒用)